月刊BTOパソコン12月号デスクトップPC編。
量産系BTOパソコンはPC初心者向けと言いつつも、性能の見方不明とか用途への提案がないので選び方が難しく感じてしまう。そんな貴殿へBTOソムリエなヒツジ先輩が厳選したオススメPCを提案する月刊企画。
本記事は当サイトおよびヒツジ先輩(私)の独断と偏見によるもので、最終的な判断はご自身でされることを極めて推奨。他人の意見に流されると後悔することがあるのはパソコンに限らず買い物なら何でも同じかと。
BTOパソコン.jp推奨PCデスクトップ編編(12月号)
安い順で4段階。
金さえ出せば上を目指せるのは当たり前なので、ここではコストパフォーマンスを重視した「これ以下はないけれど、これ以上は無駄かも知れない」で厳選しております。
画像をクリックすると売り場へ飛ぶ仕様。
1.安さ重視のライトユーザ向けなPC
パソコン工房のSTYLE-M1B3-A2-VHSがライトユーザにおすすめ。
特徴はCPUがインテルではなくAMDの方のAPUであり、Athlon 200GEはパソコン詳しい人向けにいうとRyzen 3 2200Gの1ランク下、インテルと比較するならPentium Gのグラフィック性能高い版な感じ。2コア/4スレッド、3.2GHzは普通に優秀。
そのPentium Gは先月のライトユーザ用としておすすめしており、これを書いている現在まだ販売していたので、どうしてもインテル入れたいならPentiumでもよろしいかと。
インテルCPU供給不足による高騰の範囲はCore iシリーズにとどまらず、PentiumやCeleronにまで影響しているため、先を読んでAMDを推しておくことにしてみた。
但し、CPU不足は自作PC用の単品だけとも言われているため、パソコン工房などのBTOメーカーの価格にまで影響があるとは限らず、しかしAMDの方が安定しており価格的に安心かと判断。
APU以外の部分は、メモリをあえて4GBとしておりムダに高額化しないよう容量を抑え、ライトユーザ向けでも今どき家で使うならSSDを搭載、240GBも安くなって来たので120GBはスルー。
最近のパソコン工房は販売ページにマザーボードの画像を掲載しており、この製品のマザーはASUS PRIME B350、価格コムを見て来ると約1万円。ASRockやMSIにしてもう2千円くらい安くして49,980円が良いとも思った。
関係ないけれど、ライトユーザ向けはCeleronかPentium、先月もパソコン工房だったのでマウスで選ぼうとすると低価格帯PCでSSD標準がなく、フロンティアにコスパ良いやつがあったけれどSSDがColourful製だったので見なかったことに。※関連:SSDチップのリマーク問題インテル回答(2018年10月)
リマーク問題といえばドスパラは自社ブランドのSSDリマーク疑惑を調査中として8月から絶賛放置中であり、結果が出なければBTOメーカーとして信頼できないため、期間限定で無視しております。
このPCの用途としては、ブラウザで動画見るとか、フリーのオフィスソフトを入れて文書作成や表計算、iTunes入れてiPhoneを操作するなど軽い使いどころ向け。
使う人のイメージは、実家の両親へプレゼント、子どものプログラミング練習用、家族で共用しスマホの写真整理が思い浮かぶ。
2.だいたい何でもできる実用的本命機
マウスのLUV MACHINES iH700SN-SH2、価格が切れてしまった税別約8.3万円でバランスの良い構成。
一点気になるところがCPU性能の高さで、この構成でi5は少々盛り過ぎなのではなかろうか。という理由が私の感覚では以下が基準なため。
- Core i5・i7・・・ゲーミングPC用
- Core i3以下・・・ゲームしないPC用
大は小を兼ねるのでCore i3以下よりi5でも良いのは当然ながら、当たり前のように価格が跳ね上がってしまう点が少々気になる。
というわけで、こちらも先月おすすめとした実用本命機がRyzen 3搭載で2.3万円くらい安くコスパ良好なため、インテル入らなくて良いならパソコン工房のAMD仕様でもよろしいかと。
