マウスコンピューターよりクリエイター向けパソコン発売。
匿名のCAD屋殿より、これはネタにしないのかとメールを受信したのでやりましょう。ビデオカードにQuadroかFirePro、モニタはEIZOブランドという、クリエイター向けの中でも3DCG用というやや特殊な製品。
需要は無視し、価格の比較や性能の用途を紹介。
マウスよりクリエイター向けBTOパソコン新発売
ニュースリリースをITmediaより。
マウスコンピューター、クリエイターPCにナナオ液晶セットを追加-ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1208/22/news051.html
全5機種の内3種類は法人専用。全てナナオの22型で解像度1920x1200の液晶モニタ、FlexScan SX2262Wがセットになっており、Quadro2種類かFirePro1種類のいずれかが搭載。
個人向けは最安の標準構成でも157,500円、送料込にすると16万円をオーバーしてしまう原因はモニタとグラボ(ビデオカード)が高額な為で、これらが無ければ7~8万円の仕様。そしてマウスは送料が高い。
約16万円PC、MDV-AQZ7020BL-WS-P22SXの標準構成より。
- OS:Windows7 Home Premium 64ビット
- CPU:Core i7-3770(3.40-3.90GHz、4コア/HT対応、8MB)
- マザー:インテル Z77 Expressチップセット搭載
- グラボ:NVIDIA Quadro 600 1GB
- メモリ:8GB(4GBx2、PC3-12800)
- HDD:1TB(7200rpm、SATA3)
- DVD:スーパーマルチドライブ
- 電源:500W
- ケース:ミドルタワー
- モニタ:22型(解像度:1920x1200)EIZO FlexScan SX2262W
普通の高性能パソコン。グラボがGeForceやRadeon、モニタが(マウスなら)iiyamaになるとゲーム用PCとして更に安くなる組合せ。
パーツ単品の最安合計と比較しても同じくらいの価格になり、Quadro 600は約1.8万円まで値下っており、22型液晶モニタはナナオにしては安めな約5.4万円。
ちなみにGeForceなら1.8万円有れば上の中か下くらいの性能のグラボ、ナナオで無ければ5万円も出せば27インチの2560x1440というかなり大き目なモニタになるレベル。
FireProかQuadroか、ナナオのEIZOモニタの価値
知らなくても良いけれど、知っておくとデザイナーやCAD屋に聞かれた際に少し役に立てるかも知れない情報をいくつか簡単に。
私は3Dデザイン関係の仕事をしておらず、Adobe製品(フォトショップやイラレなど)を持っていないので大した事は書けないけれど。
QuadroとFireProの違い
メーカーが違うので名前が違っており、いずれもOpenGL用ビデオカードのブランド名で、NVIDIA社かAMD社か。
DirectX用のベンチマークはあてにならず、利用者が少ない為か情報が少なく分かり難いけれど、性能のイメージをCPUに置き換えるとインテルかAMDか、NVIDIAがインテルのようだという意味。
2chなどでは同じ価格ならFireProの方が高性能と言われており、しかし知名度や信頼性(導入実績)はQuadroの方が多いらしく、売る側もQuadro搭載PCが多め。
ゲーム用グラボなら需要と供給が多い為、BTOパソコンや自作PCでもAMD(Radeon)も採用されているけれど、分母の小さい3DCG用でのFirePro市場はかなり低いと見てよろしいかと。
どちらが良いかは個人や企業の趣味。私から見るとQuadroのぼったくり感が凄まじいと思うけれど、それは上位機種の場合で、Quadro600や2000程度なら価格はそう変わらず、やはりどちらでも良いでしょう。
マウス製品のラインアップで、PC本体が10万円前後の機種は入門用レベルなので、本職が長くPC側の処理より手の方が速いなら予算を上げた方が良さそう。
ナナオモニタを選ぶ意味
ナナオは昔ながらの高級モニタ専門メーカーで、14型ブラウン管モニタが5万円前後の頃に17型で25万円とかやらかしておりました。
