SSHD(ハイブリッドハードディスク)について。
パソコンでは5~6年前のNECや富士通クラスなメーカーで一部採用された程度、同じくらいの時期に自作PCでも3.5インチHDDで遊ぶ人が居た気がするけれど、今でもPS4で換装する人が居るのだとか。
それ無意味に近いので詳しくない人へ解説。
SSHDとは?なぜPS4に搭載する人が多い?
SSHDとは?Wikipediaが詳しい。
ハイブリッドHDD(ハイブリッドハードディスクドライブ、Hybrid HDD)は、ハードディスクドライブ(以下HDD)にフラッシュメモリをキャッシュメモリとして搭載した記憶装置である。SSHD(Solid State Hybrid Drive)とも表記される。
source:ハイブリッドHDD - Wikipedia
詳しすぎて専門知識前提のような文章はWikipediaあるあるなので意訳すると、大容量HDDに容量の小さなSSDもどきをくっつけたようなハイブリッドなストレージ(記録用ドライブ)のこと。
小容量ながら高速なSSDもどきにキャッシュ(一時記憶)し、橋渡し的に低速なHDDとの読み書きを行うため、大容量かつ高速でSSDより安いストレージになる、な位置づけがSSHD。
Wikipediaによると2007年頃から存在していたらしく、第2世代は2010年頃からとのことなので、私の記憶にある方&ある程度は採用された方は第2世代にあたるのかと。
なぜPS4(PlayStation 4、ソニー製の家庭用ゲーム機)のHDDをSSHDへ換装するのかは、速度が上がると思い込まれているためでしょう。実際、上がるSSHDも過去あったけれど、現代では期待できないという話を次で書くとして、PS4とProの仕様を調べて来た。
- PS4はSATA2、標準でHDD 500GB~1TB搭載
- PS4 ProはSATA3、標準1TB HDD搭載
- 共通して9.5mm厚の2.5インチ
私はPC詳しくともPS4に関しては全くの無知なので、PS4無印とProとの違いを知らないのだけれども、上記を見る限りでパソコン詳しい人に言わせると、HDDなら無印もProも速度は同じ、Proは今時のSSDへ換装すると無印の速度(SATA2=最大300MB/s)を超える(SATA3=最大600MB/s)だろう。ボトルネックはHDDがまだ300MB/sも出ないためで、出て200少々。
但し、私に言わせる、かつSATA2と3の違いを語らせると、SSDほどの高速なストレージならSATA2も3も体感ではそう変わらない。なぜならSATA接続のSSDはランダムアクセスが300MB/s超えないから、になる。
PS4のHDD換装は簡単らしく、HDD換装できるからとHDDに詳しいとは限らない。ちなみに当サイト副管はプログラミング言語だいたい何でも書けるけれど、メモリのDDR3と4の違いさえ知らない、そんな感じかと。
SSHDの本命は東芝「MQ01ABD100H」だけ
ソースは価格コムのレビューより。検索条件のスペック欄にあるハイブリッドHDDにチェックを入れると5機種出た。
価格.com - ハードディスク・HDD(2.5インチ) スペック検索
http://kakaku.com/specsearch/0536/
検索して来られる人用にアンカー打っておきましょうか。このページを上から読んでいるならリンク押さなくてOK。
- Seagate ST1000LM014
- Seagate ST2000LX001
- Western Digital WD1001X06XDTL
- 東芝 MQ01ABD100H
- Seagate ST500LM000
- HDDとSSHDの価格差が微妙
- PS4爆速化SSDの選び方
Seagate ST1000LM014
まずはSeagateの1TB SSHDのベンチマーク結果から。
見方は、Seqの付く行が連続読み書き速度、4Kの付く行がランダムアクセス(以下、ランダム)で、数値の大きい方が高速。Seqとランダムは別モノなので、そこで相対的に比較するものではございません。
上の数値は一般的なHDDとほぼ同じ、しかしランダムWrite(書込)の5MB/sは結構速い方で、HDDの5~10倍くらい。
但し数値に惑わされてはいけない。パソコンならまだしも、ゲーム機で書き込む動作はセーブくらいのものでしょう。しかもセーブデータはランダムアクセスではないとするならランダム速くても意味が無い。
以上のことから体感でのST1000LM014はHDDと同等と言える。
Seagate ST2000LX001
次は同じくSeagateで2TBモデル。ベンチマークソフトのバージョンの違いで項目が変化しているだけで、Seqと4K(ランダム)の違い、と認識を。
