アプリケーション購入とサービスの月や年額制について。
スマホやタブレットの普及と並行し、クラウドサービスによる端末同士の連携が強化されて行く近年。同時に収益化の方法がサブスクリプション型へと移行しつつ有り、本当にそれで良いのか考えてみましょう。
マニア向けや難しい話ではございません。
永続型とサブスクリプション型の違い
元ネタはこちら。
高額ソフトの購入、「買い切り」と「月額制」どっちを選ぶ? - Engadget
http://japanese.engadget.com/2015/10/15/office2016/
永続型はパッケージ状態などで買い取る従来の支払い方法。サブスクリプション型は月額や年額で恒久的に支払い続ける最近流行りの支払い方。
ゲームに置き換えると、プレステの7千円くらい出してパッケージでソフトを買うか、毎月1,500円くらい支払い続けMMOで遊ぶかのような違い。
見出しに、
永続型とサブスクリプション型、最大の違いは課金方法
と有るように、買うか借りるかのような違い。マンションを自分の名義で買うか、家賃を支払い続けるかと表現した方が合っていそう。
サブスクリプションへ移行している例
身近なところではWindowsユーザならばマイクロソフト製品が変化中。
MSはOne Driveなどクラウドサービスを強化
私は現在実験用PCのWindows 10を8.1へ落としているので判らないけれど、10の正式リリース前、One Driveへログインしていない状態で10を使い続けていたり、起動後のタイミングでログインしろしろとうるさい窓が出ておりました。
そのOne Driveは基本無料だけれども、容量追加は有料。
利用できる容量のプランの種類と料金を教えてください。
サインアップすると 15 GB の無料ストレージを利用可能 (追加容量の購入なし)
100 GB / 190 円* (月ごとの料金)
200 GB / 380 円* (月ごとの料金)
1 TB + Office 365 Solo / 1,274 円* (月ごとの料金)
500GBを超えるならばOffice 365 Soloを購入した方が良いという、マイクロソフトにしては汚くない料金設定。Googleが月額で100GB/1.99ドル、1TB/9.99ドルなので合わせつつ付加価値を付けているつもりなのでしょう。
MS Officeは今後クラウド版の365へ移行?
マウスコンピューターのカスタマイズ画面より。
中3つにご注目。
+ Office 365サービス 1年ライセンス
特に注目するべきは中段の17,900円へのカスタマイズ。
オフィスプレミアムは永続型なので17,900円で購入する感じ。それにサブスクリプション型の365 Soloライセンスが1年分付いて来る、という事は1つ前のOne Driveに有った通り365 Soloと同時に1TBも1年間使えるという仕組。
これまたマイクロソフトが上手い事やっていると感じるところは、オフィスプレミアムは永続型とは言え、そのライセンスを使えるPCは購入した物のみ。
パソコンを買い換えると過去出ていた旧オフィスと同様にライセンスは別なのでオフィスは流用出来ない。しかし、プレミアムの方は終わりでも365 Soloは単体でライセンス購入可能。
しかも17,900円のオフィスプレミアムは、Excel、Word、Outlookの3種類に対して、365 SoloはAccessなど全部入りなので、本気でMSオフィスが必要ならば1年以内に試したり、PC買い替え前に365 Soloへ移行する人も居るかと。
詳しくはこちら。
Microsoft Office 365 Solo - 最新のアプリケーションとクラウド サービス
https://products.office.com/ja-jp/office-365-solo
しかし今後、プレミアムが廃止されるほど365 Solo主流になって行けばマイクロソフト的には大勝利なのだろうけれども、単純にメーカー側(この場合はマウス)の販売単価が下がり、オフィスで利益を出せなくなってしまうという難点も。
オフィスで利益出せない->パーツやカスタマイズ費用へ転嫁が考えられるわけですな。まだ先の話だろうけれど。
AdobeはCSからCCへ販売方式を変更済
例として私が使用しているPhotoShop CS5で。
source:Amazon.co.jp: Adobe Photoshop CS5 Windows版 (32/64bit)
中古でプレミア価格になっているけれどボッタクリと言うほどでは無く、現役当時のPS CS5 実売は10万円を切れるかどうかと記憶。画像の下で表示されているように現在はCC(クリエイティブ・クラウド)へ移行。
年間2.8万円ならば3年半くらいで10万円。おそらくそのくらいの期間でアップグレードするか、細切れでアップデートしているのでしょう。私はデザイナでは無いしフォトショのCS 5は借り物なので詳しくは不明。
現在のAdobe製品はPhotoShop以外も全てCCとなっておりサブスクリプション方式なので全部揃えると年間数十万円コース。
サブスクリプション方式は本当に得なのか?