毎月似たような構成を選んでいるため特に書くことがなくなってしまう、ライトユーザ向けの安さ重視と実用本命の違いは主に3点。
- CPU・・・少しだけ性能盛る
- メモリ・・・4GB -> 8GB
- ストレージ・・・SSD容量アップまたはSSD+HDD構成
大まかにいうと、これら3種類の違いで価格が1~3万円くらい上がるため、予算6~8万円出せるならこちら、そうでなければ安い方で妥協する感じ。
SSD+HDD高性能何が良いかは、ソフトウェア的に少し手を加えるだけでバックアップが内蔵ストレージで完結するところ。またはSSDにスマホで撮影した高画質な写真や動画を保存し足りなくなればHDDへ逃がせる。
ところが昔から一般PCユーザの皆さんは「ドライブ」という概念がないようで、CとEドライブにパーティション分割されていようとも、Eドライブ使っている人は滅多にいなかった。
用途は、1番のライトユーザ向けと同じ+パソコンの使用頻度が高い、これ1台で5年以上は使い続けてやろうと目論んでいる人向け。故障しないわけではなく、性能的に時代遅れになりにくいという意味で。
使う人のイメージは自分用メインPC。もちろん子ども用とか家族共用としても、たいていのことはこれ1台でこなせるはず。
3.ゲームするなら最低でもこのくらい
先月のおすすめは鉄板メーカー的にマウスを選んだけれど、今回はパソコン工房でもゲーミングPCあるよという意味でこちら、LEVEL-M0B6-i5-RNA-Kを推奨。
ゲームとは3Dゲームのことで、主にDirectXという機能を使うならば増設しているゲーム用のグラフィック基板が活躍するわけで、スマホアプリのようなライトなゲームをパソコンでやる用ではございません。
CPUは1世代前のCore i5、8千番台が搭載。1世代程度の差は気にするほどのモノではないとしコスパ優先。なぜそう変わらないかは、アーキテクチャ(構造)に大きな違いがない&価格帯同じなら性能だいたい同じ。というかまだこの性能のCore i5第9世代出ていない。
メモリはやや盛りすぎ感ある、良い言い方をすれば余裕のある16GB。SSDはコスパの良さ優先かつあまりにも高くはなりすぎない480GBを内蔵。加えて在庫余っているのか2TB HDDも入っております。
先月のマウスのGTX 1060搭載PCとの差額は1.5万円くらい。なぜパソコン工房の方が高いかは以下の違い。左がマウス、右PC工房。
- SSD:240GB<>480GB
- HDD:1TB<>2TB
- メモリ:8GB<>16GB
- VRAM:3GB<>6GB
その他、細かな違いはマウスの方はCore i5-8500、工房は8400なので1ランクマウスが上だけれども、やはり気にするほどの差ではございません。そんなものよりVRAM(グラフィック用メモリ)容量の差の方がやや大きそう。
参考になるかは不明ながら、私がどちらか選ぶとするならパソコン工房の方で、Cドライブ240GBはやや心もとない、メモリが1枚故障しても外しても8GBなら普通にゲームできるためで、240GBで足りるしメモリ外すとかできないならマウスが単純に安い。
私がこのコーナーでGTX 1060を選ぶ理由は2つあり、1050 Tiではやや非力だという話が多いため、そして2018年現在はSteamで最も使われているグラボがGTX 1060だという現実から。
用途はもちろん3Dゲーム。
使う人のイメージは、これ以上の予算はひねり出せない学生やフリーターや自宅警備員、高画質にこだわらないゲーマー、またはあまりにもな高性能を要しないゲームをする人。
4.ゲームが趣味で予算あるならこれで
画像はパソコンで表示しクリックで原寸に拡大。 スマホは拡大できない仕様なのでこちらをタップで画像のみ表示。
source:G-Master Spear Z390|@Sycom(サイコム)
2018.11.30追記:マザーボードの ASRock Z390 Pro4は変更した方が良いかも知れない。VRM(メイン基板上の部品群)の温度がクソ高くなる場合があり、サイコムはマザー変更できるので他の型番も選択肢へ入れるべきかと。