私の記憶では2年くらい前から低価格モデルも発売しており、現在は23型で3万円台の液晶モニタもございます。
一般的なモニタより高性能で、上下左右の見え方や色の正確さ、Adobeに合わせた色の数などが特長。しかし本当にこだわるなら10万円以上の機種で無ければ、一般的なモニタとの差が分かり難いとか。
セパレート(分離)タイプのデスクトップPCはノートや一体型PCと違い、液晶モニタは下手すると10年くらい使えてしまう為、より良い物を長く使うとして6桁円のモニタが評価されているのでしょう。
出来るなら自作PCも推奨
出来るならとは組立やパーツ交換が出来るという意味だけでは無く、不具合時の切り分けや修理作業も含め、やる自信が有るならの意味。
Adobe製品ならバージョンアップが約2年毎、それに合わせているかは知らないけれどQuadroやFireProの性能も上がり価格は大して上がらず。ゲーム用PCほどでは無いとしても、グラボだけ交換が予算の面で得する事も。
気になる事は今回のお便り「個人事業主で節税のためにパソコン買い替えを検討」と書かれていたけれど、マウスのような価格帯の物をパソコン一式で購入すると10万円を超えてしまい4年の減価償却へ。定額法なら1/4の価格しか経費にならず落とし穴になるやも知れないので税理士に相談しましょう。
この場合はモニタを別で購入しパソコンを10万円以内にする事。しかし10万円では入門機程度の性能になる為、10万円以下のグラボ無しPCを購入し、時期をずらしてQuadroやFireProを増設すると消耗品扱いになるかも知れない。
更に掘り下げると、信頼出来る自作PC組立屋が近くに居るなら、パーツ代と工賃に分けたりも考えられるのでやはり税理士に相談を。
はたから見ると、CAD含む3Dデザイナはパソコンを使いこなしている=PC上級者、と見られそうなものの、システムエンジニア=PC上級者≠ハードウェアに詳しい、という人も多く居る為、マウスやドスパラは需要が低くともクリエイターPCを出しているのでしょう。
一般PCユーザにOpenGL用グラボはやナナオは無駄(まとめ)
性能は価格に比例し高くなるものの、今回のクリエイターPCのような特殊な構成は一般向けの用途では無く、3DCGを扱わない、色の精度にこだわらない(違いが判らない)なら無駄に高額なだけ。
例として、エアコン取付用の工具で単純な形の金属が1個数万円するらしいけれど、エアコン取付業者で無ければ役に立たず無駄、のような。
別の例では、私のようにゲームをしないPCでグラボを載せるのも無駄。CPUやマザーにグラフィック機能が無いので仕方なく安物を付けているけれど、性能が発揮された事はおそらくございません。
実は私は今年の6月頃からナナオ(EIZO)モニタを使用しておりますが、以前使っていた三菱の安物との差が大して分からず、おそらく色が濃くなった気がする程度。
元が4万円程度の機種なので差が分かり難いのかも知れないけれど、これが本当に良い物なら宝の持ち腐れ。ちなみに知人から1.5万円で買わないかとの提案で借りており、キャンセルするか考え中。
話をマウスのクリエイター向けPCに戻すと、自作出来ない(しない)なら入門機から中級者向けまで揃っており、入門用にナナオの比較的安い液晶セットは提案として上手い方。
自作出来るならそちらも検討、出来なくともBTOパソコンで購入し保証を無視してグラボ換装という手も有り。本当に高性能を求めるなら、予算は無視して自作PCの中でもワークステーションという物も検討を。
ハードウェアに詳しく無ければ今回マウスが追加したようなクリエイター向けPCは有りなので、経理や税理士と相談して検討してみましょう。
選び方や考え方は2年くらい前に書いたこれもどうぞ。
Webデザインや3Dクリエイター用PCの選び方
https://bto-pc.jp/select/web-3d-creator-pc.html
ちなみに記事内の学生は現在デザイン事務所に雇われており、半年に一度メールで連絡するけれど未だ性能に不満は無いそうな。
PC本体は数年で買い替え、使い捨てや消耗品と考え、予算の配分はモニタやプリンタなどへ割り振る事をお勧め。
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