固いタイトルなものの、いつも通りローレベルなのでご安心有れ。
先日、NTTの釣りに続きGoogleやAppleの個人データ保管、それらを自ら公開する危険性を書いたところ3通のお便りを頂戴。前回記事の補足の他、匿名で居る必要性を更に深く解説しようと思うので、暇ならお付き合い有れ。
手短に参ろうと思ったけれど、結構長くなっております。
オンラインサービスが保管するユーザデータの所有権と保存
前回の記事を3行にすると
- NTTがトロイの木馬(ウィルス)級の個人情報収集を試みようとし中止
- Google日本語入力はインストール時にクレカ番号収集など同意が必要
- AppleのSiri(音声でユーザの質問に答える)も個人情報の一部を送信
NTTは反省しておらずもう良いとして、GoogleとAppleのサービスへの注意補足と、新情報を1つ参ります。
Googleドライブのユーザ・データ所有権はGoogle?
Googleのサービスの一つにGoogle Driveというものがございます。5GBまで無料、それ以上は容量を月額で購入するオンラインストレージ。
Google ドライブ
http://www.google.com/intl/ja/drive/start/
Googleアカウントを作っているユーザは多いと思われ、ログインしているなら手軽に利用を開始出来、とりあえず5GB使っている人も居られましょう。
しかしこのような注意書きがございます。
本サービスの一部では、ユーザーがコンテンツを提供することができます。ユーザーは、そのコンテンツに対して保有する知的財産権を引き続き保持します。つまり、ユーザーのものは、そのままユーザーが所有します。
ここまでは良いでしょう。
コンテンツとは、例として当ブログならヒツジ先輩が書いているこの記事やページを指し、GoogleのサービスならYouTubeへの動画アップロードなどもコンテンツ。別ではGoogleにはPicasaという静止画のオンライン保存サービスも有り。
問題は続きのここ。
本サービスにユーザーがコンテンツをアップロードまたはその他の方法により提供すると、ユーザーは Google(および Google と協働する第三者)に対して、そのコンテンツについて、使用、ホスト、保存、複製、変更、派生物の作成(たとえば、Google が行う翻訳、変換、または、ユーザーのコンテンツが本サービスにおいてよりよく機能するような変更により生じる派生物などの作成)、(公衆)送信、出版、 公演、上映、(公開)表示、および配布を行うための全世界的なライセンスを付与することになります。
このライセンスでユーザーが付与する権利は、本サービ スの運営、プロモーション、改善、および、新しいサービスの開発に目的が限定されます。このライセンスは、ユーザーが本サービス(たとえば、ユーザーが Google マップに追加したビジネス リスティング)の利用を停止した場合でも、有効に存続するものとします。
タレコミ戴いた送信者殿はGoogleドライブの事とされていた為、最初にGoogleドライブを関連付けたけれど、このページはGoogleのサービス全体を指しているようで、解釈によりGmailの内容でさえGoogleや協働の第三者が利用出来るとも考えられましょう。
普通に考えると、この規約はYouTubeやPicasaなどにアップロードしたコンテンツに対し、Googleが自社サービスの紹介や宣伝として写ってしまうかも、程度に考えると思うけれど、ライセンスの制限が無く消えないという意味には違いございません。
Siriの音声データはAppleが2年間保存するらしい
前回の記事では私が手元のiPod Touchで見た画面を紹介しており、Siriは音声データ以外に位置情報なども保存されるとの注意書きがございました。
これらは2年間保存されるという新情報。
AppleはSiriの音声データを匿名化して最大2年保存する|TechCrunch
http://jp.techcrunch.com/2013/04/20/20130419(略)
Appleによると
Siriが集めた音声ファイルには識別子としてユーザのアカウントではなく乱数を付ける。それによってデータは匿名化される。メールアドレスなどユーザを識別できる情報は、いっさい付けない。
匿名性は高くなるよう考えられ、おそらく本当にそういう保存をしていると思うけれど、音声を録音していたり位置情報まで送られていると知らない人は多いでしょう。
ここでの問題は、利用しているユーザの同意を取らず当然のようにユーザの個人情報を送信させている事。
Google、Apple共にユーザのオリジナルデータを所有。悪い言い方をすると、匿名化したり規約に書いておけばそれで良いのかという疑問。
ケータイ小説「Gocco」へ投稿作品の著作権は企業側
凄い事をしている企業が有るので晒しておきましょう。
ケータイ小説投稿サイト『Gocco』の投稿作品30タイトル以上が作者に無断で電子書籍化される – ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/327673
何故このような事が出来るのか、ガジェット通信と同じ部分を引用。
第6条 著作権その他の知的財産権
1. 利用者は、投稿した文章、画像等の内容、およびこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条から第28条までに規定される権利を含む)、その他の権利につき、当社および当社の指定する者に対して、これらを日本国内および日本国外において無償で期限なしに非独占的に利用する一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます)を許諾します。また、当社が指定する第三者に対して一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます)を許諾しないことを承諾します。
