パソコンに取り付けるSSDの選び方、前編。
「BTOパソコンを購入するがSSD選びで迷っている」というお便りを着信。価格コムや2chで情報を仕入れ自分で判断するしか無かろうとスルーしようと思ったけれど、ふとひらめき某SSD変態(以下、TakaQさん)へ丸投げの相談。
もの凄い勢いでご回答頂いた為、2回に分けて解説。
受信メールの一部を要約し、私からTakaQさんへ相談した内容の一部が以下。私はメールの返信はしないけれど、これは発信という言い訳で。
容量は200~250GBを希望、インテル520か東芝製が良いと思っている。※当ブログを読んだ影響とのこと
インテルは砂コン記事の寿命の話が気になるがどうだろう。サムスンはスルーしたいけれど、CrucialとPlextorのことがよく分からない。プレク~は仕様が東芝へ変わり否定的な意見が2chで散見。東芝は良い悪い?
これに対し約24KB(全角換算1万2千文字)分の返信が来たので、今回は前編とし、主にコントローラの話。
本文は見出しを除き、ほぼ丸ごと転載。なお、転載部分の黒文字はTakaQさん、灰色は私が後付した箇所。
一応書いておくけれど、この記事はTakaQさんが自己満足 当ブログを経由し質問者殿へ回答してくれたもので、判断や解釈は自己責任。
なお、今回はSSDの中身の話でハードウェア中級者以上向けなので、付いて来られるならこちらを何となく読み仕組を理解しておいた方がよろしいかと。特に「コントローラー」から「MCL型」まで。
Flash SSD - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Flash_SSD
または要点を太字にしたので、SSDの事を知りたいけれど難しいと感じるなら、そこだけでもお読み有れ。
以下、目次。
- 砂コン(SandForceコントローラ)
-> インテルSSD 520シリーズ - Intel純正コントローラ
- CrucialとPlextor(Marvell製コントローラ搭載品)
- SamsungのSSDについて
- PlextorのM5仕様変更騒動
- 東芝ブランドのSSDは良い悪い?
最初から全部読むならこのリンクはスルーで。
砂コン(SandForceコントローラ)
砂コン(SandForce製コントローラ採用)SSDという観点でいくと、実はIntelのみならず東芝製SSDであっても砂コンを採用した製品はあるので、東芝製を謳っている製品であっても型番でどれが純正コントローラSSDかを把握しておくことが必須です。
数多あるSSDの中で最も多く採用されているのが砂コンな印象がありますが、これはベンダーが製品を企画した際、コストダウンにもっとも有効な方法が砂コンの採用(砂コンは格安)ということなのではないかと妄想してみたり・・・
実際、砂コン未採用のベンダーは数えるくらいしか無い気がします。
もっとも、例のSSD耐久テストで検証されている前世代Intel純正SSD(X25-V)の成績が神がかり的で、あまりの耐久性に実はSLCじゃないのかという疑惑すらあること
X25-Vのテスト
http://botchyworld.iinaa.net/ssd_x25v.htm#end
同様に東芝HGシリーズSSDが耐久限界に達しようとするとRead Only化してデータ保護を行うという神仕様であること
東芝HGのテスト
http://botchyworld.iinaa.net/ssd_ssdn.htm#end
などもあって、それと比較される砂コンが不当にダメな印象を受けている感は少なくないというか、単に普及帯グレードなんだと考えれば、むしろ砂コンの性能は妥当なものじゃないかと思います。
Intelの砂コンというよりSandForce製コントローラ搭載SSD全般について言えることですが、ベンチマークにおいて、圧縮可能なデータの場合だけ公表値の速度を満たすという俗に「0Fill詐欺」と言われる特徴がありまして、圧縮がしづらいデータを使ったランダム測定(ベンチとして一般的なのはこっち)の場合ではスコアが半減します。
圧縮の効かないデータというと、具体的には画像、音楽、動画、ZIP等、そもそもがデータを圧縮してつくられているファイル形式のものですが、もっとざっくり言えばサイズが大きく容量の大部分を占めているモノばかりです。
逆に圧縮可能なデータというとテキストやスクリプトのような、文字列ベースのものになりますので、元々のファイルサイズは極小のものばかりです。
また、砂コンは総書込量がある程度の量に達すると急激に速度低下するようで、むしろそれが仕様(書込量が規定より多い場合、保護の為に速度を落とす)とのこと。
ちょうど総書込量がSSDの容量分に達したあたりでガクッと速度が下がり、そのまま何をしようが回復せず(Secure eraseしても効果なし)、使わずに一定時間置くと回復するとかいう謎仕様ですw
速度低下の様子
http://review.kakaku.com/review/K0000434136/ReviewCD=558732/#tab
