イノベーションのないノートPCは消えて行くのか?

2017年7月11日

イノベーションとは革新とか新しい何か。

中国のスマホ屋HUAWEI(以下、ファーウェイ)が作るノートPCに新モデルが登場し、製品発表会が都内にて開催。ここまでツッコミどころしか無い製品と提案は珍しいと言えるほど中身も外もデタラメ。

適当に見て参りましょう。

新ノートPCでイノベーターを目指すファーウェイ?

元ネタはこちら。

MateBook X投入で業界のイノベーター目指すファーウェイ-PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1068803.html

matebook-x-2017-07

見た目のツッコミは後回しとし、ファーウェイの言い分を引用。

世界的に従来型のノートPCの出荷が大幅に落ち込んでいる理由として、各社が研究よりも価格競争に力を入れ“イノベーション”を起こそうとしなくなったためであると断言。重く、格好悪く、駆動時間が短く、そして革新性がない

スマホ屋なのでパソコン業界の事を知らないのか、ノートPCの出荷が減少した主な理由は以下。

  • Windows 10無償アップグレードの影響
  • 8以降のWindowsの設計がおかしい
  • 昔ほど性能不足を感じなくなった
  • 昔より故障しづらくなった
  • 10にしたくない人が多い

軽さに関してはNECと富士通が軽量化合戦をしており、レッツノートも頑丈な割に軽く、見た目も昔ほどダサくは無いというか個人的には富士通と日本HPのデザインは秀逸と感じております。バッテリ駆動時間は本当に10時間以上も必要なのか?と思うほど長い。

そして革新する必要が無いし、あるとしても出来る人や組織が無い。

引き続き勘違いしている部分を引用。

調査会社IDCによれば、2020年には出荷台数ベースで従来型クラムシェルはウルトラスリムと2in1に抜かれるとの予測が出ている

予想屋IDCの自称予測が当たったデータを見た事が無いのだけれども、企業がデカいとか有名だからと信用して良いものなのか。

その予想と実績のグラフも捉え方が間違っている。

idc-2in1-2020

まず2017年以降は予測なのだから実績も4年分とした方が良いと思うところ2年分という短さは、2014年以前のデータは出したくない理由でもあるのかと勘ぐってしまえる。

そして左2つが実績なので現実、その右Y2017以降の4つはIDCの予想。あまりにも都合の良い減り方と伸び方をしており、ノートPC全体の出荷台数は減っていると言いつつなぜか予想では増えております。

細かいところまでいうとIDCは2019年に起こるであろうWindows 7サポート終了による特需を無視しており、7終了が確定ならば2019年は爆増、代わりに2020年は激減するはず。詰めが甘い以前に基本がなっていない感。

最大のアホなところは、これは出荷台数であり販売では無いので需要を表しているわけでは無く、メーカーが2in1が売れると信じて出した台数でしょう。返品分をマイナスしているとは思えず疑問を持てる数値。

従来型ノートPCと異なり、ウルトラスリムや2in1市場は徐々に盛り上がっている

従来型ノートが売れないので売れないものは減らして当然、2in1なら売れるのか試しているだけでは。

プレゼンではやたらとMacBookの13型と比較しているものの的外れ。マクドナルドとモスのバーガーどちらが美味いかなら判るけれどWindowsとMacは別モノであり、吉野家の牛丼とココイチのカレーを比較しているようなものかと。

この発表会はファーウェイの中の人の言う通りに書かれているので、別の記事を探すとEngadgetが検証しておりました。

CineBenchを何度も実行したが、当初はCPUのTurbo Boost機能(CPU公式の自動クロックアップ機能)で3.48GHzまで上がった後、徐々に下がって3.1GHz~3.2GHz前後になり、最終的にはCPUの定格である2.9GHzで落ち着いた。

source:ファーウェイMateBook Xレビュー - Engadget 日本版

ならば最初から性能下げて価格も下げた方が良かったのでは。

CPUが高負荷にならないアプリケーションならば高クロック、しかし高負荷にならないなら高い性能は要らないという矛盾。ファンレスとしたスマホのような設計の難点は他にも。

CineBenchで負荷をかけたときの温度は摂氏50度を超えていた、CPUに負荷をかけ続ける場合には、膝の上など人間の肌に底面を接しては使わない方がいいだろう。

という事はノートPC本体底面が50度を超える熱を持ち、Engadgetの記事はファーウェイ提供の提灯を持っているだろうから50度をどのくらい超えたのか書けないほど熱くなったと思われても仕方無い。ちなみに画像では50.7度の表示。

昔のデスクノートで問題になった低温やけどを思い出す。

接触部の温度が44℃であれば約6時間で受傷します。44~51℃であれば、接触する温度が高くなるに連れて受傷する時間が短縮される傾向にあります。

source:低温熱傷(やけど)治療 - 京都逓信病院

1度上がると時間は半分くらいが目安らしく、単純に割り算して行くと50度で6~7分くらい、51度で約3分。さすがにそこまでの温度になると触れている方が難しそうだけれども、これではラップトップ(膝の上)PCとは言えない欠陥品。※日本ではノートPCというが海外ではラップトップPCが一般的

