3Dプリンタ祭りから1年半が経過。
2013年の秋頃から、Amazonが3Dプリンタ売り場を作ってみたり、ヤマダ電機やツクモが店頭で実演を始めたり。DMMはデータを送ると印刷して売ってくれるなどのサービスを開始したり、あれからどうなったのか。
最近の3Dプリンタ情報から。
3Dプリンタは進化し低価格化しているのか?
4月のニュース。税込5万円は最安クラス。
XYZプリンティング、49,800円の3Dプリンタ「ダヴィンチ Jr.1.0」 -PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150417_698301.html
出力された完成品を見ると、いずれも高精度で印刷されております。メーカー表記の価格より、実売は更に値下がるでしょうな。
発表会なので出力物は完成品を持ち込まれていると思われ、実演では無かったならば、本当はどのくらいの精度か興味深いところ
業務用ではDMMがチタンで作成。
3Dプリンタでチタンパーツを制作、自転車フレーム - Engadget
http://japanese.engadget.com/2015/04/14/3d-dmm-make-akiba-triplebottomline/
そのフレーム部分の価格は50~70万円との事。うっかり放置して盗まれると大変なので、携帯するか室内での観賞用か。素材により高いですな。
高速化も進んでいる御様子。
進化した光造形3Dプリンター。従来の25~100倍速で出力-Engadget
http://japanese.engadget.com/2015/03/30/3d-25-100-3d/
他の3Dプリンタでは3~11時間半かかるところ、CLIPなら6分半という凄まじい速さ。
早送りの動画を見ると確かに6分くらいで完成しております。しかし、3cm程度の小さな物にさえ6分も掛かってしまうのか?という、逆に従来の3Dプリンタの遅さに驚いた。
前夜祭直後から祭り後の寂しさを感じる現状
Amazonでは現在も3Dプリンタコーナー有り。
source:Amazon.co.jp: 3Dプリンタストア
本体のリンクへ飛ぶと、人気順で並んでおり上から6件。
ダビンチの旧製品が有り評価は低めか。左下の2つは星5つになっているけれど、レビュー数1では信ぴょう性に難有り、左上の比較的安い物は星平均2.5。星4が2件、1が2件。
造形材料の人気ナンバー1を見ると、ABS樹脂1kgが税込3千円を切れており、1年半前より2割くらい安くなっている印象。星は平均4で、良いという意見はコスパの点での評価が多く、悪い評価には詰まるなどの品質問題の指摘が多め。
価格コムも見ましょうか。人気ランキングより。
source:価格.com - 3Dプリンタ 人気売れ筋ランキング
クチコミ0件、無評価の21万円プリンタが1位。一体、どういう基準で1位なのか。あまりにも売れないカテゴリなので、価格コムが操作しているのかと疑ってしまう。
やはりここでもダビンチが人気、と言えるかは微妙な評価数だけれども、3位のペンという良く判らない物を除くとAbeeというメーカー以外は全部XYZ~製品。
2位、星2の御意見より。
ダヴィンチの売り文句として自動キャリブレーションとノズルクリーニング、カートリッジ式の簡単なフィラメント交換などがありますが、どれも必要ありません。
自動キャリブレーションは使いにくく、時間もかなりかかります。これなら手動で行った方が格段に早いです。
やはり6万円程度の機種では精度や機能に問題が有るのか。このモデルは素材が専用カートリッジらしく、汎用品の3倍とか。という事は、1kgあたり1万円近くするならばコスパが良いとは言えず。
4位、こちらも星2、Abee製品。
挙句の果てにはメーカー側が「かなりの頻度で失敗します」と製品がまともに作動しないことを認めていました。(失敗して当たり前と開き直って言ってました)
星数の高い評価が1件有ったけれど、その人は改造したり手を加えるなら良い製品という、それは製品のレビューとしてどうなのか的な、やや斜め明後日の評価。改造はクチコミ掲示板でやった方が良いと思う。
5位、上位で唯一の高評価。但し1人。
(対処)ガイドから右側のベルトを外して、歯を一個分ずらして付け直したらきちんと円が描けた。
こちらもハードウェアの調整が上手く出来るなら良いという評価となっており、家電製品のように誰もが簡単に扱える機器では無いようで。
需要&供給少なく価格と品質がまだ合わない(まとめ)
個人的には、家庭用3Dプリンタの低価格化と普及により、フィギュア市場が活発化し、データ販売へと移行して他の物へも応用されて行くのだろうと思っていたけれど、その気配は未だ無し。
以下は2013年5月、なので国内での祭り前の記事より引用。
「3Dプリンティング(3D printing)」って呼び方がいけない。だって、言いやすくないですか? もし「高速プロトタイピング(rapid prototyping)」って呼称だったら違っていたかも。「うちにも高速プロトタイピング、早く1台欲しいね」って人はいませんよね?
