久々にAMDより新製品が登場。
AMDの新世代プラットフォーム、Socket AM4対応のA12シリーズAPU(CPU)9800を搭載したBTOパソコンが3メーカーよりほぼ同時発売。普段インテルしか見ていないので、たまにはAMDも。
以下、APUをCPUと称しつつ参ります。
BTO各メーカーよりAMD「A12-9800」搭載PC発売
プレスリリースを3種類。
- ドスパラ、Socket AM4採用のデスクトップPC - PC Watch
- TSUKUMO、AMD A12-9800搭載デスクトップPC - PC Watch
- ユニットコム、第7世代APU搭載のミニタワーPC - PC Watch
画像に意味は無いけれどドスパラのやつを拝借。
各メーカー共に最上位のA12-9800搭載PCを発売。
ドスパラは1種類、ツクモはA10-9700搭載もある2種類、パソコン工房はA8-9600搭載もある2種類で標準構成は全8機種。
個人的にはドスパラのやる気の無さが賢いと感じており、ツクモは様子見、パソコン工房は勝負に出たか。おそらく数を入れても出ない、大量には売れないと思われドスパラ正解感。
ドスパラを例にすると、以下の構成で税別6.6万円くらい。
APUにA12-9800(3.8GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ8GB、250GB SSD、DVDスーパーマルチドライブ、OSにWindows 10 Homeなどを搭載
この程度の仕様にしては6.6万円はやたら高い気がするのでCPUの価格を調べるも、海外サイトでさえ不明となっており不明。
市販最安や私の脳内価格コムで逆算して行くと、CPUが2万円台になってしまうのだけれどもマジなのだろうか。インテルでいうCore i5相当?
パソコン工房やツクモはA10やA8があるので、位置付けを知る為にアスキーのロードマップの一部を拝借。6月の時点なので多少違う部分はスルーにて。
source:ASCII.jp:デスクトップ版Bristol Ridge AMD CPUアップデート (1/3)
左上のA12-9800が元となり、他の型番へと派生しているわけですな。
一つ気になる機種は、パソコン工房のA8-9600搭載の最上位モデルで、上の画像によるとA12の機能低下版、にも関わらずA12より総額が高くなっているので何故かを調べるとブルーレイを搭載。
CPUの性能が下がりブルーレイを積むだけでは価格が高すぎるので更に調べると、AMD Fluid Motion Videoという機能に対応しているそうな。これが何かは1年半前の記事だけれどもASCIIの説明が詳しい。
Blu-rayも動画ファイルも再生できるPCのほうがメリットは多い。ここに、AMDの映像補完技術「AMD Fluid Motion Video」(以下、Fluid Motionと略)を加えるとより動画ライフは幸せなものになる。
らしいので、動画やるならパソコン工房のブルーレイ搭載が良いのかも知れないという、興味が無いので投げやりにて失礼。
Socket AM4とは?A12-9800のベンチマーク3種類
Socket AM4は従来と何が違う?
調べて来た事を箇条書き。
- 新ソケットでは旧CPUとの互換性無し
- PCIe Gen3やNVMeなどに対応
- メモリがDDR4になった
インテル派なら当たり前のような事でも、AM3+以前のCPUが使えなくなる点はAMDファンはショックかも知れない。逆にインテルからAMDへ移る自作ユーザならば分かりやすくなった。
AM4はソケットなのでインテルでいうところのLGAにあたり、チップセットの話は当然別となり、コンシューマ向けは大きく分けて3種類、B350、A320、~300。
source:AMD AM4: Bristol Ridge Prozessoren sowie Promontory-Chipsätzen für OEMs
何がどう違うのかは調べても全然出て来ず、情報の無さすぎに驚いた。AMD側が出していないのか、情報収集する人が少なすぎるのか。
A12-9800のベンチマークスコア
これも情報が少なすぎる。
source:Socket AM4 - AMD Bristol Ridge A12-9800 Benchmarks
A10-7870Kより少し高性能。他のグラフを見てもだいたい性能は上の画像程度の違いで、消費電力は低下。
もう一つはAMDの公称というか自称でインテルCPUとの比較。
source:AMD AM4 Chipset Specs: Gamers Nexus
消費電力で合わせてみたという意味不明な理由なのでしょう。
PCMark 8では、Core i5-6500と同じくらいのスコア、省電力なi5-6500Tとの比較は17%勝っている。
3DMark 11では、Core i5-6500の2倍くらい、省電力同士のA12-9800Eとi5-6500Tの対決でも2倍は行かないまでも大勝利との事。本当かよ。
AMDが自称すると、大抵の場合はそれ以上の結果は他では出ないので、眉唾と心得て話半分か1/3くらいに留めておいた方が良いと思う。
最後におまけでPassMarkのスコア。
Core i3-4170以上、i3-4340以下。
AMDの4コアは2モジュールなので実質2コア/4スレッド状態、クロックは高くともインテルより性能低めと考えるとPassMarkのスコアが妥当な気がする。
