ノートPC用の冷却台について。
この時期になると、夏を控えノート用クーラーの新製品やレビューが比較的多くばら撒かれており、何と無く購入してしまう人も居られるかと。私は否定的に見ており、今年も疑いたいので一本。
価格コムなどのレビューから。
ノート用クーラーは効果有りおすすめなのか?
価格コムのノートパソコン用クーラー1位「N1」
ランキングが有ったので5位まで。2015年7月現在。
source:価格.com - ノートパソコン用クーラー 人気売れ筋ランキング
レビューの有無がまばらなのは需要が低いのか。
1位はDEEPCOOLのN1ブラック。リンクはレビューへ。
source:価格.com - DEEPCOOL N1 [black] レビュー
CPUの温度に関して具体的に触れている人は32人中5人くらい。
- 65~70度だったのが、55~60度に
- 2~3度低下(おそらくアイドル時)
- 1~2度低下
10度も下がっている人のレビューには、こうも書かれております。
ノートパソコンの下に隙間が出来たことと、このクーラーの性能の両方が影響しているとは思われますが、
隙間が出来たからでは。
訳が解らないレビューがこちら。
裏面にファンの吸い込み口があるので、吸出しのタイプはCPU温度が上がるのかと思いきや、逆にこちらのほうも温度が下がった。(アイドル時で、45℃前後、高負荷時55~59℃)
ファンを止めると、高負荷時で70℃前後。
ノートPCの底面は吸気、このクーラー台も実は吸気。扇風機を背中合わせにしている状態で一体何が起こっているのか、カオス過ぎて文系な私には意味不明。高負荷時に15度も下がるとか凄過ぎる。
ラストは3パターン取られており。
- N1なし N1あり
- 44℃~51℃ 42℃~48℃
- 66℃~74℃ 62℃~71℃
- 78℃~86℃ 72℃~81℃
2~5度くらい変わるとの事。
CPUよりHDDの温度が下がったというレビューが少し多い気がする上、SSDの温度が1度下がったという、これまた理解に苦しむ評価も。偶然とか誤差などと言うものでは。
Amazonのベストセラー1位「Electric Department」
Amazonの1位はこれ。
source:Amazon.co.jp: 【Electric Department】ノートパソコン用 5ファン クーラー
有用性の高いレビュー順とし、上から適当に見て行き、プレステ4とかパソコンと関係無かったり青色LEDが消せないという、違う着眼点の感想は別として、
とにかくよく冷える
私はDELLの15.4インチワイドのPCを使用していますが、(中略)、それでも動画を長時間見ているとオーバーヒートでPCが落ちていました。
それは故障とか欠陥、ファンの掃除をしていないのだと思う。普通に使用してシャットダウンするまでCPUの温度が上がるパソコンが正常とは言えない。
有用性の高さ上位15件を見るも誰もCPU温度を書いておらず効果不明。有ったとしてもまともなレビューの可能性が低いと予想しており、9ページもおかわりして見る気にはなれない。
coneco.netの最新レビューより
こちらも一応ランキングがございます。
source:ノートパソコン用クーラー 人気商品ランキング | コネコネット
しかし、1位の製品はレビュー無し。どうしようも無いので、ノート用クーラー台の中で最新のレビューより。
当方はRobocraftという無料のパソコンゲームをやっているが、(中略) 熱くなるだけならまだいいが、熱暴走による強制シャットダウンもあり、初めの頃は扇風機を排気口に当ててその場をしのいでいたが、
だからそれはノートPC側がおかしいわけで、クーラー台に載せて使う前に掃除するか修理へ出した方が良いと思う。
PC Watchのクーラー比較の検証記事を検証
さて、本題になれそうな検証がPC Watchで上がっております。
ノートPCを涼しく使うベストなファン付き冷却台、5機種比較-PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/20150711_711014.html
使用されているノートはマウスのこれ。
高額ながらエントリーモデルと有るように、これでもゲーム用ノートPCとしては上の中~下辺り。特徴はCPUが高性能な以外にビデオカードを搭載しており、ノートながら解像度はフルHD。
温度の違いを引用。
そして大型の140mm角ファンを2基搭載する「SX-CL23LBK」では、ノートPCクーラーを利用しない時と比べて、ファン高回転時は13℃も低い結果になった。
56度が43度まで低下は凄い。
しかしグラフの3種類の温度差を良く見てみましょう。
- アイドル時(低負荷)・・・-2~-4度
- 動画再生(中負荷)・・・-9~-13度
- 3D Mark(高負荷)・・・0~-2度
アイドル時の温度が大差無い理由は元の温度が高くは無い為。低負荷時は最高40度となっており、もう少し上がっても問題無いわけで、ファンの制御を甘くしているとも考えられましょう。静音性を考えると当たり前とも。
3D Markによる高負荷時は、ファンがフル回転しているとするならノートPC本体が最高性能で冷却を行っており、台にファンが付いていてもほぼ意味無し状態。このノートPC側の冷却性能は優秀。
これらより、中負荷とした動画再生でなぜ温度が大きく下がったかは、ノートPC側の冷却が甘く設定されていると思われ、BIOS設定で変更可能ならば、50度超えのファン回転数を上げたなら13度もの差は出ないはず。
なぜ甘く設定しているかはアイドル時と同様、50度程度ならまだ大丈夫として、冷却より静音性を重視していると考えるが一般的。
この記事で決定的な箇所はここ。
なお、検証には外部GPUを装備していないCore i3-5010U搭載モデルの「LuvBook F LB-F521EN」も用意してテストを行なったが、高負荷時の温度はほとんど変化がなかった。そのため、計測データは掲載していない。
