私が今までに購入した本は3冊。(漫画や小説は除く)
その中の1冊が「DELL世界最速経営の秘密」です。
いつものように、このブログのネタのひとつとして。
<目次>
- Chapter 1 ダイレクトに行こう
- Chapter 2 最高の価値を提供しよう
- Chapter 3 お客様が第一
- Chapter 4 標準化はすばらしい
- Chapter 5 在庫ゼロを目指して
- Chapter 6 常に適応、常に実践
- Chapter 7 情報こそすべて
- Chapter 8 最高のパートナーを探せ
- Chapter 9 成長の道のり
- Chapter10 未来を見据えて
表紙にもありますが、この本の筆者はスティーブン・ホルツナー(Steaven Hlzner)という、DELLを創業当時から追っているDELLマニアです。目次の通り、DELLの販売手法から始まり、10章では今後のDELLについて語られており、DELLという企業の歴史を見るためには最適な一冊と言えます。
原題は「HOW DELL DOES IT」となっており、おそらくですが「DELLならその時どうする」という、オリジナルなビジネスについて書かれたものと思われます。それを具体的にすると、二見聰子氏訳の「DELL 世界最速経営の秘密」というタイトルに。
その名の通り、なぜDELLは~という問いへ勝手に答えまくり、実績や写真入りで伝えるものとなっています。背景が海外の企業やメディアなので馴染みの無いブランドが沢山出て来ますが、それを材料として一気に読ませる内容、そしてDELLの特長を上手く表した文章に感心しました。
私は特にDELL製品に興味があったりファンだったりはしませんが、ある経営方法を知るためのきかっけとして購入したものです。私なりの結論として最も重要な部分は(やや経営寄りですが)、5章の「在庫ゼロを目指して」の約20ページです。この章だけでも立ち読みすると「え!?」と思うことが多々あります。簡単に言えば、トヨタもやっている ジャストインタイム(JIT)を究極にするとこうなる、というもので、DELLの「速さ」を物語っています。
この時の速さは、BTOパソコンの出荷や製造ではなく、在庫をしない(正確に言えば下請け企業に押しつける)ことで資金の回転を速くし、更に大きいため凄まじいキャシュフローとなっているのです。これが本書にも出ている「利益有る成長戦略」であり、リスクを抑えた経営のひとつと言えます。
私個人が最もおもしろいと思った部分は、6章「常に適応、常に実践」内にある [ セグメンテーションで適応力を高める ] という一節。この中を一部引用します。
成長を続ける中で、私達は「顧客、株主、会社全体に利益をもたらす」という大事なことを見失ってしまったのだ。
例えば、情報システムという部署の仕事は、社員や顧客への情報の流れを促進するという目的になるはずが、情報システムを作る作業を仕事と思っていること。情報の共有や発信が無ければ、狭い中で「これは自分の仕事では無い」という環境になるというものです。
日本では多くの企業が未だに年功序列の意味不明な基準が有り、お役所作業の多い古い経営体質が見られますが、DELLもそうなってしまっていた時期があるということ。これに気付いて改善をしたからこそ今がある、という内容です。私も日本の企業に勤めているため、少なからず抜けきらないDELL状態とも言えます。
私がこの本からもっと知りたいと思ったことは、やはりBTO(Bild to order)の詳細。 CTO(Configure to order)について若干触れて有り、工場の写真なども載ってはいますが、タイトルの通り経営について駆け足で解説や分析されているため、作業工程やベンダーの詳細までは書かれていません。
しかし、DELLの特異な経営方法としては暴露本とも言える完成度です。私のような紙媒体に慣れていない人間でもサクサク読める理由は、横書きだからです。翻訳という特性上、どうしても英語のフレーズが出るため横書きになっているのだと思いますが、ブログなどのオンライン環境と同様なため読み易い。この本に限らず、他の書籍も読んでみようかと思わせる機会となりました。
まとめると、BTOなどの製造や品質に関しては詳しくありませんが、DELLの経営や社員や顧客への対応、創業者(マイケル・デル)の考え方は時間を割いても一読の価値有りかと思います。
高い上に場所を取り劣化するので、私は本が大嫌いなのですが、無料で流れて来る情報とは違い、欲しい物を手に入れるには金を出せということです。本気で2回、流して6回以上読みました。
書評などやったことが無いのですが、私が本を買ってまで欲しい情報は滅多に無いため、良い機会かと思いネタにしました。
本は抜きにして私個人の感想では、やはりDELLは選択肢に有りません。
方式はBTO(CTO)ですが、自作とは程遠い。
PC自作を簡略し、安く手に入れることがBTO。そう考えるからです。
NECやSONYが宣伝をしなければDELL状態なのではないかと。
無理に良いイメージを発信して擦り付けようとしないから、DELLは悪いという口コミが蔓延しており、それでも日本市場を大規模に掴んでいるのはさすがとしか言いようがありません。
悪ければ認め、それを改善しようと努力をしつつ、オリジナルを発信して作る。この経営は真似のできない素晴らしいものですが、製品が素晴らしいかどうかは別です。
DELL工場の周りにインテル工場まであるレベルなので、安いならばDELLかも知れませんが、マニアックに品質を言えば、壊れにくいパソコンという要素にDELLは入っていません。
いつも通りの長い記事ですが、30分かかりませんでした。
向いているのかも知れませんが二度とやりません。
これは疲れる。
DELL世界最速経営の秘密
Amazon.co.jp: DELL世界最速経営の秘密: スティーブン・ホルツナー
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