Sandforce Life Time Throttlingの仕様(英文)
http://www.xtremesystems.org/forums/showthread.php?272545-Sandforce-Life-Time-Throttling
Intelのものに限らず砂コンSSD全般に言えることですが、上記のようにやたらとクセが強いです。
ただし、それを補って余りあるのが、どのベンダーのものであれとにかく価格が安いことで、それが最大の利点ではないかと。
考えてみれば335が売れ筋であった当時、Intel製でありながら最安レベルであったわけですから、いかにコスト抑制できるのかわかります。
これまでの私の感覚から言わせれば、あのIntelが最安とかなんの冗談だよという話ですw
また、「0Fill詐欺」や「速度低下」のせいもあってシーケンシャルのベンチスコアはまったく振るいませんが、体感では大して変わらないです。
それにシーケンシャルはダメでも4kなどのランダムアクセスには強いので、大きなシーケンシャルデータ等を扱わない、ランダムアクセスの多い環境に向いており、システムドライブに最適と言われています。
インテルSSD 520シリーズ
Intel520についてですが、330(335の前期型)の高級版というか具体的には高速高耐久版(330・335は3年、520は5年保証)と考えてよいです。
NANDフラッシュは25nmのMLCでコントローラにはSandForce製の「SF-2281VB1-SDC」を搭載しています。(335もSF-2281)
Intelに限らず今時の砂コンSSDは、どこのベンダーのものであれ、ほぼ全てこの「SF-2281」シリーズが搭載されているようです。
Intelの中の人が「520シリーズは320シリーズの高速なランダムアクセス性能をそのままに、510シリーズのSATA3対応の高速なシーケンシャル性能をも併せ持つ」とかなんとか、そんな感じのことを言っていたような気がしますので、本当かどうかは別として、まあそういうことなのでしょうw
発表当時の私の印象としてはこんな感じでした。
Intelのアナウンス「520は攻守最強で大正義」(キリッ
- Intel純正コン信者「中身砂なんですがそれは(震え声)」
- 全方位型Intel信者「そやな、砂やけどな(白目)」
- 砂コンアンチな人 「ファッキュースッナ」
- アンチIntelな人 「砂ンゴwwwww」
- 自称情強な人 「あーこれアカンやつや」
- SSD通な人 「あ…(察し)」
- TakaQ 「なお間に合わんもよう」
何を言っているかわからないと思いますが私もわからないですw なんとなくニュアンスが伝わればいいです。
Intel純正コントローラ
SandForceではないIntel純正コントローラを搭載したSSDについてですが、ベンチスコアがたいしてぱっとしない割に価格は最上級という、およそ意味の分からない殿様っぷりを発揮しています。
さらに、総書込量増大に伴う速度低下もSandForceやMarvellよりは少ないものの、普通に起こりますし、既に改善はされているものの、8MB病とかいう突然8MBでしか認識されなくなってデータが飛ぶ事象を発生させたりしています。
320シリーズの8MB病について↓
http://japanese.engadget.com/2011/08/17/ssd-320-8mb/
こういう、わりと笑えないレベルのやらかしもあるので、「おマイ、いいとこナシなうえに地雷じゃねーかいい加減にしろw」とか思われそうなんですが、実はIntel Tool Boxなる独自ツールを提供していまして、これがまた各ベンダーが提供しているツールの中では別格にいいデキなんですね。
使用することでTrim未対応環境での強制Trimが行えたり、総書込量増大に伴う速度低下も、このツールの実行によりほぼ新品状態に回復できてしまいます(ただし砂コン版での効果は微妙)
この点だけでもIntel純正コントローラのSSDを選択する意味は十分にあると言えますが、逆に言えばIntel製SSDはTool Box使用が前提というかむしろ必須なので、そこであえて使わないことにより「やたら高価だけど大したことのないSSD」とかいうシロモノを堪能することが可能ですw
また、例の耐久テストでは東芝製SSDをはるかに上回る成績を叩き出しています。
耐久テスト一覧
http://botchyworld.iinaa.net/ssd_list.htm
他にも世界的な企業だけあって、その規模の大きさと販売数から、最も情報が得やすく、且つサポートに関してははSSDメーカー中随一だと思われますので、そういう点で東芝同様信頼性は高いと考えて良いかと。
CrucialとPlextor(Marvell製コントローラ搭載品)
共通しているのは主にMarvell製コントローラを採用している点です。
実はPLDS(Plextor)のOEMであるIntel510もMarvellコンを採用していて、SATA3でXP環境という場合に最適なSSDだったりします。(Toolboxで強制TRIMができるうえ砂コンじゃないのでほどほどの速度低下回復が見込めるため)