こちらは全体的に一般的な2.5インチHDDと同じで、ランダムがわずかに速め、Seqは2.5インチHDD並。今「速め」と書いたけれど体感不能なレベル。
容量が2TBと大きい、しかもSSHDという理由でPS4換装目当ての人が多いのか、こんなものが2.5インチHDDの売れ筋ランキング2位となっておりました。
ST2000LX001も普通のHDDと同等の性能。
Western Digital WD1001X06XDTL
またもやベンチマークソフトのバージョンが違うので512Kはスルーで。
これはガチなSSD。国内代理店の説明によると、SSHDではなくSSD+HDDという特殊な製品であり、このベンチマーク結果はSSD部分のみで計測されたものであり、SSD+HDDになると低速化するはず。
そして、SSD+HDDとして使うにはインストールが必要となるため、PS4では使えない(はず)。特殊な改造をすれば使えるのかも知れないけれど、おそらくPS4の保証や修理がムリなレベルになると推測。
おそらくSSHDよりは比較的高速、今時なSSDほど速くはないのは確か。だいたいWD1001X06XDTLに2.2万出して1TBのこれ買うくらいなら普通に1TBのSSDが買えるため過去の遺物。
東芝 MQ01ABD100H
PS4のSSHDへの換装が普及した原因はこれの影響か?と感じたモノが東芝のSSHD、MQ01ABD100Hという機種。
確かにランダムがやや速い。SSDほどではないとしても、通常HDDはランダムが1行かないくらい、2.5インチならまず行かないので6~30倍とも言えそう。Seqは普通の2.5インチHDD並。
但し、上の一覧表に無かった通り、このMQ01ABD100Hは終息(製造終了)しており、ヤフオク見ると中古で2万とか新品10万とかで出ており笑えない状況。
そこまでしてこんな中途半端な速度の1TB SSHDを買うくらいなら、先ほど書いた通り、2万出せば1TBのSSDが新品で手に入る。
ここまでのベンチスコアからの結論。
- 東芝のSSHDは確かに速いが中途半端かつ終息
- Seagateは軒並みHDD並の速度なので無意味
- WDはSSHDではなくSSD+HDDでPS4不可
Seagate製SSHDとSSD速度の比較と解説
Seagate ST500LM000と同等と思われるST500UM000が私の所有している2in1ノートに搭載されているので実測した結果が以下。総容量は500GB、CとDで各250(222)GBで領域が分割されている仕様のCドライブで計測。
全くもってHDD並。本当にSSHDなのか疑えるレベル。SeagateによるSSHD詐欺と言えども過言ないほど遅い。
というわけで見せて差し上げましょう、本物のSSDの性能とやらを。
私が今この記事を書いているメインPCのSSD、2.5インチのSATA3接続なのでPS4 Proと同じ接続方式。
パソコン用はこれよりもっと高速なSSD(PCIe接続)もあり、Seqが3千超えていたりするけれど、結局のところ体感はランダムの影響が大きいため、体感での差はわからないと言われるのがこのくらいの速さから。
ちなみに私はSATA2と3の速度差さえ体感でわからなかったので、SATA3 SSD換装目当てでPS4 Proを選ぶ意味は皆無。
ランダムはHDDやSSHD(東芝のやつ除く)で30~300倍、Seqは5倍くらい。SSDと比較するとハイブリッドなSSHDであろうとHDDはザコすぎる。
HDDとSSHDの価格差が微妙
価格も調べて来たのでついでに。価格コム売れ筋ランキング1ページ内に掲載されていた製品、メーカー不問、だいたいSeagate、値段はおおよそ。
左がSSHD、右が普通のHDD。
- 500GB・・・6千円:4千円
- 1TB・・・7千円:5千円
- 2TB・・・1万円:8千円
いずれもだいたい2千円差。
この2千円で「速くなった(気がする)」とか、「SSHDに載せ替えた俺TUEE」と思いたい、実より名を取るスタイルならSSHDをどうぞ。
個人的にはSeagateしかない時点でアウト、それ以前に絶対SSHDなぞ選ばない、2千円捨てるようなものと判断する。
PS4爆速化SSDの選び方
換装するならSSHDではなくSSDの方。考え方を参考まで。
- 時代はTLCからQLCとなりMLC/TLC時代より更に安くなって行く
- 現在TLCは1TBが2万円前後、QLCは500GBが1万円前後
- SSDの書込寿命を伸ばすなら空き容量が必要
- 大容量なほど高速になるが体感不能
- 7mm厚ならスペーサーを
SSDは、SLC>MCL>TLC>QLCの順で左ほど耐久性あるものの、TLCでも問題ないようなのか今年(2018年)からインテルがQLC化し、crucialやMicronなども続いております。保証期間5年とかあるので詳細は型番検索を。
