ハードルが高そうに思えるパソコンの組立。
自作とは言えマザーボードから作るわけでは無く、実際にはプラモデルより簡単にパーツを組み合わせ接続するだけでは有りますが、問題はその前。どこが難しそうか、個人的にこれかと思う10種類を挙げて参ります。
構成するパーツの注意点を初心者向けとして。
自作PC組立前に注意する事を初心者用に10個
自作に限らず、完成品のPCを購入し、パーツの換装や増設など、改造する際の知識としてもどうぞ。
1.旧PCのWindowsを新PCへ流用
質問掲示板で時々見掛ける、「NECのパソコンに付いているWindowsを自作PCへ流用出来ますか」のような内容。結論から行くと、NECに限らず意識して自分でWindowsを単品で購入していないなら不可。
Windowsのライセンスは主に3種類有り、NECなどはOEM版。
- OEM版・・完成品PCに最初から入っている(サポートはPCメーカー)
- DSP版・・PCパーツとセットで販売される(サポートはパーツ販売店)
- パッケージ・・箱入り、説明書などの一式(サポートはマイクロソフト)
違いの1つはライセンスで、OEMは最初から入っていたパソコン本体に掛かり、DSP版はセットで購入したメモリやLANボードなどのパーツ。パッケージはアプリケーションのようなWindows単品。
OEMは流用不可、DSP版はセットのパーツと一緒なら流用可、パッケージは何でも流用可。OEMの流用はライセンス違反なので不可というわけですな。
価格の違いはWindows7 Home~を例にすると、OEMはメーカーにより仕入が異なり6~8千円くらいと噂されておりますが一般消費者は購入不可。DSP版がパーツとセットで1.2万円以上。パッケージは現在最安で2万円くらい。
汎用性の高いパーツならDSP版、良く解らないなら高いけれど素直にパッケージを買いましょう。
2.マイクロソフトオフィス流用
これもOSと似たような仕組で、パッケージかOEMか。DSP版は無いはず。
見分け方は正直知らないので、購入メーカーに聞くか、サポートがどこになっているか見てみましょう。サポートがPCメーカーなら流用出来ない可能性が高く、マイクロソフトなら単品と思われ流用出来るかも知れない。
3.Windows入りHDDを他のPCへ
一見簡単そうに見えるけれど基本的に不可。
チップセットのドライバが違えばWindowsが起動しない事が有り、しても正常動作もしないやも知れず。ドライバとはWindowsへどのようなパーツが搭載されたPCか設定し教えるようなもので、仕様が変わると基本的にWindowsは再インストール。ドライバも再設定。
ケースや光学(DVDなど)ドライブ、データ保管用HDD、電源ユニットを変更しても良いけれど、マザーボード(チップセット)やビデオカードが変わるとドライバの再インストールが必要なように、旧PCのWindows入りHDDを新PCへそのまま取り付けは出来ないと考えましょう。
4.HDDのIDEとSATA接続の違い
昔のパソコンのHDDを取り外し新PCへ接続(増設)する際、合わないかも知れない物が端子の種類。
SATAが無かった頃のHDDはIDEという、ピンが数十本で繋がる端子で、最近のマザーボードはIDEが省略されている物が多め。
この写真左下の青いコネクタの小さい方(3つ※2段なので本当は6本)がSATA、それらの右に有る横長のでかいコネクタがIDE。
source:ASRock > 製品紹介 > X58 Extreme3
IDEからSATAへの変換アダプタは1500円くらいで販売されているものの、相性問題が出て繋がらなかったりデータ転送でエラーが出る事も有るので注意しましょう。
5.グラボのPCI ExpressとAGP
昔のPCから新PCへグラボ(ビデオカード)を流用する際、7年以上前のグラボならAGPの可能性が有り、PCI Expressには物理的に挿さらず。
というより、AGPのグラボを使うくらいなら、現在のインテルCPUに内蔵のグラフィック機能を使った方が高性能なのでやる人は居ないと思うけれど、合わなければ諦めましょう。
6.新マザーのPCIスロット有無
インテル7シリーズのチップセット搭載マザーから、PCIスロットが省略されている機種も有り、テレビチューナやサウンドボードを挿しているなら確認を。
