JEITAが2018年10月の数値を公開。
前回の統計では6ヶ月ぶりの前年割れを記録したけれど、今回の集計分では再び100%超えを達成。とはいえ、XP祭り終了後からのここ4年は前年割れし続けたので100%が良い数字とは言えない。
いつも通りJEITAのコメントから。
国内パソコン出荷台数の前年比推移
ソースはこちらの2018年。
パーソナルコンピュータ国内出荷実績
http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pc/
当月のコメントより。
10月は法人向けが前年を上回り、全体でも2ヶ月ぶりに台数・金額とも前年同月を上回った。
2018年10月といえばWindows 7の販売が完全終了した月で、市販のパッケージやDSPなどの在庫は除き、ダウングレード版の7仕様PCもメーカーからの出荷が終わり。ライセンス契約的に新品の7PCはもう出せない。
その影響で法人向けの出荷が前年を上回ったのかと思ったけれど、後で出るデスクトップ単体の数値が特に好調なわけでもなく、7サポート終了15ヶ月前に駆け込み需要なぞ無かったと推測可能な当たり前感。
JEITAいわく「法人向けが前年を上回り」とあるため、暗に個人向けは前年を下回ったのだろうと憶測。
前年比の推移。
さすがに範囲2012年からは見づらくなったので2014年4月からへ変更。
改めて左から見て行くと、2014年4月のXP完全終了からの1年間はそれまで爆売れした分の反動が大きく出ており、2015年4月までは前年比として爆売れ年VS反動年なので厳しかった。
その期間を乗り越えた前年割れ終了予定月から元に戻るかと言えばそんなわけはなく、2年目にあたる2015年度(4月~翌年3月)も前年割れ多発。2年でパソコン買い換えるのはゲーマーくらいでしょう。
そして2016年は7月頃からWindows 10への無償アップグレード祭りがスタートし、タダで最新版Windowsバラ撒くとパソコン売れなくなると思えばその通りで、一見100%前後を維持しているように見えるけれど、この100%は2年連続の100%割れに対する100%が基準なので、まだまだ反動は継続中。
具体的には2014年通期前年比は76%、2015年は77%、そして2016年が98%なので、0.76x0.77x0.98となり答えは59%であり、前年比98%がほぼ100%に見えてもXP祭り年の通期より59%まで落ちたことになる。
無償アップグレードが終了した2017年度からは100%前後へ戻りつつあり現状に至るものの、この100%も2~3年間前年割れまくった100%が基準(XP祭り年基準59%)なので6割まで出荷台数が減り推移していることに。
年間も小数点1つまでで書いておきましょうか。
- 2014年:75.9%
- 2015年:77.4%
- 2016年:98.1%
- 2017年:97.0%
- 2018年:103.3% ※4~10月の7ヶ月間
以上より何が言いたいかは、前年比とは前年とその翌年を2つの線または月単位での点による比較でしかないため、XP終了祭り後からの数年間は前年比は昔と比較するには適さない、かも知れない話をのちほど。
カテゴリ別。
法人が好調なら水色、デスクトップ単体が盛り上がるはずが上がらず割れて89.1%となっており、ノートはいずれも100%少々、オールインワンは分母が小さすぎてブレまくり。
NECはとうの昔にLenovo、富士通も今年からLenovo、東芝は先月からシャープを中継した鴻海。一体型PC売れているの日本くらいと聞いたことがあり、本当ならばオールインワンはますます弱まりそう。
パソコン平均単価7ヶ月連続で最高値を更新中
前年比ではない実際の出荷台数と金額の推移。
2つに分けると、灰色が昔、色付きがXP祭り終了後の年。
こうして見ると月あたりの出荷台数は40万台、金額は400億円を下回らないような調整でもされているかのごとき最近の年の推移。
昔が見づらいので出荷台数を灰色だけにしてみましょうか。
なるほど。
- 大昔:60~140万台
- 最近:40~80万台
- 比率:57~66%に減少
後で貼る昔VS今年のグラフを見れば比率の数値とだいたい合っております。市場規模が6割前後にまで縮小したのだから、小回りの利かないソニー、NEC、富士通、東芝がPC市場に愛想尽かす気持ちもわかるというもの。
