CPUの冷却には通常は空冷クーラー。
水冷パソコンはオーバークロック同様に趣味やハードウェア遊びの世界で、手を出せる人間は知識を持つ以外に、金と手間とスリルを持ち合わせる必要がございます。しかし最近の流行りは簡易水冷。
これから普及するかも知れないので、適当に見て参りましょう。
簡単に空冷との違い。先に空冷の場合。
- パソコンが起動するとCPUが発熱
- CPUに密着しているヒートシンクに熱を伝導
- ヒートシンクの熱をファンが回転し吸気で冷却
水冷は2以降が変わります。
- パソコンが起動するとCPUが発熱
- CPUに密着している水枕内部の液体が熱を吸収
- 液体はラジエーターに送られ、ファンが回転し冷却
やや変態掛かりますが、私が昨年まで使用していた空冷のアンディー侍。
下にCPUが密着し、銀色の部分がヒートシンク(と、ヒートパイプ)。上に載っているファンはケース用に使われる12cmのやや大きめなやつです。インテル純正ならもっと小さめ。
水冷の例は、昨年末に買い換える際、今これを書いているPCが危うく水冷化しそうになった変態度高めのVANTAGEシリーズ。
source:バンテージアルク
簡易では無い水冷は、無知なオーバークロックや取付の不具合で水漏れを起こすJUNS(ジュンズ)のパソコンから引くわけに行かぬ為、neglockさんの記事から借ります。
source:ネグロックの補助脳 静音化は成功したんだけど・・・意外な盲点
写真中央にチラ見えしている丸部分がCPUで、ラジエータはケース背面(写真左の外)でしょうか。グラボも水冷、手前に補助のファンが付いているようです。
今回このような変態パソコンは関係無いので御安心有れ。
簡易水冷のCPUクーラー売れ筋ランキング
簡易水冷で絞れない為、ランキングを加工した20位までの上位4種類。2011年4月下旬の売れ筋順位。
source:価格.com - CPUクーラー 売れ筋ランキング
アンテック、サイズ、コルセアと有名所が並ぶ下、18位で先に画像で紹介したCoolITの簡易水冷シリーズ。型番のECOはモニタが付いていない安い機種ですが、人気は他の3機種には及ばないようです。
1位のアンテックは3月、3位のサイズは2月発売の製品な為、旬なパーツを自作マニアがいじり倒している所かと思われます。
10位に落ちていますがコルセアのCWCH50-1は息が長く、発売は1年半くらい前。クチコミ件数や採点者数からも利用者が多い事が判ります。
簡易水冷クーラーの選び方
性能や機能、取付の難易度は各製品のレビューを参考にしましょう。目安として5件以下は評価が偏っている事が有り要注意。
価格.comに書いているユーザは超の付くマニアが多く、新製品やこの手の変わり種な人柱報告としては価値が高く、私もパーツ購入の際は最も参考にしております。
レビューを見る限りで最も人気の有るCWCH50-1を利用する前提で、私が取付けるならと妄想し、利点と難点を各5つで参ります。
簡易水冷クーラーの「難点」5つ
先に簡易的な水冷の難しい点。
ケースやマザーボードの構造が限られる
BTOパソコンや他作PCのように完成品が手元に来るなら良いものの、自作や改造による交換では作業者の判断になる所。
例として、私のPCが簡易水冷を回避出来 ではなかった、残念ながら簡易水冷化出来なかった原因がマザーボードとケースの関係。
マザーボードの背面側から。画像右半分のファン付き突起にご注目。
PCwatchより、別のマザーで取付済の画像を拝借。
source:【多和田新也のニューアイテム診断室】 液晶内蔵のCoolIT SYSTEMS製水冷ユニット「Vantage」
左上にラジエータとファンが有り、通常のケースファンの2倍以上の厚さ。私のPCではマザーのヒートシンクを外さなければ物理的に入らないわけです。ASRockのお陰で助かり 無念です。
マザーボードのCPU周辺が冷やせない
空冷ではCPUの真上に吸気(CPU、マザー側に向かう)エアフローが有るものの、上の写真の通りでファンがケースに付いている為、これではマザーボード表面や載っているコンデンサなどが冷えない構造。
最近のコンデンサは破裂して液体を撒く電解では無く、個体コンデンサを搭載する物が多め。中には日本製など気合が入っていたりしますが、安かったり古めのマザーなら、基板の冷却不足は故障の元になりましょう。
ケース内エアフローが無視される
価格コム3位のCWCH50-1はファンの吸排気が逆。
通常のケースリヤファンは、内から外へ空気を送りますが、外からケース内に取り入れる仕様。ファンを逆にすると冷えが悪いとクチコミが書かれており要注意。
私が使っているケースの例。
source:HAF 912 Advanced (Asia only) - Cooler Master
電源が下で4番にもファンが有りますが、普通は電源が上で4の天板ファンは無いとすると、電源ユニットが下から吸う空気が3番に排気されます。
