Western Digital(以下、WD)よりRAID向けHDDが発売。
以前、日曜まとめでチラ書きしたWD Redシリーズが発売から約1ヶ月半。MTBF(平均故障時間)が長く省電力が特長。個人的にMTBFは気にせず省電力に興味が無く、RAIDもやらないのでスルーしておりました。
が、ドスパラがBTOパソコンへ単品で搭載したので調べる事に。
ITライフハックの勘違い記事が嘘と誤魔化しまみれ
ドスパラが話題作りの為か、WD Redの1TB搭載PCを発売。同時にITライフハックがまたもややらかしております。
ITライフハック:高耐久HDD搭載PC登場! ドスパラより壊れにくいHDDを採用したモデルが登場
http://itlifehack.jp/archives/7407453.html
今これを書いている8月26日現在、タイトルはこっそり修正されておりますが、盛大にやらかして約2日間放置していた修正前のタイトルはこれ。
切れている以前に日本語になっておらず意味が解らない。元はどう書かれていたか、コメントで突っ込みが入っているので丸ごと引かせてもらうと
1. 校正 2012年08月24日 09:28
タイトルの「を」の位置がおかしい。
「高耐久HDD搭載PC登場! ドスパラより壊れないをHDD採用したモデルが登場」 じゃなくて 「高耐久HDD搭載PC登場! ドスパラより壊れないHDDを採用したモデルが登場」だろうし、登場をタイトルで2回使っちゃいかんだろ。
正しくは「ドスパラから壊れにくいHDDを採用した、高耐久HDD搭載PCが登場!」じゃないの?
訂正したと詫びなど入っていたなら敢えて晒さないけれど、ITライフハックは最近おかしい。コメントの突っ込みと訂正後の例文はごもっとも。
修正前にタイトルを見た私は本文を読む前にこう解釈。
- ドスパラよりも壊れにくいHDDを搭載したPCが他社から登場?
- ドスパラから故障しないHDD搭載PCが登場?
「より」がFromなのか比較されているのか判らない、私以上に日本語が崩壊したライブドア公式ブログ。また、壊れない=絶対に故障しないと解釈出来る為、そんなHDDが有るわけが無いけれど知らない人は信じるやも知れず紛らわしい。
本文もほぼデタラメなので勝手に突っ込むと
特に先日発表されたばかりのNAS専用HDDを搭載した点は、PCが長期間壊れない(OSが飛びにくい)という安心感を与えてくれるものだ。
NAS専用では無くNASやRAID向け、平均故障時間を長期間壊れないと勘違い、OSが飛びにくいとは無関係。
バックアップを取っていればいいが、取っていなかった場合、データは戻ってこない最悪の状況になってしまう。そうした心配を多少でも減らすことができる「WD Red」シリーズの採用は、ビジネスでPCを使う人には大きな魅力となる
これではバックアップしない前提、WD RedならビジネスPCとして(長期間壊れないから)魅力とか馬鹿な事を言っているのでしょうか。
タイトルに高耐久HDDと有るけれど、耐久性についてWDは触れておらず、平均故障時間は耐久度とは直結せず。
Wikipediaの解説が珍しく分かり易いので引用。
MTBF = システムの稼動時間 / 故障回数 (中略)
例えば1個のシステムについて100万時間の稼働時間中、10回故障したと仮定すると、MTBFは10万時間であることが分かる。
しかし100万時間(約 114年)ものあいだシステムを監視し続けることは現実には不可能である。
そこで実際には同じシステムを10万個用意するなどして100時間(約4日)だ け監視することで延べ1000万時間稼動したと仮定する。
この100時間のあいだに10万個のうち100個が故障したならば、やはりMTBFは10万時間 であることが分かる。
source:平均故障間隔 - Wikipedia
最後の段の計算を仮にWD Redへ置き換えると、100時間で10万台のうち10台が故障したならMTBFは100万時間。MTBFが30万時間なら33~34台くらい。
これはくじ引きをしているようなもので耐久性では無く確率に近く、強引に故障率へ置き換えるなら0.01%と0.033%の差のようなもの。そして経年が実際のn万時間とは違うので消耗は考慮されない仕組。
というわけで、壊れにくいとか耐久性が高いわけでは無く、ITライフハックが解らないまんま調べず勘で書いて公開。以前の提灯記事ほどひどくは無いけれど、ドスパラが新製品を出した以外の部分は嘘なので信用せぬよう。
ちなみにドスパラのWD10EFRX搭載、Magnate IM-WRの価格やバランスは中々良いと思うので、気になるなら購入の選択肢に入れても良さそう。
