過去10年の国内PC出荷台数と金額と単価(by.JEITA)

2017年6月30日

昨日に続きJEITAネタその2。

出荷台数と金額が判るならばおおよそながら1台あたりの単価が出せると気付き、前回は種類を分けず過去6年少々を出してみた件。今回はカテゴリ別で過去10年分を年単位でグラフ化してみる事に。

先に注意点を少々。

注意とは、JEITA統計は参加企業が限定的なのでDELLなどの外資系がAppleとレノボを除きは入っていない以外、参加メーカーが減る事はあれど増える事は無し。

例として2007年は13社。後で消える4メーカーを太字化。

アップルコンピュータ(株)、NEC、シャープ(株)、セイコーエプソン(株)、(株)ソーテックソニー(株)、(株)東芝、(株)日立製作所、富士通(株)、松下電器産業(株)、 三菱電機インフォメーションテクノロジー(株)、(株)ユニットコム(旧 アロシステム(株))、 レノボ・ジャパン(株) 計13社

2016年は9社まで減少。

アップルジャパン(株)、NECパーソナルコンピュータ(株)、セイコーエプソン(株)、 東芝クライアントソリューション(株)、パナソニック(株)、(株)日立製作所、富士通(株)、 (株)ユニットコム、レノボ・ジャパン(株) 計9社

なぜ消えたかはソーテックはオンキヨーへ吸収合併され消滅、シャープと日立と三菱とソニーはパーソナルなコンピューターの事業から撤退した為。

どうして増えないかは突然数値が上がってしまう、またはJEITAがさぼっているとも考えられ、本来ならばソニーが消えたなら(株)VAIOが入り、ソーテックが消えた時にオンキヨーが入るべきところ減るだけで増えない仕様。

というわけで、ある日を境に台数や金額が減る前提なので、推移としてまじめに見すぎるものでは無いとして。

 

過去10年の国内PC出荷台数と金額と単価(by.JEITA)

先に昨日使用したグラフをもう一度。

月単位でのPC全体の平均単価(2011~2017年)

平均単価

これのみ月単位としており、今後のJEITA統計グラフ化の際には更新し続ける予定で考えております。

前回の記事を書いた際は気づかなかったけれど、どの年度も9月の出荷単価が低く出ているので、家電店でパソコン買うとか法人でまとめ買いするなら9月出荷、10月頃に買うと安いのやも知れず。

また、6月と12月と3月、これら時計の上下左右月は季節モデルが出る月。大量に出荷するので単価も下がるのでしょうと思った。

ではここから年間単位にて、過去10年分。

国内パソコン出荷「台数」(2007-2016年度)

台数

カテゴリ別での出荷台数推移。

過去10年で最も変動のある形はA4ノートその他が大きく上下。2007年500万台が2013年は700万台近くまで上昇。オールインワン以外の2013年がいずれもトップな原因はXPのサポート終了による特需。

そこから全カテゴリが急降下を開始し、2015-2016年度はいずれもだいたい同じくらいなのでしばらくはこの状態が続くのでしょう。いつまでかは2018年までのはず。

2019年末で実質的にWindows 7のサポートが終了。しかも今回はXPの時と違う点として、Windows 10にするならSkylakeより後に出たCPUで無ければならない、イコール自作ユーザもほぼ強制的にハードウェア買い替えに。

オールインワンに注目すると2011年まで横ばいだった推移が2012年から下降。こちらは全然と言えるほどXP終了祭りの影響が出ておらず下がりまくり。

何が原因かはおそらく2011年7月のアナログ放送終了、地デジへの移行と思われ、製造が面倒になったのか、消費者がテレビ買い替えや買い足しまくりで需要が減ったのかというところでしょう。知らないけれど。

国内パソコン出荷「金額」(2007-2016年度)

金額

金額は台数とは違い下がり続けまくり。

やはりXP祭りの2013年を除き、どの形でも出荷額は減り続けており、率でも実際の金額でもA4ノートの減りがデカい。元から主力なA4ノートが5500億円規模から3500億円規模への減少は大手メーカーには相当な痛手。

オールインワンは右肩下がりなので今後に期待は出来ず、デスクトップ単体は主に法人向けだろうから数は出せても利益率が低いと予想。大手にはパソコンで商売する時代では無くなって行きそうな流れ。 

国内パソコン出荷「平均単価」(2007-2016年度)