CWCH50-1で電源ユニットが上の場合、電源が吐いたエアーをケース内に戻してしまう循環になるでしょう。
水枕の取付と取り外しは要分解
空冷のインテル純正や小さめのCPUクーラーなら、LGA775以降はプッシュピン方式でマザーボード上空から抜き差し出来ますが、大型クーラーや簡易水冷はマザーボードの裏から留める事になります。
私の微妙な変態ケース自慢のようですが、そうでは無く。
上の写真はケースの向かって右側板を開けた、いわゆる裏配線というもので、右上の灰色の四角がCPUを設置しているマザーの裏面。ここにバックパネルを敷いてクーラーを取付ける事になります。
一般的なケースは向かって右を開けても何も無く、バックパネル用の穴も空いていないでしょう。マザーボードを外す事になる=グラボやストレージ、スイッチ類の配線も取り外す、という事です。
高額で種類が少なく水漏れが怖い
そのまんまですが、空冷の高性能なCPUクーラーと同等の価格で、冷える冷えないという意見が別れており、機種を選ぼうにも製造メーカーが未だ少なく。
タンクやチューブをカスタマイズする本格的な水冷では無いものの、歴史が浅い簡易水冷で漏れない保証はございません。
万一、ケース内部で破損すると、マザー、CPU、下に有るならグラボや電源まで危険な状態。ショートするとメモリなども逝ってしまうやも知れません。
簡易水冷クーラーの「利点」5つ
難点5つに対して利点も5つ。
CPUファン(ラジエーター)の掃除が楽
ぜひBTOパソコンで採用して欲しいと思う構造が、ラジエータがケース背面に付いており、CPUやマザーボードの周辺を触らなくて済む事。
ケースを開けてCPUの付近を掃除機のノズルや湿った綿棒でクリーニングするより、特に初心者用としては遥かに安全と言えましょう。
CPUからヒートシンクを外すより、ラジエーターとファンをケースから分解する方がぶっ壊し率が低いと見ます。
ヒートシンクが無くCPU周辺が省スペース
空冷クーラーの嫌な事は、ヒートシンクがあまりにも大きく、マザーボードに載っているCPU周辺の部品へ物理的に干渉する可能性。
製造メーカーの公式ページなどで細かくサイズが書かれているなら結構ですが、それでも予想外の事は起こるもので、想定していた向きとは逆にしなければ取付が出来ず、結局マザーのヒートシンクやコンデンサとぶつかってしまうなど良く有ります。
その点、水冷はCPUの上は水枕のみな小型で空間も省スペース。
ケース次第では冷却効率の高いエアフロー
CWCH50-1がケースの吸気になると聞き、その変態仕様に笑いましたが、ケースに付いているファンを全て逆にする手が有ります。
先程と同じ写真、赤の排気と水色の吸気を逆に。2番や電源は無関係。
まずCWCH50-1の仕様で3番から吸気。私のケースでは4も吸気にすると、CPU周辺に外気が取り込まれます。そして1番のフロントファンが付いているなら、ここから排気するとケース内の温度として最適ではなかろうかと。
冷やす最優先はCPUの周辺とグラボ(2の矢印先端付近)周辺。ハードディスクは温度無関係に故障する物としてフロントは後回しと考えます。フロントファンが無いケースも有るでしょう。
ケースの背面吸気は電源ユニットが下になる事で、外気を理想的に取り入れると思っております。
電源さえ下なら、逆エアフローケースが出てもおかしくないと思っておりますが、私は何か重大な勘違いをしているでしょうか。
吸気がCPUや電源の周辺に近い
電源の排気が循環してしまう難点とは別に、電源ユニットが底面設置のケースなら前出の逆エアフローとかぶりますが、外気を近くから取り込める構造は良かろうと。
そこまで考えるなら、ケースの側板に12cmファンの吸気を付けるとは思いますが、ラジエーターの仕様でリヤファンが吸ってしまうなら電源は下が前提。
電源上でも良いとは思いますが、下より水冷効率は落ちるでしょう。物によりますが、電源が結構な熱風を出している事は手をかざすと判ります。、
外部補助送風装置(扇風機とも言う)が有効
接尾に「かも知れない」を付けたい強引な4点目ですが、空冷はケースの中央寄りで熱の集中する場所にクーラーが設置されているものの、簡易水冷はケース背面に密着しており外気で液体を冷却するには室温の影響が高め。
エアコン直下なら真下に冷風が来るようフィンを調整したり、使っていない冷蔵庫が有るなら扉を開けてPC背面に設置するとか。
側板を透明化して格好良さをアピール
簡易水冷、最大の利点。CPUの冷却がファンレスでかっこいい。
但し、それを見て判る人間は少なく、ケースの側板が透明なユーザは自作PCくらいのものでしょう。
私のケースは側板が透明で、ホコリが見え易い、撮影し易い、ASRockのマザーが見ていないと思ってトランスフォームしていないか監視出来る、という目的ですが、簡易水冷の装置も見える為、人により格好が良いという価値観は有るでしょう。
個人的にはマニアと思われたく無い為、見せたくはありません。
SandyBridge-Eのインテル純正クーラーは簡易水冷?