どこでそう思うか仕様の一部を抜き出すと。
- CPU:性能と価格を抑えた省電力版
- マザー:オーバークロックしない前提の高機能
- メモリ:大盛りかつ高速
- ケース:InWin製ミニタワー
- 電源:オウルテック製80PLUS GOLD
無駄な高性能は控え、消耗を抑え、気が付けば価格も低めになっていたと思われる仕様。ドスパラのPCを久々に上手いと思ったくらい。
ただ、HDDにWD Redの1TBを使うなら120GBのSSDで良かったと思うけれど、それをやるとニュースがリリース出来ず目的が変わってしまうわけですな。
WD Redシリーズのベンチマーク測定結果の比較情報
ベンチマーク入りのレビューを探すと3箇所で発見。まずは価格コムのクチコミ掲示板より、CDMの数値。
source:価格.com - WESTERN DIGITAL WD30EFRX [3TB SATA600] のクチコミ掲示板
このような計測を見た事が無ければピンと来ないかも知れないけれど、上の数値はHDDにしてはかなり優秀。
しかしサイズが50MBでと小さめ、0Fill(0だけの読み書き)は高速になりがちな為か突っ込みが入っており、1000MBかつランダムで再計測されております。
結構HDDらしい数値まで落ちたものの、やはり優秀な速度と言えましょう。
更に温度比較まで書かれているので引かせてもらうと
- 32.5℃ - Crucial m4 CT128M4SSD ←これを基準に見てください。
- 42.3℃ - Velociraptor-WD3000GLFS
- 36.2℃ - HGST 0S03191
- 33.8℃ - WD WD30EFRX
SSDが基準とは、回転しておらずケース内の温度に近い為でしょう。
2番めのWD製品は300GBと容量低め、但し1万回転というマニアックなHDD。高回転なら高温になりやすいけれど42.3度は低め。3番目は日立製2TBの人気製品。HDD同士の比較ならこれを基準にしても良さそう。
4番目がCDMで計測されているWD Redの3TBで33.8度は最も低いと言える数値。速度以外に温度も低めに保たれ、やはりこれも優秀。
メーカー公称の仕様はどうなのか、気になったので拝借。
source:WD Red
パフォーマンスの項目を見ると145MB/sなので今回の実測とほぼ同じ。1TBだけ若干性能が高いようで。
PC関連ニュース専門サイトも検証記事が2件。
いずれもWD GreenのWD20EARXと比較されており同じような結果。 WD20EARXは日立より安く昨年から定番になっている2TBで、私もデータ用ドライブがこれ。
容量別の速度ならITmedia、温度や消費電力はInternet Watchに詳細有り。後者はNASに取付RAID6でCDMという変態行為までしているので、本当にNAS用RAID用として使うなら参考になるかと。
MTBFが約100万時間なWD Redの速度や価格(まとめ)
いずれにしても時が経たねば耐久性は分かるわけが無く、それ以前にHDD含めPCパーツは突然故障するものなので気にせずバックアップを推奨。
私に言わせると、WD GreenとRedの性能差は誤差程度にしか見えず、数値で比較すると以下の通り。
Greenと比較すると
- HDD本体の温度は5度くらい低い
- シーケンシャル10~20MB/sくらい速い
- 静音性は体感不可能なレベルの微妙な差
これに価格差分の価値が有ると思うなら普通のPCへRedを搭載しても良いでしょう。現在の価格ではRedの売筋ランキングは低め。10と13位。
source:価格.com - ハードディスク・HDD(3.5インチ) 人気売れ筋ランキング
Greenなら2TBが最安7400円くらいで1位、3TBは10800円程度で2位。まだRedは割高と見てよろしいかと。
WDの提案はRAID、NAS用としてなので、それら常時稼動のHDD管理者や小規模な業務用としてなら安心を買う意味での差額と思えば高くは無いでしょう。
WD Red搭載ドスパラPCのニュースリリースがITライフハック以外に見当たらず暴れてしまったけれど、一般的なPCユーザならHDDのMTBFは電源ユニットのMTBF並に気にしなくて良い数値。
バッファローやIOデータ辺りがNASに採用してくれたなら、HDDに何が使われているか判らない機種よりは気分的に得な気がするレベル。
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