平均単価

金額/台数で割り算した推移。

最も高額なモバイルノートは10年前に平均15万円オーバー。一体型(オールインワン)より高いとは思わなかった。

当時のノートPCは小さければ小さいほど高額で当然な感があり、なぜかは今ほどパーツが小型化されておらず、小さくするほど高くなってしまう。その上、省電力化もまだまだだったので発熱もどうにかしなければならず。

10年前の一体型は確か40型前後のクソでかい重いやつが主流だったと記憶しており、例として富士通の40型アナログ放送テレビ兼用のやつが40万円近くしていたと思う。重量も40kgとか、故障したなら修理出す気あるのか不思議な物体な印象。

この頃は14~15型のノートPCも高かった。私が修理現場に居た頃と思われ、そうならBTOでさえ新品のノートは10万円切れていなかったはず。CPUはCeleron、メモリ128~256MB、HDD 40~80GB、無線LANはもちろんb/gのみ。

グラフ水色のデスクトップ単体は主に法人でしょうな。

2012年が全体的にほぼ最安となっている原因は前回も書いた、1ドル80円くらいまで円高していた影響かと。これを書いている現在は110円くらいなので3割くらいも上がってしまった。

なぜ為替の影響を受けるかは米ドルで取引している為で、PCパーツの多くは台湾や香港の港を経由する前に米ドルで決済するという理由。

2012年の後に全単価が上昇しているのは円安傾向の影響なのか、それとも便乗値上げもしているのか、またはWindows 8移行はタッチスクリーンとか付くモノもあるのでその影響か。

と思ったけれど、デスクトップ単体とオールインワンも上がっているので為替相場でしょうな。どちらも普通タッチスクリーン付けないどころか単体はモニタが無い。 

全体の平均単価と台数と金額(2007-2016年度)

平均単価と台数と金額

やや見づらくなってしまい失礼。カテゴリ分けず全体で3種類。

左の縦軸が紫の平均単価用、右の縦は赤の出荷と青の金額用で、単価はそのまんま円、台数と金額は桁が違うので見づらいですな。見るのでは無く心で感じるという単位気にせず推移で見ましょう。

出荷台数はXP祭りまで上がり続け、そこから急落。これを知りアホな情弱メディアが「パソコン衰退、これからはタブレット(キリッ」とか言っていたのが今思い出しても痛すぎる。

金額が2007年から減り続けている原因は、パソコンという物の単価は昔から値下がりし続けるものなので、と言いたいけれど2017年から上昇。2012年の円高当時が底値だったと見るべきか、再び円高になればまた下がるものなのか。

10年前は1兆1千億円(以上)規模だったPC市場が現在は半分まで下がりそうな6千億円市場へ。そりゃNECと富士通も手を引きたがるわ感が半端無し。※JEITAは国内全体の6~7割しかデータ取れていない

2016年時点でのPC単価は9万円くらい。但し出荷金額=卸売価格だろうから、仮に利益率40%くらいとするなら実売12万円強くらい。1人で勝手に納得。

国内パソコン出荷「台数比率」(2007-2016年度)

種類別の割合

ラストはカテゴリ別での出荷比率を出してみた。

A4ノートがじわじわと増えて10年前50%が今は60%近くを占めております。モバイルも含めたノートPC全体とするとノート率65%が75%くらいへ、JEITA統計参加企業のPCは4台中3台がノート。

あえて「JEITA参加~」と書いた理由は国内3位と5位のシェア、合計2割強を占めるDELLとHPが入っていないので、あくまでもJEITA統計の上では、という事。

DELLの出荷8割は法人、HPも仮に同じくらいとするならばデスクトップ単体が大きく漏れているという事に。また、マウスやドスパラも主力はデスクトップPCで両社合わせて年商600~700億円規模なので、いつかやった私の皮算用では5割弱がデスクトップPCと見ております。

所有率も考えてみると、デスクトップPC単体は修理代が比較的安いので買い替え頻度はノートより低く、ノートは分解修理出来ない物も最近は増えて来たので買い替える割合が高め。

とするならば、ノートPCの出荷数がデスクトップより多くなるのは自然。所有率は実はノートよりデスクトップPCの方が多いかも、という妄想や憶測も可能。

 

今こそ2in1やタッチスクリーン搭載やめるべきか?

