死後に子どもへメールを送りたいとの相談。
登場人物が多めなので詳しくは後で書くとして、友人の友人、要するに知らない人が末期癌で入院しており、その人の相談に乗って欲しいとの事。事情が事情だけに断るわけにも行かず引き受けた。
あっさり完了かと思いきや意外と苦戦。
登場人物と目的詳細
リストにしましょう。
- 私・・・私(ヒツジ先輩)
- A氏・・・話を振って来た友人、PCよりスマホの機能に詳しい
- X氏・・・入院中、ステージ4、半年後生存1割、60代前半
- 奥方・・・X氏の奥方、専業主婦、30代前半
- 娘達・・・長女10歳、次女8歳
何がしたいかは、娘達2人が20歳になるまで毎年の誕生日にメールを送信したいとの事。手紙では駄目なのか聞くと、上手く文字が書けない、そして紙では自宅に何かあった時が心配という。
ならばメール、となると私へ聞けば良い方法を知っているだろうとの流れ。ふと気になり、奥方には送らなくても良いのか聞くと、まだ若いので再婚して欲しいから娘達だけで良いとの事。
メールの送信先は奥方が昔から利用中のキャリアメール宛。そこへ毎年2回、最長で約12年後まで、計22通の電子メールを送信したいそうな。プラス、メールでは無く結婚式用のメッセージを共通で1通預かって欲しいという内容なので23通。
私は普段ウェブメールを使っていないので、「Gmailならリマインダくらい当然あるだろう」と想像&軽い気持ちで引き受けてしまった。
リマインダで指定日時にメールを送信
リマインダとは。
リマインダーにあらかじめ予定を入力しておくと、予定日になる前に、電子メールやアラートなどよってユーザーに通知される
source:リマインダーとは - IT用語辞典バイナリ
このメールで通知される機能を利用し、自分などでは無く直接奥方へ各誕生日にメールを自動送信されるよう設定しようかと。
しかしGmailへログインして驚いた、何とリマインダ機能が未だに無し。
どこかにあるだろうと検索すると、GoogleのInboxというサービスにアリ。
しかしコレジャナイ感。
日時設定は良いとしても、基本的に自分宛な上に1行しか使えず改行無し。これでは全く使い物にならない。
となると、日時指定したブログを書いて誕生日に見て貰うか。そのブログのフィードをGoogleのFeedBurnerへ突っ込みメールでも受信出来るようにするか。
しかしスマートでは無い上に無料のブログサービスやGoogleのマイナーな無料サービスが最低でも12年の間終了しない保証は無し。今後、アドブロックなどの影響で収益が悪化すれば企業は存続しても無料ブログやめる可能性はあると思う。Googleの無料サービスも同様。
ならば私のローカルPCのメーラーでリマインダ設定するかと言えば不安な点がいくつかあり、私が12年後まで生きているとは限らず、PC電源入れない日があるとか何かと危ない。
Googleならば世界中で核戦争でも起こらない限り12年後もGmailをやっているだろうし、安全かつ確実と思いきやリマインダー無し。
というわけで、Gmailのみで行く方針は変更。
送信専用Gmailアドレス作成+Right Inbox for Gmail
メールアドレスはGmailとし、Chromeブラウザの拡張機能ライトインボックスなるリマインダー機能追加エクステンションをおかわり。
source:Right Inbox for Gmail - Chrome ウェブストア
ライトインボックス以外にGoogleのインボックスとも連動しているご様子。
仕組が分からないので想像になるけれど、Gmailでリマインダ設定し保存したメールが下書きとして保存され、その後にライトインボックスが何かするのか、Googleのインボックスは何の意味があるのか。
動作を調べてみるために、Gmailで自分宛にリマインダ設定、ライトインボックスの拡張を削除、これでどうなるか。何と削除後もリマインダが機能したのでGoogleのインボックスが何かしたのか、Gmailの裏機能などがあると仮定するとそれを利用したのか。
とりあえず削除する意味は無いので入れたまんまとし、一度リマインダを設定してしまえばライト~が開発やサポート終了しても問題無さそうなのでこれに決定。
メールの宛先もやはりGmailを利用
宛先はこのような感じ。タイトルと本文は許可を得て一部パクり。
メールアドレスはダミーなのでイタズラ禁止。
ToのGmailの転送先を奥方、BccのGmailはA氏と私へ転送。タイトルバーにSchedule~と表示されている点が通常とリマインダとの違い。
なぜGmailにしたかは、娘さん達がスマホを持つ年齢になったなら転送先を増やせるようにしており、送信先として見えなくて良い私らはBccで設定。A氏か私が何らかの事情でメール受信出来なくなった際は簡単に第三者と入れ替え出来るように。
各誕生日の0時頃にリマインダが発動し送信され、私とA氏は受信を確認したならお互いLINEなどで一言でも何か送り互いの生存確認する約束。
リマインダの不発に気付かない上、私らが娘さんたちの誕生日忘れを防止する為、私は更にBecky!というローカルPCのメーラーでA氏と自分宛に年2回リマインダを設定、A氏はスマホでも自分に通知されるよう念を入れております。
また、誕生日メールと結婚式用メッセージの原稿はBccに入っているメンバーが自分のPCなどへ保存し、万一Gmailが終了した時に備えるという、半人力タイムカプセル&シェルター状態。
