国内パソコン出荷に関する年間推移。
2014年度が終了し、JEITA統計の国内PC出荷の目次を見ると2007年度から集計が始まっており、過去8年間の年間推移を見るという、超面倒そうな事を思い付いてしまったのでグラフ化。
台数以外に単価や構成比も算出。
JEITA統計の国内PC出荷数を見る際に注意する事
先に能書き的な注意点をいくつか挙げておきましょう。
- JEITAのPC出荷の数値は国内全体では無く6~7割程度
- PC事業撤退によるマイナスは有るが参入のプラスは無し
- 自作PCとBTO PCの大半は入っておらず法人濃度高め
- 法人が強めという事は単価が低めでノートが弱めに出る
- 但しDELLやHP、BTO、自作なども無くデスクトップも弱め
- Macは100%入っていると思われWindows PCがやや薄め
以上のように、国内全体の数値では無く、法人寄りなどの偏りも有る為、JEITA統計内の数値のみで相対的に比較する用のデータとなっております。JEITAの統計で国内PC出荷を語る事が出来るものでは無し、という意味。
2が何故プラスに出来ないかは、数値がいきなり上がってしまい前年比が狂う為。例として2015年からDELLやHPを入れると、2015年度の前年比が思い切りプラスになってしまう。※バージョン分けたら良いのだけれども、やってくれない
6は仮にMacの出荷シェア5%とし、分母が国内PC出荷全体の6割ならば8.3%くらいまで影響するのでは、という感じ。しかし、その程度なら大差無いでしょう。
ソースはこちら。
JEITA / 統計データ
http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pc/
では本題。グラフ10個作った。
国内PC出荷台数や単価や構成比推移7種類
クソ真面目に見る物でも無いので気楽にどうぞ。
まずは8年間の全体のパソコン出荷台数と金額の推移から。
目視による適当すぎる中央値でいうと、年間の出荷台数は1千万台で出荷金額は8千億円くらいな感じですな。ちなみにMM総研の統計では、年間1500万台くらい。
2008年で台数が一度落ちているものの、その後の5年程度は上り調子で、XP祭り終了後の2014年度は反動で激減。金額は対照的に落ちまくっているけれど、円安促進消費増税便乗値上げの影響か、2013年辺りからは落ちる気配が停止。
4種類のカテゴリ別にした推移。
A4型ノートの総額がやたらと高い理由は、単純に台数が出ている為。モニタが付かない分、単価の安くなるデスクトップ単体も2013年からの2年は健闘。
金額割る台数でPC1台あたりの単価を出したものがこちら。
2007年当時は12万円くらいしていた物が、2012年には7万円少々にまで値下がり。
全体で比較すると単価59%まで下がっている為、5年で4割くらい安くなった計算。2008~2009年度でデスクトップとノートが逆転、ノートパソコンが高額な時代が終了したタイミングがこの辺りなのでしょう。
2009年と言えばWindows 7が発売になった頃。Vistaの何が駄目だったかは、CPU性能の時代を先取りした以上に、当時は大容量メモリが高額な割にVistaは大容量が必要な為の黒歴史。
Vista発売の2006~2007年当時のメモリは4GBで軽く4万円を超えていたと記憶しており、7での改善と同時に、メモリなどのPCパーツ価格下落が平均単価の低下にも関係しているのかと。
PC単価は7万円を切ると思っていたけれど、2013年以降は値上がりし、現在は8万円を突破しそうな勢いとなっております。
カテゴリで分割。
値下がり額で見るとモバイルノートが最も安くなっており、率でいうとオールインワンの値下がり率が最も鈍い。
一体型PCは主にノート用のパーツで構成されるので性能の割に高額、デカく重い物が多いので移動や捨てるのが面倒、そして換装や増設出来ないパーツが多いので寿命が短いという誰得な形態。
全体も大分類もカテゴリ別でもそうだけれども、これはNECや富士通などの割合が高いデータなので金額が高めに出ていると推測可能。DELLとかマウスが入ったなら、オールインワン以外は数千円下がりそう。