代わってBTOメーカーは逆にスーパー元気な企業が多く、各社ECサイトから活気を心で感じ取ると、マウス、DELL、日本HP、この辺りが特に元気。大昔の自作パソコンとDOS/Vパソコンな時代へ逆戻りか。
そう考えるとパソコンによるマルチメディアの時代から、端末を使い分けるマルチデバイスによるマルチメディアの時代になった印象があり、そうならば現状の、昔と比較し6割前後が今後のPC市場の規模の基準とも思える。
その国内での規模を2デバイスに分けて国別にするとこうか。レノボの国内規模がわからない。
- パソコン・・・日本>米国>中国
- スマホ&タブレット・・・米国>中国>日本
パソコンの日本はNECと富士通、米国とは世界シェア1位と3位のHPとDELL、中国は世界2位のLenovo、日本はマウスとか全部ひっくるめて。
スマホは国内シェア過半数なAppleが米国、中国はHuaweiほか中華端末全体、日本はソニーとシャープ、あとどこかある?な感じ。関係ないけれど最近Galaxyさん空気ですな。
平均単価は赤が今年の推移で7ヶ月連続で優勝。
本年度は法人が好調とJEITAが言い続けている割に単価下がりませんな。
法人向けPC=5万くらいの低性能安物デスクトップな印象が勝手にあり、JEITA統計の法人率は7割くらいと過去推測した記憶もあり、そうならもう少し下がれども自然。
ということは残り3割くらいと思われる個人向けPCが割りを食ってバカ高いパソコンを掴まされているのだろうか。
グラフのラストは過去比。本年度VS大昔。
出荷台数が6割前後まで減少は上の方で書いた通り。
これがもし現代的な平常運転、今どきなPC市場規模になったとするならば、この過去比は無意味かも知れない。もうこの状態が市場規模の「1」であり基準なのかも知れないのだから。
不可解な祭り後の市場規模6割状態
妙なことに気付いた。
上で祭り終了後の前年比を書いた時、XP祭り年とその前の大昔年の出荷台数が大差ないと感じた。祭り翌年の2014年度から2年さかのぼり前年比。
- 2012年:98.9%
- 2013年:108.6% ※祭り年
- 2014年:75.9%
- 2015年:77.4%
- 2016年:98.1%
- 2017年:97.0%
- 2018年:103.3% ※4~10月の7ヶ月間
変でしょう。XP祭りという言葉や、XP終了に近付くほど激しく盛り上がる前年比グラフの印象が強く勝手にだまされてしまった。祭り年の2013年はたったの8.6%プラスでしかございません。
2012年の98.9%でわかる通り2011年も同じくらい。数値でも出しましょうか、Excelからコピペするだけなので。単位は千台。
- 2011:11,277
- 2012:11,152
- 2013:12,108 ※祭
- 2014:9,186
- 2015:7,112
- 2016:6,975
- 2017:6,768
なぜ元々の1100万台規模が現在は700万台にまで落ちてしまったのか。
まだXP終了から4年半しか経過していないからとも言えるけれど、もう4年半も経過しているわけで、しかも4年半は最短であり、ほぼ全て4年半「以上前」に7へ移行したパソコンなわけで。
しかもStatCounterも当サイトの集計でもWindows 10率は5割を超えたところ、サポート切れ待ちの7率は当サイト基準で36%なので、XPとVistaは移行する気ないだろうとすると移行見込は残り36%くらい。
となるとスマホやタブレットが本当にポストPCしてしまったのか?と思えば、XP終了年の2014年はiPhone基準で5s/5cが最新、同年9月に6シリーズが発売されており、すでにスマホ流行っていたのでは。
ちなみにジョブズ氏死去は2011年10月というスーパー昔。
というわけで、ポストPCとかウソじゃないかと過去に何度か書いたけれど、ポストまではしていないとしても、人によりあながちウソではない可能性がありますな。
総務省のデータによるとPCとスマホの世帯普及率はいずれも7割くらい。今までケータイもPCも持っていなかったキッズらによる純増の影響、とは言い切れないのかも知れない。
本当に「スマホがあればパソコン要らない」という人が増えているのか。個人的にはスマホなどを兼用することでPC使用頻度が落ち故障しにくくなり、性能も容量も足りているので買い換えなくなり、キッズはスマホ渡しておけば黙るので子ども用PCとか要らない、パパ用PCがあればママはスマホで良い時代か。
昔と比較しPC需要6割が基準説、合っている可能性。