まず無いけれど、A氏と私がもし同居する環境になった場合、事故で同時に死ぬ可能性が高まる為、私を外して別の第三者を含める事になっております。
X氏から「これで心置きなく逝けるよ」と言われた時は、私も歳のせいか涙腺が緩んでいる事に気付いた。
その他、結婚式用にはメッセージ以外にビデオレターを撮影しており、YouTubeへ非公開でアップロード、GoogleドライブとDropBoxでバックアップ。
無駄にならない事を祈っております。
余命宣告されなくとも天国メールはアリだと思う
今回のようなやや大掛かりな仕掛けをしなくとも、手紙を何通か書き、「15歳の誕生日用」とか書き溜めておけば良いけれど、メールの良いところはGoogleのような大企業のサーバーへ無料で保管し自動で発射出来る点。
個人的には、「良くも22通も違う内容でメールを書けるものだ」と感心するレベルなので価値は不明ながら、死ななくとも毎年メールをリマインダしておき、生きていたならストップ、死んでしまった後はGoogle先生にお任せは上手いと思う。
子ども宛では無くとも、高齢ならば配偶者へ、自分が子どもでも万一に備え親へ、など色々アリでしょう。
難点はメールアドレス変わってしまうと受信不可、これがあるからメールやキャリアやプロバイダ変えられないとか、設定変更出来る第三者の協力が無ければハードルが高くなる辺り。
金が掛かっても良く、10年以内で手紙や物を送りたいならこのようなサービスもございます。
タイムカプセル郵便|未来郵便NPOみらいぽすと
http://miraipost.com/index.html
X氏はこれは利用せず、A氏が娘さん達へのプレゼントを実家で保管し、それぞれ成人したタイミングで敢えて宅配でプレゼントするそうな。伝票の発送元を天国にするという演出だけれども、さすがに20歳なら分かるでしょうな。
やや関係無いけれど、私は他人を羨むという感情が無いのだけれども、死してなおここまで想う人達が居るX氏の人生は羨むべきかも知れないと思った。
ステージ4だと疼痛に対して強力な鎮痛剤を使う場合もありますし、抗がん剤の副作用で手に痺れが生じる事も多いようですから、文字を書くのは厳しくなるやも。
>ライトインボックス
検索してみると、Gmailで送信予約といえばコレ、という定番らしいですね。似た拡張機能はいくつかありますが、どれもRight inboxとそっくり。
マイナビニュース:Gmailで日時を指定してメールを送信する4つの方法
http://news.mynavi.jp/articles/2014/12/24/gmail_sendlayer/
Right inboxは無料プランだと月に10通までしか送信できないようですが、送信タイミングが年に2回なら問題は無さそう。送信予約数ではなく送信数のようですし。
>Bcc
CcとBccの使い分け、社内でできていない事も多いですね。取引先へTo、同内容を自分の上司へCcで送る方の多いこと。
死後のメッセージ恵投、コレはいわゆる「終活」の範疇でしょうか。メメント・モリの精神、普段は忘れがちですけれど、残される人が大切なら早くから用意しておくのも大アリですね。
本日午後からX氏へ当件をブログのネタにした事を報告。
記事前半は「何だか照れくさいな」と苦笑いされ読まれていたけれど、最後に書いた生前に時限式で何かするのはアリな話を読まれ、皆さんへお伝えしたいとの事を預かって来たので紹介。
口頭で聞いた話、意味を変えず要点を。
-----ここから-----
もしあなたが親であり未婚の子が居るなら、バースデーメッセージまではやらなくとも結婚式の挨拶は書いておいた方が良いと思う。
想像してみよう。華やかな結婚式、多くの出席者、喜びに満ちた親族、皆さんからお祝いを戴く新郎新婦の前で、「B子さんのお父様はB子さんが10歳の時に・・・」なんて説明されたら私は空気読んでいない。そんなの嫌だ。おれも祝いたい。娘の結婚式なのに死んでるなんて最悪だ。
そこで天国からのメッセージ、ガチな親からのメッセージがあれば真逆になるのではないだろうか。「B子の親は死してなお、なんて粋な人なんだ」と。暗い空気を明るくはならないだろうけれども、せめて中和してゼロに出来る方法が今のうちにメッセージ書いておく事。
誰もが子どもより長く生きている保証はないし、人は皆いつか死ぬのだから、先立つ不幸をつぐなうため、残された身内に気を遣うのは当然ではないだろうか。
-----ここまで-----
のような話。
「人は皆いつか死ぬ」が、もうすぐ死ぬ人からの言葉になると想像以上に重かった。自分と子ども、自分と配偶者、どちらが先かはわからない。
私は割と明日死んでもどうでも結構的な思考回路なのでピンと来にくかったものの、娘さんをもつおっさん達は今すぐ祝辞を誰かに預ける事をお勧めしたいと思った。
> 庶民A さん
終活でしょうな。X氏は終活できる、する事に気付けて幸せ、事故や脳卒中で突然死するよりマシとの事。誰もが終活出来るとは限らないので何か伝えたいなら若くとも感謝を伝える手段を持つべきでしょうな。
実は私も終活では無いし程遠いけれど、当ブログびアクセスが5千を超えた頃から時限式で次の10月3日を毎年予約投稿に設定しております。内容は「この記事が上がったなら私はブログ書けない状況になっている」のような。
リマインダー、予約投稿、こういう使い方も出来るとは有能。