平成28年度インターネット利用などの調査(by.総務省)

2017年8月 9日

総務省が通信利用動向調査結果の最新版を公開。

現在は平成29年度、総務省の今回の調査結果は28年度なので昨年4月より今年3月までを指しており、調査は28年の11~12月頃にランダムで日本全国へ調査票をバラ撒いて回収している模様。

適当に見て参りましょう。

ソースはこちら。

統計調査データ:通信利用動向調査:報道発表資料
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

私がこれを書いている現在、ExcelやCSVファイルはまだ上がっていないのでPDFファイルより5項目のグラフを拝借し感想文。

 

平成28年度インターネット利用などの調査結果

条件を画像にて。

概要

前回とは時期が少しずれており、27年度1~2月に対して28年度は11~12月。この違いにより大きく数値が変わるとは思えないので文句はございません。

毎回問題となる回収率の低さは世帯ではほんのり改善されており、27年37.4%に対し28年は44.2%へ。何が起こったかはこちら。

※平成28 年通信利用動向調査の世帯調査では、調査票の回収率向上のため、従来の調査票に加え、調査事項を限定した簡易な 調査票を用いて調査を実施した。

昨年の記事で私が書いた難点に気付いたのだろうか。

調査する側が聞きたい事をぎっしり詰めただけで、調査される側の答えやすさを無視した作り。

source:平成27年度インターネット利用などの調査(by.総務省) - BTOパソコン.jp

しかし簡易な調査でさえ5割行かず、民間のマーケティング会社へ任せた方が良さそう。きっとこの状態が少しだけ簡単になったのだと思う。

通信利用動向調査票

全12ページ、私なら読まずに捨てると前回書いた。

というわけで調査結果のサンプルの属性は、総務省からの依頼なので答えるとか、面倒でも回答して送り返してくれる律儀な人が答えているものとして。

適当に5項目ほど見て参りましょう。

1.最近の若者以外のスマホ利用率が上昇

年代と端末別でのネット利用率。

端末保有率

どこらへんで最近の若者がパソコン離れしているのか答えられる人は居るのだろうか?と思えるPC率(青)の高さとなっており、20歳を超えたなら定年退職するくらいまでは年代関係無くパソコンは普通に使われております。むしろ20代がトップ。

しかも13~19歳、中高生でさえ57.4%という高さは私が子どもの頃なら全く考えられない利用率。

ガラケー(緑)はスルーし、スマホ(オレンジ)も20代がトップクラス、次いで30代、そして中高生と40代が同じくらいの利用率。

見どころは総務省的には赤丸している50代の伸びが凄いとされておりその通りなのは良いとして、個人的には中高生と20代の前年との差が+1%前後まで鈍化している点。行き渡ったと考えるべきか。

タブレットは不思議なことに20代が60代に次いで低く、中高生による利用率が高め。60代は最低値なものの、スマホ利用率の低さと合わせて見ると高めな方とも言えますな。

単なる勘だけれども、20代はまだタブレット持つほど端末代に余裕が無い、またはスマホ率9割超えなのでタブ要らない。高校生がスマホで中学生がWi-Fiでタブレット、という感じなのだろうと見ております。

全体ではPCとスマホいずれも6割を切れるくらい、タブレット利用率は2割少々。これらの数値は次のデータでも比較用として有用。 

2.PC・固定電話・スマホの世帯保有率が同じくらいに

こちらは個人では無く世帯単位で端末各種。

端末の世帯保有率推移

上から行きましょう。

オレンジのモバイル全体はケータイ全体を指しており、モバイルPCとか何とかウォッチは含まれない。平成14年から9割を維持し続け、西暦に直すと2002年なので2千年問題の2年後。確かガラケーは既にデジタル、ドコモならmovaの頃。

青の固定電話が平成22年、2010年を境界に下がり続けている原因はスマホの登場と見事に重なる。固定電話が不要でもADSLや光回線が必要な家は多いので思い切り下がる事は無し。

緑のパソコンも2002年頃までは急上昇しており、その後少しずつシェアを伸ばしている辺りはPC単価の下落が要因だと思う。SOTECが国内で10万円を切る激安PCを売り始めた時期が1999年から。

