メーカーでのパソコン修理話。
複数回のパソコン修理依頼をした事が有るならば一度は体験したかも知れない、不具合が治っていないのに返されて来る件。これには大きく分けて5種類の原因が有ると思うので紹介。
私は依頼側では無く、受けていた側なので良く判るつもり。
メーカーのパソコン修理で故障が治らない主な原因5つ
数年前のネタとかぶっているかも知れないけれど、過去ログ全部読む人は稀だと思うので改めてという事で。
1.ユーザが正常動作を故障と勘違い
例として、パソコンの電源が1時間くらいで切れてしまうという症状。
考えられる原因はCPUの放熱不足、という事はヒートシンクにホコリが詰まっている。しかし開けてみると新品同様、それもそのはず、購入1ヶ月満たないのだからホコリ詰めようが無し。
ならば配送中の衝撃でクーラーの足が折れたか外れたかと思えば異常無し。電源は普通に入り、負荷をかけてみるも1時間以上余裕で正常動作。他のパーツも異常は見られず。
コールセンターがユーザへ問い合わせると、何度も頻繁に起こるらしく、それも決まって1時間くらいとの話。WindowsはXP、新品同様、ユーザのインストールしたプログラムや妙なカスタマイズは無し。
答えは、1時間で休止状態になっていた、負荷テストはプログラムが動いていたので休止にならなかったという。
まずはユーザの勘違い。
2.パソコンの使用環境による違い
以前書いた記事より、ヒューレット・パッカードのカタログを参考に。
source:「パソコンの電源が入らない」元修理人が教える原因と対処法
動作温度は10~35度、湿度10~90度。
リンク先でも書いている通り時々有る事で、温度の下がりすぎによる電源が入らない状態。東北に限らず、真冬の朝は室温一桁とか一部地域を除き全国的に有るでしょう。
この状態で電源がマジで入らなくとも、修理工場は快適な室温が保たれており環境が違うので電源が入ってしまう。
電源ユニットを交換しても同じ仕様の電源を入れ替えるだけなので解決する可能性は低く、カタログ値の範囲内で使うか、室温を動作保証範囲にして使うか。
室温に限らず、延長コード(マルチタップ)を買い換えると治ったとか、メーカー側で判るわけ無いだろう的なユーザの環境による場合は修理に至らない事も。
これもユーザの勘違いと判定して良いと思う。
3.症状が正確に伝わっていない
例として、「パソコンが動かない」と一言だけメモを入れたり、コールセンターが詳細を聞かず伝言され、修理品として送られて来たとしましょう。
修理工場では、正常動作->どう動かないのか聞く->電源が入らない->入っている->じゃあ返して->ユーザ側でも正常動作、のような流れは珍しくはございません。おそらくコンセントからプラグ抜けていたとか、そういうレベルだと思う。
「パソコンがつかない」->工場で正常動作->聞く->モニタ映らない->映っている->返せ->ユーザ側でも正常、おそらく映像用コネクタが抜けかけていたとかそういうオチなのでしょう。
まずいのが、「電源が入らない」->入る->返せ->ユーザ側では電源入らない。
1つ前で紹介した室温が低すぎる話とは違うとして、頻度が稀な場合、修理工場はユーザ所有のPCで電源ボタンの耐久テストをするわけが無いのだから何十回も電源入れまくらないので判らない。
また、「Windowsがおかしい」という言い方も困る。ユーザがPC初心者なら、自分で入れたプログラムが動作せずWindowsが壊れていると思い込んでいたり。
1日平均6時間PCを使うユーザが1ヶ月に3回ほどブルースクリーンで強制再起動しているなら、「勝手に再起動する」だけではメーカーには判らない。180時間中3回とするなら、60時間に一度、何らかの挙動で落ちているならメーカー側では検証しきれない事も。
これはユーザとメーカー、双方が悪いと言えるパターン。
4.メーカー側の不具合箇所の誤診
以前、当サイトのコメント欄にて、「フロンティアへ修理に出したPCがHDD交換で返却されたが不具合が治っていなかった。電源を入れた際にピーピー言っていた。」という書込。
電源を入れた後にビープ音が鳴るなら、高確率でグラボかメモリ、次に電源ユニットが原因と考えられ、HDD交換は有り得ないと思う。
上手く伝わっていなかったのならフロンティアのミスとは言えないけれど、起動時にビープ音というハッキリとした不具合が出て伝えているならばフロンティアの誤診かも知れない。
次で詳しく書くけれど、メーカー側は何か凄い検査機で検証しているわけでは無く、自作PCユーザとそう変わらないレベルで検証しており、人間のやる事なので誤診は有り得る。医者のように勉強したり資格が有ったりもしないのだから。
