価格や見た目以外の差が分かりにくいPCの仕様例。
ドスパラ、マウス、PC工房などパーツの構成が上手いメーカーでは滅多に無いけれど、今回フロンティアが判り難い仕様で4機種ニュースリリースを撒いていたので、これを例に解説。全部やるとこの記事が分かり難くなるので2機種を例に。
PC初心者向けで参ります。
KOUZIROより、約4~4.7万円のCore i3搭載パソコンが4機種発売
やや古いけれど、ITmediaより9月3日のリリース記事。
KOUZIRO、約4万円からのCore i3採用デスクトップPC計4製品 - ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1209/05/news061.html
上の画像は4機種の中で最も高額なモデルで、価格は46,800円。
もう一つ、4機種中の最安モデルが下で39,800円。差は7千円。
先に高い方(FRGXシリーズ)の主な仕様を一覧すると以下の通り。
- OS:Windows7 Home Premium 64bit版 ※/32bitセレクタブル
- CPU:Core i3-3220(3.30GHz、2コア/HT対応、3MB)
- マザー:インテル H77 Expressチップセット搭載
- メモリ:8GB(4GBx2、PC3-12800) ※最大32GB、スロットx4
- グラフィック:インテルHDグラフィックス2500
- HDD:500GB(SATA3)
- DVD:スーパーマルチドライブ
- 電源:460W
- ケース:ミニタワー(MicroATXケース)
- その他:カードリーダー、キーボード、マウス など
では、安い方(FRSTシリーズ)の仕様をFRGXと違う箇所のみ太字へ。
- マザー:インテル H61 Expressチップセット搭載
- メモリ:4GB(4GBx1、PC3-12800) ※最大16GB、スロットx2
- HDD:500GB(SATA2)
- 電源:250W
- ケース:スリムケース
さて、この差に7千円の価値が有るか否か。この一覧は比較し易く書き直している為、マニアックな人なら見ただけで違いが判ると思うけれど、普通の人には難しい部分ばかりでしょう。
一般的には価格差を付ける際は、CPUが違う、グラボの有無、HDD容量の差、など有るけれど、この2機種はこれらに該当せず。
このような場合、どう見て判断すれば良いかを次で。
性能や機能の差がマニアック過ぎて普通の人に判らないレベル
主な仕様の違いは5行なので5つを上から順に参ります。
マザーボードのH61は在庫処分、H77は最新版の中の一つ
FRST(安い方)のマザーはH61というインテル6シリーズと言われる物で、世代にすると1つ前の旧規格。FRGXのH77はインテル7シリーズで現在最新のチップセットを搭載した物。
H61は今更なぜ?と思える構成。予想になるけれど、おそらくフロンティアが在庫を余らせて処分しているのでしょう。
H77とH61の主な違いは、H77にはISRT(SSDキャッシュでHDDを高速化)やIRST(RAID※HDDなどを複数台特殊な方式で接続)が有り、H61には無し。
その他、インテル6シリーズはメモリの速度がPC3-10600までのはずだけれども、フロンティアの販売ページには12800(1600MHzサポート)と書かれているので対応しているのでしょう。フロンティアの誤表記で無ければ。
USB3.0の有無も違うけれど、デスクトップでUSB3.0を使うかという疑問。
主な違いは機能に有るけれど、ISRT、IRSTいずれもこの構成では使われておらず意味無し。自力でストレージを増設するレベルなら別なものの、そんな事が出来るならもっと高性能を目指したり自作PCにするものでしょう。
メモリは4GBで足りるのか、8GBも必要になる時が来るか
メモリは過去2年くらいで大容量化かつ大暴落しており、現在PC3-12800でさえ4GBは1枚あたり1500円くらい。
BTOパソコンという完成品をメーカーから購入するのだから無改造を前提とすると、4GBx1とx2の違いは大きいかも知れないけれど、価格差2倍とは言え1500円程度。
私のPC用途が軽過ぎる為か3.2GB認識でさえ2GBとの違いが体感出来ず、おそらく4GBと8GBの違いも判らない。
将来的にこれら容量の違いが体感出来る日が来るのかも知れないけれど、現状で8GBも必要な場面は限られており、専門的な用途やRAMディスクにするとかマニア向け。
改造を前提とするなら、メモリ交換や増設は最も簡単な作業なので、YouTubeを見て自力でやってもよろしいかと。
HDDはいずれも同容量、但し速度がSATA2と3という違い
SATA2や3という書き方では世代が違う程度にしか見えないけれど、速度で表すとSATA 3GbpsとSATA 6Gbpsとの違いなので、規格値では2倍。
