2021年3月号デスクトップPC編。
量産系BTOパソコンはPC初心者向けと言いつつも、性能の見方不明とか用途への提案がないので選び方が難しく感じてしまう。そんな貴殿へBTOソムリエなヒツジ先輩が厳選したオススメPCを提案する月刊企画。
本記事は当サイトおよびヒツジ先輩(私)の独断と偏見によるもので、最終的な判断はご自身でされることを極めて推奨。他人の意見に流されると後悔することがあるのはパソコンに限らず買い物なら何でも同じかと。
※毎月同じテンプレ部分は文字を灰色でお送りしております。
BTOパソコン.jp推奨PCデスクトップ編
用途別で4段階。
金さえ出せば上を目指せるのは当たり前なので、ここではコストパフォーマンスを重視した「これ以下はないけれど、これ以上は無駄かも知れない」で厳選しております。
画像をクリックすると売り場へ飛ぶ仕様。
1.安さ重視のライトユーザ向けなPC
今月も安定のこれ。
CPUのCeleronはモバイル用とは雲泥の差があると言える、デュアル(2)コアながら3.5GHzも出てしまう高性能プロセッサを搭載。
メモリは必要最低限な4GB、SSDも今では最低レベルな容量といえる240GBしかないため、足りない気がしたりもう1.5万円出せるならば次で紹介する2番の実用機をおすすめ。
とにかくカネがない学生など、ノートよりも高性能かつモニタで別途1.5万円出す気がある、またはモニタ持っており流用するなら。
パソコンに限らないけれど、カネが無い=自力でどうにかするパターンに当てはまるならば、おかわりメモリは4GBあたり2千円少々、SSD追加は500GBでも7千円、合わせて1万程度なのでセルフで後付する手も。
しかしそんな手間とかCPUがCeleronなところを考えると、もう1.5万円出して丸ごと保証してくれる次の2番機をやはり推奨したい。
用途としては、ブラウザで動画見るとか、フリーのオフィスソフトを入れて文書作成や表計算、iTunes入れてiPhoneを操作するなど軽い使いどころ向け。
使う人のイメージは、実家の両親へプレゼント、子どものプログラミング練習用、家族で共用しスマホの写真整理のようなライトユース。
2.だいたい何でもできる実用的本命機
さりげなく値上げしている前月と同じこれを実用本命機として。
差額は+1,500円程度なので8GBメモリの値上がり傾向を受けて比例させたのだろうと憶測。量産系BTOメーカーは競合が割と多い上に薄利多売なので仕方ないかと。
CPUのCore i5はゲームしないならオーバースペックといえる性能。6コア12スレッド、最大4.3GHzは名前がi5なだけで昔のCore i7より段違いな高性能。
メモリとSSDはお決まりの格安1番機の2倍で8GBと480GBとしており、普通に使うだけならメモリは8GBで足りる。私が今これを書いているフルHD3画面フル活用で作業しているパソコンでも。
SSD 480GBで足りないならば、きっと1TBにしても足りなくなる時が来るだろうし、今はSSDの1TB超えはコスパに難あるので素直に外付HDDにするか、中身いじるスキルあるなら自力でSATA接続の内蔵にするか。
ケチを付けるならこのケース、私も職場で使用しているPCと同じだけれども、前面はメッシュで中の灰色の鉄板が見えるため、見た目のダサさを気にするならやめておきましょう。完成品PC買う人でそんなこと気にする人が居るとも思えないけれど。
用途は、1番のライトユーザ向けと同じ+パソコンの使用頻度が高い、これ1台で5年以上は使い続けてやろうと目論んでいる人向け。故障しないわけではなく、性能的に時代遅れになりにくいという意味で。
使う人のイメージは自分用メインPC。もちろん子ども用とか家族共用としても、たいていのことはこれ1台でこなせるはず。
3.ゲームするなら最低でもこのくらい
7万円切りのGTX 1650搭載仕様が完売してしまったのでこれで。
グラボはGTX 1600番台の上から2番めかほぼ1660 Tiと同等な1660 SUPER、対してCPUがゲーミングPCとは思えないCore i3となっております。
知識が少し古いならばゲーミングPCはCore i5以上と決めつけがちやも知れず、このCore i3のどこがゲーミング仕様ではないといえるのか。