今回のグラフで最も気になるやつがこれ。

平均単価と台数と金額

2013年のXP終了祭りの特需を境界に2014年は反動の年。反動終わりかと思いきや2015-2016年は2011-2012年の台数基準で6割まで激減しており金額は7割まで減少。

その割に単価は2割くらい上がっておりバランスがおかしい。

とは言えども今やパソコンは家電の仲間として生活必需品であり、単価を6~7割まで落とせば売れるというものでも無く、必要ならば以前の1.2倍でも1.5倍でも買う人は買うでしょう。

ところが大手メーカーには追い打ちな事にDELLが量販店で気合を入れ始め、国内メーカーはマウスが個人向けPCを強化し始めた。

これがどういう事になるかは、NECなど大手メーカーのノートPCが12万円ならばDELLやマウスは6~7万円で機能は少ないながらも同程度の性能のノートを販売出来てしまう。

機能とはタッチスクリーンや回転式2in1、その他万人に必要とは思えない地デジとか4Kのような超高解像度。

オールインワンが地デジ移行前の半分以下にまで出荷台数が落ちている事からTVチューナ需要は下降していると予想可能。ノートPCでもチューナ付けている機種が有るけれど、アンテナ繋いでまでノートPCの小さな画面でテレビ見るのか?

ワンセグならアンテナ付きかも知れないけれど、15.6型以下の小さな画面で低画質なテレビ放送を見たい人が居るのか激しく疑問。

画面をタッチするのはキーボードやマウスが無い、付けると邪魔になる携帯端末用であり、パソコンをタッチ操作やタブレット型へ変形させるのは営業職と絵描き職人くらいと想像しており、普通の人が家で重いパソコンをタブレット化したいとは想像し難い。

「可能だから取り入れて作る」は芸術家のようなもの。パソコンは「必要とされているものを作る」が正解であり、必要最小限にとどめ低価格化させたものが売れるのは当たり前。

大手メーカーはそろそろDELLやマウスなどの量産系BTOメーカー対策した方が良いと思うのだけれども、東芝は主に法人用だろうし、NECはレノボ、富士通もレノボになる予定なのでPC事業は両社には割とどうでも良さそうですな。

東芝は本体が来年逝きそうなので、国内大手の純正PCメーカーはVAIOやレッツのようなApple系製品並の信者向けになり、パーソナルコンピューターはDELLとかマウスが主流になると思う。

コメント(1)

>シャープ
2007年の時点であまり元気は無かった模様。2009~2010年で息絶えた訳ですから、意外というほどでもありませんけれど。

PC Watch - 2007年 PC春モデルリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/link/springpc.htm

PC Watch - シャープ、PCを含むIT機器市場への再参入に意欲
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1055451.html

>どの年度も9月の出荷単価が低く出ている
9月は第二四半期かつ上半期の締めですから、売上を伸ばすために単価を下げることは理解できます。というか6月、9月、12月、3月と四半期毎に下がるのがはっきり分かって、単価の推移グラフは面白いですね。

>2019年末で実質的にWindows 7のサポートが終了
サポート期間について、@ITが分かりやすくまとめているため参考になるやも。

@IT - Skylake CPUに対するWindows 7/8.1の早期サポート打ち切りが撤回され、元通りに
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1605/25/news052.html

>国内パソコン出荷「金額」(2007-2016年度)
だいたい半減ですね。A4ノートは5,545億円から3,459億円ですから、62%。一体型は2,295億円から704億円ですから、31%。モバイルノートは1,989億円から1,218億円ですから、61%。単体は1,518億円から799億円ですから、53%。全体だと1兆1,346億円から6,181億円ですから、54%。

一体型の凋落が見事。2番手から最下位まで落ちるとは。

>当時のノートPCは小さければ小さいほど高額で当然な感があり
確かに。NECでも一体型が18万円からに対し、12.1型の携帯ノートは24万円からと高額。ちなみに当時のスペックを見ると、Vistaに1GBのメモリが標準仕様だった模様。

日経トレンディネット - Vistaパソコン122機種大総覧 2007年夏モデル編
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/tokushu/gen/20070529/122163/

>必要とされているものを作る
皆がそれをやると、体力のある大きな会社しか生き残れないのですよね。

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※ドスパラはパーツの偽装疑いを誤魔化したり取引先を勝手に切る信頼性暴落した事件があり掲載中止(2020.11.26)

※マウスコンピューターは高いぞと書きまくったからか遠回しにリンク削除しろと言って来たので削除(2021.03.28)

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