 

イノベーションというよりパクりベーション

さて、やたらと13型MacBookと比較するという意味不明なドヤなプレゼンだったけれど、中国ではパクりは正統なモノづくりなのだろうか。

似ているのは名前だけでは無し。

macbook-matebook

写真写りの違いがあるのでファーウェイの方がしょぼく見えるものの、ベゼルが狭小な分、デザインとしては負けていないというかパクって改善しただけ感が凄い。

更に色違いまで用意するという周到なパクラー。ロゴのせいで台無し。

macbook-matebook-color

電源ボタンが指紋認証になっている点も新しくはない、Appleの方が先だと思われるスマホのボタンと同じ。アダプタが小さいとか何もかもどこにも新しさがMateBookには見当たらない、一体どこが革新なのか。

似ているのは名前と見た目以外に価格も。

source:Huaweiさん、うっかりMateBook Xを発売。なんと価格まで似せてしまう : IT速報

  • この値段ならサーフェス買えるやんけ
  • やすさだけが取り柄のくせに本家と値段変わらねえじゃん
  • 中華が高かったら何の価値もないぞ

価格は税別で144,800円から。値下げ前提なのか、根拠の無い自信でも持ってしまったのか。

これも少し考えてみれば判る。iOS仕様で10万円のiPhoneに似せて作った10万円のAndroid端末をファーウェイという一般的には馴染みのない中国のメーカーが出して日本で売れると思うのか。

何もイノベーションとか感じないパクりベーションによるマスターベーション。それでも何台かは売れてしまい買ってしまう人は居るのでしょうな。

matebook-amazon

source:Amazon | Huawei MateBook X/Grey

本当に居て少し驚いた。

 

ジョブズ「そういうのはイノベーションとは言わない」

という天の声が聞こえて来そうなほど勘違いしているのか確信犯なのか、新しいものを取り入れパクりまくり性能を盛ればイノベーションと思っているのか。

2in1を例にすると、画面が外れたり回転しタッチ操作も可能になった。それは進化でも革新でも無く変化であり、イノベーションでは無くバリエーションでしょう。

もし2in1が革新的ならば今頃クラムシェル(従来型ノート)はもう売っていないといえるくらい何年も売れないのにしつこく出しているだけで、2in1の画面を外したりタッチ操作で利用しているのは少数派。

液晶画面付のデジカメのモニタ部分が外れてタッチ操作可能。それ要るか?なわけで、やはり一部の人は何かに使うのかも知れないけれど多くの人は普通外さない、イコール要らない。

イノベーションとは、ガラケーが薄く軽くなった、画面がデカい、タッチ操作可能、何とWi-Fiでもネット接続可能、ゲームで遊べて音楽が聴けて動画まで再生できるどころか録画まで出来てしまう端末であり、多くの人が「こういうのを待っていた」と感じるモノでしょう。

今までガラケー、ウォークマン、デジカメ、ポータブルゲーム機、パソコンを持っていた人がそれ1台でも良くなってしまい生活必需品になるほどの何かが革新なわけで、2in1のように形が違うだけで中身同じ、生活は特に変わらない、多くの人が必要性を感じないモノはイノベーションとは違う。

マイクロソフトに始まりハードウェアメーカーがこぞって必死にパソコンの形を変えようとしているのは変化させたい、または もがいている だけで、革新には成功が必要とするなら需要のデカさが必要なはずだけれども全然そこまで考えていない。

パソコン無い時はスマホを使う、PC有る時スマホは充電器。これは私の例だけれども、ここにタブレットや2in1は入る余地が無く、ここ、私の生活環境ではスマホ登場以降の革新は起こっていない。

スマートウォッチは確かに全く新しい、しかし多くの人は必要としていない革新とは言えないデバイスだった、でしっくり来るかと。

空飛ぶ自動車や乗れるドローンの買い手は少ないはず。しかし人間の輸送手段としてタクシーとしての利用者が増えたなら、生活に必要と言えるまでの需要があるなら革新

ここまでの「革新」とは私の持論であり定義ではございません。一応。

ファーウェイはいつPC事業から撤退するか、または競合をLenovoやASUSなどへ方向を変え低価格路線へ変更するか。そう遠くない未来だと思う。

おまけ:需要の無い新機能ばかり付くWindows 10も同じ

クリエイターズアップデートのどの機能が万人に必要というのか。Windowsアップデートの強制は得する人より損する人が多いのでは無かろうか。

マイクロソフトがやりたい事をしている10も同様、イノベーションでは無くマスターベーション。新しいだけで革新ならば、日付が今日から明日になるだけでも革新なのか。

コメント(2)

