私は常々壊れにくいパソコンを紹介しています。
お気付きでは無いかも知れませんが、故障しにくいパソコンの条件として重要なことはクリーニングです。皆さんパーツやメーカーが悪いと思われがちですが、もちろん品質問題はあるとしても、パソコンは家電ではありません。自分で短期間かつ定期的なメンテナンスが必要です。
テレビや冷蔵庫のケースを開けてメンテナンスするわけは無く、空気清浄機やエアコンのように手前に引けば開くフタなど無く、フィルタが付いているものでもありません。
BTOに限らずパソコンメーカーは分解されたくないのか、この辺りをマニュアルの最後に1ページだけ書いて済ませたり、ケースの開け方さえ説明しないメーカーがほとんどです。
DELLは、ケースの開け方どころか全てバラせる分解マニュアルがダウンロードできます。言ってしまえば、DELLの場合は作る(正確には作ってさえいない)けれど、修理は外注だからという理由からでしょう。
製品マニュアル
http://supportapj.dell.com/support/topics/topic.aspx/jp/shared/support/my_systems_info/jp/manuals?c=jp&l=ja&s=gen
では、クリーニングしないパソコンがどうなるのか。
衝撃的な映像が2枚有るので、特に食事中や前の方は後にされた方がよろしいかと。
私が見た中でも5位以内に入りそうな、かなり良い(悪い)状態です。
ホコリで回らないファン、CPUの爆熱で電源が落ちる
Socket475の少々旧型のデスクトップ。
CPUは爆熱Pentium4、プレスコットでした。
記事をスクロールさせたいのでもう少し書きますが、パワーのあるCPUは発熱が高く、リテールや安物のノーブランドのバルクなどでは回転数が大きくなり、ヒートシンクのフィン(複数の金属板が並んだ部分)もメンテし難くなっていることが多く、ホコリが詰まり易いと言えます。
初心者の方ならば、Pentium4、Pentium D、Core2、Core i7、のロゴシールが貼ってあれば性能が高い、イコール、ファンの回転は多いと考えて良いです。Celeronなども安い、イコールそれなりのパーツとも考えられるため安心はできません。
このPCは、メモリを交換された約1年前からケースを開けたことが無いそうで、喫煙はしていないとのこと。それでもこの状態です。
メモリはHynix、マザーボードは色からASUSと思われます。良い構成。
CPUは先に書いた通り、Pentium4でファンはどう見てもリテール。
フラットケーブルのまとめ方がお手本のようで、電源ケーブルもきれいに束ねられていますがファンに触れそうです。このPCを組み立てた人は相当の手練れでしょう。(工場のラインで手順通りに組み立てているパートのおばちゃんかも知れませんが)
左に何やら灰色のファーを装備した何かが見えます。CPUファンなのですが、全くと言って良いほどファンの意味がありません。これは吸気なので、外から内(CPU)へ風を送っているはず。
見たことが無い人には正常な状態が分からないと思うので、クリーニング後の状態。こうなります。
本来の役割を果たす場所が、隙間の沢山ある銀色の金属部分。
ここに風を送り込んで、ヒートシンクを冷やし、CPUから伝わった熱を冷まします。
風が送れないのだから、冷えないのは当然。
電源ボタンを押し、起動して1分程度で強制的に電源が切れ、再度電源を入れるも10~20秒程度でシャットダウン。これを繰り返していたようですが、この状態でCPUの温度は80度を超えています。
ほとんどの場合マザーボードがCPUの温度を測っているのですが、危険な温度になると自動的に電源を切るという設定がされており、デフォルト(標準)では80~90度周辺になっています。
CPUの発熱がひどくなると、写真では左に並んでいるコンデンサや、その他チップが過度に加熱され、マザーボードの温度も高い状態が続き、故障の原因となります。
細かいところでは、熱風を電源が吸い込むことにもなり、ケース内全体が非常にマズイ状態になるわけです。やや大袈裟に書きますが、クリーニングを重視して欲しいためです。
積もるホコリがショートを引き起こす危険なPCI
同じPCの内部で、PCIスロットの映像です。
