エプソンダイレクト(以下、エプダイ)より新製品。
EndeavorシリーズのPro5700という機種が発売、価格は16.4万円。CPUにSkylakeのCore iシリーズを搭載しており、M.2対応SSDなども選択可能との事だけれども、標準16.4万はかなり高いと思う。
適当に見て参りましょう。
Endeavor Pro5700の標準構成と価格
プレスリリースをPC Watchより。
エプソンダイレクト、Windows 10搭載ミドルタワー - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150929_723031.html
リリース文が面白いので引用。
BTOにより、倍率アンロックモデルのCore i7-6700Kを組み込むこともできる。
Quadroシリーズを選択できるなど、ワークステーション用途にも対応できる。
M.2 SSDや、SSD単体とHDD2台のRAID 1/10を構築といった信頼性重視のシステムに仕上げることも可能。
裏返すと、カスタマイズしなければ組み込まれておらず選択しなければならず、仕上げる事は可能だけれども最初からは仕上がっていない、というわけですな。
もちろん税別なので販売額は上昇。
送料も別なので、最終的には約18万円からのスタート。
カスタマイズは確かにQuadroやGeForceなどが選択可能。
メモリは最大64GBまで増量出来るので、これ以上必要な人は滅多に居ないかと。
ストレージは量産系とは思えないほど幅広い。
量産系BTOはカスタマイズがクソ高いので標準構成での購入が基本。というわけで、その標準構成がこちら。
- OS:Windows 10 Home 64bit
- CPU:Core i5 6500(3.2-3.6GHz、4コア、6MB、65W)
- マザー:インテル Z170 チップセット搭載
- グラフィック:インテルHD~530 ※CPUに内蔵
- メモリ:4GB(4GBx1、PC4-2133)
- ストレージ:500GB(SATA3、7200rpm)
- 光学ドライブ:DVD-ROM
- 電源:650W
- ケース:ミドルタワー(エプソン・オリジナル)
- その他:キーボード、マウス、キャリングハンドル
- 保証:標準1年間※部品3年間
価格の誤表記なのか疑えるレベル。これが何故16万円を超えるのか。
カスタマイズしていないのに高額過ぎる理由は、エプダイ独特なこれ。
- ベースユニット(Endeavor Pro5700)¥115,000
何がベースユニットかは、価格表記の無いパーツ。
- OS:Windows 10 Home 64bit
- マザー:インテル Z170 チップセット搭載
- 電源:650W
- ケース:ミドルタワー(エプソン・オリジナル)
自作PCならば1~3で3.5~4.0万円くらいとすると、ケースが7~8万円くらいするという白目プライス。
パーツ単品で計算するのは面倒なので、他社を見てみましょう。
同等仕様の他社製品の価格と比較
いつもの国内3メーカーで。
マウスコンピューター
1ランク下はCore i5-6400になってしまうので、上位のi7-6700搭載で。
CPUがパワーアップしたのみでは無く、グラボ搭載でメモリやHDD容量などの様々な仕様が向上したにも関わらず約13万円。これが量産系スタンダードな価格でしょう。
マウスでは良く判りませんな。
パソコン工房
こちらもi5-6500が無く、上げるとマウスと同じになってしまうので6400。
CPUは1ランク下。しかしマザーは同等品のZ170搭載、メモリとHDD容量は上。軽く10万円を切れております。本来の価格や価値としてはこの程度。
ドスパラ
最初からドスパラでやれと言われそうな、エプダイとほぼ同じ仕様。
違いはチップセットがZからHシリーズへと1ランクダウン。しかし、オーバークロックとかM.2 SSDを載せたい、PCIeのレーン数が、などを気にしなければ問題無し。
以上より、BTOパソコンとしてなら、Pro5700はケースに特長が有るとは言え、(ベースユニットでは無く)標準構成一式で8万円くらいが妥当でしょう。
相場の2倍くらいの価格で売るとは強気過ぎる。
エプダイは職人御用達なカスタム前提のWS屋(まとめ)
直感通りエプダイはやはりクソ高かった終わり、では面白く無いので手のひらを返すと、まずこのクラスのパソコンを標準構成のまんまカートへぶち込もうという時点で間違っておりましょう。
量産系BTOの場合は標準構成が最もコスパが良いと常々書いてはいるものの、例としてサイコムなどの組み立て代行系でCPUにCore i7を選び、メモリ4GBでグラボ無しという妙なバランスにする人は少ないはず。