現状は低価格化が先行しており、高速プロトタイピング(試作品作成機)の域から出ていないと言えましょう。
単純に需要と供給だけの関係ならば、スマホが売れるとアプリ開発が増えるように、機器が安くなれば多売となり、樹脂が値下がりして製作者が増えると思っていたけれど、機器の精度以外に樹脂の品質にも問題が有りそう。
安く製造出来るなら品質は低下し、品質を求めると馬鹿高くなってしまう。という事は、DMMでの代行が正解かと言うと高額。
source:アミアミドライバーフックVESSEL用3連ブラケット ナイロン - DMM3Dプリント
360円が妥当とするなら約10倍。この商品に限らず何でも高価で、DMMも商売で作者も利益を求めるのだから当然としても、それにしても高過ぎる。
DMMと家庭用プリンタの大きな違いは、利用できる素材の種類。
石膏など様々な素材を選択可能な業務用プリンタを使用しているから高精度とするなら、プリンタ側のみでは無く、現状は素材側にも問題が有ると思った。
どちらも改善されると普及するかと言えば、私はしないと思う。
- 製造して販売されると高額化
- データを販売するとコピー可能
- プリント可能な物の種類が少ない
3D CAD職人に「3Dプリンタで何を作り、どう売ると良さそうか?」と聞けども、答えに詰まってしまうでしょう。
私はクリエイターでは無いので消費者視点で考えると、「市販の量産品で結構」となってしまい、量産用の工場向け業務用プリンタが3Dプリンタの生き残る場所と考えております。
家庭用はマニアのおもちゃにとどまるという意味で、こうはならず、
source:2020年のIT主要市場規模予測-NRI |ビジネス+IT
パソコンやスマホ、タブレットのように、どこかから横ばいになるはず。
3Dプリンタもマニア市場で普及しまくり、将来的に2Dプリンタとの複合機となり、2万円くらいで私にも遊べる日が来るのかと思ったけれど、無理でしょうな。
- 小型で広範囲な3Dスキャナ
- 扱いの簡単な3Dプリンタ
- 造形後の自動着色
- 改善された素材
これらが全て安価になったとしても、何を作りコピーしたりすると役に立つかが解らない。
キーボードの各キーを出力できたり、マウスのボディを出力できると、磨耗や傷など経年劣化を気にせず使えるのは利点。私のRealforceは昇華印刷のため、キートップの印字が消えることはほぼありませんが。
実用的な使い方としては、スマートフォンの本体裏ブタを出力するくらいでしょうか。3Dデータさえあれば出力できるというなら、別途に本体カバーを購入せず、剥身のまま使うことに抵抗が無くなります。難点は電池パックが取り外せる仕様でないと、裏ブタを外せないため出力しても無駄、という事でしょうか。
>改造したり手を加えるなら良い製品
それは「素のままでは悪い」=「悪い製品」となるのが普通。Windowsのことか。
>3Dプリンタで何を作り、どう売ると良さそうか?
