エアコンの電気代比較。
以前書いた、エアコンは暑くならない朝からオンが良いという記事に対し半信半疑。実際に3種類の環境で消費電力を測り比較したので報告。比較の条件がやや甘いけれど、個人がやった事としてご容赦有れ。
PC初心者上級者、無関係に参考まで。
実験の目的と環境や条件
目的はパソコンのため(真顔)
当サイトはBTOパソコン.jp。一見、クーラーとパソコンは無関係に思えるけれど、データセンターやサーバルームなどのようにエアコンを常時オンにして冷やす環境もございます。
個人なら、室温の上昇によりCPUファンが高回転になり、いつもより多くのホコリを吸い込む上、デスクトップPCが複数台有るなら、それらの発熱で更に室温が上昇するかも知れない。
という強引な関連付けはこのくらいにして、本当の目的は「朝から(または1日中)クーラーをオンにしていた方が電気代は安いのか」を調べる事。
環境は3種類(震え声)
今回は私以外の協力者が2名様居られ、これら3つの環境で実験しております。
- 自宅勤務クリエイターの仕事部屋
- とあるオフィスビル2Fの給湯室
- 私が今これを買いている部屋
条件は結構ばらばら(白目)
ワットモニターが2台なので同じ日の同じ時間帯での計測は出来ず、それぞれの部屋のみでの比較となっております。その他は以下の通り。
- 電気代・・ワットモニター初期値23円換算
- 天気・・1日中晴天(少しでも曇ったなら中止)
- 外気温・・私が職場の外で14時頃にメモ(1日中日陰の涼しめな所)
- 記録方法・・kWh、経過時間、電気代、をスマホで撮影し私へ送信
外気温は私の部屋のみ自宅の外で14時頃にメモをしたので、やはり部屋同士では無く同じ環境内で相対的に比較を。
BGMはヤシマ作戦でもどうぞ。音注意。
激しい方が良いならFDとのバトルとか。横滑り注意。
意味不明失礼。
ここから下で頻出する単位のkW(キロワット)は電力というやつで、例として40Wの蛍光灯なら0.04kW。
kWh(キロワットアワー)は電力量で、40Wの蛍光灯を100時間点灯させておくと計4kWhの意味。「h」が付くと時間が乗算されるようなので混同されぬように。
ここまで冗談混じりで書いたけれど、以下真剣に参ります。
クーラー朝からと昼からオンの比較3種類
自宅勤務クリエイターの仕事部屋
環境詳細から。
- 空調:三洋電機 SAP-YD22J(2002年製、冷房定格2.2kW)
- 設定:28度、風量「自動」
- 部屋:6畳(西と北に壁、東西は室内)※常時カーテンで遮熱
- 建屋:木造ではない2F角部屋
- 熱源:人間x1、大型プリンタx1、モニタx1、PCx1(Core i7-870、Quadro FX580)
- 計測:7~19時x2回、13~19時と14~19時を各1回(計4回)
約11年前の冷暖房エアコンで、容量2.2kWなら木造で4~6畳、鉄筋なら6~8畳くらいでしょうか。
夕方から暑くなる西日が大変強いらしく、真夏の午後からは余裕でパンツ脱ぐほど暑いそうな。意味が解らないけれど表現が面白かったので採用。
結果はこちら。
並びに意味はございません。
左から見て行くと、13時にオンにすると計2.29kWhとなっており、その右の青は午前7時から、しかも外気温は1度高かった割に2.16kWhと低め。
4回測ってくれているので更に右を見ると、やはり昼からの14時開始なら2.57kWhと高く、外気温が近い左の青へ戻ると2.16kWhと、昼からオンにすると消費電力量は高いという結果に。
部屋の出入りは1時間に1回程度で、仕事のペースも同じくらいとの事なので室内の条件は変わっておりません。
もう一点注目する箇所はオレンジの2本で、外気温は1度の差にも関わらず、1時間遅れてオンにした14~19時の方が消費電力量が多くなっている事。
青同士を比較すると、外気温3度の差で0.11kWh差と誤差のようなものなので、13時から1時間遅いだけで消費電力量は多くなってしまったと言えましょう。
夏場の1日で最高気温になるのは14~15時頃とするなら、最もやばい時間にクーラーをオンにしてしまったという事になるかと。
これ1つでは信ぴょう性に欠けるので次へ。
とあるオフィスビル2Fの給湯室
詳細から。
- 空調:日立RAS-L22AE8(2011年製、冷房定格2.2kW)
- 設定:28度、風量「自動」
- 部屋:3~4畳くらい(壁3面は室内、1面は通路)
- 建屋:鉄筋コンクリート
