MM総研が2012年上半期の国内PC出荷概要を公開。
世界市場の統計では、第一四半期(Q1)は1~3月のように年の最初から区切られ始まるけれど、日本では4月が年度初めのようで、今回の上半期とは4~9月の事。JEITAの統計も9月までの数値が出ておりました。
暇潰し程度に見て参りましょう。
2012年上半期のPC出荷台数は前年同期比プラス0.5%
大規模かつ定期的に採られている集計データ。
2012年度上期国内パソコン出荷概要 - 株式会社 MM総研
http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120121108500
出典:(株) MM総研 [ 東京・港 ]
今回だけか今回からか、円グラフでは無く数値で一覧。これは凄い。PCメーカー各社の出荷台数が書かれており、月の平均出荷台数まで判ってしまう。
DELLを例にすると6ヶ月で63万台という事は、1ヶ月あたり10.5万台くらい。DELLは約8割が法人らしいので個人向けは2万台くらいとすると、法人抜きならドスパラやパソコン工房より少ないという事に。
それは良いとして。勝手に円グラフ化。
NECがレノボと事業を併せた為に余裕のトップシェア。合弁前は富士通と僅差、約10%くらいレノボ分が盛られております。
参考に、同じくMM総研より2010年4月より1年分のメーカー別シェア。
出典:(株) MM総研 [ 東京・港 ]
DELLが微妙に落ちアップルが微妙に増えた程度で、過去3年くらいこのような占有率で特に変わりはございません。
国内PC出荷台数は、2011年も前年比プラスと言われていたけれど、2012年上半期も0.5%ながらプラス。
金額は年々落ちており利益も減っているのだから、数を出さねばPC事業の維持が難しくなって行くでしょうな。
どこで見たか忘れたけれど、確かソースはBCNで、デスクトップPCの平均単価はおおよそでマイナス5千円/年、ノートはマイナス1万円/年との事。
JEITAの集計では前年同期比プラス0.8%で分母も違う
JEITAの上半期も入力が終わっていたのでこちらも参考に。
2012年度パーソナルコンピュータ国内出荷実績-JEITA/統計データ
http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pc/2012/
MM総研の統計では前年比プラス0.5%、JEITAは0.8%。
良く見なくともJEITA統計の方が数値が小さく、出荷台数は全体で約546万台。MM総研は約747万台。
JEITAの集計対象はDELL、HP、Acerが無し。これらはJEITAとMM総研では無く、前年比のように過去の数値と相対的に見るものですな。
2012年上半期の出荷台数は、デスクトップが全体の約27%、ノートが63%でいつも通り。ノートの方が売れているというより、国内大手メーカーがデスクトップPCの製造を減らした為。
デスクトップPCはセパレート(本体とモニタ分離)タイプならBTOメーカーなどに価格で勝てず、一般個人からの需要も比較的低い為でしょう。
一覧の出荷台数を見ると6月と9月が文字通り桁違いに伸びており、この時期はナショナルブランドのモデルチェンジ。家電量販店が旧モデルを処分する為、売れるのだろうと推測。
Windows8発売前の買い控えで販売数に影響、などと根拠の無い予想が各種出ておりましたが、9月は上半期で最高なので嘘と証明されております。
デスクトップPCとタブレットPCを比較する間抜けな報道
読売はリンクが切れるので先に切っておきましょう。行って見るなら手数ながらURLコピペにて。
タブレット端末がデスクトップPCを抜いた!…BCN調べ : BCNニュース : ニュース : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/bcn/20121109-OYT8T00495.htm
テレビ報道の伝える側が知識不足で、「Windows8を入れたけれどモニタがタッチ操作にならない」というクレームが出たという話は記憶に新しいところ。
それと同じなのか、または消費を煽りたいのか、タイトルを見た人は「タブレット端末がパソコンを超えた?」とでも思うのでしょうか。
JEITAの数値を参考にすると、2012年上半期の出荷台数の中でのデスクトップPC率は27%くらい。
BCNは家電量販店のPOSデータなのでノート率が高いとし、JEITAの調査対象はユニットコムのようなBTOメーカーも含まれておりデスクトップ率が比較的高いと推測出来る為、BCNのデータでデスクトップPCは27%を切れておりましょう。
読売のタイトルを「タブレット端末がパソコンの27%未満くらいになった」にすると面白く無い為、書き方を変えているのか、理解せずタイトルを付けたのか。
それ以前に報道でパソコンとタブレット端末を比較しようとしている時点でおかしく、煽りに使うのはどうかと。
オーブントースターが電子レンジ(1500W)の割合を抜いた!のようなものでしょう。だからどうした、と。
なぜこのような報道のやり方を非難するかは、過去にネットブックを普通のパソコンと勘違いして購入し、後悔した人が多いというニュースを見た為。
タブレット端末の良さは移動性の高さ、デスクトップPCの良さは効率性の高さ。タブレットPCで良いのにデスクトップPCを買う必要は無く、逆も同じ。
読売のタイトルを見て勘違いしてしまったなら、タブレットPCで何が出来るか良く調べて後悔せぬよう。
需要が満たされると出荷台数は落ちて当然?(まとめ)
例として、仮に以下のような数値の場合。
- 国内でパソコンが必要な人が8割
- 同じくタブレットPCが必要な人が6割
とすると、パソコンは歴史が比較的古く、年々低価格化が進んでおり、今や子どもでも自分用パソコンを所有する時代。上の数値を当てはめると8割に近い人が持っているとしましょう。
タブレットPCは歴史が浅く価格が高めで、現在それを所有している人は一般的では無い限られた属性。6割の半数程度しか持っていないとしましょう。
後は分かるなと言いたい所では有りますが続けると、パソコンは買い替えの割合が高く、タブレットPCの現状は新規購入が多い時。
これら比較出来ない要素を出荷台数で比較し騒ぐは単なる煽り。どうしても比較したいなら、タブレットPCが一般の属性まで普及、または需要がPC並に満たされてからでしょう。
また、出荷台数と普及率は違うのだから、今後タブレットPCの出荷台数が減ったとしても、それは需要が低下したとは言えず、行き渡っただけとも言えるかと。
ところで見出しの「需要が満たされると出荷台数は落ちて当然」は、私が最近までそう思い込んでいた事。
その割にPC出荷台数は前年比プラスを連発し、いつまで行き渡らないのかと思っていたけれど違う気がしております。
違うとは、性能不足や故障による買い替えも有るけれど、低価格化により使い捨てになっているのでは無かろうかと。
使える物を捨てる方では無く、故障時に修理しない。そこそこのノートでも4万円前後で買えてしまう為、3~4年経ちマザーボードが故障で修理費用3万円以上は戴けない。NECやソニーなら買った方が安くなるなど。
PCの単価が下がるほど、今後のPC出荷台数の前年比は伸び続けるやも知れず、出荷台数は需要との関連が薄くなって行くのかも知れませんな。
だから何だと言われても困るけれど。
コメントする ※要ユーザ登録&ログイン