MAKUAKEは国内のクラウドファウンディングの一つ。
クラウドファウンディングとはネット上で目的を掲げ出資を募り、目標額を超えると成立となり目的の何かを実行したり提供したりする感じ。GIGAZINEが頻繁にネタにする海外のKickstarterのようなサービス。
衝撃的なパソコンを発見したので紹介。
Makuakeで見た妙なゲームPC「GPD WIN」がヤバい
こちら。
source:PCゲーマーへ朗報!コントローラ付ゲーム専用モバイルPC<GPD WIN>上陸
募集期間45日を残した時点で目標額180万円に対し2千万円を突破している大成功なプロジェクト。スクリーンショットは2016年6月13日撮影なので7月27日終了。
GPD WINはGamePaD WINdowsの略でしょうな。知らないけれど。
どの辺りがゲーム専用PCなのか?
どう見てもゲーム用。
Windows 10仕様で画面を見ると当然ながらパソコン版の方でありモバイルの10ではござらない。
パッド側中央のスイッチによりマウスとゲームコントローラを物理的に切り替え可能。他の写真を見るとL1/R1/L2/R2もポータブルゲーム機と同じような位置に有り、プレステでも3DSでもないWindows仕様ゲーム機状態。
なぜ最近はPCの小型化が可能なのか?
ハードウェアに興味無い人は、なぜ最近になりスティック型や今回のゲーム機状態のような小型PCが出始めたのか不思議かも知れない。
理由は主に3つ。
- インテルCPUの超省電力化
- eMMCストレージの普及
- Windowsのばら撒き
数年前までTDP20ワットを切るノートPCが超省電力な高級品として売られていたけれど、現在はSDP2ワットとか意味不明な消費電力かつインテルの価格設定が安い物が流通。
eMMCはSSDのようでSSDほどの性能は無いけれどHDDほど遅くも無ければデカくも無く。原価も安そうなので手軽に小型PCやタブレットに組み込んでしまえるという。
Windowsのばら撒きは今に始まった事では無く、8から画面サイズや解像度などの条件というか制限をクリアすればタダ同然でマイクロソフトが端末に入れさせてくれる感じ。
モニタ付の端末が激安化して来た辺りはスマホやタブレット普及のお陰、普通の液晶パネルどころかタッチスクリーン付でも安くなった為でしょう。
CPU性能がかなりヤバい仕様な件
さて、ゲーム専用を名乗るならそれなりの性能が必要。しかしこれである。
解像度が1280x720な点は5.5インチというスマホ並の画面サイズなのでまだ良いとしましょう。Windows 10も、10だからこそDirectx 12やタッチスクリーン操作が生きるとして良しとしましょう。
しかしCPUのAtomがいくらX5-Z8500とはいえAtomはAtom。クロック1.44-2.24GHzはそこら辺のノートPCより劣る性能、4コアが生きるような使い方は思い当たらず、しかも高負荷時にはオートマティックこっそりクロック落として冷ましてくれるチートがゲームとは合わない。
メモリ4GBはギリOKに見えるとしてもグラボ無しなのでここからVRAM(グラフィック用メモリ)容量に持って行かれるので3GB前後しか使えないとするなら厳しそう。
eMMCで64GBは容量大きめ、ただしWARGAMEシリーズのような1つで61GB占有するようなゲームは最初からインストール無理と考えると64GBは決して大容量とは言えない。
ここを良く理解しておきましょう。
<目安>
- ドラゴンクエスト10オンライン:挙動○/動作可能
(※必要に応じて解像度/画質を落として頂く必要が想定されます。)- モンスターハンターオンライン⇒挙動△
(※解像度/画質を落とすことが必須となります。)- ファイナルファンタジーXIV蒼天のイシュガルド⇒挙動×
(※解像度/画質を落として、やや動くか?というレベルです。)
ゲーム専用とはいえ3Dゲームとは言っていないわけで、Flashゲームとかエミュレーターで遊ぶならポータブルPCゲーム機として使える程度。
ところで驚いたのはこちらのデモ。
タイトルらしき箇所が鬼泣4なのでおそらくCAPCOMのデビルメイクライ4。1と2はプレステでやった事があり動きで何となくそうだと思う。
PC用DMC4が本当にAtomと内蔵GPUでまともに動作するのか。動画では普通に動いているけれど、3千円くらいのCPUなAtomが凄いわけが無くCAPCOMが凄いのだろうか。
もしくは画面の外で実はドックに繋がっており、GTX 1080が接続されているようなチートかと疑えるレベル。
税込5万5千円の価値はあるのか?
