Lenovoより日本向けノートPCの新製品。
レノボと言えば安いイメージが有るけれど、同社製品のノートにはThinkPad X1 シリーズという高性能かつ高額な機種もございます。価格はいつものレノボとは一桁違う上に20万円オーバー。
これを元に最近のPCの無駄機能を紹介。
レノボが国内向けThinkPad X1 YogaとCarbonを発表
元ネタはこちら。
レノボが高級ノート ThinkPad X1 YogaとCarbonの日本版発表-Engadget
http://japanese.engadget.com/2016/02/08/pc-thinkpad-x1-yoga-carbon-22/
価格はいずれも20万円オーバー。
おそらくこの後、レノボの直販ページでクーポンとか称し最初から7万円引きのような十八番的ダブルプライス(二重価格ともいう)を展開するのだろうけれども、それにしても高額。
機種名による形の違いは、
- Carbon・・・クラムシェル(普通のノート型) ※上の写真
- Yoga・・・キーボードが裏返りタブレット化 ※次に出る写真
中国企業の製造にしてはデザインに高級感の有る辺りは、パクり元の(買収した)IBMをそのまんま受け継いでいる為でしょう。しかし古臭く感じない点は今風に改良しているのだと思う。
レノボのノートと言えば、価格コムのランキング上位では5万円を切るノートPCが主力。安物中心のPCメーカーが本気を出すとどうなるのかを次で。
レノボのハイエンド機に見る最近のPCの無駄な高機能
ここからCarbon、Yogaを分けずにどの辺りが無駄か7つ。
360度回転液晶搭載
この画像を見て「凄い」とか「便利そう」と思えるだろうか。
どうしてキーボードが手前に有ってはならないのか、タブレットへ変形しテント型にしてまで立てたい理由は何なのか。これが必要となる環境とはどのような場所なのかが激しく疑問。
新幹線や航空機の簡易テーブルならば奥行きを節約出来るので良さそう。しかし、そのような状況が頻繁に有り、テント状態で何に使うのか想像出来るかが問題。
以前のレノボの提案によると、上の状態ならキーボードが邪魔にならず動画を鑑賞出来ると言っていた気がするものの、新幹線のような狭い設置スペースかつ上の状態で動画見る機会のある人は100人中何人居るのか。
自宅などでも映画鑑賞には良いと思うものの、以前レビューしたNECの10型タブレットのようにタブレットにカバーを取付けスタンドを利用すれば良いわけで、変形する為にヒンジ(画面とキーボードの間の蝶番)を強化するなど特殊な設計になるだろうから、こういう使い方をしないならば無駄に高額化するだけ。
有機ELディスプレイWQHD(2560×1440)
2Kノートを利用している私に言わせると、このサイズのノートで超高解像度は要らないというかむしろ難点。拡大に対応していないアプリケーションのインターフェイス表示が小さくなってしまい、見づらいしクリックの難易度が上昇。
そして有機ELと言えば悪いイメージ。
米調査会社ディスプレイサーチによると、13年の有機ELテレビの市場規模は、わずか4400台だった。12年春時点の予測(25万台)の1.8%という超低空飛行ぶりとなった。
Engadgetの動画を見ると、有機ELだから表示の見た目が良いどころか違うとさえ判断出来ず、IPS液晶ならば視野角は有機ELではないLEDバックライトでも似たようなものというか同じはず。
有機ELは省電力な利点が有るものの、わずかな差の為に敢えてバックライト方式にしないこういう設計は無駄に高額化するだけ。
充電式バッテリ搭載ペン、タッチスクリーン
こういう使う方をする人には良いでしょう、しかしパソコンでペンやタッチ操作使う人が何割くらいなのか疑問。
タッチのみならまだしもペン。更にそのペンは充電式というスマートでは無い高機能を備えており、絵を描く人ならまだしも、私のような画面のタッチさえ不要な人間にはペンもタッチスクリーンも使わない。
使わないものは必要無いわけで無駄に高額化するだけ。
CPU(SoC)はインテルの第六世代Core iシリーズ
搭載されているCPUを一覧。最上位のみ詳細を入れた。
- Core i5-6200U
- Core i5-6300U
- Core i7-6500U
