サーマルシートなどのCPU冷却効果について。
グリスの比較に続き予告通りアスキーがシート、そして代用品としてマヨネーズやゼリーなどを使用しサーモグラフィで表面温度を測るという、エクストリームに馬鹿な実験をしているのでまとめ再び。
元ネタから参りましょう。
こちらの2記事。
ASCII.jp:グリスより冷えるのか? 熱伝導シートの性能をチェック! (1/3)
http://ascii.jp/elem/000/001/023/1023911/
ASCII.jp:キンカンやスティックのりが強い CPUグリスの代用品を探せ (1/4)
http://ascii.jp/elem/000/001/024/1024346/
シートは良いとしても、後者は「自転車のチェーンの油が切れたのでマヨネーズを塗ってみた」とかのレベルを試されており、いくら安いとは言え1.6万円もするCPUと1.2万のマザーボードに対して勇者過ぎる実験。
というわけで、タイトルのゼリーとは、シリコンゼリーやシルバーゼリーなどが存在するのでは無く、ガチで駄菓子の棒ゼリー。
前回のまとめを読んでいない自作しない人用に一応説明しておくと、CPUの上でファンが回っている間にはヒートシンクという放熱用の金属が載っており、CPUとヒートシンクを密着させ、冷却の為に熱伝導効率を上げる物がグリスやシート。
オロナインをグリス代わりに使用する自作PCは、日本広しと言えどもアスキーの実験くらいだと思うので、良い子で無くとも真似はしないように。
CPU冷却用シートやキンカンなどの放熱効果(by.ASCII)
環境や条件は前回と同じ。
- CPU:AMD A10-6800K(4.1-4.4GHz、4コア、4MB、TDP100W)
- クーラー:※CPUに付属のリテール
- マザー:AMD A85X(MSI FM2-A85XA-G65)
- メモリ:CORSAIR CMD4GX3M2B1600C8 x2
- ファン:3144PPM前後で固定
- 室温:22度前後
- 計測:BIOS画面で10分放置後
では各冷却材の性能から。
グリスとシートの公称熱伝導率(W/m・K)
マヨネーズなどは熱伝導率を公称していないので省略。
シート凄いですな。最強の香り漂うWW-90VGの解説を本文より。
(編注:“黒鉛垂直配合”とは、黒鉛粒子を軟質アクリルゴム中に垂直に配向しているもので、板厚方向の熱伝導率が高いのが特徴です。やっぱりよくわかりませんね。)
私も良く解らない。
グリスの最高値はナノダイヤモンドが桁違いで、冷却効果はその数値の高さ通り全グリス中で最高の冷却効果が有ったと思われる物。
前回の記事で私は「シートはゴミと予想」のように書いた気がするので、これはヒツジ先輩言い過ぎだったのでは?と思ってしまった。
シートで2番目に数値の高い物でさえナノダイヤモンドを超えており、その他3枚はシリコンやシルバーグリスと同じくらい。
しかし、シートはやはりコスパが悪い。
実売価格と使用1回あたりの単価
シートは1回の使い捨てとした場合。
グリスは1g辺りでは無く、塗る事の出来る回数へ変更。1グラムあたり5回塗る計算で割り算しております。
マヨネーズ類も割ろうかと思ったけれど、キンカンやスティックのり、スライスチーズなどが何回使えるのか見当付かないので省略。
見ての通りでシートはコストパフォーマンス最悪な結果となっており、何故1回としたかは長期間使う前提とした為で、おそらく劣化し、一度剥がせば元通りの性能とは行かないだろうと。
仮に千円のシートが10回使えたとしても、グリスで最もコスパの悪いナノダイヤモンドと同程度なので、グリスを塗る事が出来るならシートは用無しのはず。
但し、冷却性能が良いなら話は変わる。
BIOS上とサーモグラフィでの温度比較
マヨネーズなども追加した一覧。
やはりシートはゴミが多く、安物の場合でアイドル時77度は無茶過ぎる。何も載せずグリス塗らなくともこのくらい行きそう。むしろシートが邪魔になり冷却を妨害しているのでは無かろうかとさえ思えるレベル。
意外と善戦しているのはその他部門で、シート使うくらいならマヨネーズ塗った方が良いのかと一瞬錯覚してしまった。いや、グリス塗れと。
注目すべきはシートの下2つ、STT-VLとWW-90VG。いずれもグリス並の冷却効果が有るようで、シリコンやシルバーグリスとそう変わらない性能。しかし高額。そして、最高級品のシートは熱伝導率90W/m・Kと言っていた割に話が違う感。
個人的に最も意味不明な物はキンカン。お前は液体だろうと突っ込みたいところ、これもシリコングリスクラスの冷却効果。
アイドル状態では冷却効果の差が出ない?(まとめ)
まとめると。
- 薄く密着する物が冷却効果が高い
- 熱伝導率の公称値は結構あてにならない
- シートはコスパが最悪だが高級品はグリス並
- マヨネーズなどもシリコングリス並の効果が期待出来る
シートはどれも同じでグリスほどの冷却は無理だろうと思っていたけれど、1枚2千円クラスになると結構冷えていた点には正直驚いた。AMDのCPU(APU)はインテルより大きめなのでシートが全体を覆えず、インテルのLGA1150辺りならもっと良い数値が出ていたやも知れず。
マヨネーズなどはパーツの劣化やショートとか怖い要素が多いけれど、そういう見方では無く、シリコングリスもマヨネーズもアイドル時のBIOS読みでは温度差が出なかったとするなら、高負荷時はどうなのか。
また、全体的にシート以外は適当に冷却効果が有るようで、BIOS上での温度が大差無く、やはり高負荷時、そして最高何度まで上がるのかが今回の実験では不明。もしくは何分で限界温度を突破し電源が落ちるのか。
「だいたいグリスとか本当に要るの?」と思ったなら必要。
私もアスキー並に馬鹿なのでPentium 4という爆熱CPUを使用時にそう思い、塗らずにクーラー載せて電源を入れると1回目は30秒程度で強制シャットダウン、冷えた頃合いでもう一度電源を入れると2~3秒でシャットダウン。故障したかと焦ったけれどセーフ。危ないので真似しないように。
馬鹿繋がりでもう一つ晒しておくと、CPUは何秒くらいで熱くなるのだろうと思い、ヒートシンクを載せずに指を載せて電源をオンすると、一瞬で指に激痛がはしったのでやはり危険。真似は(もういい
以上。高負荷時の実験をされているページが有ったので、興味が有るならこちらもどうぞ。ニッケーはリンクしない。
- 高級グリスと格安グリスでCPUの冷え方はどう変わる?