ただ、同じMarvell製コントローラを採用していながらもCrucialとPlextorではわりと特徴に違いがありまして、エラいやっつけですが簡単にいえば
- Crucial → それなりで安価なMarvellコントローラ搭載SSD
- Plextor → 高性能だが割高なMarvellコントローラ搭載SSD
的なイメージで良いかと・・・
とはいえ、Plextor、Crucialそれぞれの中において既に(M5P→M5S、M4→V4みたいな)廉価版は存在するんですがw
ざっくりとしたイメージですイメージ。
具体的な特徴として、Crucialはファームウェアの出来次第でまるで別物のようにスコアが伸びたり
Crucial m4シリーズの0009ファームによる変化
http://nueda.main.jp/blog/archives/005854.html
使用時間が5184時間に達するとアホ挙動頻発しだしたり
http://skyline798.blog118.fc2.com/blog-entry-3424.html
といった問題が発生するなど、やたら安定感に欠けるイメージがあります。要はファームの造り込みが甘いんだろうなと思っています。いや、実際甘いだろあの不安定っぷりみるとw
ベンチスコア的なスペックと総書込量増大に伴う速度低下もPlextorとCrucialではだいぶ違いがありまして、ベンチスコア、速度低下した状態からの回復力共にPlextorが大幅に優れている感があります。
価格もそれをそのまま反映しているようで、Plextorが一般に比べて割高、Crucialが逆に値頃感のある印象です。
Plextorはベンチスコアと速度低下の回復力、品質管理に特にパラメタをガッツリ振っている感がありまして、いや、提灯なので参考になるかアレなんですがw
中の偉い人に聞いてみた提灯
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20110312/sp_fline.html
品質スゴイぜな提灯
http://ascii.jp/elem/000/000/708/708228/
こんな感じですので、体感はたいして変わらないものの、ベンチスコアの数字が振るわないと精神衛生上良くないとかいう層にはきっと人気ですw
SamsungのSSDについて
やっぱりSamsungもやらないとダメですかね。えー、コレやらないとイカンのかw これまで検討対象にしたことが全くないんで全然知らないんですがw 仕方がないのでわりと適当に何処かで聞いたような話レベルでいきますよw
IntelのToolbox同様強制TRIM可能な独自ツールを提供していて、ToolBoxと同じようなことが可能なようです。(いや、よく知りませんがw)
最近になって日本語化に対応したようですが、それまでは確かToolにしろマニュアルにしろ日本語化未対応でした。(いや、だからよく知らないんだってw)
日本は世界で最もSSDが売れる市場だったかと思うのですが、そこで一定のシェアを持っており、且つ日本法人まであるにも関わらず、長いこと日本語未対応であったのは意味不明というか、なんだかなーな感じです。(今はしてるらしい)
民族性なのかお国柄なのか知りませんが、スポーツであれ文化であれ経済であれ、なんでも政治歴史問題に結び付けるのがお好きなようなので、その辺関係してるのかもしれませんね。(いや、知らんけどもw)
その辺の空気と申しますか、なんかもう「あーこれはあかんヤツや感」をひしひしと受けるものですから、基本的に関わりたくないというか常にスルーのスタンスでして・・・ゆえに結論としてよくわかりませんw
耐久テストの結果では寿命が測ったかのように保証期間内ギリギリです。
840のテスト
http://botchyworld.iinaa.net/ssd_840.htm#end
こういったコストダウンが効いているのかいないのか、安い印象はあります。
実際はイメージほど安くない気もするんですが、安いといえば確か欧州あたりでダンピング訴訟を起こされてたようなk うわなにをするやめr
PlextorのM5仕様変更騒動
これは仕様が東芝へ変わったからと言うより、NANDフラッシュのPCBパッケージが前期型のBGA(8KB/page)から後期型のTSOP(16KB/page) へ変更されたからです。
半導体ストレージに使われるパッケージ一覧(東芝)
http://www.semicon.toshiba.co.jp/product/package/ic/index.html
この変更の何がどうダメかと言いますと、簡単に言えば作りの上等さがBGA>TSOPだからです。 ※BGA、TSOP・・マニアック過ぎて難しい為、Core i7>i3のような感じと考えましょう
つまり、奴ら型番も価格もそのままに中身をこっそり廉価版にしてコストダウンしてやがったゾというお話です。