というわけで、これはメーカー側が悪いと言える(と思う)例。
5.メーカーでは判らない次元の故障
パソコンのメーカー修理という言葉から、BTOとは言え相当な設備で修理していると思っている人が居るかも知れない。
具体的には、テスターのような赤と黒の棒をパソコンの特定の位置に接触させ、検査機を始動すると瞬時に、
- CPU・・・OK
- RAM・・・NG
- HDD・・・OK
のようにエラー検出し、該当パーツを交換、のイメージかも知れない。
もし、本当にそんな事が出来るのならば、コールセンター以上に修理現場は全員派遣とかパートのオバちゃん、シルバー人材や高校生アルバイトで良いと思われ、社員や自作マニアやPC変態が混ざる必要が無いでしょう。
不具合箇所の切り分けは、一般的な自作PCユーザとほぼ同じ。
- CPU・・・正直、良く分からない
- メモリ・・・画面真っ暗とかビープ音 ※+テストツール
- グラボ・・・画面真っ暗、高負荷時にDirectXやOpenGLの表示乱れ
- マザー・・・画面真っ暗、電源入らない など
- 電源・・・画面真っ暗、電源入らない など
- HDD・・・異音、認識不良、OS起動不可 など ※+テストツール
ツール有りはメモリとHDDくらいで、他は原始的に交換してみる程度。
テストツールは業務用なだけは有り、年間ライセンスが複数本で数十~数百万円らしいけれど、実はメモリの検査はフリーソフトのMemtest86+の方が優秀とか、HDDのリードテストは出来るけれどデータ消えるのでライト不可など制限も有り、最終的には修理担当者の知識や経験、勘が頼り。
特にCPUの微妙な不具合は人類には判らないレベル。
メーカーのパソコン修理精度を上げる方法(まとめ)
こうした方が良いと思う手順。
PCに詳しいならメールで問い合わせる
パソコンにある程度詳しいなら、ぜひメールで問い合わせを。
コールセンターは受け答え出来る主に女性が派遣やアルバイトとして採用される点に対し、メールで回答する人間は口下手なオッサンでも良く、優先されるスキルは会話では無く知識なのでパソコンに詳しい率が高まるはず。
メールは録音せずとも確実に文字で双方に残るので、メーカー側も下手な対応が出来ない辺りも利点。メールで詳しく伝える自信が有るなら電話では無く文字での問い合わせを推奨。
コールセンター側の対応を覚えておく
電話するなら対応がどうか判断を。丁寧か否かでは無く、どう誘導するかが見どころで、以下3通りの場合。
- 初っ端からいきなり修理品の送り先を教えて来る
- 放電やWindowsの再インストールを勧められる
- 不具合の症状や頻度まで詳しく聞かれる
1は受電件数を稼いでいる外注先と思われ、もしこのパターンなら次項で書く修理依頼書を詳しく。
2は大手メーカーあるあるなマニュアル的な対応なものの、一応やるだけやってみましょう。
3が有るようならメーカー直営の可能性が高く、本気で修理精度を上げようとしている良いメーカー。コールセンターの記録の時点で症状などが詳しく判る為、それを元に修理作業社が本気を出せるので一発で治る確率は高まると思う。
修理依頼書類に不具合の詳細を書く
メールでの問い合わせでは無く、コールセンターでも詳しく聞かれなければセルフサービスで現場へ伝えるべき。難しく考えず、何をするとどの程度の頻度でどうなるか、流れを作文すればOK。
BTOパソコン以外でも使えるパーフェクト修理依頼書 - BTOパソコン.jp
https://bto-pc.jp/repair/application-format.html
故障箇所不明ならメーカーと協力する
詳しく書き伝えてもメーカー側に判らないようなら、激怒しクレーマー化するのでは無く協力を。理解してくれる人はメーカーの現場も凄く助かる。
治っていないなら周囲の詳しい人へ聞く
修理完了で返却後、それでも治っていないなら、メーカーや家電店では無く周囲のパソコンに詳しい人へ問い合わせを推奨。居ないなら質問掲示板などで聞く。
メーカー側は何らかの理由が有りそうしたわけで、家電店の店員は素人ばかりなので話にならない。彼らは売ってナンボなので、パソコンの修理とか相手していられないはず。
貴様の勘違いなのかクソメーカーの誤診なのか判る、かも知れない。
多くはユーザ側の勘違いだけれども、メーカーは確信が無ければそう言わないし言えない為、クレーマーが調子に乗りモンスターと化してしまうという。
これはメーカーが悪いというか、パソコンという物が悪い。