- 熱源:人間x0~4、給湯ポットx2、中型冷蔵庫x1、稀にIH使用
- 計測:12~18時と9~18時の各1回(計2回)
製造から2年しか経っていない新しいエアコンで、容量はクリエイター部屋と同じく2.2kW。全体の空間が4畳有るかどうかの狭めな給湯室で、数人の社員が出入りする場所。
四方が屋外に面しておらず、三方壁越しの事務所は28度設定で冷房、通路は空調温度が低めに設定されております。私の体感で24~26度くらい。
昼休憩以外は無人になる事が多い場所での結果はこちら。
クリエイター部屋とは逆の結果に。単純にエアコンをオンにしていた時間分は普通に電気を使っていたような状況。
なぜこうなったか予想すると、元から涼しい環境なので設定温度の28度になるまで時間も力も掛からなかったのでしょう。
また、昼間の人の出入りが多いとしても、外になる事務所も28度設定なので出入りされても温度は上がらない。
経営者いわく、「事務所に天井埋め込みが有るのだから給湯室にエアコンは要らなかった」というくらい元から涼しめな環境。
こういう結果も有るという事で、ラストは私の部屋にて。
私が今これを買いている部屋
詳細。
- 空調:東芝RAS-N221E9D(2012年製、冷房定格2.2kW)
- 設定:26度、風量「自動」
- 部屋:6畳(壁3面は室内、1面は壁で東向き)
- 建屋:※省略
- 熱源:人間x1、モニタx2、PCx1(Core i7-950、Radeon HD 6770)
- 計測:13~20時と6~20時の各1回(計2回)
ヒツジ先輩は私が引退すると影武者と入れ替わる予定なので建物情報は省略させてもらいます。
クーラーは昨年の今頃に買い換えた新品に近い東芝製品で、冷房能力はクリエイター部屋や給湯室と同じ。但し、設定温度を26度としております。
クリエイター部屋とほぼ同じ条件なものの、大きな違いは朝日は入るけれど夕日(西日)は差さないので、昼から壁面への日光の直射は無し。
差が大きく出るよう期待し、クーラーのオンは早朝6時で「入」タイマー設定。時間も長めに日没後の20時までとしております。
結果はこちら。
昼1時から7時間しかつけていない方より、朝6時から14時間もぶっ放している方が消費電力量は低いという結果に。
但し、クリエイター部屋ほどの差は出ておらず、電気代にして約1.6円相当、率にすると4%程度の差しか出ておりません。
しかし、数値が逆なら暑くても我慢した方が良いかも知れないけれど、明らかにそんな事はせず朝から延々と冷やした方が得。
なぜこうなるのか、消費電力が関係しているので次で解説。
なぜ朝からオンにすると消費電力量が低い?
クリエイター部屋での計測で「1日だけで良いから昼からオンした時の1時間毎のワット数を撮影しておいて欲しい」と依頼。
その結果と合わせ、私の予想(想像)を合わせたてきとうなグラフがこちら。
オレンジは一部実測されており、四捨五入で以下の通り。
- 13時・・870W
- 14時・・670W
- 15時・・550W
- 16時・・360W
- 17時・・※未計測(おおよそ、250Wで入力)
- 18時・・170W
- 19時・・20W
クーラーの起動直後は870W近く出続けていたようで、13時40分を過ぎるまでゴーという激しい風の音がしていたとの事。
そこからワット数は下がり続け、最終的に19時には20ワットという低さへ。間違い無いか確認したところ、当初200Wと思っていたら24 . 3だったとの報告。この調子なら18時ももしかすると17ワットくらいになっていた可能性はございます。
青の線は私がてきとうに描いたもので、嘘かも知れないのでイメージとして。合計(kWhに)すると青が高くなってしまうかも知れないので、合計はされぬよう。
青は、クーラー起動が7時なら設定温度の28度に近い、または低いと思われ出力はすぐに低下。
そこから温度が上がらないよう室温を維持し続けるものの、午後からは西日により15~16時に掛けて多少はワット数が上がるだろうという。
なぜこうなるか、以前コメント常連の とおりすがりの偏屈者 さんからお便りを頂戴し、転載OKの了解も戴いたので、以下ほぼ全文。有難う御座います。
改行と太字は私が勝手に加工。
エアコン消費電力についてですが、今のエアコンは圧縮機をインバータ制御しています。空調負荷が大きい時にはフルで運転しますが、室温が低下するに従って周波数を落とします。