また、固定電話とセットで2010年から保有率下がり始めているので、スマホとタブレットが全くの無関係では無し。2013年のPC率上昇が不自然な気もするけれど、当時はまだ1ドル100円切れていたのでPC安かった為かと。

ところでタブレットとスマホの伸びが停滞し始めて来たように見えるけれど、これは世帯単位なのでそうなるのだろうと思う。

現在日本の1世帯あたり平均は2.6人なので3人とすると、A家の主婦がLINE用にスマホを購入し、次に亭主や子どもがスマホを購入してもA家の世帯保有率は最初と変わらない、上がらない。

個人より高めに出ている理由も同じで、世帯の誰か1人でも、一家に1台でもあれば保有になるので、個人のタブレット2割少々が世帯では3割超えたり、PCスマホ率6割弱が7割超えるという自然な結果。

気にならない数値としては、ネット接続可能なゲーム機、音楽プレイヤーの低下。ゲームも音楽もスマホでやる世帯が増えた事を意味しているのだと思う。

FAXも全盛期と比較すると減りまくりですな。パソコンでファイル添付、紙では無くネットで予約や発注、それ以外には固定電話が減ったのだからFAXも減るは必然。

法律でFAX禁止にしてくれないだろうか。<紙嫌い、仕方なく利用中

3.ネット用回線は固定電話の光回線が6割

自宅、なのでこれは自動的に世帯ですな。

回線の種類

全然関係ないしどうでも良いけれど、私は10代の頃から自分専用の固定電話回線を持っていたので1世帯に2回線。仕事していたのでは無く、インターネットの前身ともいえるパソコン通信用。お年玉貯めて10万円くらい払った記憶あり。

話を戻し、1つ前のグラフの固定電話保有率約7割に対し光回線は6割らしいので8~9割の固定電話がFTTHか。

合計すると100%をぶっちぎっているわけは複数回答だからであり、この「携帯電話回線」とは世帯の誰か1人でもスマホ持っているなら利用していると答えるのだろうか。スマホ保有約7割に対して6割、少ないのはなぜなのか。

絶滅危惧種はDSLと思いきや増えている件。意味が解らない。ケーブルテレビはテレビ保有率が下がっているのか、アンテナからケーブルはあるとしても、ケーブルからアンテナは無いと思うのだけれども。まあ、ブレでしょう。

不思議なものは、ISDNはまだ解るとしてもダイヤルアップでネット接続とか一体どのような端末を利用しているのか気になる。今時モジュラージャック式の端子が付いているパソコンは無いはず。ちなみにISDNはLAN(RJ-45)と同じ。

ISDNは2020年に終わる予定。後ろ倒しの予定もあるらしいけれど、とっととDSLか光にするか、固定回線やめるつもりで検討した方がよろしそう。

4.SNSやLINEが普及しても根強い電子メール利用率

これは回答内容の項目からして個人でしょうな。有効回答数17,040世帯なのでサンプル数からしても個人のはず。

ネットの利用目的

なぜか5ポイント以上も増えている電子メールの利用率が最多。

てっきりSNSで連絡すれば良いとしてメールは廃れて行くのだろうと思っていたので利用率上昇は意外だと思った。

2つ目のホームページ~と最下段のeラーニングは今回から付け足したらしいので前年の数値は無し。

SNSの利用率は51.0%と低めに見えるものの、SNSを使いまくっているのは比較的若い世代であり、例として比較的若くはない私は利用していない、と言いたいけれどLINEがSNSなら利用しております。

唯一、激増しているサービスは次の無料通話やボイスチャットで、33.3%が49.2%へ上昇、割合としてはSNS利用率と同じくらいという結果に。本当かよ。

その次は割と曖昧、動画投稿・共有なので総務省はおそらくYouTubeやニコ動などを指しているのだろうけれども、SNSであるInstagramでも60秒までの動画は投稿し共有が可能。