- Core i7-6600U(2.6-3.4GHz、2コア/HT対応、4MB、TDP15W)
クロックは優秀、TDP15Wで2.6GHz以上とか10年前なら有り得ないほどの省電力かつ高性能。
しかしコア数は2、HTで誤魔化せても4コアで、キャッシュ4MBは普段からデスクトップPCを見ている人間にはPentiumに毛が生えたような容量。
昔の高性能ノートはガチな高性能で、あらゆるリスクを無視して設計されていた物も有ったのでデスクトップPC並の処理能力(但しクソ熱くCPUクーラー爆音)な凄いやつも存在したけれど、現在はインテルが省電力重視なので手枷や足かせ。
用途で考えると分り易い。
- 高額なデスクトップ・・・高性能CPUやグラボの搭載で最強を目指せる
- それなりデスクトップ・・・安く大画面などによる作業効率重視
- 高性能ノート・・・省スペースでそれなりの性能で足りる用途
- 低価格ノート・・・財布に優しいライトユーザ用
ゲーマーやデザイナやエンコードマニアなら1、私のような人間なら2や4。3番を選ぶ人は中途半端なノートでも良い金持ち。
i7-6600Uのインテル公式大人買い価格は393ドルなのでノート用CPUとしては高い方だけれども、デスクトップ用CPU含む全体での性能として見ると高性能とは言いづらい。
ノート用高性能CPUで一体何をするつもりなのか、CeleronやAtomなどで良い用途ならば無駄に高額化するだけ。
ミニDisplayPort×1基、One Link+
これら要るだろうか?One Linkについてはこちら。
電源、USB3.0、HDMIを1つにしたレノボ独自のOneLinkテクノロジー
http://www.lenovo.com/news/jp/ja/2013/10/1016.html
簡単にいうとレノボ版Thunderboltのようなものらしく、なぜThunderboltにしなかったかはインテルやアップルらとの大人の事情やコストの難点が有るのかも知れないけれど、外部出力重視ならばノートPCを選ばなければよろしい。
DisplayPortも同じ。高解像度で外部モニタへの出力が必要ならばデスクトップPCで良く、プロジェクタはまだHDMI入力やフルHDが主流になりかけているくらいで多くの現役プロジェクタはまだD-sub接続で横1280pix解像度くらいのはず。
One Linkは確かにスマートで1本で済むのは凄いと思う。しかし、USB端子は本体に付いており、One Linkでハブを経由し有線接続したいならば最初から本体に搭載しておけば良いわけで、余計な機能が付いているとするなら無駄に高額化するだけ。
SSD、PCI Express接続、NVMe対応の256GB版
SSDのPCIe接続は確かに凄い。ベンチマークマニアならば必須と言える最先端のSSD接続方式。
但しこれである。
NVMeはキュー(命令)数が最大32個のAHCIと比べ、最大64Kキューと多くなり、(中略)。一方で、コンシューマー向けのPCのような用途では実際そんなにキュー数が多くなることはないので、高速化はあまり期待できません。
データセンターの一部としてラック状態でノートPCぶち込む変人ならば有りだろうけれども、体感での速度差は感じられず、ベンチマークのハイスコアでハァハァする趣味が無いならば無駄に高額化するだけ。
カバー付のSDカードスロット
これは難癖かも知れないものの、個人的には最も気になった。
なぜカバーが必要?どうして本体から取れない?外れるなら無くすだろうから親切な設計とも取れるけれど、普段使わないからカバーをするわけで、普段使わないならカードリーダーなぞ外付で良いのでは。
デジカメ単体で写真を撮るならSDカードでデータを移すだろうけれども、スマホならばクラウドを経由しネットで画像を同期出来る時代。
頻繁にSDスロット使うならばカバーが邪魔になり、使わないならカードリーダーとか今時内蔵してくれなくて良い為、使わないなら無駄に高額化するだけ。
機能の「必要」「慣れると便利」「不要」は違う(まとめ)
通り魔風になってしまったのでレノボのX1シリーズをフォローしておくと、レノボ的にはマジで売るつもりも有るのだろうけれど、理由の一つとして、レノボ=安物ブランドのイメージを払拭する為、時々ハイエンドを出すのだろうと見ております。
