修理現場で困る申告症状の一つが電源が入らないです。
なぜ困るかは、修理現場で電源が入ってしまう事が多く、何が原因なのか本格的に不明な事多数。ハードウェアの検査や物理的に故障していれば、それが原因として部品を修理交換出来ますが、50%程度の確率で電源は入ってしまいます。
「時々電源が入らない」
この「時々」を付けるか否かでも状況は変わり、何が原因で「時々」電源が入らないのかを徹底的に調べます。10回中1回でも電源が入るなら「時々」を付けましょう。最良は何回中何回程度、何%くらいの確率で、などと体感でも数値で伝えると修理が早く進む事があります。
電源が入らない原因を10通り説明しましょう。今回は電気の流れと共に進みます。
- コンセントに電気が来ていない、電圧が低過ぎる
- コンセントにプラグが挿さっていない
- 電源ケーブルが断線
- 電源ユニットのスイッチがオフ
- 動作条件の室温や湿度の上限と下限が仕様外
- 電源ユニットが故障
- マザーボードの故障
- CPUなどマザー以外の部品が故障
- 電源の配線がマザーボードから外れている
- 電源ボタン内のスイッチが故障
私は電気設備の専門では無いため、一部素人表現が有りますが御容赦あれ。
「パソコンの電源が入らない」に対する10の回答
コンセントに電気が来ていない、電圧が低過ぎる
ブレーカーのスイッチが降りていないか、延長しているならその装置に電気は来ているか。パソコン以外の何かを挿して電源が入らなければパソコンは関係有りません。
日本の規格である100V(ボルト)は常に100Vでは無く95~105Vを上下しているそうですが、聞いた話によると沖縄は電圧の上下が大きく、一時的に90Vを切ったりなどという不安定らしいです。
この場合、修理現場ではもちろん原因が判りません。
コンセントにプラグが挿さっていない
おそらく最も多いと思うおっちょこちょいな挿し忘れ。パソコンに限らず電源が必要な物全てですが、パソコン本体のプラグは挿してもモニタの電源を取っていないというPC初心者も居られました。パソコンにモニタを接続するだけでは電源は取れません。スピーカーも同様。
余談ですが、現役時代にWindowsが起動しないという不具合に対してパソコン本体の電源が入らず、電源も故障か?と思ったらプラグ挿していませんでしたというお粗末を2回ほどやった覚えが有ります。挿したはずでも、もう一度確認を。
もちろん修理現場では正常に動作するため原因不明または異常無しとなります。
電源ケーブルが断線
無さそうで結構有る、電源ケーブルの不具合。被覆を剥いで調べたわけでは無いため、断線と断定して良いかは解りませんが、ケーブル交換で電源が入ったという改善は少なく無い。
パソコン本体を修理する際は通常パソコン本体のみ送れば良いものですが、電源が入らないなら電源ケーブルも念のため同梱して送りましょう。
修理現場では電源ケーブルが無ければもちろん原因不明、本体に異常無しです。
電源ユニットのスイッチがオフ
これは多い、電源装置自体にスイッチが付いておりオフになっているパターン。これを見越して工場出荷時に主電源をオンにした状態で出荷するメーカーも有るかと思いますが、そのために主電源の存在を知らないユーザは多いかと。説明書には書いてあるはずです。
画像をマウスより拝借。
最上部、横長四角の部分が電源ユニットでプラグを挿す下に付いているスイッチが電源ユニットの電源スイッチです。プリントされている「-」は電源オン、「○」はオフ。一見、「○」がオンに思えますが通電という意味で「-」がオンと覚えましょう。
TFXなど小さい電源(スリム、キューブなど)や安物の電源ユニットにはこのスイッチが無い事も有りますが、その場合は常にオンになっております。
修理現場では「まさかね」という疑いから入るため、電源ユニットに有るスイッチの存在を知っているかユーザへ問い合わせる事が有ります。ここでウソを付き「知っている」と答えると、別の原因が有るのかと正常なPCを延々と調査。
原因不明となり何週間経っても帰って来なくなります。
動作条件の室温や湿度の上限と下限が仕様外
電源が入らなくなる原因で最も多い環境は、温度が低過ぎる、または湿度が高過ぎる。多くは室温が低くなる事で、東北や北海道の冬では良く有るかと思います。
メーカーが提示している動作環境は、おおよそ温度の下は5~10度、湿度の上は80%前後となっており、なぜ温度が低い時に電源が入らないのか詳しく調べているページが有ったもののリンク切れ。日本では最高気温50度を超える事は無いため上は気にせず結構ですが、湿度が高い状態が続くと電源のみならずメモリやCPUなど故障する原因になります。