Engadgetの比較を拝借。
左は凡ミスと思われOffice 365 Soloへ脳内変換しましょう。
比較すると5年目で同じくらい。但しこれは年払いなので月払いにすると4年強で永続型の6.5万円と並ぶくらい。
この比較は利用できるソフトの種類でProfessionalになっている為、Accessとか要らない人がBTOでカスタマイズするなら、中央の列は2年目にExcel、Word、Outlookの3点セット価格を超えてしまう計算。ちなみに~プレミアムの単品販売は無し。
また、私のようにオフィス2003を10年とか、現在は2007を軽く5年以上利用しつつ、今後もサポート終了まで買い換えるつもりが無いならサブスクリプションは割高とも感じる。
今後は月額商売が主流になるのか?
月額と言えばサブスクリプションとは少し違うけれど、ドスパラが力を入れている月額サービス。
PC用最安の月額680円プランの中身は主にこれら。
- 水濡れや破損などユーザ過失も保障
- 部品交換が無償
- 買取価格10%アップ
- 電話&リモートサポート
PC初心者がノートを買うなら有りかも知れないけれど、年額約9千円の保険と思うと高額では無かろうか。ドスパラでノート買う人は少ないだろうとも。
ドスパラは他にもプレミアムサービスと称した似たような月額保守サービスもやっており、単発でパソコンを売り利益を得る時代から月額で安定した収入を得ようと考えているのかも知れない。
余計な世話だろうけれども、需要の低いサービスをノルマ前提でゴリ押しすると私のような勘ぐる人間に叩かれ続けるがオチ。必要の無い何かを売りつけるのは時代遅れなわけで、ドスパラはとっとと方針を戻した方が良いと思う。
月額や年額は提供側も消費者も両刃の剣(まとめ)
サブスクリプションの双方の利点は、
- 提供側・・・月額や年額により恒久的に収益が得られる
- 消費者・・・バージョンアップの高額な出費が抑えられる
しかし難点も有り、
- 提供側・・・他社サービスへ乗り換えられやすくなる
- 消費者・・・突然使い勝手が変わる、長期間は割高
提供を別の業態へ置き換えると、ドコモやauなどの3社の競合、それでは間に合わなくなりMVNOの参入やドコモなどがそちらへの切り売りによる移行を見ていると解り易いかと。
安価で似たようなサービスならばOne Driveでは無くともGoogle Driveなどが有り、Skypeでは無くLINEでも良いわけで。
買い切りならばサポート終了で使えなくなるか、新たな機能が欲しくなるまでは使い続け、AdobeのCS 5から6へと移行した人はAdobeで無ければという固定観念が強かったはず。
しかし年契約ならまだしも月ならば、来月や来年から別のサービスへ移行し易いとも考えられ、手軽さが仇となる可能性。移行中のダブリ期間の費用が高額とも言えないから並行して試せてしまえるという意味。
ユーザ側から見ると、特にクラウド版Officeの場合、Windows 7や8.1から10へ自動アップグレードされるような危険性も有り、作業効率の低下や要らない機能による値上げも考えられ、買い切りソフトより使い勝手が悪くなる可能性もございましょう。
高品質なサービスが生き残り、価格競争により低価格化するなら良い事。しかし、やり過ぎると採算が赤くなりある日突然サービス終了も考えられるわけで、一概にサブスクリプションが良いとは言えない。
個人的にはケチでダサいWindowsユーザなのでむしり取ろうとされると拒絶反応の白旗を上げるしか無く、今まで通りクソ高いクズ企業マイクロソフト製品であろうとサブスクリプションへの移行は納得しかねる感じ。
おまけ:私がWindows 10で真に恐れている事
使い難いとか動かないアプリが有るなどは、ユーザの慣れやMSの修正アップデートで何とかなるとしても、どこまでWindows 10というOSを荒らしてくれるか、サブスクリプション方式や広告による収益化に走るかが怖い。
- 強制Windowsアップデート・・・企業以外は強制更新当たり前?