構成比をノート対デスクトップで。
8年前は35%有ったデスクトップ率が3割を切れるまで低下。
個人でデスクトップPCが欲しい人はBTOや自作に行くと思われ、店頭でセパレート型の単体は見掛けない為、需要と供給、集計漏れの全部が関係していそう。
カテゴリ別で構成比。
ノート勢が強いですな。
オールインワンが圧縮され、単体が少し押し返している感。但しそれは2013年のさらばXP需要によるもので、2015年度の単体は余裕で20%を切れると憶測。
最古と最新の年度のみで比較。
偶然にも単体とモバイルの数値がほぼ同じ。
この2年分のみで比較すると、単純にオールインワンが減りA4ノートが増えた、7%くらいノートへ移動した印象。
オールインワンと言えば、特徴としてテレビが映る。しかし、地デジ搭載PCは出荷台数が低下しまくり、JEITAが途中で集計を投げてしまったほどのオワコン状態。
買わないから売れない、売れないから出荷しない、製造も縮小して行っているのでしょう。私は家電量販店の店頭に行くほどパソコン好きでは無いので良く知らないけれど、通販でも一体型PCは昔ほど多くないと感じております。
2014&2013年度を平均化したグラフで3種類
さて、最初に貼った既出グラフをもう一度。
これを見て「パソコンの時代は2013年を頂点&境として、2014年からは急落へと向かう」という、脳内濃霧注意報が余裕な人やメディアが出そう、というかもう騒いでいる報道も有る為、XP祭りを薄めてみましょう。
2013年と2014年を平均化。
出荷台数は2011年以降は微減、金額は落ちて当然がパソコン市場の習わしのところ、円安と便乗値上げの煽りかやや上向き。
個人的にはスマホやタブレットで祭り騒ぐメディアを薄める為、タブレット関係無いだろいい加減にしろとか、スマホの影響よりWindows 8系の影響がデカいとは言っているものの、2010年まで伸び続けた出荷台数が停滞、もしくは微減という現実。
もしタブレットやスマホが出ていなければ、2011年以降も以前のように右上20度くらいの傾斜で伸び続けたかも知れない傾向は否定できず。
但し、2012年と言えばWindows 8も2012年発売。しかし、10月なので影響は4月を起点とし半年程度。スマホでルカナンされ、8でベギラマ喰らった感じなのか。今年はパルプンテがリリース。意味不明失礼。
カテ別も最新2年を平均してみた。
これは割合でも前年比でも無く、出荷台数なので他の形態の影響は受けないグラフ。A4ノートは売れすぎていただけなのか、人気がやや落ち目なのか、直近2年平均は前年からほんのり減少。
やはり2011年が境になっている為、8系のせいと見るが妥当でしょう。円安も手伝ってか2013年からも厳しくなって行く模様。デスク~単体が元気なのは法人のXP->7乗り換えで一時的なもの。
ラスト、平均単価も最新2年を平均化。
薄めてみると2011年の単価へと逆戻りしている気配。
以上、ここまでの特徴をまとめると、
- 出荷台数は2012年から停滞、または微減へ転じた
- 平均単価は2012年を底として逆に上昇し約8万円へ
- ノートPCの出荷割合は7割以上、デスク~3割切る
- オールインワンを絶滅危惧種に指定(私が勝手に)
スマホ、8、円安がキーワードでしょうな。
今夏より垂れ流される予定のパルプンテの影響がどう出るか。あれでは何かと良くはならないと思う。
※一応、パルプンテ=何が起こるか判らないドラクエの呪文=Windows 10。(ルカナン=防御力下げる、ベギラマ=クソ痛い範囲魔法)
前年比何%増減やJEITA統計鵜呑みが駄目(まとめ)
ソースを忘却したけれど、2012年頃の2chまとめ記事にて、JEITA統計のPC出荷台数に対する意見が確かこう。
- JEITA統計は法人が半数以上 <-合っていると思う
- デスクトップPC単体は法人向け <- これも合っていると思う
- デスク~単体3割は全部法人=個人のデスク~単体は皆無 <-?