AMDの良さは安さなところ、Core i5並の価格ならば戴けませんな。ドスパラはマザーボードが高いのだろうか。しかし、完成品PCで高価なマザーは無駄なので、やはりCPUが高価なのでしょう。
AMDのCPUを搭載したパソコンはどうなのか?(まとめ)
簡単に言うと、インテルと変わらず、完成品としてパソコンを買うなら意識しなくともよろしいかと。
AMD仕様の特徴をやはり簡単に3つ。
- CPU性能はインテルと比較し見た目より低い
- グラフィック性能はインテルより高め
- 性能の割に安いのでPC価格も安い
CPUがいくら4GHzを超えていようとインテルの3GHz程度のベンチマークスコアになる事が多く、8コアと称していても実はモジュールが4つなので4コアだとしてユーザが怒っていたりも。
「AMDの8コアCPUは実際は4コアだ」として集団訴訟を提起-GIGAZINE
グラフィックについては同社のRadeonシリーズを内蔵しており、一般的にはインテルの同等性能や同価格のCPUよりは性能高めと言われる事が多い。
最後の価格はAMDのCPUが安いというよりインテルが高いので完成品のPC価格も比較的安くなり、高性能を求めない業務用や事務用途、ライトユーザが予算を抑えるならアリな感じ。
ところがBTOパソコンでも最近はAMDのCPUを搭載したPCは種類が少なく、国内大手での採用は今でもあるのか不明なほど浸透してい、というか廃れているのが現状。
なぜそうなったのか、全て私の憶測ながら3つ挙げると、
- 昔ほどAMDのCPU性能がインテルと競えておらず需要が低い
- 需要が低いので大量に仕入れられず買われない
- ビデオカードも微妙なので巻き添え
今も昔もAMDの事は良く知らないのだけれども、当時の記憶を掘り返すと、10年くらい前のAMDはインテルのCPUより、安い、高性能、但し爆熱、という自作PCユーザが遊びやすい製品を出していたけれど、今はミドルクラスばかりで中途半端。
ビデオカードも同じで、安い、高性能、但し爆熱が今はNVIDIAに全然追いつけず、CPUと同じくミドル~ばかりで中途半端。
グラボを積むならゲーム用、ゲーム用なら可能な限り高性能、しかしAMDは当てはまらず採用しづらい。グラボ無しなら一般ユーザ向けの大量販売、しかし大量販売するほど売れないのでCPU+マザーボードを仕入れづらい。
加えて中途半端すぎるので自作PCユーザの中でもAMDファンの食指が動かず、インテルへ改宗する人も少なくは無いのだと思われ、ますます売れない悪循環。
AMDでも良いとは思うけれど、インテルと価格&性能がそう変わらないなら良いとも思えずここでも中途半端。
細かい事まで推測すると、仕入れ数が少なければパーツの単価が高くなり、保守在庫(修理用パーツ)も割高になるなら難点でしょうな。
以上。完成品ならばAMDでも良いけれど、AMDを選ぶ理由は特に無いという話のような気がする。
9800という数字からは、GeForce 9800 GTしか浮かんで来ませんね。マザーボードいじめな補助電源不要版、65nm版と55nm版が混在など、面白かった記憶が。
>この程度の仕様にしては6.6万円はやたら高い気がする
メモリで4,000円、SSDで8,000円、OSで16,000円、マザーで10,000円、ケースで5,000円、電源で3,000円、光学ドライブで2,000円、辺りでどんぶり勘定すると計48,000円。確かにAPUが20,000円くらいな計算になりますけれど、A10の最上位は1.5万円くらいですし、更に上位のA12が2万円程度でもおかしくは無いです。
>何がどう違うのかは調べても全然出て来ず、情報の無さすぎに驚いた
チラッと書かれる程度で、大した情報は無いですね。
PC Watch:AMD、Socket AM4採用のExcavator最終章「第7世代AMD A」シリーズAPU
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1018495.html
北森瓦版:第7世代APU―“Bristol Ridge”とAM4プラットフォームの構成
http://northwood.blog60.fc2.com/blog-entry-8707.html
B350とA320の違い
B350:PCI-Express 2.0が6レーン、USB3.1のGen2が2つ
A320:PCI-Express 2.0が4レーン、USB3.1のGen2が1つ
>もう一つはAMDの公称というか自称でインテルCPUとの比較
差が出ている方のテスト、3DMark 11の総合スコアですから、CPU性能の比較ではありませんね。GPUの性能を測るテストを4種、主にCPUの性能を測るテストを1種、CPUとGPU双方の性能を測るテストを1種、で出る総合スコアが「Performance Test」の結果ですから。
まさか無料版で計測した訳でもあるまいし、Physics Testのスコアだけで比べた方が良かった気もしますが、APUという事で総合スコアを比べたのでしょうかね。
>今はNVIDIAに全然追いつけず
Radeon HD 4000から5000シリーズ時代が、最近だと最高潮の盛り上がりでしたね。HD 5850辺りはコストパフォーマンスも良く、とりあえずRadeonを選んでおけばOKな流れでした。