具体的な完成形や理想形のイメージ無く、とにかく革新的であるという野心だけを目的に製品を開発した場合、できあがったモノは利己的なモノになりますね。これは製品に限らず、小説やゲームなんぞでも一緒。自分と同類の相手にしか売らないのなら、それでも良いと思いますが。

ちなみにそれは、一般的に同人作品と呼ばれます。

同人作品とは - Weblio辞書
http://www.weblio.jp/content/同人作品

>MateBook X
「X」は「エックス」読みで良いのでしょうか。まさか「テン」では無かろうと思いますが。メイトブックエックス、略してメイトリックスとすれば、コマンドーとコラボできて面白かったやも。メイトリックスのスペルは「Matrix」で、たいていは「マトリックス」と読みますが。

ジョン・メイトリックス (じょんめいとりっくす)とは - ピクシブ百科事典
https://dic.pixiv.net/a/ジョン・メイトリックス

>研究よりも価格競争に力を入れ“イノベーション”を起こそうとしなくなったため
価格競争を繰り広げていた場面、記憶に無いのですが。ノートPCでイノベーションと言えるレベルなら

1.満充電すれば72時間くらい使える
2.microUSBで給電可能(ACアダプタ不要)
3.重さは11型で300g、13型で500g、15型で750g程度(キーボード込)

最低でもこの3つくらいは満たして欲しい限り。ただしコレは正常進化の範疇で、たとえクリアしてもイノベーションとは言えませんが。

>IDC
競馬や競艇の予想屋より当たらないと、もっぱらの噂であるIDCですか。むしろ一般ユーザが「どうしてその考えに至ったのか」を予想することが目的なのでは、と思えるレベル。

>Windows 7サポート終了による特需
どれくらいインパクトがあるのか、あまり想像が付かないです。個人的には2019年の6月頃からWin7のシェアが月に3~4%ほど落ち始め、12月で8~10%くらい急落、後は緩やかに下降するかな、と大雑把に考えています。が、何となく私が持つWin7への信頼感やら愛着やらと、そのほか大勢のWin7ユーザが持つ信頼感やら執着心やらとに、少なからずズレがあるように思える点が不安要素。

私的に2020年2月時点のWin7シェアは、BTOパソコン.jp内だと5~7%、日本国内だと10%、世界平均だと12~15%くらいかな、と当てずっぽうに予想。

>高負荷にならないなら高い性能は要らないという矛盾
高負荷にならない=CPUパワーが高いから性能が足りている、ということでは。CINEBENCHなんぞ実作業でありえないほど高い負荷を掛けるベンチですから、一般的な作業、写真加工や動画編集くらいなら、ターボブースト全開でも回せる性能はありそうですよ。実際はどうだか予想しかできませんけれど。

ファンレスPCなのですから、実際の使用環境を想定した負荷実験も、ひとつくらい試して欲しかったですね。

>更に色違いまで用意するという周到なパクラー。ロゴのせいで台無し。
よしステッカーの出番だ。

Amazon | Apple MacBook air 13 対応 レインボー アートステッカー
https://www.amazon.co.jp/dp/B00JDDHDVY

Amazon.co.jp | ステッカー アップルマーク apple 防水紙シール
https://www.amazon.co.jp/dp/B009M53JSO

>価格は税別で144,800円から
Amazonで見比べると、Officeソフトの有無で価格が2.7万円くらい違うのですけれど、どんなマジックが。導入されている「Microsoft Office Home and Business Premium プラス Office 365」は、単体購入だと12,000円。

>液晶画面付のデジカメのモニタ部分が外れてタッチ操作可能。それ要るか?
それ面白そうだから買いましたよ。カシオの「EX-FR10」という単焦点(光学ズームができない)カメラ。どちらかと言うと、モニタが外れるというよりレンズが外れる、という体ですが(レンズ側にSDカードを入れる)。

価格.com - カシオ EXILIM EX-FR10
http://kakaku.com/item/J0000013429/

癖の強いカメラですから、全くお勧めはしません。ぶっちゃけ静止画の画質もそれほど良い訳ではありませんし。少し高価なオモチャという位置づけ。

>重く、格好悪く、駆動時間が短く、そして革新性がない
一部のゲーミングノート?

>MacBook Pro 13
これは実際に見ましたが画質がいいです。トラックパッドが不思議ですねーどんな仕組みかなと思いました。ついでにタッチバーも見ました。タッチバーは個人的に必要ないです。

>MateBook
写真をみて思いましたがキーボードもピンクですね。Macbook Pro 13 と比べると軽くて薄いですが性能はmacよりも低いと思う。GPUの性能もmacはIntel Iris Plus Graphics 640や650ですが、Intel HD Graphics 620 これは残念。 ファンレスは少し面白いですが。
あと、タッチバーは真似しないんですね。
MacbookとMacbook Proの中間くらいですね。

>2in1
私はあまり必要ないです。

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