空き容量については、PS4のOS(システム?)が約100GB確保するらしいため引き算すべし。寿命用空き容量のこれといった目安は無いけれど、1TB中970GB使用中のような無茶振りは避けたい。
スペーサーとは名前の通り隙間をどうにかする部品で、PS4は9.5mm厚なので、7mmぶち込んでグラグラするなら「2.5インチ スペーサー」とかで検索を。7mmならSSDに付属している場合もございます。
SSDは現在値下がり真っ最中なため、予算1万円なら500GBにしておき、しばらく待ちおかわりするか、2万円出せるなら素直に1TBをおすすめ。
最大限に注意することは、あまりにも激安なSSDは廃棄や偽装チップ搭載の中華製品もあるため、価格コムのランキング上位ならば、接頭にkingの付くメーカー、Colorfulというメーカーは、いくら安くても避けた方がよろしいかと。
最初は速くても低速化したり、30時間で壊れたり、元から遅いなど色々問題が出ております。興味があればこちらの記事もどうぞ。
以上、PS4の話は終わり。SSHDについて、PC系の話ながらもう少し読むならラストまでお付き合いあれ。
さらばSSHD、もはや絶滅危惧種な2018年秋
2.5インチは実質4機種、3.5インチは2機種まで減っており、全部Seagate製品という罠感しかない状況。
しかもSSHDとしての機能を果たせていないようで、私も自分の2in1ノートで実測して「ここまで遅かったのか」と驚いた。このノートが6年モノなのでヘタっている可能性はあるけれど、それにしても遅い。
なぜSSHDが絶滅するかは2つ理由があり、1つはまともなSSHDを製造すると対容量的なコスパが悪くなる割にたいして速くならない。もう1つはSSDの低価格化により中途半端なSSHDというモノの存在意義が薄れたのでしょう。
さらばSSHD。
そして私のノートは、そこら辺にすっ転がっているSSDへ換装しようと胸に誓ったのである。面倒なのでやらない可能性もある。
何が面倒かは、交換作業以外にWindows 10の富士通なOEM版なため、パーツ交換するとライセンス認証通らなくなるかも知れない。※Windows 10からはマザーボード以外もマイクロソフトに見られております。
HDDをキャッシュで高速化とは、メインメモリの一部を仮想ドライブ領域として確保する、懐かしのRAMディスクを思い出しますね。マッハドライブとかRAMファントムとか。
BTOパソコン.jp |IODATAが放置するRamPhantom不具合の動画
https://bto-pc.jp/repair/iodata-ram-phantom-ex.html
SSDよりメインメモリをキャッシュにした方が、安いし速いし大容量なのではと思わないことも無いです。
>PS4無印とProとの違い
私も知りませんがざっと調べたら、SATA以外ですと
・無印よりProの方がCPUのクロックが高い
・無印よりProの方がGPU性能が高い(浮動小数点演算で言うと2倍以上)
・無印よりProの方がメモリの帯域幅が広い
・無印よりProの方が二次メモリの容量が大きい
・無印はフルHDまで、Proは4KもOK
・無印の無線は11nまで、Proは11acまで
・無印はBluetooth2.1まで、Proは4.0まで
・無印はHDMI 1.4aまで、Proは2.0bまで
以上が割と大きめな違い。実ゲームでどれだけ効力を発揮するのか知りませんが、GPU性能のアップは嬉しいのやも。
>東芝のSSHD、MQ01ABD100Hという機種
これデータ容量1GBで計測していますけれど、実際のゲームでそこまで大量のデータを読み書きする機会は無いでしょうから、せめて100MBくらいまで落とした方が全力を発揮できたやも。
>私が今この記事を書いているメインPCのSSD
5~6年前から使用している私のSSDは以下なスピード。時代遅れのSSDですが速度に不満は感じず。
https://i.imgur.com/LNxGlX7.jpg
Intel|製品の仕様情報 SSD 520 Series (120GB, 2.5in SATA 6Gb/s, 25nm, MLC)
https://ark.intel.com/ja/products/66248/Intel-SSD-520-Series-120GB-2-5in-SATA-6Gb-s-25nm-MLC-
>パーツ交換するとライセンス認証通らなくなるかも知れない
ライセンス上どうなのか知りませんが、私の場合は「Windows10 ProのディスクでOSをインストール」→「使用していなかったWindows7 Homeのシリアルコードでライセンス認証」→「認証が通ってWindows 10 Homeが使用可能に」でサブのノートPCを使用していますね。