- 必死すぎるOne Drive誘導・・・どこまで収益化したがるのか?
- 既にいくつかの広告が混入・・・検索窓で謎のニュース表示?
1はHomeエディションの事で、マイクロソフトが好き勝手にユーザのWindows 10を改善や修正と称して変更可能になっております。今後どこまでDV状態の更新が続くのか不安。
2はアカウント作成やOne Driveなどの誘導がひどすぎると感じており、ユーザは自分のやるべき作業をしているのに突然One Driveログインしろしろポップアップとか普通にストレスに繋がりましょう。
3が今後のMSのCM戦略。日本のBingはYahooの広告を利用しているけれど、海外や、日本でもMSオリジナルの広告システムが出来たならWindowsへニュースを表示するという建前で広告を突っ込んで来ると予想しております。
嫌なら見るな使うな放置しておけが通用するなら良いけれど、最終的にはスタートメニューを開くと広告枠が強制的に設置されるのでは無かろうかと。考え過ぎ、妄想し過ぎと思いたいけれど思えない。
1年間の無償アップグレードはタダより高いものは無い予感がしており、やはり無償期間が過ぎても2019年までは様子見か?と疑っております。
10のサポートを終了させた後にWindowsもサブスクリプション方式になるかも知れませんな。
サブスクリプション
昔からPC業界は和訳する気がないのが・・・。
まず単語の意味を調べさせられる手口。
たいがいの人はこの単語のせいで「ようわからん」からと素通りすると思われ。
そして多用するベンダーがイメージとして「なんかうさんくさ」くなる循環。
なんかいいの考えてくれればサブスクリプションを死語にするするくらいは朝飯前だと思うのだけれど。
私もそう思う。
本当はサブスクリプションに限らず、10人中7人は知らなさそうな横文字は嫌いなのだけれども、年額とは限らず月額とも限らず、従量制では無い上、検索すると意味は、借りる、予約、権利を購入など多彩過ぎて日本語にならなかった。
おそらく比較的新しい、権利を一定額で借りる利用方法なので、今後普及したなら誰かが標準と言えそうな日本語を造ってくれると思う。しかし、この「一定額」も一定では無く、容量や機能数で違うとか何とも曖昧。
関係無いけれど、BYOD(私物の端末を会社で利用)や、IoT(今までコンピューターと言えなかった物のネット接続)がサブスクリプション以上に嫌い。
物欲に任せて何でも購入するため、支払い方式は売り手に合わせますね。長く使うモノなら一括払いが安く、分からないなら定額課金の方が安心ですから、売り手側には双方の支払い方法を用意して欲しいのが心情ですが。
面白そうだからという理由が主で、Office 365 Soloの年額払いを契約中。ちなみに「Publisherは要らないけれどAccessは欲しい」という方なら、Office PersonalとAccess単体を購入する方が、Professionalを購入するよりも1万円くらい安く上がります。
価格.com - Microsoft Office Professional 2013
http://kakaku.com/item/K0000447473/
実勢価格:45,000円前後
価格.com - Microsoft Office Personal 2013
http://kakaku.com/item/K0000447476/
実勢価格:22,000円前後
価格.com - Microsoft Access 2013
http://kakaku.com/item/K0000447663/
実勢価格:13,000円前後
>One Driveは基本無料だけれども、容量追加は有料
>500GBを超えるならばOffice 365 Soloを購入した方が良い
単に1TBの容量が欲しいなら、割安ですから月額より年額の方が良いですね。スティック型PCに外付けのHDDを繋いで、外部からアクセスするのも面白そうですが。
>オフィスで利益を出せなくなってしまう
特別に「Office Premium」を作るくらいMS Officeのプリインストール率が高いですから、日本においてはあまり心配なさそうですけれど、クラウド型への移行が止まらないなら、いずれプリインストールが当たり前では無くなるのでしょうね。
>Windows 10
1ヶ月半くらいWindows10を使用していたのですが、Windows7時代から抱えていた「Google日本語入力がインストールもアンインストールもできない」をきっかけに、Windows7へ出戻りしました。1ヶ月が経過していましたし、まっさらな環境へ戻すためクリーンインストール。
ちなみに大抵の問題が解決できる、Microsoft純正の問題解決ツール「Fix it」はWindows10に未対応なため、Windows10にアップデートしたがどうにも解決できそうにない問題に直面した、という場合は注意が必要です。私のように、うだうだ先延ばしにしてWindows7へ戻せる1ヶ月を経過すると、詰みます。