ゲーミングPCでこのレベルになると3年保証が欲しいので、ほぼ自動的に先月のおすすめのようにG-Tune(マウス)になってしまうため、あえてサイコムでカスタマイズしてみた詳細が上の画像の通り。
PC本体の税別価格は234,565円、延長保証が12,660円とマウスよりやや高め、総額は268,910円と表示されておりました。
赤い丸はカスタマイズ(部品を変更)した箇所で、いきなりCPUから変えているところがサイコムのような組立代行系BTOメーカーの特徴。マウスなど量産系BTOメーカーとは逆にカスタマイズするのが当たり前、しても割高にならない。詳しくはこちら>※関連:量産系BTOメーカーと組立代行BTOパソコンの違い - BTOパソコン.jp
本当はグラボをGTX 1080 Tiにしたかったのだけれども、どうやらサイコムの在庫が尽きたらしく1080が1千番台の最高性能。2千番台はコスパ悪いので先月同様にスルー。
1080を搭載するならCPUがCore i5ではボトルネックになる可能性を考えi7-9700Kで。9900Kにしなかったのは、ゲームのベンチマークで9700Kとの差がほぼなく割高だと判断した。
CPUクーラーを意図的に空冷としている理由はPC自作できない(しない)人が買うなら経年や使用状況で劣化する簡易水冷は避けた方が良いと考えたためで、アレは私らのように平気でクーラー交換できてしまう人用。虎徹シリーズ評判良い。
HDDの2台おかわりはバックアップ用、兼Steamなどのゲームを入れまくる用として、消去法で東芝製品、コスパを考えると3TBになった。なぜか4TBがやたらと高く1.6万円はさすがに意味わからない。
VGAサポートステイは高性能グラボは重いので支える用のパーツで、サイコムのオリジナルらしいので試してみたいところ、そしてマザーへの物理的な負荷を減らしたかった。
サイドバネルファンの追加はグラボへ風を送る用。フロントに200mmの大型ファンがあるものの、それだけではグラボが冷えるか不安として。
最後の延長保証は考えどころですな。サイコムの+2年延長は昔ながらの5%という良心的な料率ながら、さすがに税込25万円級になると保証料も高め。自力でパーツ交換できるなら要らないと思う、しないなら検討すべきか。
という感じで、サイコムはPC自作できる知識のあるユーザでなければ性能のバランスがわからず、自分に何が必要かもわからないならカスタマイズは難しいため、本来ならここで推薦するべきではございません。
しかし私がした通りにカスタマイズすれば良いわけで、上の例ならHDDは1台で良いとか無くても良いとか、そのくらいはできるならいじればOK。
但し、組立代行系は半自作ユーザ向け、マニア向けなので、カスタマイズでボッタクらない代わりに元々がやや高め。以下、パソコン工房のGTX 1060と似た仕様に近付けた。スマホから拡大するならこちら。
パソコン工房が税別129,980円に対し、サイコムは税別にすると163,463円となり、差額は33,483円もの開きがございます。
なぜかはサイコムのパーツには以下の理由があるから。
- マザーボードが全部Zシリーズ ※PC工房はBシリーズ
- 電源容量をこれ以上落とせない
- 市販単品と同じPCケースが高い
これらで1.8万円くらいの差が付いているとするならば、サイコムは組立代行代を1.5万円もらっているということ。商売なのだから当たり前。
ちなみに上記3点の意味は、
- Zシリーズはオーバークロックなど色々遊べる
- 高性能PC買う人が多いので電源選択時の容量が全体的に高め
- 市販のケースの中でも機能やデザインにこだわるので高価なモノになる
普通の人にはこれら不要だろうから、当サイトではPC初心者にも優しく、組立代行系より安い量産系をおすすめしております。
組立代1.5万とするならば、下手に安いPC買うともっとコスパ悪い=サイコムも安物(性能低いPC)はあまり本気で取り扱っていない。
BTOパソコンの購入時に関するQ&A
以下、テンプレ。
- Q. カスタマイズしなくていいの?
