最後に「?」を付けた理由は疑問として真相は不明。
KOUZIRO(フロンティア)がニュースリリースで3時間出荷と謳う即日出荷PCを宣伝。当日出荷は他のBTOメーカーでも販売しており珍しくは無いけれど、3時間とBTO、要するにカスタマイズ可能は私に言わせるとおかしい。
先に値打ちをこいておくと、私は以前BTOメーカーの修理現場に居りました。
フロンティアは当ブログの過去記事では悪い話の率が高く、個人的には昔のフロンティア神代とは違う、良く分からないヤマダ電機の子会社になってしまったと感じております。
それを踏まえると多少偏った見方になると思うので色眼鏡でどうぞ。
フロンティア、BTOパソコンの一部機種を3時間で出荷?
ITメディアに掲載のプレスリリースより。
KOUZIRO、PCの「3時間出荷」サービスを開始 - ITmedia +D PC USER
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1109/22/news100.html
プレス(ニュース)リリースとは意味を変えず評価もしない広報が基本。ITmediaのタイトルではBTOとは書かれておらず「3時間出荷」となっている部分にご注目有れ。
KOUZIROは9月22日、最速で注文を受けてから3時間で出荷する「最速出荷モデル」の取り扱いを開始した。マイクロタワー型とスリムタワー型を用意し、OSやCPU、HDDなどのカスタマイズも可能だ。
タイトルには無いけれど、冒頭でカスタマイズ可能と詳細有り。ケースは二種類という事が判明。そして
出荷時刻は12時、15時、18時の1日3回。各出荷時刻の3時間前までに注文すれば、最短3時間で商品が出荷される。15時以降に注文した場合は、翌日12時の出荷となる。
3時間出荷が「最短」に変わっており、更に15時以降は最長21時間後の出荷。タイトルが嘘という事でITmediaでは無くKOUZIROがそう書いているのでしょう。
確認する為にキーワードを突っ込みGoogle検索した結果。リンク切れ回避のため先に切っておきます。行くならURLコピペにて。
- 株式会社KOUZIRO:FRONTIERは“業界初”の【BTOパソコン3時間出荷】を開始しました。:Bizloop(ビズループ)サーチ
http://r838266.bizloop.jp/release/DRN0000038878/ - FRONTIERは“業界初”の【BTOパソコン3時間出荷】を開始しました。|プレスリリース配信代行『ドリームニュース』
http://www.dreamnews.jp/?action_press=1&pid=0000038878 - FRONTIERは“業界初”の【BTOパソコン3時間出荷】を開始しました。 | 株式会社KOUZIRO | FerretNews(フェレットニュース)
http://news.ferret-plus.com/news/article/3/38878 - KOUZIRO、PCの「3時間出荷」サービスを開始 - MSN トピックスhttp://topics.jp.msn.com/digital/pc/photo-article.aspx?mediaid=1379412
いずれも最短とは書かれておらず、キーワードは「KOUZIRO」「業界初」「BTOパソコン(またはPC)」「3時間出荷」「開始」。
私の性格を知る人ならバレると思われますが、私はこういう騙すような書き方が嫌いで「最短」と書けと。そして業界初が「3時間出荷」では無く「BTO」に掛かっていなければおかしい。
3時間では無くとも21時間以内に出荷する競合他社は有る上、週休二日で土日を休むとはニュースリリースに書かれておらず、通販サイトの専用ページ最下部で小さくご案内。
3時間出荷BTOパソコン | FRONTIER
http://www.frontier-k.co.jp/contents/quickpc/
図の下に有る一行より。
金曜15:01~月曜の9:00までのご注文は、月曜日の12:00以降の出荷となります。
金曜の15時を過ぎると3日後、しかも正午「以降」の出荷となるそうです。3時間出荷では無く最長3日以上サービスという事に。
実際にその通りに出荷されるかは別の問題も有り、通販では仕方の無い事と思っている他社でも同じだろうと思われる決済の種類とタイミング。
ご注文の入金を確認後、最短3時間以内に商品の出荷を行います。
ここでは最短3時間以内と有るものの出荷は入金確認後。銀行振込以外、クレジットカードや代引き決済でなければ3時間以内は無理でしょう。
一応、決済方法のページを見ると
- BTOパソコン通販のFRONTIER
http://www.frontier-k.co.jp/direct/guide/payment.aspx#02
※「銀行振込み/ATM決済(前払い) 銀行振込みの場合」より
ご入金確認後の正式受注となります。
しかし3時間出荷ページでは
クレジットか代金引換以外でのお支払い方法を選ばれた場合、入金を確認後出荷準備に入ります。
前者とするなら決済が確認出来るまでは受注されていない=作業をしないという意味になり、後者では出荷準備までしておき入金確認後に出るという意味となり矛盾。
どちらも誤りでは無いなら3時間出荷の機種のみ入金確認後に出荷、他の機種は入金確認後の受注という事になるでしょうか。私がそう認識しているだけかも知れず。
私の解釈が合っているとするなら
- クレジットカード決済や代引などは、最短3時間で出荷
- 銀行振込は入金を確認し、最短3時間で出荷(?)