診断ツール Fix it : パソコンが重い、パソコンの動作が遅い問題
https://support.microsoft.com/ja-jp/mats/slow_windows_performance/ja-jp
>サブスクリプション
サブスクライバーってのがあるので、勝手に定期購読と解釈してます。
が、支払いを停止した時にどうなるのか表現してないのでちと違うかも
まぁ起動不可にさせられるとかは無いでしょうけど、定期的に「再購読、今ならお得」とかポップアップ出そう w
FLEXlmみたいなライセンスファイル管理とか課金ユーザがログインすれば使えるとかになったりすると嫌ですね
サブスプリクション云々については
「定期決済」「定期課金」「継続課金」
辺りが妥当ですかね。ちなみに「課金」は「支払う」のではなく「支払わせる」意味な点に注意。俗にいう課金兵のおかげでマイナスイメージが強いですけれど。
かきん【課金】の意味 - 国語辞書 - goo辞書
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/38467/m0u/
>PS CS5 実売は10万円を切れるかどうか
>年間2.8万円ならば3年半くらいで10万円
フォトショップだけでいいのでしたら「フォトグラフィプラン」というのがあって、ライトルーム付きで月額980円ですので8年はいけますね。
LightroomとPhotoshop | Adobe Creative Cloudフォトグラフィプラン
http://www.adobe.com/jp/creativecloud/photography.html?promoid=KTMBM
>おそらくそのくらいの期間でアップグレードするか
アップデートになりますが、結構大きめのメジャーアップデートを1年ごとにやっています。
そのうちアップグレードをするのかは知りませんが、まだしばらくは無いように思います。
Adobe Creative Cloud - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Adobe_Creative_Cloud#.E3.83.90.E3.83.BC.E3.82.B8.E3.83.A7.E3.83.B3
アドビ、メジャーアップデートとなる2015年リリースのAdobe Creative Cloudを発表 | Adobe
http://www.adobe.com/jp/news-room/news/201506/20150616_creative_cloud_2015release.html
>全部揃えると年間数十万円コース
全部入りの「コンプリートプラン」というのが月額4980円でありますから、年間6万円位です。CS6の全部入りは30万円超でしたので、CCでは5年分くらいですね。
なお、Amazonでは一年分が55000円で買えるようです。
製品一覧 アドビ ソフトウェア サービス
https://www.adobe.com/jp/products/catalog/software._sl_id-contentfilter_sl_catalog_sl_software_sl_mostpopular_jp.html
Amazon.co.jp: Adobe Creative Cloud [2015年度版] 12か月版 [ダウンロードカード]: アドビシステムズ: ソフトウェア
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00FONNR9Y/ref=s9_acsd_al_bw_v_x_fp_1?pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=merchandised-search-9&pf_rd_r=0SPPMQ47T8GMGARBCDTW&pf_rd_t=101&pf_rd_p=187914489&pf_rd_i=2452063051
値段的には(これまでの値段を鑑みれば)悪くないと思いますし、CCが普及すればデータのやり取り際にバージョンを気にする必要がなくなる(新機能を存分に使える)というメリットもあるのではないでしょうか。
まあ、わたしはCS6で今しばらくは粘りますがw
>Adobeで無ければという固定観念が強かったはず
ただ、趣味の人はともかく、Adobeが実質デザインツールの業界標準である限り他の何かに乗り換えると言う事はやはり難しいでしょうね。Adobeアプリを前提にした機能を持つアプリも多いですし。
そんな事言ってると、CCが浸透しきった頃に謎の値上げとかを食らって、奴等に支配されていた恐怖や、鳥籠に囚われていた屈辱を思い出す日が来るのかもしれませんがね。