大量生産ならライン製造でまかなうため、需要の少ないモノを少数、が3Dプリンタの出力物販売用途でしょうか。
「ぼくのかんがえたさいきょうのガンダム」とか「ソフビ化されていないドマイナーな怪獣」とか「フィギュア化されていないちょっとマイナーなアニメ・ゲームのサブキャラ」とか、どう考えても大量生産が無理なモノを作ってもらえるなら、少しは需要があるやも。ただしデータを全て揃えないと作ってくれない、というなら無理。
>消費者視点で考えると、「市販の量産品で結構」
私が3Dプリンタを持っていたら、買いに行くのが面倒な小物を作りたいですね。例えば
・カーテンレールのカーテン留めが1つ折れたから作る
・客が来るけれどコースターが1つ足りないから作る
・シャープペン/ボールペンのキャップが無くなったから作る
・イヤフォンクリップが折れた/無くなったから作る
辺り。ただプリンタの前に3Dスキャナまで必要ですから、出費がかさみ過ぎて現状は無理ですけれど。
なるほど。カーテンレールでひらめいた。
カーテンレールを購入した際、コマとかネジが1つ足りない時用に3Dプリンタ用のデータがダウンロード出来るとか。デザイナがコースターを売る際に、材質は変わるけれど同じデザインの物を安価に3Dプリンタで作成出来るアプリ用データ配布とかまで行けば良いと思った。
という事は、Auto CADなど3D設計図のリードオンリー版がAcrobatリーダーのように普及し、PDFのごとく標準化し広まるなら有りかも知れない。スマホでQRコードを読み、アプリを起動するとBluetoothで3Dプリント出来たり。
鶏が先か卵が先かになってしまう為、XYZ~はダビンチに続き設計図ファイル用の標準形式を目指すソフトウェア、ミケランジェロを作るべき。Auto CADなどのデータをリードオンリーへ変換出来たり、簡易パーツなら簡単なドラッグ操作で設計図が作成出来たり。
いずれにしても、3cmくらいの物を作る割に筐体がデカすぎるのでルービックキューブサイズ、5万ではなく1万円くらい。インクのようにカートリッジビジネスへと切り替えてくれなければ普及は難しいでしょうな。
ネタ集めをしていたら、Engadgetの5万円ダビンチ実演動画を発見。
http://japanese.engadget.com/2015/04/16/5-3d-jr-1-0/
おそらく実機を借りての宣伝と思うけれど、出来は良いと言えないので提灯では無いと見ております。時間の無い人用に何をしているか、動画内の時間を書いておくと
1分13秒・・・素材データの確認
3分08秒・・・完成品
3分25秒・・・専用フィラメントが高い件
その専用フィラメントの直販はこちら。
http://item.rakuten.co.jp/3dpt/c/0000000102/
600gで3,280円という事は、汎用の2倍くらいですな。この程度の完成度ではヤスリがけ必須。やはりまだまだマニア向けと思った。
3Dプリンタの動画だと、私はこちらが面白いと思いました。
【立体出力】家庭用3Dプリンタでミクとか色々つくってみた【前編】
http://www.youtube.com/watch?v=OZLDhh4eHjE
見どころは8分くらいから始まる、自転車のベルを直すシーンですね。ベルに付いているハンドル(指ではじく部分)を、Autodesk Inventor(CADソフト)で製図し、3Dプリンタで出力して交換しています。
リンク違い訂正。自転車のベル直す辺りから。
https://youtu.be/HQPQ0xgqSOU?t=8m15s
私ならAmazonでベル発注する。
ところで、庶民Aさんが貼られている初音ミクフィギュア。最後に造形時間13時間と有るけれど、それは出力なのか手作業込なのか。1体1万円オーバーも凄まじい。
いずれにしても時給換算すると単なる阿呆になってしまうので、趣味、オリジナル、自己満足という点では自作PCと同じですな。
安くて良さそうな物を発見。
2万円ちょっとの3Dプリンタ「Tiko」Kickstarterで大人気 - ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1504/10/news149.html
送料高い、修理どうするのか、交換用ノズルは?など考えず衝動投資できるなら。
もう一つはDMMの新企画。
DMM.makeクラウドソーシング システム利用料無料キャンペーン
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000158.000002581.html
30%は取り過ぎ、と思ったけれど、そのくらいはプリント代として要るでしょうな。本当に3Dプリントが普及すると思っているなら、今は何でもタダにして投資し、未来の楽天モールやヤフオクのような独占を狙うと良さそう。