パソコンの中身は基板の塊。
CPUやハードディスクなど一見して普通には中身が見えない物以外は、基板の上に沢山の部品が載っており、パターンという道を伝って信号を運んでいます。
それら部品を溶接しているものは昔ながらのハンダという銀色の比較的低温で溶けるもの。中学校や工業、電気科目で使う事も有るアレのやや高級というか特殊なものです。
先にそれらを極めし2サイトをご紹介。
素晴らしきハンダ付け職人の世界
ハンダ付け(半田付け)職人の はんだ付けblog:Eee PC 4G-X に MINI-PCI-EXPRESS ソケットを実装 - livedoor Blog(ブログ)
http://www.soldering-guide.com/archives/51960187.html
テレビ出演、ハンダ付けに関する書籍も執筆されているようで、タイトルに有る通りMini PCI-exのソケットを取り付けられています。もちろんこれは単なる一例で、他のページにも多くの技を披露されておられます。
有料の作業受付では、難度の高いものでは12000円、そうで無ければ8000円で請け負われています。工具もプロ仕様かと思われますが、いくら良い道具が有れど素人では上の写真のようには行かないでしょう。 さすがとしか言い様が無い。
もう1つ、職人というより趣味の延長から極まっておられるご様子。
10円電源、修理しました。 - 私のPC自作部屋
http://blog.goo.ne.jp/hiros-pc/e/76bccc517ff1ab61b1a1c97790770443
この程度なら普通に半田付け出来る人で有れば何とか行けるかと思われますが、密集した中をピンポイントで加熱し少量のハンダを流し留める技術や経験が必要。
上の写真はやはり一例。合計6個の電解コンデンサを交換し、10円で購入された電源ユニットを正常動作まで持って行き修理完了。恐れ入ります。
パソコンメーカーの修理技術と修理内容
BTOメーカーに限らず、メーカー直営の修理工場でパソコンの修理にハンダ付けはほとんど有りません。私はノートも担当していた為、旧式のベアボーンは分解し電源基板を1回だけ溶接した事は有りますが、修理担当者は誰もハンダごてなど持っていません。
メーカーも修理内容はパーツの交換が基本
解り易く言うと、自作ユーザや改造マニアと同様のパーツ交換が基本です。
設備による検査をしても原因が判らず電源が入らなければ、とりあえず電源を交換してみる。それでも改善しなければ電源を元に戻してマザーボードを交換。それでも駄目なら、の繰り返しです。
ナショナルブランド(NEC、富士通など)では、パーツさえ交換せず本体丸ごとを交換される機種も有ります。実例としてFMV(DESKPOWER)が側板などの外観以外全て交換し戻って来た事が有ります。
ベアボーンは原則分解せず製造元の修理
ベアボーンと言えばノートがほぼ100%そうですが、デスクトップにもベアという概念が有り、ケースと電源とマザーボードと光学ドライブが台湾などでセットで生産され、日本へドンブラコと入ってくるパターン。以前のSOTECがそうだったという噂を聞いた事が有ります。
ベアボーンとして仕入れた未完成パソコンは、製造元との契約によりますが多くは分解禁止となっており、上の例ではマザーボードが故障するとベアボーン(ケース、電源、マザー、光学ドライブ)交換になるため保証が切れると高めの請求が来る事が有ります。
ソニーやNECの修理代が阿呆のように高額な理由はベア交換しているのかも知れませんね。(これは根拠の無い私の妄想)
電源の分解、マザーボードのコンデンサ交換などしない
2番目の職人殿がされていたような電解コンデンサ6個の交換。
そのレベルの修理担当を育てる為には時間がかかり、年々累積する修理台数に追いつくわけがありません。コンデンサ6個の交換に30分かかり、修理担当によってまちまちな状態になれば品質に問題有る可能性が高まります。
そのようなバラつきを無くし、部品以外にも人件費というコストを抑えるため。そして何よりベアボーンと同様、分解すると製造メーカーが修理や交換を受付けてくれなくなり、捨てるしか無いため非効率なのです。
メーカー修理担当にも詳しい故障箇所は判らない
クレームに発展する悪例として、多少の知識が有ったり本格的なマニアが修理依頼した場合。どこが悪かったのか、何が原因か報告しなければ納得しないというパターン。
これをやると修理完了としての返却が壮大に遅れます。1~2週間の遅延などでは無く、2~3ヶ月、場合によってはブラックリストへ放り込まれ半年や1年放置される事も有ります。
先に書いた通り、修理担当や現場責任者にマザーボードのどこが不良箇所か、メモリのどのチップが不具合を出しているのかなど解るわけが無いため。それでも調べろと言われるなら、品質管理部門や技術専門部署へ送られ、本格的に預かられます。いつ終了するかは原因が解るまで。もはや修理とは言えない。
更にゴネると台湾や韓国、中国へ送られる事になり、もう諦めて買い替えた方が良いかと思える程の長いストーリーが始まります。
自作ユーザ程度のパーツ交換しかしておらず、ハードウェア検査で異常が無ければ担当者が1つずつ交換し正常動作するか否かを見ているという、やる気さえ有れば誰にでもできる作業です。
余程古い7年以上経過したようなパソコンでなければコンデンサ交換なぞしないので、そこをお間違い無きよう。保守期間(修理用パーツの保管)が過ぎても例外として修理する条件は、法人のリース延長や金に糸目を付けない研究者用です。
くれぐれもゴネ損にならないようご注意下さい。
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