見事に埃が積もっています。
マザーボードはおそらくMSI、ATIのマークが見えるのでAMDですね。
私は個人的に大嫌いな構成です。それは良いとして。
ここにホコリが積もっても、何も影響が無いと思われそうですが、冬場は静電気を通し易くなり、夏は湿気が多いため、それを吸ってショートする環境が出来上がっています。
もちろん水拭きなどではなく、エアダスターで吹き飛ばします。
基板だけならば、中性洗剤でジャブジャブ洗って乾燥させるという荒技も有りますが、色んな物が載っているのでやめておきましょう。ファンなんかグリスが取れることを考えると最悪です。
素人がファンを無理矢理付けるとこうなる
このファンはLGA775、今売っているインテルCPUのデスクトップはほとんどがこれです。Core i7やAtomは除きます。脚の先の足が折れていることが判るでしょうか。
左奥が正常で、手前の2本は完全に折れています。
買い替えるか、壊れた同サイズのファンから脚を取るしかありません。
誤った取り付け方が原因で、外せても取り付けられない理由です。
強引に上から押しつけるとこうなります。
これは、CPUファンを外す際に、マザーボードまでは外す必要が無いため、マザーの裏側がどうなっているのか見ずに外せてしまうことが問題と思います。どのようにして取り付けられているのか知らずに外すとこうなる、という例です。
通常のクリーニングならばCPUファンまで外す必要はありませんが、湿気や喫煙などで目詰まりを起こすと裏側からエアーを入れたり、綿棒などで羽の隙間からアルコールなどで拭き取ることになります。
2枚目の写真を良く見ると、まだヒートシンクの隙間が多少汚れています。そこまで気にする必要は無いかも知れませんが、余分な物を取っておくに越したことはありません。
こうなる前にクリーニングすれば簡単にホコリは吹き飛ばせます。
ケースの開け方さえ解らないならば、遠慮無くメーカーへ問い合わせを。
「分解は保証対象外」など言われたら、この記事を見せてやりましょう。
今回はデスクトップの話でしたが、ノートはホコリは溜まりにくいものの、内部が狭いため少量でも溜まると放熱不良(冷却不足)でファンの音が大きくなります。
ノートの分解は難易度が高くなるため、CPU(排熱口)の真上に普通のビス付きのフタが無ければ、故障する前にやはりメーカーへクリーニングの相談をしてください。
ノートの場合は、HDDやキーボードを外してボトムケースも分解し、ケーブルなどを抜かなければ辿り着けないこともあります。特にB5やミニノートなどの小さいものは素人には無理です。元に戻せなくなると考えて無理はしないように。
以上、パソコンが故障する確率を低くする話でした。
記事ありがとうございます。
素人が家庭でできる範囲は、やはり表面からエアーダスターでほこりで埃を吹き飛ばしたり、綿棒で拭き取るくらいなんですね。
私の技量でCPUクーラーをはずすのは、難しそうです( ´Д`)。
修理のPCって掃除が一仕事ですよね(^^;
すごいのちょくちょく見かけますから・・・・
たまにはダスターで吹いて欲しいですね~
そういえば、修理品のPCの中から、ホコリと一緒に封筒に入ったヘソクリが出てきたことがあります。
もちろん、ちゃんと返しましたよ(^^;
ケースの開け方を知らない人が結構多いようです。
マニュアルに無かったり、電話で説明しても判らないなど・・・・
ケースを開けると言えば、私の中ではDELLが印象に深いです。
ケースだけでなく、CPUから何から何まで、ネジ1本外す必要の無かったOptiplexには驚きました。コストダウンと賃率を考えているのでしょう。但し、プラスチックばかりなので結構折れやすいというオチ付きです。
今使われているPCならばLGA775がほとんどなので、外す時は足にマイナスをあて押し回す(時計回り)、そして足下のみを引き抜く、これを4箇所やればOKです。取り付けは、回した足を反時計回りに戻しておき、カチっと音がするまで押し込む、これを4箇所やるだけです。
Core-i7も同じなので、普通のCPUファンならばこのコツを覚えればメンテできます。
失敗して壊してパーツを単品買いし、自作の道へ行くのも一興かと。
私はこのパターンでした。(その直後に修理現場へ入り、色々知りました)