実はこれが本題で、何とインテル様がSandyBridge-Eの純正クーラーに簡易水冷、しかもH50シリーズを採用予定との事。
北森瓦版 - SandyBridge-E には水冷クーラーが同梱されるらしい
http://northwood.blog60.fc2.com/blog-entry-4839.html
source:Intel to bundle Liquid Cooling with Retail Sandy Bridge-E Processors? - Bright Side Of News*
SandyBridge-Eとは、現在のLGA1155や1366で言うCore i7が新しくなるCPUのコードネームで、LGA2011という新しい規格。
左から4列が2011年の4分割、右端1列が2012年1~3月頃。
北森殿より引用。
水冷クーラーを使用することにより、これらExtreme Edition processor群はより高い周波数で動作させることができ、より高い性能を実現できるという。
EEと有る為、最上段Core i7 990Xの後継のみとも取れます。
インテルが採用するとなれば簡易水冷はネタでは無く本気の冷却装置。本当にコルセアと提携するなら、CWCH50をインテルも認めているとも解釈出来ます。
正直、簡易水冷(笑)と思っておりましたが、液体の循環クーラーに本気を出す時が来るのかも知れません。
BTOパソコンも簡易水冷になるかの予想ですが、おそらくまだ先の事でしょう。 私の勘は良く外れますが。
カスタマイズでドスパラやサイコムがやってはおりますが、サイコムは自作寄りなので別としても、需要が有るならドスパラがもっと本気で売り出しているはずです。
また、SandyBridge-Eの純正に簡易水冷が採用されたとしてもサイコムやクレバリーを越える生産量を持つメーカーではCPUはバルク仕入が普通。CPUが沢山トレイに載って入って来る仕組で、CPU以外は何も付いて来ません。
しかし繰り返しになりますが、インテルが本当に簡易水冷を突っ込むなら今後の普及は考えられ、更にExtremeEditionというハイエンドCPUの冷却用とするなら、BTOパソコンでは相応の空冷クーラーを用意する事になり、現状の数百円クーラーでは難しいかも知れず。
インテルはオーバークロックの事を言っているのかも知れませんな。今でいう、i7-2600Kのような性能でリテールのみ簡易水冷とか。
以上、個人的に簡易水冷を嫌っておりましたが、偽では有るもののインテル信者なので、インテルが本気で同梱するなら、私も簡易水冷を前向きに検討したり考えて想定する予定で、要するに未定です。
>私が昨年まで使用していた空冷のアンディー侍
なんかもったいないなw 1366に取付けるキットとか無いんですかね。
いや、HAF912がいいからリテールでも冷えるとかそういう問題じゃなくて
それならせっかくだからOCしるってことだよ言わせんな恥ずかしい。
>neglockさんの記事から借ります
なるほどこれが手狭になっていってSST-TJ11B-Wに走ったのかw
てか、この時点で既に相当デカいケースだしw
>コルセアのCWCH50-1は息が長く、発売は1年半くらい前
あれ?後継のCWCH70はどこいったと思ったらランク外だったw
>ASRockのお陰で
先生ナメんなw だって変態先生は簡易水冷ごとき想定して無いし(キリッ
>安かったり古めのマザーなら
Prescott時代にCPU周りに普通に電解コンデンサ使ってる超絶地雷があってだなw
>CWCH50-1で電源ユニットが上の場合、電源が吐いたエアーをケース内に戻して
上部電源ユニットなら多くの場合、ケース内部側吸気→背面排気になるのでは?