普通に考えて無いでしょう。来春から量産予定、税込5.5万円と言っているけれど失敗すると思う。早期出資の3.4万ならアリか?と聞かれたならやはり無いと思う。2万円台ならガジェットマニアに少し売れるかも程度。
ゲーム用PCとしては明らかに性能と容量が不足しており、パソコンとして使うにはキーボード&マウス操作と画面サイズが致命的な上、PC用Windows 10のタッチ操作は5.5インチでは絶望的。
中途半端なOS仕様に追加した、あらゆる事に中途半端を極めた端末がGPD WINでしょう。なぜ多くの人が出資しているのか、どうして2千万円超えという目標の10倍以上を達成しているのか理解不能。
[重要?] 艦これはプレイできるのか?
艦これはFLASHが動くなら動作するので大丈夫。しかし5.5型をタッチ操作するとかマウスをコントローラで動かすくらいなら、7~10型のPC用Windows仕様タブレットで良いのでは。
クラウドファウンディングをどう捉えるかによる(まとめ)
GPD WINがゲーム専用PCを名乗るには性能と容量不足が半端無く、知らずに出資した多くの人が後悔すると思われる製品。
投資案件としては既に成功しているものの製品の完成度としては失敗していると感じており、3Dゲームはかなり厳しい、制限される点をもっと前面に出した方が良いと思った。
しかし出資イコール製品購入では無く、純粋に企業を応援したり金を出して良いと判断するならば、ふるさと納税のような出資に対する礼の品として過度の期待はおかしいと言えるやも知れず。
製品化の場合、良くても試作品の段階で出てくるのだから全てが人柱状態。
製品化された後に買うより安く入手出来るという考え方では無く、応援したい、世に出て欲しいモノに対する投げ銭的に考えた方が良さそう。
Makuake以外に国内の有名どころはCAMPFIRE。
クラウドファンディング - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/
プロダクト(製品化)のカテゴリを見ていると余裕で1時間経過してしまった。
Makuakeで私が出資したかったと思った製品化はこれ。
source:マグネットでかんたん接続&取り外し、革新的な充電ケーブル!煩わしさを解消 |
端子を端末側にはめておき磁石で接続し充電という発想が素晴らしい。
割引して4万円、販売想定価格は「5.5万円」とは高いオモチャですね。
スペックが低く高画質に設定できない弱点を、画面が小さいから画質設定は低くて良い、という利点に変えた所は上手いですね。できれば無線に「ac」が欲しかった所。
>グラボ無しなのでここからVRAM(グラフィック用メモリ)容量に
最大でも1280×720の解像度、更に画質設定が低いとなれば、使うVRAM容量も少なくなります。RAMが4GBでも、あながち問題ないかもしれません。
>ファイナルファンタジーXIV蒼天のイシュガルド
動くわけねーだろ、なスペックですから挙動×は当然ですね。推奨動作環境でCPUにCore i5、GPUにGTX660とHD7950を指定ですし。
>CAPCOMのデビルメイクライ4
試しに「解像度:1280×720、それ以外の画質設定は最低」でベンチマークを回した結果、CPU:Celeron B820(2コア1.70GHz)のノートでは「ランク:C」でした。動作はするけれど快適では無い、レベル。平均FPSは30くらい。最高で50FPS、最低で25FPS。体感では動作の鈍さを全く感じませんでした。ランクCとは思わず。
>どうして2千万円超えという目標の10倍以上を達成しているのか
現在2,500万円くらい集まっていて、出資者は600人ほど。1人あたり4万円くらい。こんなモノに600人も出資しているとは、確かに驚き。
そういえばこの形で思い出しましたけれど、タッチパッドやマウスクリックとキーボードを併設したBluetoothデバイスだと、Ewinの「EW-RB04」がそこそこ使いやすかったですよ。スティックPCにもお勧め。
Amazon:Ewin ミニキーボード Bluetoothキーボード タッチパッド搭載 https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00XZQV84I/