2. 利用者は、当社および当社の指定する者に対して著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。
要するに投稿ユーザの創作品の権利は全部Goccoというサービス(または指定する者)が所有し、作者は自分に著作権が有るとか文句言わないと承諾させられているわけですな。
規約を読まなかった方が悪いという流れになるのだろうと思われ、ユーザが保管したデータ(作品)は最初からGocco側に有ったという事。
オンライン経由で他社へ保存したデータがいつの間にか自分に所有権が無くなっているという例として。
関係無いけれどGoccoのやり方は完全に自爆でしょう。対象がアマチュアとは言え、著作権を放棄してまで創作を投稿する作家が居るとは思えない。
詳しくは知らないけれど、Kindle(Amazonのタブレット型電子本リーダー)とオリジナルの作品(漫画や小説)が有れば、手軽に電子書籍として出版し販売出来るとの噂を聞いております。
以上、 利用規約をどう解釈するか、その規約を提示しているサービスの提供元はどのような企業かまで考える時代。
自ら個人情報を公開する意味と今後の更なる危険性
こちらもメールにてタレコミ。1会社員さんより。
メールの内容を私流に変換しつつ紹介すると、電波ヤクザ(NHKともいう)の「サイエンスZERO」という番組にて、海外の大学による実験で個人情報がどこまで収集出来るかというアプリの開発をしているそうな。
そのアプリで人物の顔写真を撮影すると、顔認識技術により名前や住所、生年月日、電話番号や家族構成を収集し画像なども表示されるというもの。
最近はスマホなどの普及により音声認識が当然のように利用されているけれど、画像認識で検索し収集しているようなものかと。
顔認識検索もどきはパソコンからも可能で、適当な有名人の顔写真の画像ファイルを用意し、Googleの画像検索の検索窓へドラッグアンドドロップしてみましょう。アップロードされ、似ている画像ファイルが表示されるはず。
話を戻すと、情報収集はSNSやクラウドなどから収集しているとの事。海外は日本と違い、個人ブログやコメント投稿でも普通に顔写真や本名を掲載する人が多く、日本より簡単に検索出来てしまうのでしょう。
個人情報の公開は他人に迷惑を掛ける可能性も有る
もう一つのお便りは、30代女性のKさん、主婦の方より。私は匿名重視なので、ここではKさんとしております。
KさんのFacebookには住所や(携帯)電話番号、もちろんご本人の写真どころか家族の写真まで公開されておりました。私が前回書いた匿名の必要性は考え過ぎとの御指摘。
利点としては地域のコミュニケーションが円滑になるとか、同じ趣味、昔の友人とも新たに輪が出来て人生が楽しくなる、との事。
私はメールの返信をしないのでここで書くけれど
- 家族の写真は本人の許可を取っているのか
- 彼らは個人情報公開の意味を理解しているか
- オンラインで公開した情報は恒久的に残ると知っているか
家族が年配ならパソコンやスマホ、インターネットの仕組を理解していないかも知れない。子どもが小さいなら意味が判らないかも知れない。
例として、私が当ブログで本名と顔写真を公開したとしましょうか。
その情報はGoogleにキャッシュされたり、海外に限らずスクレイピング(勝手にコピーして保存する)サイトに残るなどし、大げさでは無く50年経過しても私の個人情報や当ブログはどこかに残っているかも知れない。
私の子孫が私のフルネームを検索し、当時の私と判明し、当ブログで暴れているのを知ったならどう思うか。
NHKを電波ヤクザと言ったり、警察を批判してみたり、民主党を馬鹿にしたりも過去書いております。その子孫がNHKや司法関係の就職を希望したり、民主党と深い繋がりが出来たとすると私の個人情報の影響が出ないとは言えないでしょう。
Kさんの子どもが成人し、例としてサッカー選手とかアイドルになったとしましょう。子どもの頃に寝小便をしたり、半裸で水遊びをする写真が残っており晒されたならどう詫びるつもりなのか。
更に言うと、私は自分の情報以外に他人の情報も知りたく無く、本名や住所などはメールに書くなと時々言っておりますが、その理由は情報漏えいの際に私のせいにされたくない為。
例として、今回の主婦Kさんの住所や顔写真、電話番号が2chなどに掲載されたとしましょう。2chは消されると思うので、アンダーグラウンドなサイトで公開されたとしましょうか。
Kさんの友人や知人はそういう事をする人間は居ない、とするとヒツジ先輩が怪しい、と思われるやも知れない。だから最初から送ってくるなと申しております。
個人情報の公開は自分のみならず他人を巻き込む可能性有り。公開した情報の先が限定されているなら、伝えた他人にも迷惑を掛けるかも知れない。
個人情報という言い方をするけれど、それは他人情報も含めた内容になるやも知れず。人間は必ず誰かと繋がっており、誰もが完璧な人間では無いのだから、オンラインで匿名で居る重要性も考えましょう。
「不安になるからリスクは考えず、今の楽しさを優先したい」。SNSで何かと露出している人は、SNSを楽しめない私にはこう見えてしまう。
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