で、その場合電源ユニットの下あたりに背面ケースファン排気があるので、そこに吸気向きでラジエターを搭載するはず。
つまりラジエターで温められながら吸気されたエアを電源ユニットが吸う感じ…
ダメじゃねーか。まったくダメじゃねーかオイw
>私の微妙な変態ケース自慢のようですが、そうでは無く
いや、半分はそのつもりだろw さあ白状するんだw
>冷える冷えないという意見が別れており
水冷というか簡易水冷は特にだと思うのですけど、ラジエターをどう冷やすかがキモなんじゃないですかね。
だって水枕自体がクソ小さい(冷却液自体が少量な)ワケだから、そりゃラジエターを2つのファンでサンドするとかしてやらなきゃ冷却液自体が冷える余裕が無いでしょうよ。
>歴史が浅い簡易水冷で漏れない保証はございません
いくらメンテナンスフリーとは言ってもせいぜい2年くらいで代えるようでしょうし、私みたいなモノグサには無理だわw
>万一、ケース内部で破損すると
某ネグロックさんですらエラいことになってましたよ。
いや、でもなんかもう楽しそうなんですけどね。
http://neglock.blog66.fc2.com/?q=%BF%E5%CF%B3%A4%EC
てか、水漏れキターーーーー!じゃねーよw 心待ちにすんなw
>ラジエータがケース背面に付いており、CPUやマザーボードの周辺を触らなくて
でも基本ラジエター部は吸気になるワケだから、自然吸気と比べてケース内へのホコリの吸い込みっぷりは逆に半端じゃないと思うのw
>空冷クーラーの嫌な事は、ヒートシンクがあまりにも大きく
むしろそのヒートシンク自体のメンテが不要ってのが最大の利点な気がします。
なんせ一番ホコリ吸って目詰まり起こすところですから。
>逆エアフローケースが出てもおかしくないと思っておりますが
いえ、問題ないとは思うのですけれど、基本はケース内が負圧であること、隙間から自然吸気される状態が冷却効率は高いはずですので、そのままファンを逆にするだけではなくて、設計の段階で上部の200mmファンを小口径に変え、逆にフロントのケースファンを大口径のものにしてケース内が常に負圧となるようにすれば従来と同様のケース内温度を保てるのではないかと妄想します。
>使っていない冷蔵庫が有るなら扉を開けてPC背面に設置するとか
おいヤメr
>ASRockのマザーが見ていないと思ってトランスフォームしていないか監視
変身見られて正体バレると次回最終回になってしまうから許してやれ。
>インテルが採用するとなれば簡易水冷はネタでは無く本気の冷却装置
リテール込みのCPUボックスの価格が大変なことになるなw
バルクが人気になると妄想。
>今でいう、i7-2600Kのような性能でリテールのみ簡易水冷とか
一応、水冷リテールの噂があるSandyBridge-EってLGA2011でメモリは4チャネルの化物ですよね?
それATXの企画に収まんのかよwっていうレベルのものですし、現行のSandyBridgeみたいなメインストリーム向けCPUとは別枠になると思うのですよね。
どう考えてもコアなマニア層ってかエンスージアスト向けですもんw
>ケースに付いているファンを全て逆にする手が有ります
おお、素晴らしい!
踊る引き出しの人と同じ人とは思えんw
簡易水冷リタイア人間としては、良い意味でも悪い意味でも、簡易水冷は後ろ向きにお勧めします。やるやらやれ、後悔するなよ、という心持ち
>私のPCではマザーのヒートシンクを外さなければ物理的に入らない
私の目が正常なら、サイドパネルに12/14センチファン用の穴が開いているように見えます。HAF912の剛性をもってすれば、ラジエーターとファンくらいサイドパネルで支えられるでしょう。開ける時と閉める時が怖いだけです、大丈夫だ、問題ない
>マザーボードのCPU周辺が冷やせない
>ケース内エアフローが無視される
確実にエアフローは悪くなりますね。私のAntec簡易水冷環境では、グラフィックカード(GTX460)がアイドル時で3~4度、高負荷時で5度ほど温度が上昇しました。グラフィックカードはCPUの直下にありましたから、裏面で少なからず熱をかき回して吐き出してくれるCPUクーラーが無いと、どうしても温度が上昇してしまうようです
……いま書いていて気づきましたが、グラフィックカードの真上にあるコンデンサはやや過酷な環境だったということでしょうか
>SandyBridge-Eのインテル純正クーラー
もういっそのことCPUとヒートシンクを一体化、むしろCPUをヒートシンクの形にして発売しようぜ、と思っていましたが、簡易水冷という変化球で攻めるとは。挑戦的で面白いと思いますが、まさかプッシュピン取付ではありませんよね?
Antecの「KUHLER-H2O-620」に関しては、ひとつ大きな警告があります
「バックプレートは付属のクッション付き両面テープで固定しないように」
この両面テープ、とても強力で大変に強固かつ頑強で非常識なまでの粘着力があり、手では完全に剥がすことが出来ません。かといってマザーボード裏にカッターなんぞ当てるわけにもいかず、ヤスリも不可。仕方なくシール剥がしを垂らして少しずつ素手でこすって剥がしていきましたが、未だ完全には剥がせておりません
取り付けてしまった方は遅いですが、まだな方はご自分で両面テープを用意するか、ネジのみで固定するかした方が良いです。ネジだけでも十分に止められます、というより、両面テープなんぞ使わずセロテープで仮止めしてネジを締めた方が良いです