高負荷時が変わらないのはビデオカード搭載ノートも同じ。アイドル時や中負荷時に変化が有ったのなら掲載してもおかしくは無い。なぜ掲載しない(出来ない)かは、低~中負荷でも大差無かったと思われても仕方無し。
機種はこれ。
CPUはCore i3-5010U、2.1GHzのターボブースト無し。最大2コアのHT対応、そしてTDP10Wなので、ファンがまともに動いているなら外でファン回しても温度差が出るとは思えない。
- 安いノート・・・クーラー台は意味無し(と推測可能)
- ゲーム用・・・CPU温度40~50度超え時のファン回転数を上げろ
回転数上昇の仕切りを下げると静音性は低下。外でファン回すような人が静音性を気にするとは思えないので、外でノート底面から吸気とかしてオカルト的に温度が下がれども満足なのでしょうな。
底面吸気ならノートPCを浮かせてみよう(まとめ)
左は富士通のFMV、右はパソコン工房のレサンセのそれぞれ底と横。
いずれもノートPC本体の底面から吸気し、そのすぐ隣に有る側面からの排気となっており、底が何かにふさがれたり、排気面へ何かを密着させると温度は上昇して当然。
私はこれらを木製のデスク上で使用しており、その木の机での温度を0とした場合、座布団の上へ置き底面をふさいだ時と、木の机で底面を浮かせた時の温度差は以下の通り。
- FMV・・・+1度、0度
- レサンセ・・・+6度、-1度
室温18度ではいずれもファンが回らないのでYouTubeで動画を再生。
ふさぐといずれも1~6度上昇、浮かせるとレサンセはマイナス1度とやや低下。富士通側はファンの回転数が元から低いので効果がほぼ無かったけれど、浮かせるだけで少しは変わるという事。
高負荷になれば座布団側は更に温度差が出ると思われ、クーラー台を買う前に、吸気をさり気無くふさいでいないか、ノートの底面を浮かせてみないか、を考えてみましょう。
まともにファンが効いているなら浮かせても温度差は出ないはず。浮かせ効果が無いほどそのノートの冷却効果は充分とも。
もちろん側面吸気の側面(背面)排気など底面が関係無い場合は、浮かせようと下でファンを回そうと無意味なのでクーラー台など無駄。
冷却材を敷くという発想も数年前に流行ったけれど、ノートPCの底面にCPUやマザーが密着しているわけが無く、プラスチックケース冷やしても意味は皆無と思われ、内部が結露し故障する方が怖いのでやめておきましょう。
クーラー台や冷却材が効果的なら、デスクトップPCの右側板に保冷剤を貼り付けたり、左側板の隣で扇風機を吸気状態にする人が居てもおかしくないけれど、誰もそんな事はしておりません。
冷却性能が落ちたなら、普通の人はファンやヒートシンクを掃除する。
足を立ててキーボードを使っている方だと、ノートPCは基本的にキーボードが角度ゼロなため、クーラーパッドで傾斜を付けられて便利、という側面もありますね。
一部の方々に人気な冷却台だと、すのこタン。が挙げられるでしょうか。ファンは付いていませんし、冷却効果は微々たるものな様ですが。ちなみに「すのこタン」ではなく「すのこタン。」が正しい模様。モーニング娘。的な。
ASCII.jp:超満員! オリオスペックのすのこタン&紺子ちゃんイベント
http://ascii.jp/elem/000/001/020/1020484/
GIGAZINE:アルミ製冷却台「すのこタン。」購入、一体何度下がるのか実験してみた
http://gigazine.net/news/20070806_sunokotan/
すのこタン。アルミニウム冷却台 製品ラインアップ
http://www.sunokotan.com/item/lineup.html
>1位はDEEPCOOLのN1ブラック
ファンがやたら大きいですね。サイズは180mmだそうで、最大風量 81.56CFM、それでいて騒音値は 16~20dB(A)、はなかなか立派。
>Amazonのベストセラー1位「Electric Department」
Electric Department=電気の部門、電気の担当課、とかな意味だと思うのですが、なぜ冷却台にこの名を冠したのか。Deportment(振る舞い、態度)と間違った訳でも無さそうですし。
>PC Watchのクーラー比較の検証記事
3DMarkでCPU温度が80度未満は優秀。棒PCのm-Stickでは、モンハンベンチ実行時に温度は90度くらいまで上がり、動作周波数は400MHz以下まで下がるという面白さでしたよ。
ノートPCに限らずですが、PCを冷却したいならまず部屋の温度を下げる事が重要。PCは部屋の空気を吸排気している訳で、自分が暑いならPCはもっと熱いはず。
>PCを冷却したいならまず部屋の温度を下げる事
同意。それに加えて夏本番前のPC掃除が同率一位といったところでしょうか。ノートの場合は吸排気口を開けるのも有効なので下駄を履かせる意味でならPC台はありでしょうけど、レビューのコメント見る限りではやはり情弱向け商品なのかな。
>部屋の温度を下げる
確かに。完全に忘れておりました。
サーバールームやデータセンターのサーバーラックに刺さっている機器へ吸気ファンを取り付けて冷えるならファンまみれになっているだろうし、普通に考えて空調の設定温度を下げた方が良いわけで。
クーラー台で大きく温度変化するなら、それは部屋かノートPCのいずれかに問題が有るはず、と締め直し。
基本空冷なら
・吸気温度を下げる
・エアフローの改善
これはデスクトップもノートも一緒。
ノートで吸気が塞がれているならエアフローを確保してやればそれで良いかと。
ノートでもアルミ筐体で、その筐体自体がラジエターの役目をしているなら、筐体を冷やす意味はありますが、それ以外なら無意味。
どっちにしても一番良い方法はエアコンを効かす事だと思いますが。