温度が低く電源が入らない場合、修理現場では一見分かりませんが、低温環境を作った部屋の検査で預かり期間は延びます。故障では無く仕様のため部品(電源ユニット)を交換しても治りません。
電源ユニットが故障
体感で申し訳無いけれど、ユーザの勘違いなどを含めて電源が入らないという申告で電源装置が故障している率は20~30%程度。電源が入らないからと言って電源ユニットを交換すれば改善する率は2~3割という言い方も出来ます。
これは見分けが難しく、ASUSの一部マザーボードのように電源のLED(緑が多い)が点灯しているか否かで見分ける事が可能ではあるものの、LEDが無ければ予備の電源装置を実際に交換したり、テスターで測るしか有りません。
また、始めに書いたように「時々」なのか「常に」電源が入らないのかで、電源ユニットの故障かどうか検査範囲が変わるため、必ず頻度を書きましょう。
マザーボードの故障
ハードウェアの故障により電源が入らない原因のもう一つはマザーボード不良。電源ユニットから電気は来ていても、マザーボードが各パーツへ正しい電圧を送らなければ電源が入らない不具合となります。マザーは全体を制御する血管というか神経のようなものです。
LEDが有れば点灯している事が多く、無ければやはりテスターで測る、またはマザーを交換するという面倒な作業になります。マザー不良の場合は100%電源が入らない事が多く、時々の場合は電源ユニットの確率が高いという判断も有りでしょう。もちろん確実という意味ではありません。
CPUなどマザー以外の部品が故障
稀にCPUが故障しており電源が入らなくなる事が有ります。 これはマザーボードが異常を検出し、電源を入れないという判断をするわけですが、しかしマザーに電気が送られなければ異常を検出出来るわけがなく、詳しくは判りません。
その他、滅多に有りませんがメモリ不良やグラボの異常で電源が入らない事も。私の担当はインテルCPUが9割以上で、数百や数千台に一台程度有りました。滅多に無いからこそ、当たるとはまります。
電源の配線がマザーボードから外れている
分解したものの元に戻せなくなるパターン。個人的には勉強になるためセルフ分解大賛成ですが、メーカーによっては分解は禁止となっており、保証規定から外れたりするため危険です。
最近の主流は電源側が24pinですが、マザー側が20pinであったり、マザー24pinに20pinのコネクタが挿さっている事も無いとは言えず。カチと音がするよう奥まで挿さねば通電しません。こっそり分解しても良いですが、元に戻せないならやめましょう。または自作でどうぞ。
故障では無いため5秒で作業完了ですが、有料の場合は見積が飛んで来ます。
もう一つは、電源スイッチの端子が外れており、これも分解が原因ですが、でかい24pinとは違い外れると、どこに挿さっていたのか判らなくなる可能性大。
左下、白い縦長でピンが多く並んでいる箇所へフロントパネルに付いている電源の配線が接続されています。メーカーPCならマザーはバルクの為、説明書は付いておらず、知らずに抜くと元に戻せず、下手をするとショートしてマザーボードが故障する事有り。
自作マニアクラスなら基板のプリントを見てサクっと接続してしまいますが、どうしてもこの部分(他にLEDやリセットなど多数有り)を外すなら、デジカメで四方八方から撮影しておき、必ず元通りに戻せるようあらゆる手を尽くして下さい。普通は触る所ではありません。
自称パソコンに詳しい人間が良くやらかします。電源コネクタと同様に有料修理になる事があるため、覚悟して作業をするか、完璧に元に戻せるよう準備をしましょう。当然故障ではありません。
電源ボタン内のスイッチが故障
どことは言いませんが昔のS○TECに多く、ケースがどこまでの安物かは不明ですが、前面スイッチの内部が弱く、それだけのせいで電源が入らないというお粗末な状態。
メーカー修理が安全ですが、自作出来る知識があればスイッチのみ別に取り付ける事も可能。24時間連続稼働ならPower-SWをショートさせ電源をオンにして、フロントのスイッチの事は忘れるという手も有ります。
故障と言えますが、ここまで柔らかい部品を使ったメーカーに非が有るとして冷静に苦情を入れましょう。普通に使っており物理的に壊れるものはパソコンに限らずリコールものと考えます。
以上は電源が完全に入らないを10個で解説しましたが、電源が一瞬だけ入ったり、しばらく動くが数秒や数分で切れるなど入れると20~30パターンではききません。
電源が入らない時は、4番の電源ユニットのスイッチまでを改めて見直して下さい。初心者や上級者に限らず基本的なことです。
ソーテックwwww
伏せ字になってないよwwww