- Core i3-10100(3.6-4.3GHz、4コア/8スレ、TDP 65W)
グラボが最新のRTXとかならさすがにCore i3はマズいかもと思うものの、GTXならば大丈夫だろうと思いつつ一応確認してみた。画像はGoogle翻訳後。
source:i3-10100 & GTX 1660 S | Bottleneck calculator | PC Builds
CPU側のボトルネック率が5.16%は割と優秀。ゼロにするのは至難、できればGPU(グラボ)側にボトルネック持たせたいけれど、ここは価格優先。ちなみに数千円高いRyzen 5 3500にするとGPUボトルネック3.09%になった。
ここまでPC本体代をケチる人が1440Pや4K解像度のモニタを持っているとは思えないけれど、解像度を上げて行くとバランスが良くなって行く。
送料と消費税含めても10万円行かないところが魅力。画質を上げすぎない生粋のゲーマーならば今はまだこれでも全然戦えるはず。
PCメーカー全体がGTXから引き上げようとしている、3千番台の在庫が復活するまでに2千番台の処分に行きたがっている、なのでGTXで良いなら今は時期が良い、またはラストチャンスがナウ。
用途はもちろん3Dゲーム。
使う人のイメージは、これ以上の予算はひねり出せない学生やフリーターや自宅警備員、高画質にこだわらないゲーマー、またはあまりにもな高性能を要しないゲームをする人。
4.ゲームが趣味で予算あるならこれで
こちらもこっそり値上げ。
前月との差額は+9,900円。末尾を980円で締めるパソコン工房にしては珍しい。+10,000円と書かれると印象悪いので100円削ったのか、という妄想はさておき。
なぜ値上がりしているかはまた最後で詳しく書くけれど、自作用の単品も含めて完成品PCでも全体的なグラボ不足または高騰傾向となっており、PCパーツなのにグラボ全体が発売時より値上がりしております。
範囲はやたらと広く、GTXはほぼ全滅、RTX 3千番台はバカ高い3090以外がほぼ消滅、RTX 2千番台はあるけれど値上がり&取り扱い店舗減少中&今更2千番台もないかと。
BTOメーカーも同様で、パソコン工房に限らず3060 Ti~3080は壊滅状態で、パソコン工房も3070がかろうじて今まだある程度で3060 Tiと3080は無し、3070も時間の問題かと。今私がこれを書いている時点でたまたま在庫があっただけ感ある。
構成へ話を戻すと、RTX 3070搭載はRTX 2080か最上位の2080 Ti並と言われる性能なので、それらと比較すると5~7万円くらい実質安くなった。
そこまで高性能な割にCPUがCore i5-10400はけしからんと思われそうなのでボトルネック計算機して来たところ、フルHDならばCPU側が0.08%という奇跡的な良いバランス。1440Pは0.93%、4Kで2.53%なので全然許容範囲。
用途は当然3Dゲーム、精細な描画やフレームレート、高解像度にまでこだわるゲーマー向け。
使う人のイメージは、大人の趣味の道具として普通のパソコンではなく、わからない人には意味不明なほど高額でもOKなゲーマー。または単なる金持ち。
BTOパソコンの購入時に関するQ&A
以下、テンプレ。
- Q. カスタマイズしなくていいの?
A. 「しない方が良い」が正解。量産系BTOはカスタムすればするほど割高になる。するなら長期保証、オフィス、(自力で増設できないならバックアップ用に)内蔵HDDおかわり、の3つくらい。 - Q. 静音パーツにしたい
おそらくコスパ悪くなるだけ。最近のCPUは発熱が低め、ケースファンはメーカーがエアフロー考えて最低限で構成、高性能グリスにしても体感で差はわからないレベルなはず。 - Q. パーツのメーカーや型番を知りたい
A. そういう人は自作しましょう。普通の人はメーカーとか型番にこだわらなくてOK。メーカー側も保証期間内に故障すると損なので変なパーツは使わない。自作する人が型番見るのは、電源の系統と12Vの容量とか、メイン基板の対応CPUや機能などを知る必要があるから。 - Q. やはりもっと性能や容量を上げたい
