エプソンがインクコストの安いエコタンク仕様プリンタ発売

2016年1月22日

エプソンが新発想なプリンタを発売予定。

海外では既に販売されている機種で日本は主要な市場としては最後になるらしく、2016年2月4日の発売予定。特徴を簡単にいうと、本体が高くインクが安いという今までとは逆の価格設定。

どのような物か見て参りましょう。

エプソンがインクコストの安いエコタンク仕様プリンタ発売

ソースはこちら。

エプソン、エコタンク搭載A4インクジェット複合機など3製品 - ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1601/12/news117.html

EW-M660FT

もっと知るならインプレスの方が詳しい。

3製品有る内、カラー印刷出来る機種は画像のEW-M660FTのみで、本体価格は5万円台半ばとの予想。現在の価格コム、予約受付状態での最安は5.3万円くらい。

インクジェット複合機にしては従来の2倍近い価格設定と思えるけれど、約2年分使えるという大容量インクが付属しており、その2年分も1年500枚で計算とかでは無く2年で6千枚という桁違い。

EW-M660FT-ecotank

カートリッジでは無くマジでタンク。交換するのでは無く、これらのタンクへ各色ごとのインクを補充するという仕様変更。

インクのコストはエプソン公式の説明が分かり易いので次で。

 

使えば使うほどコスパが良くなるエプソンの逆襲

要点はこの2つだと思う。

インクはタンクへ補充

source:エコタンク搭載プリンター EW-M660FT|製品情報|エプソン

インク各1色あたりの印刷可能枚数は約6,500枚となっており、全ての色を毎回使うわけでは無い為、約11,300枚のカラー印刷が可能となっているのでしょう。

1万枚と言われてもピンと来ないところ、左の説明に有るA4カラー300ページ/月の印刷ペースで2年分と言われると凄さが良く判る、どこの大企業ですかレベル。

「分かった、純正インクが高いのか」と思いきや、Amazonより。

ksu-bk-l-amazon

source:Amazon.co.jp: エプソン KSU-BK-L インクボトル(ブラック)

黒は更に大容量なので2千円近いものの、カラーは1色972円、税別900円ならば私が使っているプリンタの純正インクより安い上、70mlとか大容量過ぎる。

ところで公式ページやインクのパッケージを見ると妙な点に気付くかと。黒はクツ、カラーはハサミという謎のコードネームが付けられている件。

意味や理由は書かれていないので勝手に推測すると、カートリッジでは無くインクの中身が使う物なので、今後のエコタンク仕様プリンタのインクは型番を細かく分ける必要が無く、イコール覚える必要も無し。

店頭などで本体やインクの型番が分からなくとも「クツの黒」や「ハサミの黄色」で判るという意味なら頭良いと思った。今後、4色対応でカラー用の黒を出したとしても「サンダルの黒」とか適当に命名すれば良いわけですな。なぜクツとハサミなのかは謎。

コスパの違いも桁違いに凄すぎる。

インクのコスパ比較

エコタンク補充インク4本は従来のカートリッジ49本分。モノクロは約1/10、カラーは1/17くらいまで印刷コストが安くなるという。

カラー0.8円やモノクロ0.4円は下手するとトナーより安くなるのでは無かろうか。感光体ドラムや廃トナーの回収なども含めると安いと思う。普通はリースだろうけれども、それでも保守料と印刷のカウント代含めるとこちらの方が安そう。

グラフも分かり易い。

トータルコスト比較グラフ

注目すべきは緑の線で、インクが大容量な上に格安なのでトータルコストがほとんど上がらない。印刷が多ければ多いほど得になるわけですな。

本体を安くバラ撒きインクで儲けるケータイ屋のようなビジネスモデルを逆転させた、本体で利益を得たならインクは安く提供という、何と無く健全になった印象。

エプソンな割にインクがやたら安い理由は、インク代では利益を出していない可能性。ここまで安くしておけば、バッタ物インク業者が500円とかで互換インクを出したとしても、消費者、特に企業ならば500円をケチり非純正で博打する意味が薄い。

するとどうなるかは、バッタ物業者がインクビジネスでは利益的に厳しくなり、結果として値上げやインクの質を更に落とすしか無くなりそう。

また、企業がエコタンク仕様へ移行して行くと、企業相手に大量販売していた互換カートリッジの売れ行きが悪くなり、撤退まで行ったならエプソンの勝ち。完全撤退は無いとしても、エプソン以外の互換インクに力を入れる事になるやも知れず。

これを私はエプソンの逆襲と見ております。

なぜ国内販売にまで至ったかは、こちらの解説が分かり易い。

家庭用プリンタのビジネスモデル転換に挑むエプソンの大容量インクモデル戦略とは? - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20150805-epson-kill-ink-cartridge/

海外、特にインドネシアでは企業でも普通にインクジェット方式を使っており、本体は高価ながらインクは安いという事で大ヒット。欧州や北米でも成功し、今回国内でも発売という流れへ。

エプソンの大容量インクと言えばこれを思い出した。

「Epson 9900」はインクが空と表示されても大量のインクが残存していることがわかるムービー - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20150915-epson-printer-wasted-ink/

インク残量が2割近く有るにも関わらずインク切れとされる件。これはインクのバッグがケースに入っている形式で有り、補充用タンクとは関係無し。関係無いけれど、11色で約28万円とは業務用のインクの価格は凄まじいですな。

 

従来のインクカートリッジビジネスは無くならない(まとめ)