それで性能が変わらないのであれば、それほど問題でもなかったのでしょうが、実際、4K速度や耐久性は明らかにBGA>TSOPでして、これを型番そのままでアナウンス無しにやっていたものだからさあ大変!というのが騒動の概要です。
M5P仕様変更の影響が酷い(まとめサイト)
http://www.cyber-life.info/archives/22322915.html
ユーザーからの見た目は同じ、当然価格も同じ、でも中身はコストダウンした廉価仕様にこっそり変えてましたテヘw という話ですから、ユーザーが「テヘw じゃねーよクソが、ふざけんな!」となるのは必然かと。
それまで、その作りの良さから値は張っても、故障が少なく性能低下せず回復も可能、速度も最高性能で攻守最強のSSDというのがウリだっただけに、この一連の騒動でPlextorの信頼は地に落ちたとまで言われる始末・・・
一連の流れはここが解りやすい
http://blog.livedoor.jp/katyou_get9/archives/22286736.html
ちなみに私はこの騒動発覚後にTSOP版(劣化仕様の後期型)のM5P(512GB)を購入しておりますが、なぜかといいますと他に選択肢がなかったからですw
当時の時点ではまだ東芝のS6T512NHG5Qは発売されておりませんでしたし、TSOP化されて尚、砂コンや寒損よりは遥かにマシということで36Kほどでポチった次第。
実際のところ、各ベンダー共にSSDはコストダウン化傾向にあるので、今後発売されるSSDがBGA仕様で出ることのほうが少ないでしょうし、前世代のSSDにおいて既にTSOPで
サーマルパッド無しSSD
- Intel X25-M
- Crucial C300
- Crucial m4
BGAでサーマルパッド有りSSD
- 東芝HG2
- 東芝HG3
とかでしたから、黙ってこっそりコストダウン仕様に変えていたというメーカーの卑怯なやり方こそが問題なのであって、「TSOPでサーマルパッド無し仕様だから」を理由に叩くのはナンセンスでしょう。 ※サーマルパッド・・基板上の放熱用パッド
ちなみにM5P購入に至った選択プロセスはこんな感じ。
500GBのSSDが必要、サイズが大きいし条件設定としてまず5年保証のモノ
↓
容量500GB以上、保証5年の時点で選択肢は以下の極わずか
・IntelのSSD520
・PlextorのM5P
・OCZのVertex4
↓
コントローラは四天王(東芝、Intel、Marvell、SandForce)でいきたい
OCZはコントローラがIndilinxなので除外
↓
砂コンIntelとTSOP版劣化M5Pの2択とか(白目)
なおS6TNHG5Qは間に合わんもよう(しかも発売してみたら3年保証な件)
↓
TSOP版M5Pであってもなお砂よかマシだと思うのでIntel520を除外
↓
PlextorのTSOP版劣化M5Pに決定
東芝ブランドのSSDは良い悪い?
ベンチスコアはぱっとしないというか、特に目を引くようなところは無いです。
その割に価格が安いということもなく、一見、いいとこナシのようですが、実はTRIM非対応OSやハードウェア的にTRIM無効な環境でも、コントローラの出来が神なのでSSD単体でそういった不利な環境をカバーしてしまうという、どんな環境でもなんとかしてしまう感は異常ですw ※Trim非対応OS・・Vista以前(XPなど含む)のWindows
この「東芝製ならなんとかしてくれる感」は、例えるなら「スラムダンクにおける陵南の仙道」とか「ナルトにおけるうちはイタチ」的なソレに匹敵します。
何を言ってるのかわからないと思いますが、私にもわかりません。いや、わかる人にはきっとわかるw
また、総書込量の増大に伴う速度低下も起こりにくく、仮に速度低下した場合も持ち前の優秀なGC制御が働いて回復してしまいます。 ※GC(ガベージコレクション)制御・・不要になったメモリ領域を自動的に解放する技術
その環境を選ばず性能を発揮する適応範囲の広さと、これまた優秀なウェアレベリングで寿命を長く保ちつつ、仮に寿命がつきてもReadOnly化してデータを保護する等、信頼性は群を抜きます。 ※ウェアレベリング・・特定のブロックに集中しての書込みを防止し寿命低下を防ぐ技術 ※ReadOnly・・読取専用
以上、前編終わり。
後編では各メーカーやブランド単位の特徴、現在販売されている5機種を性能別5段階評価されている為、お楽しみ有れ。TakaQ節を満喫するなら漫画「進撃の巨人」を読んでおいた方が良いかも知れない。
後編の公開は明朝8時、公開後はこの下にリンクが出現するよう設定済。
TakaQさんへの礼や感想は btopc.com@gmail.com 宛、件名に「TakaQさん宛」と入れて送信されると私が手動で転送するけれど、誹謗中傷の類は私が見て捨てるので無駄な事はされぬように。なお、転送は本文テキストのみ、メールアドレスはお伝えしない為、返信は無い前提で。
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