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/knowhow/20100123/1022402/ - グリス!シート!液体金属!一番いいのは?-自作PCワールド
http://sirimongkol.blog.fc2.com/blog-entry-1.html - CPUグリス8種類の性能を比較してみた | メモトラ
http://memotora.com/2014/10/27/review-cpu-grease-comparison/
その他、前回の記事でコメントを戴いた慣らしについてはこちら。
- グリス 慣らしが必要だったのね 知らなかったOrz | 俺様ブログ
http://wd.pc7.jp/wd/?p=6124
慣らし200時間は結構長いですな。私が自宅でメインPCを使う時間ならば1ヶ月強も必要。比較するなら1ヶ月1種類とか面倒臭過ぎるので、自分ではやらずにリンクで終わってみた。
では面白く無いので、グリスを塗り直す際は別の種類を使用し、何年か掛けてやってみましょうか。
そういえばこのテスト、高負荷状態は未計測でしたね。ならばシートとグリスの差は出づらいだろうな、と思ったら本当に大した差は無し。できればベンチマークによる負荷、ターボコア(Intelでいうターボブースト)の効き具合、オーバークロックなども試して欲しかった所。
>代用品としてマヨネーズやゼリーなど
かなり昔、どこぞのテストで同様にグリス状の代用品をテストしていた記事では、性能の高いモノとして「練り歯磨き」が挙げられていました。出典は失念。代わりにこれでも。
北森瓦版 - マヨネーズはシリコングリスの代わりになるか?(2013年7月2日)
http://northwood.blog60.fc2.com/blog-entry-6914.html
「結果であるが、テスト開始後2日間は熱伝導能力は維持されていた」
「3日目になると熱伝導能力は落ち始め、4日目以降は熱伝導能力が落ちた状態で推移した」
「12日間テストを終えた後、CPUの金属製ヒートスプレッダとCPUクーラーの銅製ベースはいずれも酸化してしまった」
マヨネーズには酢が入っていますし。そりゃ酸化するわな、と。
>シートはゴミと予想
それはCore i3とAtom辺りを比べるのと同様では。いわゆる「簡易用途なら、体感はどちらでも変わらない」感じ。
>個人的に最も意味不明な物はキンカン。
公式サイトには「乾かしては塗り、乾かしては塗ってください」とありますから、水分が蒸発しても何かが残るのでは。成分の20%くらいがアンモニア水ですし、CPUとヒートシンク的には残って欲しくない成分な気もしますが。
基本的にCPUグリスはやすやすと乾燥しないように出来ていますから、代用はせいぜい2~3日として、冷えたからと妙なグリス的なモノは使わない方が良いでしょうね。
>マヨネーズなどは熱伝導率を公称していないので省略
逆にそんな用途で使うものではないのですからね。
逆に公表してたら全ての粘性を持つ製品に対して伝導率の公表が義務付けられかねない。
>アイドル時77℃
父のXP+Pentium4(Prescott)3.2GHz→LinuxBean14.04とデュアルブート化したPC(約10年前)のころの話だろwwww
ちなみに莉奈が運用しているPCはCPUがi5-3450でアイドル時(夏:室温28℃、冬:室温19℃)で夏:37〜40℃、冬:25〜30℃で落ち着いております。
>水分が蒸発しても何かが残るのでは。成分の20%くらいがアンモニア水ですし、CPUとヒートシンク的には残って欲しくない成分な気もします
主に気化熱を奪って冷えたんでしょうが、安水でアルミや銅の金属部品が腐食すること、漢方成分などの不揮発成分が残渣ざんさすることを考えると使いたくない一品ですね。記事中、グリスを買い忘れた時のとりあえずの回避用とありますが、グリス買いに行けと言いたい。
>基本的にCPUグリスはやすやすと乾燥しない
これ、インテル純正クーラーをグリスそのまんまで取り付けて1~2年放置し外してみると分かり易い。グリスが硬化ベークライトと化し、ヒートシンク側へ接着状態になるはず。
今はLGAなのでフタが有るけれど、ピンでリテンションフックする頃のCPUは、フック外していないのにピン側が抜けてしまう為、Socket478まではクーラー外す際は、ヒートシンクのプッシュピンを外したなら少し回してCPUを剥がした後に持ち上げろと(修理工場の上司から)言われておりました。
今も変わっていないと思われ、ガチで紙粘土並に固まるのでインテルグリスは使わない方がよろしいかと。自作ユーザなら普通は拭き取り、シルバー塗替えでしょうな。