今後はエコタンクのような大容量インクボトルの時代かと言えばそうとは言えず、例として私のように滅多に印刷しない人は大容量とか要らない。

本体は多機能な割に2万円程度、インクは5色交換で5~6千円もするけれど、5年間でカートリッジは1~2回交換する程度なので合計3万円行くかどうか。1万円を切るプリンタなら2万円行かないかも知れない。

毎年、年賀状を100枚印刷する人でさえA4が6千枚も刷れてしまう容量となれば、片面カラーとモノクロで60年以上、面積2倍以上差が有るので120年以上。その前に本体か使っている人間の方が消耗したり故障する可能性。

一気に市場がエコタンクに置き換わるならキヤノンやが黙っていないと思われ、とりあえず様子見しているのかと。追従、競合して来るなら法人向けに力を入れているHP(ヒューレット・パッカード)が先になるはず。

個人向けとして期待出来るメーカーは、インクカートリッジで利益を出そうとしていないと思われるブラザー。カートリッジをやめてタンクにし、サードパーティ製(バッタ物)インクやエプソンのクツやハサミが補充出来るようになるとエプソンやキヤノンはヤバいかも知れない。

エプソンの狙いとしては、本体で利益を出しつつ、これまで大量の互換インクを買っていた中小企業を純正インクへと出戻らせ、バッタ物インク業者の弱体化が本命と見ております。

企業でインクジェットで良く、枚数ガンガン刷るようならエコタンクのプリンターお勧め。そうでは無いならまだ様子見が正解でしょう。

コメント(5)

>エプソンがインクコストの安いエコタンク仕様プリンタ発売

プリンターはインク代が馬鹿高い印象だったけど、エプソンやりますなw
(前まではインク代を数回交換で本体価格と同等って感じ)

本体価格が高いのがネックかな
今の時代、安いプリンター本体1万円以下で買えるしな

>なぜクツとハサミなのかは謎。

黒はクツで他のカラーがハサミ見たいだなと思うけど、
確かに謎の名前だなw

前のカラー番号が ICBK50とかの英数字で
どの対応機器かわかりずらいから、
わかりやすくしたいんじゃないかな。
KSU=クツ HSM=ハサミ 型番から連想名って感じかな

図面ですら紙印刷しなくなったからねぇ(PDFさんニッコリ

おまけで付いてきたプリンタなら使うことはあったけど
紙媒体→スキャン特化な気が
ポスターつくるも仕上がりが残念な感じにしかならんし
スーパーのポップ職人歓喜か


あっ
官公庁は紙が命
 彡 ⌒ ミ
(`・ω・´)
革張り金文字製本までがデフォ
なおCD-Rも提出せよ

>本体は多機能な割に2万円程度
8月のお盆あたりがちょうど新製品が出るタイミングで、それまでの機種がたたき売りに出されます。
そのタイミングなら7~8千円も出せば、それなりのプリンターが手に入ります。
ですからインクがいくら安くても一般受けはしないでしょうな。
それにテキストベースだとレーザーの方が綺麗ですから、ビジネスでも難しいんじゃないでしょうか。

>黒はクツ、カラーはハサミ
Amazon.co.jp: EPSON インクカートリッジ YTH-BK ブラック
http://www.amazon.co.jp/dp/B014S6ATSY/
Amazon.co.jp: EPSONインクカートリッジ ICVLM79 ビビッドライトマゼンタ
http://www.amazon.co.jp/dp/B00N7H46QM/
Amazon.co.jp: EPSON 純正インクカートリッジ ICMB66 PX-7V用マットブラック
http://www.amazon.co.jp/dp/B005KDI35Q/

以前の製品でもヨット、竹、紅葉、他いろんなモノを目印になるように採用してますね。ヨットの場合は全色ヨットなのでヨットを買いに来たけれど、どの色を買うのか忘れたとか、そういうのを受けてか想定して黒とその他の色を分けたのかもしれませんね

>EW-M660FT
本体重量「7.3kg」は流石ですね。個人的には「モノクロは最速で1分間に33枚の印刷が可能」という高速性に期待。業務用のプリンタは爆音ですが、本製品は「動作音:50デシベル」でこの高速印刷が可能とのこと。これは嬉しい。

業務用として導入するには

・A4サイズまでの対応で、A3は不可
・排紙容量が30枚と少ない
・フチ無し印刷は不可
・黒インクのみでの印刷は不可

辺りが課題として挙げられるところですね。無線LANと有線LANの同時使用が不可、という点も少し気になりはします。

>黒はクツ、カラーはハサミという謎のコードネームが付けられている
他にもたくさんありますよ。理由は『エプソンのインクは、購入される際の目印になるよう、パッケージに個別のイメージ写真を印刷しています』とのこと。単なるニックネーム的なモノかと。

Epson Direct Shop:インクカートリッジ/インクボトル
http://shop.epson.jp/supply/ink/

>バッタ物インク業者が500円とかで互換インクを出したとしても
100円ショップでさえ互換インクが置いてありますからね。私は使用しない方が無難だと思いますが。

100円ショップ活用研究室・激安!ダイソーの詰め替えインクってどうよ?
http://abcdefg.jpn.org/daiso/printink/cc.html

純正インク vs. 互換・詰め替えインク 図解
http://homepage1.nifty.com/samito/printers.ink.htm


最近は自宅でプリンタを使う機会が無くなりました。印刷する時はセブン-イレブン&富士ゼロックスのサービス「ネットプリント」ばかり。Amazonが「画像とかExcelファイルとかPDFファイルとかアップロードしたら、1枚30円で印刷して自宅まで届けます」というサービスでも始めれば乗り換える次第。

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