私は元BTOメーカーの修理現場に居たというハッタリ的な肩書もどきを付けているけれど、それは「凄いでしょう?」と言っているのでは無く、
- 中身同じなら安い方が良い
- メーカー無関係に故障する時はする
- メーカー修理は自作PCユーザと変わらない
そして、メーカー側の人間も、おかしなユーザのせいでストレスを溜めていたりするので協力してやってと言いたい。
- 短期間で故障しムカつく気持ちは解る
- 修理し短期間で再び故障しキレたい気持ちも解る
- データを全消しされて悲しい気持ちも現場の人間は知っている
売る方も好きで故障させたりデータ消しているわけでは無く、働く人間も自分の賃金になっているのだから、多くの従業員はユーザに感謝しているはずなので協力を。
以上。バックアップは必ずしましょう&BTOパソコンお勧め。
親爺+親爺コレクション
この連休中に2回も再インスコ(ウィン10)させられる
初っ端は自分で初期化しておきながら
「全部消えた」と騒ぎ
用もないのにBIOS画面出したまま
「壊れた」としょんぼり
最初は初期化したという事実を告げられず
2回目は何をしたのかすら不明だが起動失敗+修復失敗のルーチン
やんちゃがすぎる
設定が面倒なのでchromeのみにしたった
ウィンドウズ画面は電源切るときしか触るなと通達
動作の「間」が気になるらしく
「いやそれどうしようもなぇからこれセレロン」と諭し
chrome bookを買い与えたほうが早いんじゃないかと思案中
>パソコンの使用環境による違い
かなり稀ですけれど、ユーザの住んでいる家が古い木造住宅で、入力電圧が低いため正常動作しない、という事もあるようですね。場合によっては90Vを下回る事もあるようで、そうなるとPCも正常動作が難しい。
教えて!goo:コンセントの電圧が低下したときの対策
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1629703.html
「家のコンセントの電圧を測ったところ、87V~91Vほどでした」
>症状が正確に伝わっていない
とりあえず各メーカ修理依頼書のリンクでも貼っておきます。
mouse:Web故障診断・修理ご依頼 - 修理のお申し込み
https://www2.mouse-jp.co.jp/ssl/user_support2/sc_repairsheet_form.asp
ページ内の空欄を埋めていき、Web上で作成
パソコン工房:修理依頼品の送付について
https://www.pc-koubou.jp/shop_guide/doui.php
ページ内「パソコン修理安心サポート受付書」
ドスパラ:Diginnos・Primeパソコンの修理を依頼したい|無償保証
http://faq3.dospara.co.jp/faq/show/599
ドスパラ:Diginnos・Primeパソコンの修理を依頼したい|有償対応
http://faq3.dospara.co.jp/faq/show/600
ページ内「修理依頼書のダウンロード」
サイコム:修理のご依頼方法
http://www.sycom.co.jp/support/bto/ask_for_repair.html
ページ内「不具合内容連絡票をダウンロード」
FRONTIER:修理について
http://www.frontier-direct.jp/direct/support/repair.aspx
ページ内「修理/サポート依頼書(PDF:101KB)」
>医者のように勉強したり資格が有ったりもしない
以前にBTOパソコン.jpでも話題に出た「パソコン整備士」が辛うじて該当しますかね。相変わらずパソコン修理とはほぼ無縁のテキストっぽいですが。
パソコン整備士協会 [JAPA]
https://www.pc-seibishi.org/
>PCに詳しいならメールで問い合わせる
メールだと画像を添付する事もできますから、現状を伝えるには便利ですね。16M(4,608×3,456)なんぞ多いな画像を送られたら迷惑ですが。
電源・マザボ・CPU・メモリ1枚で、BIOSを表示させてるだけで固まったなど説明しメーカーに送っても異常なしで返ってきたX58機。メモリ抜き挿しでしばらく問題なく動くので、送る前に元通りにケーブル繋いだり1GB×3にメモリ戻したせいで不具合が出なかったのでしょうね。
再現性の低い不具合が出るくらいなら、いっそわかりやすい不具合が出ればいいのに。例えば換えたばかりのマザボで映像出なくなったH81M-HG4のように(