後者で「?」とした理由は、KOUZIROの中の人、おそらく経理事務担当者がいつ振込を確認するのかという疑問。
一般的な企業なら時間を決めておき、例として平日の毎日14時とか。まさか数分毎に入金確認しているとは思えず、銀行側がAPIなどでリアルタイムに情報を外に出すとは考えられず。
結局、このプレスリリースはウソ大袈裟まぎらわしい。では、本当に3時間で出荷しようとするとどういう事になるか考えて参りましょう。
3時間未満でBTOパソコンの検査完了は無理が有る
ドスパラなどが当日出荷や翌日出荷などと謳い販売している機種は即納という完成品。価格を抑えた販売数の多い、言い換えると需要の高いパーツで構成したパソコン。
なぜ早い出荷が可能かは作り置きしている為。なぜ作り置きするかは腐らないから、では無く検査をした後に箱詰めし、いつでも出荷出来るよう準備している為。
フロンティアが業界初と宣っている部分は「BTO」の事で有り、確かに早い。しかし私に言わせるとおかしい。他社に言わせてもおかしいでしょう。それ故に他のメーカーはどこもやっていないというか出来ない。
二種類ある内の1つを例として。
上のアイコンでカスタマイズ出来る物が示されており、簡単に見ると他の機種では変更出来ると思われる電源ユニットはカスタマイズに含まれておらず。
構成を一覧。順序はカスタマイズの画面通り。
- OS:Windows7 Home Premium 64bit版
- CPU:Core i3-2100 (3.10GHz / 3MB)
- マザーボード:H67 Express チップセット搭載
- マニュアル:Windows7専用(32bit/64bitセレクタブルリカバリディスク)
- 電源:600W ATX
- メモリ:4GB [DDR3-SDRAM 4GB PC3-10600 ×1]
- HDD:500GB S-ATA2
- 領域:パーティション分割 無し
- DVD:スーパーマルチドライブ
- カードリーダー:マルチカードリーダー
- グラフィック:オンボードVGA(?)
- キーボード:オリジナル 日本語キーボード
- マウス:光学スクロールマウス
- バンドル:ウイルスバスター2011 クラウド 90日期間限定版
- その他:PCリサイクル対応
- 保証:1年間センドバック
- オンサイト:無し
- PCワランティ:無し
- (ケース:マイクロATX)
文字の種類の意味は
- 黒太字・・ケースに組込で作り置き可 【検査必須】
- 灰文字・・共通するパーツなど、箱やイメージで前準備可
- 赤文字・・カスタマイズ可能、検査不要
- 赤太字・・カスタマイズ可能、かつ組込で【検査必須】
カスタマイズのページにケースが無かったので最後に付け足しておりますが、黒太字はケースに組込準備出来る物。PCケース+電源ユニット+マザーボード+DVDドライブ+カードリーダー、これら5点セットは変更できないパーツなので半完成品として受注前に作り置き在庫して問題の無いパーツ。
灰色はカスタマイズと無関係なのでスルー。付属品は箱に入れて作り置き、体験版のウィルスバスターはマスターHDDにイメージとして入っているのでしょう。
赤文字もカスタマイズしても問題は無く、Win7は二種類のマスターイメージでHome~とPro~を作業する側が選択可。液晶モニタは本体の梱包とは無関係。オフィスはイメージ切り替えが必要と思いきや、MSオフィスに変更する場合はセルフサービスなので標準で全てキングソフトの体験版が入っているのでしょう。
問題は赤太字の4種類。
- CPU:Core i3-2100 (3.10GHz / 3MB)
- メモリ:4GB [DDR3-SDRAM 4GB PC3-10600 ×1]
- HDD:500GB S-ATA2
- グラフィック:オンボードVGA(?)