おまけ:毎月のJEITA統計記事はおもしろくない
以前コメントで「JEITA記事つまらん」と言われたけれど、実は私も書いていて全然おもしろくございません。ひと月の中で最もつまらん。
なのでいつもやる気なし状態であり余計に読んでいてつまらないだろうと思い、今回は強引に饒舌なやや長文にしてみたつもり。いつもより少しだけ書いていておもしろかった。
なぜ毎月やるか理由は4つ。
- 1日分の記事になるネタ切れ補完
- 単にグラフ化し見やすくしたい
- PC市場が今どうなのかわかる
- 皆も市場動向に詳しくなる
1と2はJEITA統計に限らないので置いておき、3が割と重要と思うのは、JEITAは分母が比較的小さいながらも毎月数値を出すので月単位での動向がグラフ化により視覚的にわかる。MM総研は分母デカいが半年に一度なので推移がわからないし、台数や金額は合計だけ。
毎月必ず一記事やるので私の勉強になり、その毎月勉強している私が感想文やツッコミを入れることで、それを読んだ若い人が将来PC関連の仕事やるようになれば何年も前からの出荷や金額の動向について語れるかも知れない。
簡単に言うとこう。
- 私にとってJEITA統計グラフ化は知識の鮮度を維持する仕事
- その感想文を読み「へー」と思う皆さんには読み物
のようなものかと。
ところでJEITAのここが心配。
DELLとHPが居ないのでアップル色が濃くなり、NECと富士通が縮小するとマウスなど統計不参加メーカーの方が国内PC市場規模を計るには最適となり、東芝のシャープ化は先月の話なので来年度参加するとは限らず。
わかっているメーカーの年間売上規模。
- 東芝・・・1500億円
- パナソニック・・・700億円
- ユニットコム・・・200億円
- エプソン・・・50億円
来年度で東芝が抜けたらJEITA記事やめましょうか。または東芝クラスが抜けるとVAIO(今100億円)どころではなく、「前年比」が大幅に狂うとするなら2018年度で一旦終わるか。
そして2019年度からが現状のPC市場規模「1」とした前年比グラフを再開し、2018年度までは見ない方向で行くか。そんな先まで私がブログ書いているとも思えないけれど。
Apple、NEC、東芝、富士通、レノボ、これら1社でもJEITA統計から抜けると前年比は出しても無意味であり、東芝が月125億叩き出しており仮に抜けるとなれば2割くらい前年度マイナスになる。
どこで東芝1500億円と知ったかはこちらの記事。
「具体的なシナジーはこれから考える」
source:シャープ石田副社長に聞く、苦境の「東芝PC事業」買収の理由 ── 1500億円の売り上げと技術の価値とは | BUSINESS INSIDER JAPAN
これはダメかもわからんね。
投票後に経過表示、投票せず経過のみ見るなら View Results をどうぞ。※2018.12.03 締めて画像へ差し替え
>2年でパソコン買い換えるのはゲーマーくらい
私の周囲ですと、特にゲーミングノートユーザは2年を最大として買い替えていますね。中には1年ごとに買い換える方も。うちゲームをメイン用途としている方はゼロという。多くはグラフィック関連、動画編集系。
>0.76x0.77x0.98となり答えは59%であり
169.5%で100%回復を達成。いくら厳しい会社でも前年比150%を目標に定めることは無かろうと。前年や前々年の結果を見るに、12月に向けて数字は下がっていく傾向がありますから、このまま前年比100%超えを維持できるか見もの。
>平均単価
一度も過去の単価を下回らないのは少し珍しい。PC全体の価格が上がっているのか、高級機の出荷が伸び続けているのか、はたまた両方か。
>スマホがあればパソコン要らない
私的な意見では「パソコンを買う金も置くスペースも無いからスマホで我慢する」ですね。金があればスマホとPCの両方を買うはず。
>なぜ元々の1100万台規模が現在は700万台にまで落ちてしまったのか。
2007年度:13社
2008年度:13社
2009年度:13社
2010年度:13社
2011年度:12社(シャープが抜けた)
2012年度:12社
2013年度:11社(三菱が抜けた)
2014年度:10社(オンキヨーが抜けた)
2015年度: 9社(ソニーが抜けた)
2016年度: 9社
2017年度: 8社(日立が抜けた)
この影響がけっこう大きいような。三菱が抜けたのに出荷台数が増えた2013年は、よほど好調だったと見るべき。