A. 「しない方が良い」が正解。量産系BTOはカスタムすればするほど割高になる。するなら長期保証、オフィス、(自力で増設できないならバックアップ用に)内蔵HDDおかわり、の3つくらい。 - Q. 静音パーツにしたい
おそらくコスパ悪くなるだけ。最近のCPUは発熱が低め、ケースファンはメーカーがエアフロー考えて最低限で構成、高性能グリスにしても体感で差はわからないレベルなはず。 - Q. パーツのメーカーや型番を知りたい
A. そういう人は自作しましょう。普通の人はメーカーとか型番にこだわらなくてOK。メーカー側も保証期間内に故障すると損なので変なパーツは使わない。自作する人が型番見るのは、電源の系統と12Vの容量とか、メイン基板の対応CPUや機能などを知る必要があるから。 - Q. やはりもっと性能や容量を上げたい
A. そういう時はカスタマイズはせず、標準構成で希望に近い機種を選びましょう。量産系BTOのカスタマイズはとにかく割高。上で書いた通りカスタマイズは、長期保証、オフィス、内蔵HDD追加くらい。 - Q. 助言はいいけどアンタは何者?
A. BTOメーカーの修理工場でデスクトップとノート合わせて数千台修理した後、営業部署へ異動したパソコンのことやメーカーの内情を知っている元社員で、BTOパソコン.jpブログをほぼ毎日10年以上続けてPC業界を見続けている、というハッタリが当サイトのウリなヒツジ先輩。周囲にPC詳しい人いるなら「ヒツジ先輩って知ってる?」と聞いてみればわかる。知らないかも知れないけれど。
今回オススメとしたBTOパソコン所感
サイコムの箇所が疲れた。
サイコムのカスタマイズページへ行ってみるとわかる、PC初心者には選びきれない量のパーツの種類があり、自作ユーザ目線で見ると最も自分に合うパーツを探したくなるので検索しまくり楽しくも疲れる。
今回のサイコムのカスタマイズでは、私が自分のPCを組むという見方ではなく、GTX 1080搭載機を私が組立し完成品として販売するならを考えたので別に楽しくはなし。
マウスやパソコン工房での提案はいつも通り感が凄くあり、ライトユーザなら安くて性能高めなCPU(APU)とメモリ4GB、本命は少し盛る、GTX 1060にはCore i5、のような。
今はAMDが頑張っているのでRyzenやAthlonという選択肢もあるけれど、これらがズッコケていたなら月刊ではなく季刊になっていたかも知れない。
以上。BTOパソコン=三流でも低品質でもノンサポートでもございません。コスパ重視の賢い後悔しない買い物をおすすめするためBTOパソコンを推奨。
>Athlon 200GE
TDPも35Wと低いですから、恐らく低発熱でCPUファンの騒音値も低いでしょうね。メモリが4GBですから高画質動画とか3DCGゲームとかは無茶ですが、毎日PCを使う必要が無い程度のライトユーザなら問題なさそう。
ただCPUパワーはそれなりにありますし、5万円超えですから格安とは言えません。あまり使わない方が買うのは少しもったいないですね。
>だいたい何でもできる実用的本命機
キャンペーンでBluetooth内蔵らしい無線LANアダプタ(USB2.0、11nまで)が付属するらしいですけれど、在庫処分かと思えるしょぼいパーツ。それ外す代わりに1,000円引きしてくれた方が嬉しい。
>一般PCユーザの皆さんは「ドライブ」という概念がない
そのおかげか、最近はストレージが「Cドライブ:80%、Dドライブ:15%(システムイメージ)、Eドライブ:5%(リカバリシステム。通常は見えない)」という構成も見かけますね。とかくCドライブの容量が少ない切り方はほとんど見かけなくなりました。
>ゲームが趣味で予算あるならこれで
騒音&振動吸収シートが標準で貼り付けとか面白い仕様。この構成で騒音とか振動とか気にするなよと思いつつ、貼ってくれるに越したことは無い。
>PC初心者には選びきれない量のパーツの種類があり
それでも動かない組み合わせを選んだら警告してくれる点は優しい。そのCPUクーラーは標準ケースに入らんぞとか、そのグラボ選ぶなら電源を変えろよ、とか。