カスタマイズすると当然ながらパーツが変わり検査が必要。その検査でもエージングと言われる時間を掛けた負荷などのテストが要るわけです。
CPUを変更するという事はグリスの塗りが変更。インテルの純正クーラーのような分厚い物がヒートシンクに始めから付いているとするならそれで良しとしましょう。しかし多くのクーラーはプッシュピンで固定。グリスとピンの固定を確認する為にエージング。何分やるかは知りませんが、私が居た修理現場では最低でも1時間。
メモリやHDDは先に単品で検査をしたとか考えられそうですが、マザーボードは同じ型番でも種類(ロットやリビジョン)が変わる事が有り相性などが出ないとは限らず。また、メモリとHDDは全容量に対して読み書きテストをするもの(※HDDのデータ部分の書込は除く)。4GBメモリならまだしも8GB(4GBx2)なら2倍、HDDも500GBでは無く1.5TBなら約3倍の検査時間。どのような検査かは知らないけれど2時間で終わるものでは無し。
グラフィックが意味不明なオンボード表記。やはりフロンティアはパソコンの事を良く判っていない、またはWebデザイン担当者の表記ミスでしょうな。
グラフィックも標準のCPU内蔵GPUならメモリから取るので良いとして、グラフィックボードを付けるとVRAMの検査も必要。併せてCPUと同時にビデオカードもエージングが必要となるわけです。
その他、SATAケーブルの取り回しによる接続不良によるHDDの読み書きエラー、電源ユニットの電圧が安定して規定値付近を前後するかなど。
3時間以内でこれらが終わるかと言えば無理でしょう。どのような裏技を使っているのか想像出来ないけれど、3時間以内とは180分フルに使えるわけでは無く、案内ページによると
- 例:9時までの受注->12時出荷
なので、検査時間は180分未満。
受注(入金)の連絡が9時より前は有り得ないので事務処理が9時に開始。作業場でパーツの組み合わせを在庫から取り出し。組み立て作業やマスターイメージを別担当を含め確認。そして検査という流れになるとして、最終的には12時まで出荷出来るよう梱包し出荷手配するわけです。
組み立て後にほぼ検査していないだろうと。
そして何故かこの2機種は延長3年保証のカスタマイズが有りませんな。保証書の差し替えとデータベースの登録のみと思うけれど何か事情が有るのでしょう。
ONKYOも相変わらずの思考回路
プレスリリースがどこに有ったか忘れてしまったのでタイミングは分からないけれど、私の記憶が確かならフロンティアの3時間出荷ニュースより後日。
当日出荷パソコン【スグつく】|PC通販オンキヨー(ONKYO)
http://onkyodirect.jp/pc/speed/
決済を確認した後、銀行振込ならONKYOの都合による。
こちらは完成品在庫を販売しておりフロンティアのような疑問は無いけれど、やはり運営(経営)としておかしい。
ページ最下部付近で「最短」でしたというご案内。
図を一見すると普通に当日出荷しているように見えるけれど13時まで。当日に銀行振込して、決済確認の担当者が昼休みの後に入金を確認すると翌日。
更に下の注意書きによると
※(略)また休業日は出荷を行っておりません。
※ 営業日とは、土、日、祝日、および当社倉庫休業日(毎月第1営業日、毎月最終営業日、年末年始12月27日から1月5日まで)を除きます。
最長で計算すると2011年10月の場合、10/29(土)と10/30(日)は休み。更に31(月)と11/1(火)は倉庫休業日。10/28(金)に注文しても出荷は翌週11/2(水)となり5日後。
販売、広報、通販、辺りの担当者が非常識。
フロンティアなどは何故ウソを書いてまで売るのか?
私の見方が厳しいのやも知れず、どこがおかしいか分からない人用に別の例で挙げてみると
- 50%オフ!秋物大セール
半額に釣られて広告をクリックし通販サイトに行って見ると、「5~50%オフ!」になっていたらどう思うでしょう。何も思わない人も居るかも知れないけれど、私ならいくら安くても誘導する為にウソを書く店は信用しない。
また、フロンティアはウソの表記以外に検査していないだろうと予想出来る方針。販売側のみならず生産部署まで巻き込んでおり、経営としてどうなっているのか疑問。
しかし検査していないとは言い切れず、全カスタマイズの組み合わせを作り置きして検査済みにしておけば良い事。
上で一覧した赤太字以外にOSの組み合わせを追加すると5種類のカスタマイズ項目。カスタマイズページでは全カテゴリ2種類なので2の5乗は32種類。
その中でも受注数が多いと予想出来るカスタマイズしない標準構成に比重を置けば残りの31種類は数を少なくしても良いと思われるものの、32種類も在庫を作った時点で在庫数は100台を超え、平均原価を低く見て4万円としても400万円以上。フロンティア規模ならもっと大きいかと。
その在庫を全て売り切れば良いけれど、BTOパソコンは受注生産。注文の無かった構成はバラして流用し新品として扱うのか、または中古PCとして販売するのか。いずれにしても頭が良いとは言えない方法。
フロンティア達がなぜウソを書いてまで売りたいか妄想すると。
- (最短)3時間出荷のBTOが需要有る上手いプロモーションと思っている
- (社内で販促担当が)仕事をしているように見せかけたい
- 本気で消費者を騙そうとしている
いずれにしても買う側には無関係または迷惑な話。
これを書きつつ2年くらい前に片っ端から叩いて行ったグッドボックス系(VSPEC、ハーキュリーズなど)を思い出した次第。
パソコンの事が良く分からないなら解る人間を採用すれば良く、販売の仕方が分からなくとも同様。今回の売り方を見て誰もおかしいと思わない(止めない)辺りが両社とも売る側として終わっている気がします。
当ブログは事実から私が感じた事をそのまんま書いており、過去にも両社は悪いネタが多め。フロンティアやソーテック(現、オンキヨー)ファンや信者は止めないので良いと思うならご自由にどうぞ。
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