もっと言えば画像や動画の投稿がメインのインスタ以外にも、TwitterやLINEでも動画の投稿・共有は可能なのでSNSとかぶってしまう。ここはぜひ「YouTubeなど」として欲しいけれど具体的なサービス名は出さないでしょうな。

その2つ下は「オンライン」ゲームなのでオンゲでは無いローカルのゲームは含まれず。これも無理やりオンゲのみにしない方が良いと思う理由は、ユーザは本当にオンラインかオフラインか判断付いているのか怪しいところ。

例として私が1年くらいプレイしているクラッシュオブクランはチャットあり対戦あり、全部オンラインなので明らかだけれども、アップデート時と広告配信用のオンラインならばオンゲでは無し。

メール以外の利用率高いサービスは、地図・交通情報、天気予報、ニュースサイトの利用で6割前後。スマホを持つ最大の恩恵は地図と思っており、ネット+GPS+地図アプリ、この組合せ前提で考えたジョブズ氏は天才すぎる。まさかカーナビを持ち歩ける、ケータイがカーナビにもなる時代が来るとは。

ちなみに私の環境ではiPodにGPS付いていないので自分がどこに居るのか判らなくなり、知らない土地では地図アプリは割と使い物にならない。

5.テレワーク導入で労働生産性が1.6倍になるらしい

ラストは世帯や個人では無く企業。

企業のICT

テレワークとは場所を選ばず働く形態の事。ノマドワーカーの組織版のような感じで、完全に出社しないのでは無く出社しなくても働いておけばOKな夢のようなスタイル。

図の数値のおかしなところは、1.6倍も生産性が上がるのならば可能な限り様々な企業が導入するはずのところ、別のグラフによるとテレワーク導入済の割合は13.3%と分母が小さく、導入予定ありを入れても2割満たない。

なぜ1.6倍もの差が付いているかはタイトルの下を読むと判る。導入する前と後で1.6倍と思ったなら大間違い。

ICTを利活用している企業の「方が」、なので、テレワーク導入企業のビフォーアフターでは無く、導入していない企業と比較して1.6倍の生産性と言っているわけですな。

計算方法は下に書かれており、労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)/従業員数。デカい会社ほどスコアが高く出て小さいなら逆になる、中小企業がテレワークとか導入出来ないだろうトラップ。

だいたい日本は終身雇用のイスに座っていれば月給貰える、誰かの監視下で働き、皆一緒に朝礼とかしてしまう民族なのでテレワークという形が国内企業には向いていなさそう。

朝礼だけならまだしも、社訓とか社歌とかやらかしてしまうような気持ち悪い会社にはテレワークなぞ夢のまた夢。

どうしてもテレワークしたいなら外資系とか大企業、そういう仕組がすでにある、実力成果主義の会社へ入るべき。ちなみに私が居る職場では朝礼などございません。大企業では無い上にバリバリの国産。

以上、総務省による大規模な調査とはいえども、回収率が低く、結構アテにならないデータもあるという話のような気がする。

 

タブレットとスマホ保有率のシェア天井は近い?

世帯の方、スマホはここから微増になると予想。

端末の世帯保有率推移

タブレットは確か私の皮算用では40%台前半が天井と書いたと思うので、やはりここから微増が続きそうな予感。タブレット必要な人には行き渡った、むしろスマホの巨大化でタブ要らなくなる人が増えそう。

そうなるとどうなるかは、スマホやタブレットがあればネットはパソコンでやる必要性を感じない人の増加も減速するので、PCや固定電話の保有率の減少もゆるやかになる可能性。

先日聞いた話、職場の上司(多分40代)がLINEを使いたいというのでスマホへ設定し、パソコン版の入れ方を説明したところ、しばらくして高校生の娘さんとの距離が超近くなったとの朗報にて回らない寿司の報酬があった。

私は職場や友人との連絡用として仕方なく入れたのだけれども、そういう年頃の難しい子どもとの距離を縮めるにはLINE役に立つと思うので、40代以上もスマホへ乗り換えお勧め。

但しLINEのみ。その子のTwitterとかFacebookを探してはいけない。

50代以上なら孫写真とか送ってくれる可能性。LINEでスマホの写真や動画送るのは超簡単なので食わず嫌いせずスマホ使ってみましょう。

コメント(3)