「お前がそう思うんならそうなんだろうJEITAの中ではな」というわけで冒頭で書いた通り、DELLなどが入っておらず、MCJの中でもマウスコンピューターという大御所とかドスパラも入っておらず、そうとは言い切れない。
以前、私がドスパラやMCJグループの連結決算の売上額から平均単価で台数を皮算用した際、本当の国内デスクトップPC出荷割合は5割に近い、零細ショップや自作PC入れると5割超えるのでは無かろうか、という数値が出ていた気がする。
また、出荷=普及率という斜め明後日な方向で捉える人も居られ、JEITA統計の出荷7割がノート=ノート利用率7割とのたまう人も存在。単純に無いから買う、有るから買わない、という考え方とかにならないのか。
また、私を例にすると、過去10年くらいデスクトップPCを購入した事が無く、ノートは貰い物を除き2台購入しております。
デスク~単体0台、A4型1台、モバイル1台が出荷された事になるけれど、実際に利用しているPCはデスクトップ2台でノートは予備とか実験用で年に数回使う程度。10年以上前のデスク~単体を使っているわけでは無く、完成品として購入していないので数値には出ない。
もう一つ、今回気付いた事は、前年比で遊び祭り騒ぐ意味がどれほど薄いか、年間通した推移で数値を見ると解った感。
「20xx年度のA月は前年比n%」は点過ぎ、年間を通せども2013と2014年のように極端な年が存在。2015年は例年以下でも前年比プラスに向くと予想出来る為、3年間の前年比率が指標にならない。
そして、日本のパソコン市場がどうなっているかは、結局は実際の台数や金額、そしてJEITAでは無く国内全体により近付いたデータを見なければ良く解らない。
おまけ:グラフ作成は「作業」、ひらめきが「仕事」
ヒツジ先輩なので先輩風吹かせたいわけでは無いけれど。新社会人が良く判っていない事が作業と仕事の違い。
私が「JEITAの過去7年をグラフ化してみよう」とか「構成比以外に単価も出すか」と発想したり、「尺稼ぎの為にどう作文するか?」と考え強行した部分が仕事にあたり、数値を拾いエクセルでグラフ化してアップロードする辺りは作業。
能力で優劣決まるものが社員や上司の仕事、やり方さえ知れば誰でも同じように出来るアルバイト状態が作業。学生時代の英単語や文法の暗記は作業、論文や研究が仕事と言えば解り易いかも知れない。
作業で仕事の感覚を養い、仕事出来る人間になりましょう。仕事出来るようになったなら、飽きて転職する私に言われたくないとは思うけれど。
>小分類:種類別の出荷台数推移
モバイルノートPCのブレなさは素晴らしい。急激な上昇や下降なく、常に一定の需要を稼ぐ。逆に考えると、SurfaceやMacBookAirなんぞは大した起爆剤にはなっていない、という証明でもあり。
>大分類:全体と種類別の平均単価推移
底値が2012年ですか。そんなに安かったっけ、と思うと確かに安かったですね。
価格.com:2015年現在の「NECノート一覧 価格の安い順」
http://kakaku.com/pc/note-pc/itemlist.aspx?pdf_ma=57&pdf_so=p1
価格.com:2012年5月3日時点の「NECノート一覧 価格の安い順」
https://web.archive.org/web/20120415170158/http://kakaku.com/pc/note-pc/ma_57/p1001/#Option1_OptionP
ただし安物はAtom搭載のPCばかり。Celeron以上だと価格はそうかわらず、というより2015年現在の方が、コストパフォーマンスの良いモデルが盛り沢山で良い状況に見えます。
価格.com:2015年現在の「富士通デスクトップ一覧 価格の安い順」
http://kakaku.com/pc/desktop-pc/itemlist.aspx?pdf_ma=30&pdf_so=p1
価格.com:2012年5月3日時点の「富士通デスクトップ一覧 価格の安い順」
https://web.archive.org/web/20120402074619/http://kakaku.com/pc/desktop-pc/ma_30/p1001#Option1_OptionP
変化とすれば、液晶一体型モデルの大幅な減少。2012年時点では40モデル中28モデルあったものの、2015年時点では40モデル中10モデル。価格や内部の仕様は大して変化していません。
両者を併せて考えると、やはり個人向けのPC価格にはさして変化がなく、法人向けのPCに価格の下落が大きかった、という見方が濃厚ですね。
>店頭でセパレート型の単体は見掛けない
そんなに見かけませんでしたか。私は近所の小さめな電器屋含め、PC売り場だと ノート:セパレート:一体型=6:3:1 、というくらいで置いてあるように感じるのですが(ただしセパレート型はモニタセット含む。全モデルでモニタ有り無し選択可能)。
>通販でも一体型PCは昔ほど多くないと感じております
ジャパネットだとやや人気傾向な模様。
【ジャパネットたかた】デスクトップパソコン:通販、テレビショッピング
http://www.japanet.co.jp/shopping/desktop-pc/
作業と仕事。私は分けて考える事はあまりありませんね。強いて言うなら、目標を達成するまでのプロセスは全てが作業、作業によって作り上げたモノが仕事、という体。結果が全て、結果を出すことが仕事。
>モバイルノートPCのブレなさ
据え置きノートと違って外に持ち出すことが多く、消耗が激しいというのも一定需要を支える一因かと。会社のを見ると落とした、濡らしたが結構ありますし。
>出荷=普及率という斜め明後日な方向
それが成り立つならスマホやタブレットの普及率はパソコンを既に超えていますね(棒)
>能力で優劣決まるものが社員や上司の仕事、やり方さえ知れば誰でも同じように出来るアルバイト状態が作業。
私はどういうロジックでプログラムを書くか自分で考えなくてはいけないから仕事の連続ですねw
とある福井のstaticおじさん - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/656565
こういう人は作業しかできない人なんでしょうねw