エアフローが良くストレージ満載出来るケースを選び、高性能CPUを選んだのなら、グラボはゲームならGTX某、2Dデザインするならメモリ8GB以上などと盛って当然。
エプダイの今回のような製品は、Core i5で止めてはいけない。
1ランク上を目指すと2.8万円と高額に感じるものの、上記は差額なので3千円の差。Core i7へ上げると割高では有るけれど、ベース12万円近いパソコンとしては高性能にするべき。
メモリ4GBは冗談のような低容量なので最低8GB。HDD 500GBも意味不明な構成になってしまうのでSSD、せっかくマザーがZ170なのだから無理をしてでもM.2にするべき。
そしてグラボ無しも有り得ないので、予算が有るならQuadro K4200、3年後に買い替えや自力で換装するならK2200、入門用ならK620でしょう。GTXシリーズも有るけれど、ゲーム用なら他社の方が割安なのでエプダイを選ぶ意味は薄い。
そうして高級品に仕上がったなら、これが効く。
エプダイは標準1年保証。但し、部品保証は別となっており標準で3年間。例として2年目に13万のグラボが故障しても修理代は2千円で済むという安心感。
Quadro搭載PCはマウスコンピューターなどでも売っているけれど、エプダイは1.3万円積めば最大6年保証となり、修理代1.3万円は凄いと思う。
というわけで、エプダイのEndeavorシリーズを見るような人は職人で有り、ザコはすっこんでろ状態なので、ザコい私が普通のパソコンと比較しても意味が薄いわけですな。
黒字まみれのデザイン事務所とか映像屋、自営の職人が節税を兼ねて高性能なパソコンを買う際のメーカーだと思う。
黒字まみれのデザイン事務所
モワモワモワ~ン(あのひとのことかな・・・
ちなみにメモリをたくさん積む場合、Windows10だとHomeでも64bit版なら上限はWindows8~8.1と同じく「128GB」なので、メモリをたくさん使いたいからProfessionalを選ぶ、という必要は無さそうです(Windows7のHomeは最大16GB)。
Windowsのメモリ制限について | ADTEC アドテック
http://www.adtec.co.jp/distributor_memorylimits
ちなみに現在エプソンはオータムフェア中。10月13日までなら1万円~2.5万円引き。今回の「Pro5700」なら、カスタマイズで価格が20万円以上になると2万円引き。
キャンペーン一覧 | Epson Direct Shop | ハイスペックがお得!キャンペーン
http://shop.epson.jp/campaign/?urlid=1ed140415
>標準構成がこちら
ヒツジ先輩が挙げられた以外の特徴ですと、PS/2コネクタ×2がある点で、さすが拘りの逸品、という感触。
>ケースが7~8万円くらいするという白目プライス
しかしエプソンのケースは、見た目がシンプルかつ扱いやすそう、また取っ手やキャスターが付けられて便利と、魅力満載なのですよね。ケースのみ販売で3万と言われたら悩むレベル。5万は無理。7万なら無視。
>相場の2倍くらいの価格で売るとは強気過ぎる
エプソンと言えば高額のイメージですし、安売りしても他メーカに対抗できるとは思えず。だったら高額なまま、ブランドイメージを崩さず地道に行く方が得策ではありますね。Appleが良い例かつ悪い例。
>エプダイの今回のような製品は、Core i5で止めてはいけない
私なりに「もし家庭用のそこそこ長く使うデザイン用途のPCなら」でカスタマイズすると(面倒なため各カスタマイズ項目の名称略)
i5-6500 → i7-6700
CPU内蔵 → K2200
4GB RAM → 32GB RAM(16GB×2)
なし → SSD 256GB(M.2)
なし → SSD 512GB(SATA)
500GB → 2TB(7200rpm)
なし → 4TB(5900rpm)
DVD-ROM → Blu-ray
なし → マルチカードリーダ
なし →Pro専用キャスタ
なし → リカバリーメディアセット
なし → Office Personal 2013(キャンペーン)
1年 → 6年間 お預かり修理
なし → 4年間 安心プラス保証
なし → データ安心セット ライト
以上で 計491,940円 となりました。高額ではありますが、6年保証がついているならお買い得な気もしてくる不思議。ちなみにエプソンは保証が切れても延長できるのが大きな利点。
エプソンダイレクト:ユーザーサポート 定額保守サービス(パソコン本体)
http://www.epsondirect.co.jp/support/afterservice/maintenance/teigaku_computer.asp#edcpc