室温低下に従って圧縮機の回転数はどんどん低下して、決められた最低周波数以下になると最終的に停止します。(このあたりの制御については各メーカーそれぞれにノウハウがあると思いますが)
そして温度が上昇するとそれを打ち消す程度の低負荷で運転し、室温を維持しようとします。昔は単純に温度でON-OFFさせていたためそのような細かい制御が出来ませんでした。
昔のエアコンの場合には要らない時は消した方が良かったのですが、今はマイコン+インバータが主流になっていますからきめ細かい制御が可能となっています。それをもったいないからと言ってON-OFFするのは昔の制御方式そのもので効率が悪くなります。
涼しいうちからエアコンを運転するのは同様に圧縮機の回転数を出来るだけ上げない(電気を食わない)事になりますから有効です。
我慢して室温が高くなってから運転した場合、部屋自体が「焼けている」状態となりますし、場合によっては負荷が大きすぎて冷えない(能力不足)に至る場合も考えられます。
いずれにしても圧縮機は目一杯の運転を長時間強いられますから、電気代はかえって高くなります。
---以下、2通目
極端に消費電力が少ない時、(可能であれば)室外機を触ってみて下さい。振動していないならコンプレッサーが止まっています。
ですからこの状態では室内機のファン(風が出ているなら)と制御系のみが電気を消費している事がなります。変に人間がもったいないからと言って切るより、機械任せにした方が省エネになります。
但し、古い機械については制御も古いですからこの限りではありません。
---以下、3通目(補足)
文章中「周波数を変える」と書きましたが、昨今のコンプレッサーのモーターは、「ブラシレスDCモーター」になっています。
文字通り直流モーターですから交流モーターと違い、単純に周波数を変えているだけではないのですが、考え方として「周波数制御」で問題ないのでそのように書きました。
転載ここまで。こちらの説明を元にグラフの青い線を妄想で入力しております。
最終的に、19時の段階で約20ワットになった箇所が上記説明にあるコンプレッサーが停まっている時と思われ、私も自分の部屋で実験してみたけれど、どう見ても送風です本当にありがとうございました状態。
昼から暑いと感じる部屋なら朝からオンが節約(まとめ)
但し、元から暑くならない部屋なら運転時間は短い方がよろしい。
今回は西日部屋と朝日部屋で分けたけれど、いずれにしても普通に暑くなる室内なら朝からクーラーが節約になりパソコンにも優しい。
また、今回は実験していないけれど、日中の細めな電源オフは節電や節約にならず、ピークシフトにもなっていないはず。
例として、昼食を外食する為、12時から13時半頃までエアコンをオフにし外出したとしましょう。室内の温度は上がり、13時半にクーラーをオンにすると900ワットまで上がり3~5時間掛けて下げ続けるかも知れない。
また、午前9時に出掛け13時頃に帰って来るなら、出掛ける前にクーラーをオンにして出た方が、帰宅してからオンにするより消費電力は低くなるかも知れない。
一応、かも知れないを付けておりますが、多くの環境でこうなると思われ、疑うならワットモニターで比較をお勧め。かなり安くなっております。
source:Amazon.co.jp: SANWA SUPPLY ワットモニター TAP-TST8
但し、これは200Wには対応していない為、間違ってでかいエアコンで測らぬように。プラグの形状が違う(はずな)ので挿さらないと思うけれど。
「1日中付けっぱなし」は実験しないのか?(おまけ)
前回の記事内、発言小町の回答者によると、多くの人が1日中つけっ放した方が良いと書いておりましたが、あれは本当なのか今更ながら疑っております。
深夜早朝も28度を切らない暑い夜なら良いけれど、エアコンをオンにしている時は窓や扉を締め切るでしょう。外気温が28度(私の場合は26度)を切った辺りから、締め切った部屋でエアコンから送風。これをやる意味が判らない。
送風が20~60ワット程度なら扇風機と同じくらいなので、素直に窓や扉を開けて換気した方が良いのでは。
クーラーの設定温度を超えるような熱帯夜なら、1日中付けっぱなしが良い(節電効果が有る)と思う。
一行でまとめると、クーラーは室温が設定温度を超える結構前からオンが正解。という事で実験終了。
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