>食わず嫌いせずスマホ使ってみましょう。

会社が貸与ガラケーを全台スマホに換えようとしている。60台以上。
嫌な予感しかしない。

>食わず嫌いせずスマホ使ってみましょう
ガラケーですら切れ切れな田舎のインフラ舐め過ぎだろJK
デフォルトで物理的に通信制限されてるようなものなのに、それでフルで使い倒せる都市部と同じ定額払うのは不公平に感じて嫌なのはおかしくはなかろう

>27年度1~2月に対して28年度は11~12月
適当に比べると以下。

19年度:1月~1月、6,256世帯中3,640世帯(58.2%)、2,850企業中2,158企業(75.7%)
20年度:1月~1月、6,256世帯中4,515世帯(72.2%)、2,870企業中2,012企業(70.1%)
21年度:1月~1月、6,256世帯中4,547世帯(72.7%)、2,870企業中1,834企業(63.9%)
22年度:1月~1月、44,720世帯中22,271世帯(49.8%)、4,763企業中2,119企業(44.5%)
23年度:1月~2月、40,042世帯中16,580世帯(41.3%)、4,602企業中1,905企業(41.4%)
24年度:1月~3月、39,912世帯中20,418世帯(51.2%)、4,497企業中2,086企業(46.4%)
25年度:1月~3月、36,727世帯中15,599世帯(42.5%)、3,934企業中2,216企業(56.3%)
26年度:1月~2月、38,316世帯中16,529世帯(43.1%)、3,629企業中2,136企業(58.9%)
27年度:1月~2月、39,428世帯中14,765世帯(37.4%)、3,464企業中1,845企業(53.3%)
28年度:11~12月、38,565世帯中17,040世帯(44.2%)、4,133企業中2,032企業(49.2%)

22年度の調査で一気に数を増やし、思ったより回収率が低かったため調査期間を1ヶ月だけ伸ばし、それでも上がらなかったから更に1ヶ月を追加。2年目からは3ヶ月間でも下がったため試験的に2ヶ月間に戻すと、2年目で40%を割る。これはマズいと今回は調査時期と調査方法を変えた、という流れでしょうか。

>どこらへんで最近の若者がパソコン離れしているのか
若者(小学生)ならあり得るやも。

>中高生でさえ57.4%という高さ
中学生時代はまだWindows95が現役でした。自分用のPCはおろか、家にPCがある人など見たことが無いレベル。家庭用ゲーム機の所有率で経済格差が見えるくらいの時代。それから考えると50%超えとは良い時代。

>タブレットとスマホの伸びが停滞し始めて来たように見える
私のまわりでは「初めてタブレットを買う方」はほとんど見なくなりました。欲しい方はすでに持っていて、新型へ買い替える方ばかり。ちなみに8割以上がiPad。私はAndroid派。最近はWindowsタブレットも面白そう、と思えるくらい。

>ネット用回線
僻地にある弊社のとある工場、ついに光回線業者が撤退を決定したため、とある回線会社と新規契約し、敷地内に基地局を建てた模様。

>激増しているサービスは次の無料通話やボイスチャット
無料通話なら格安SIMとの組み合わせでしょうか。ボイスチャットは会社でのオンライン会議ならともかく、個人で利用している方はちょっと思い浮かばず。リアルタイムの動画配信で利用する配信者はいますけれど、激増するほど大人気ではないでしょうし。謎です。


>私の環境ではiPodにGPS付いていないので自分がどこに居るのか判らなくなり
GPSユニットの出番です。GPS内蔵の中古スマホを買った方が良いレベルですが。

ケータイ Watch - iPod touchでも正確にナビできちゃうGPSレシーバー「XGPS150」
http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/todays_goods/656816.html

>テレワーク
知り合いのソフトウェア会社はいくつかこの形態でした。進捗やスケジュール管理はオンラインサービスを利用。ちなみに会社で導入するサービスとして考えると、個人利用に特化しているGoogleのサービスは使い勝手が良くないそうで。

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