A. そういう時はカスタマイズはせず、標準構成で希望に近い機種を選びましょう。量産系BTOのカスタマイズはとにかく割高。上で書いた通りカスタマイズは、長期保証、オフィス、内蔵HDD追加くらい。 - Q. 助言はいいけどアンタは何者?
A. BTOメーカーの修理工場でデスクトップとノート合わせて数千台修理した後、営業部署へ異動したパソコンのことやメーカーの内情を知っている元社員で、BTOパソコン.jpブログをほぼ毎日10年以上続けてPC業界を見続けている、というハッタリが当サイトのウリなヒツジ先輩。周囲にPC詳しい人いるなら「ヒツジ先輩って知ってる?」と聞いてみればわかる。知らないかも知れないけれど。
今回オススメとしたBTOデスクトップ所感
昨日ノート編で書いたパソコン工房ポイント還元の話を再び書いても仕方ないのでポイント還元がどのくらい得かはノート編の締めをどうぞ。
デスクトップ用グラボは現在品薄すぎに陥っており、原因は間違いなくマイニング需要。秋葉原の店舗では「グラボは1人1枚まで」の張紙があるくらい。
過去90日分のBTC価格の推移。
source:Bitcoin price | CoinGecko
ここ2年ほどは2千ドル以下で推移していたBTCが年末頃に上がり始め、現在は5千ドルを突破しそうな勢い。確か3千ドルを超えた頃からグラボが消え始めたので3千を切らなければ、2千に近付かなければマイニング需要は終わらないと推測。
仮想通貨詳しくない人用に少し説明すると、BTC(ビットコイン)は取引で売買する以外にマイニング(掘削)というシステムで手に入れることができ、そのマイニング用にグラボ(GPU)がいくつも使われる仕組。
1BTCが2千ドルの頃は日本国内の電気代では割に合わなかったところ、3千ドルを超えるならば割に合うのでグラボ購入しまくり投資しているのでしょう。グラボなどと電気代を投資してBTCが手に入るのだから、高値の今は手に入れたBTCをリアルタイムで売れば良い流れ。
また、仮想通貨の価格はBTCが中心なのでBTCが上がれば他の仮想通貨の価格も上がり、マイニングできるのはBTCだけではないため、BTCが上がるとマイニングできる仮想通貨の掘削需要も上がるという、グラボ欲しいゲーマーにとっては悪循環かつウルトラ今は時期が悪い。
加えて今年から深刻な半導体不足が追い打ちをかけており、いつまで「今は時期が悪い」が続くのか誰にもわからないため、ゲーミングPCは在庫出た時点ですぐに買うか、トンネル出るまで待ち続けるしかなさそう。
以上。BTOパソコン=三流でも低品質でもノンサポートでもございません。コスパ重視の賢い後悔しない買い物をおすすめするためBTOパソコンを推奨。
>ゲームするなら最低でもこのくらい
>ゲームが趣味で予算あるならこれで
パソコン工房のゲーミングPCで個人的に気に入らないのはケースに赤が入っていることなので、クリエイターPCやビジネスPCから選ぼうと思います
気に入らないまではいかなくてもグラボの出力がDPとHDMIの各1づつなのが気になっています
私はDVIとDPが搭載された8年もののモニターを2つ持っていますが、HDMI非対応なので…
まだ使えるのに買い換えるのはもったいないと思っています
それにしてもDVIが時代遅れになっていたのには驚きました…
>加えて今年から深刻な半導体不足が追い打ちをかけており、いつまで「今は時期が悪い」が続くのか誰にもわからない
【日本の解き方】半導体不足はいつ解消するか コロナや対中制裁で需要増、年後半には需給が緩む可能性 - zakzak:夕刊フジ公式サイト
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210217/pol2102170001-n1.html
半導体不足は今年後半には需給が緩むかもしれませんよw
>ゲーミングPCは在庫出た時点ですぐに買うか、トンネル出るまで待ち続けるしかなさそう
RTX3060~3050搭載のデスクトップPCを買おうと思いましたが、今すぐRTX3000番台が必要な用途がないので、GTX1600番台のPCをすぐ買ったほうがいいんですかね?
他メーカーでも検討しています
mouse DT7-G 動画編集やオンラインゲームも快適なデスクトップパソコン │ BTOデスクトップパソコンの通販ショップ マウスコンピューター【公式】
https://www.mouse-jp.co.jp/desktop/dt7-g/
マウスなら無線標準搭載とグラボの選択肢にDP×3なGTX1660 SUPERが良いと思っており、RAM8GBとSSDとHDDを自前で追加するならありと思っています
サイコムもWindowsとRAMとSSDとHDDを自前で追加するならいいと思っていますが、CPUがi7-10700(無印)とi7-10900(無印)だとRAMがDDR4-2666ではダメでDDR4-2933ではないとダメなのはなぜなのかわかりません
他メーカーのPCではi7-10700とDDR4-2666の組み合わせは普通にありました
サイコム以外の組立代行系メーカーも検討しましたが、選択肢が分かりづらいのでやめました
なお、どのメーカーのPCを買っても光学ドライブ(去年より使用頻度が大幅に低下)とサウンドカードは今のPCから流用予定です
>CPUがi7-10700(無印)とi7-10900(無印)だとRAMがDDR4-2666ではダメでDDR4-2933ではないとダメなのはなぜなのかわかりません
勘違いしていたので訂正です
i7とi9全体がDDR4-2666ではダメでDDR4-2933ではないとダメが正しいです
>デュアル(2)コアながら3.5GHzも出てしまう高性能プロセッサ
私はあまりセレロンを「高性能」と持ち上げるのは控えた方が良いと思います。あれは「YouTubeで中画質の動画を再生しながらワードで論文を書く」くらいの低負荷で真価を発揮するCPU。ゲームにはまったく力不足ですし、フルHDの動画を再生しながらエクセルでグラフを再生する程度の負荷でも引っ掛かりを感じる場面はあります。
ヒツジ先輩「高性能(割り切って使う低負荷用途なら)」
PC初心者「高性能(3Dゲームは無理でもPCで行う作業の大半はこなせる)」
これくらいの差がありそう。私はセレロンを「スマホでもたつきながらやる作業が快適にできる程度の性能」だと解釈しています。
>1660 SUPER
コレならギリギリでPentium Goldでもボトルネックを感じないクラス。なおスペック差は以下くらい。
Core i3 10100
3.60~4.30GHz、4コア8スレッド、6MBキャッシュ、UHDグラフィックス 630(350~1,100MB)、65W
Pentium Gold G6400
4.00GHz、2コア4スレッド、4MBキャッシュ、UHDグラフィックス 610(350~1,050MB)、58W
ほか発売時期(2020年のQ2)とかプロセスルール(14nm)とかは一緒。ここら辺、どこまでどれを削るか悩むのは自作の醍醐味。