しかし3Gbps(300MB/秒)とか6Gbps(600MB/秒)とは言え、HDD側の速度がそこまで行かず、HDDがSATA2や3仕様でも体感するには難しい速度差。
SATA2なら速くて(シーケンシャルリード基準)120MB/秒、SATA3で170MB/秒くらい。SSDやRAID0ならSATA2と3の差は大きいと思うけれど、メーカーが載せるごく普通の安さ優先HDDでは微妙でしょう。
また、シーケンシャル(連続)読み書きでは差は比較的大きいとしても、Windows上で作業する際はランダムの速度も関わり、更に体感は難しくなるかと。
ちなみに私はCドライブがSATA2、EドライブをSATA3にしているけれど、意識してもどちらが速いとか感じた事は一度も無し。所詮ハードディスク。
電源の250Wと460Wという容量より物理的な大きさの違い
まずこの構成では全部のパーツの電圧を計算しても250Wで足りており、460Wの方が210Wも大きいけれど意味無し。
なぜ460Wかは電源の物理的な大きさによる制限が有り、FRGXはATX規格という自作PCなどでも使われるもので、最低でも300W以上から。FRSTはTFX電源なので、大きくても350W程度。
ATX電源は400~500Wが需要が高く価格も安定して安くなる為、メーカーでも採用される事が多く、TFX電源はケースに内蔵して製造する事が多いので自動的に決まっているのでしょう。
見出しに付けている物理的な大きさの違いはケースに関連するので次で。
ケースは見た目だけでは無く性能の違いも知った方が良い
フロンティア公式ページより、FRGXのイメージ。
続いてFRSTのイメージ。
オタクやマニアでは無い普通の人にはケースは見た目や大きさだけで選ぶかも知れないけれど、見た目を気にせず大きくても良い私の目で見ると、このケースはミニタワーの方が性能が上。
無改造前提として増設などには触れないけれど、どう見てもミニタワーの方が空間が広く、スリムはぎっしり詰まっている感が有りましょう。
ポイントを箇条書きすると、FRST(下の白いケース)は
- CPUファンからケース側板までの距離が短い・・騒音に繋がる
- ケースファンが見当たらない(有っても小型)・・冷却が弱い
- パーツを詰め込んでいるので掃除しづらい・・故障率アップ
最近のCPUクーラーは昔ほどうるさく無いとしても、同じCPUで同じクーラーが載っているなら静音性はマイクロタワーの方が上。
ケースファンは経が大きく羽が少ない方が静音かつ空気の流れ(エアフロー)も良くなるけれど、スリムケースはケースの幅が狭いのでファンが小さく羽も増えやすい。また、搭載されていてもデザインの都合で変な場所に有ったりするのでエアフロー効率が比較的良いとは言えず。
ホコリが故障率に直結はしないけれど、故障の可能性を上げる為には掃除をしない事。このスリムケースは前面側を分解しなければクリーニングが難しい。また、電源が下でファン(吸気)が上なのでゴミを吸い込み易いでしょう。
しかし、Core i3程度なら静音性の差は大した事が無いと想像出来、故障する時はするのだからと割り切れば、見た目や設置スペースで選択しても良いでしょう。
というわけで、以上5項目の違いは大差が無いとも言えるけれど、有るという見方も出来るので、判断は個人差が有るという事に。
ハードウェアの知識を得るか、冷めたオタクの利用を推奨(まとめ)
今回は私がややマニアックに解説したのでPC初心者や一般の人でも何となくお判りになったと想像するけれど、普通の人はこんな所まで見ず、気にもしないでしょう。
気にならない性格なら良いけれど、何が違うのか知りたいなら検索などで学ぶしか無く、楽しめないなら時間の無駄が多いかと。
それを解消する為にPCオタクやマニアが周囲に居れば良いけれど、失礼ながら彼らはまず性能から入ったり、お気に入りのメーカーが有ったりで片寄りがち。
具体的には、やたら高性能なCPUやグラボ、でかいケース、無駄に多機能な構成を勧める人達。他人のPC購入相談で自分も楽しんでしまうわけですな。
というわけで、私のようなパソコンに興味が無いけれど仕方無く知識を持ってしまう冷めたオタクを探す事をお勧め、したいけれど滅多に居ないでしょうな。
具体的な例を想像すると、PCメーカー勤務の構成に関わる部署に勤めるパソコンに興味が無い人。こういう属性は性能を後に回してくれると思うので、やはり滅多に居ないと思うけれど発見したならキープしておきましょう。
オタクのPC購入は、性能>(超えられない壁)>予算>用途。普通の人は、用途>予算>性能、が良いと思うので逆。
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