LANボードならオンボードで良いと思うけれど、モデム(電話線)カードなど特殊な物が必要なら注意しましょう。
7.メモリのDDR、2、3、SODIMM
デスクトップ用のメモリは4~5年で規格が変わっており、私が初めてサイコムでBTOパソコンを購入した10年以上前はDDR、それをぶっ壊してしまいまたサイコムで買ったPCはDDR2とDDRの排他仕様という妙なマザー(どちらか1種類しか使えない)。そして今これを書いているPCはDDR3。
現在はDDR3が主流となっており、それもノート用はSODIMMという小型な違い。全部互換性は無く物理的にマザーに挿さらないので、基板の切れ込みの位置が違うなら強引に入れようとしないように。
DDR3からメモリ容量は大幅に上がり価格が大暴落しているので、昔のメモリを流用するのはやめましょう。DDR2の512MBとか、使わないならリアルごみ箱に捨てて良いレベル。
8.CPUとマザーボードのピン数
未だにSocket(ソケット)やピンと言ってしまう私のような人間も居りますが、現在はLGA(ランドグリッドアレイ)という接点(面)の数の違い。
物理的にマザーにCPUが載らないので普通は判ると思うけれど、私が修理現場に入る前、サイコムで組立代行を依頼した理由は、これらの違いが良く解らず、勉強する気も無かった為。具体的にはSocket478とLGA775の意味が不明で、チップセットも何が何やら解らず。
PCを自作するなら基本なので、これが判らない、勉強する気が無いならやめておいた方が無難。
また、現状のSandy BridgeとIvy Bridge、インテル6と7シリーズのようにピン(LGA)数は同じでも組み合わせにより機能や性能が変わる仕組も有るので、後悔したくないならまず知識を得る所からでしょうな。
9.マザーボードの大きさの違い
大きいケースに小さいマザーは入るけれど逆は不可。具体的にケースとマザーボードの関係を挙げると。
- フルタワー・・何でも入る(はず)
- ミドルタワー・・ATX、MicroATX、Mini-ITX
- ミニタワー、スリム・・MicroATX、Mini-ITX
- キューブ・・Mini-ITX
小さい方が汎用性が高く価格は低いけれど、大きいマザーボードの方が拡張性が高く機能も豊富な事が多め。
どのような拡張性と機能を求めるか、やはり事前の知識が必要なので、勉強する気が無いなら後悔するもととなるのでご注意有れ。
10.電源の大きさやコネクタの数
マザーボードのように電源も大きさの種類が有り
- フルタワー・・ATX電源が2個入る物も有る(400~1200Wくらい x2など)
- ミドルタワー・・ATX(400~1200Wくらい)
- ミニタワー・・ATX、時々SFX(~400Wくらい)
- スリム・・ITX(~300Wくらい)、稀に太めなケースでSFX
- キューブ・・本体一体型が多い
高性能なCPU、グラボを載せるなら電源に大容量が必要となり、自動的にケースも大きくなるというわけですな。
コネクタの数や種類も違いが有り、安い小容量電源では、CPUや高性能グラボ用の6や8pinが無かったり足りない場合も有るので注意しましょう。
始めての組立作業で難しい箇所(まとめ)
パーツを流用せず全て現行パーツで揃えるなら、量産系BTOメーカーでCPUやチップセットの組み合わせを見たり、ショップブランドのBTO PCで型番を丸ごと参考にすると簡単。
作業で慣れていなけれは難しいと思う箇所は、CPU(クーラー)の取り付けと電源ボタンやアクセスランプなどのピンアサイン(ケースの配線をマザーボードのどこに挿すか)。
仕様や組み合わせへのこだわりが有ったり、組立作業そのものが楽しいと思えないなら、自作PCより安くなる量産系のBTOパソコンをお勧めしております。
私の場合はパーツ流用で安く買い換えている為、面倒と思いながらもセルフサービスしているだけで、好きでやっているわけではございません。
そして自作PC最大の難点は修理。故障時の切り分け、特にマザー、CPU、グラボ、電源は予備が無ければどこが故障しているか判らず詰むので、やはりBTOパソコン、そして延長保証をお勧めしております。
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