ドスパラが数年に一度くらい、売れると思っていないだろうと感じる70万円のゲーミングPCを出してみたり300万円近いサーバーを出し、「我が社はこんなPCも生産出来る(キリ」に似た感じ。
話を見出しへと戻しましょう。私の感覚で3種類の例。
- 必要・・・ある程度大きいサイズと高めな解像度のモニタ
- 慣れると便利・・・トラックボールやメカニカルキーボード
- 不要・・・10点マルチタッチの超高解像度な小型モニタ
必要とは、USB端子やキーボードが無くては困るようなパソコンとして使うには多くの人が必須と判断するモノ。
慣れると便利と言えば、レノボに当てはめるとトラックポイント。
キーボード中心付近の赤い丸がそれ。
指で前後左右へ圧を掛けるとポインタの操作が可能なマウスやタッチパッドの代替となるコントローラで、これに慣れたならIBMとかレノボなどは無関係にトラックポイントが無ければ嫌というThinkpadファンも存在。
不要とは要らないという意味以外に有ると邪魔、無い方が良いと思える何かを指しており、個人的には今回のX1シリーズで最強に不要と感じた仕様はディスプレイで、タッチスクリーン以外に有機ELやWQHD(2560×1440)の部分。
タッチパネルはパソコン用として要らないので使わなければ良く、有機ELも気にしなければ良いのだけれども、いずれも数万円単位で製造原価が上がっているはず。だいたいノートPCで2Kは無理が有る。
私が所有している富士通のノートも2560x1440。何が悪いのか不明というか調べる気が無いだけとも言うけれど、解像度をフルHDまで落としても完全に電源を落とす再起動やコールドブートをすると2Kへ戻ってしまう上、表示まで小さくなるという作業の邪魔をされる罰ゲームな仕組。
なぜ調べないかは15型の安物のノートの方が使い勝手が良い為で、FMVの使用頻度が低いので気にしておりません。
それぞれの良い所のみを書き出すと、
- 15型安物・・・HD解像度でテンキーも有るので作業効率が良い
- 13型FMV・・・軽く小さめで長時間バッテリなのでモバイル専用
このように15型安物には一切の高機能は無いけれどパソコンとしては完成しているわけで、13型高級機は多機能で高性能だけれども、ノートPCとしてはそんな事より携帯や移動に便利という、価格とはあまり関係の無い部分が利点になっております。
使う人はタッチ操作は便利なのでしょう。絵を描く人はペン入力は外付する必要が無く便利でしょう。しかし、それ要らないなら無くて良い、もしくは無い方が良く、私の場合はFMVにスタイラスペンが内蔵されている事を忘れるほど無駄。
10年くらい前のノートは高額なほど高性能で大容量、様々な用途で快適に使えていたけれど、現在のノートは高額なほど高機能で多機能、無駄な機能が満載なので使わないなら万円単位で予算を削った方が良い逆転状態。
ちなみにレノボX1 Carbonをいくらなから買うかと問われたなら、私がノートPC1台も持っていなければ税込の送料込で6万。これ以上は出さない。なぜなら5万円程度の性能のノートとしてしか使わない上、解像度下げたり余計な作業が発生するので安物より手間が掛かる。
というわけで、今の性能高めなノートPCは昔より選び方が難しくなっていると思われ、予算10万円以上でノート買おうとしているならばパソコンに詳しい人へ相談し、どの機能が高額化している要因なのか聞きましょう。
>ThinkPad X1 YogaとCarbonの日本版発表
画像に出てくるモデルは英語版ですかね。キートップにかな表示がありませんし、エンターやスペースが英語キーボード特有の横長ですし。
>360度回転液晶搭載
前に座っている商談相手に画面を見せるのが楽、というくらいでしょうか。そんな事をするくらいなら、タブレット+タブレットスタンド+Bluetoothキーボードの方がスマート。しかし15型クラスのWindowsタブレットは皆無と言って良いですね。
>有機EL
私が使っているスマホが有機ELを採用している、Panasonicの「102P」というモデルですけれど、画面はキレイですね。コントラスト比が高く、高画質の動画や画像の濃淡が細かく見え、鮮やかに感じられます。ただこれが有機ELの実力とPanasonicの技術力、どちらの比重が高いのかは不明。
画像の3連カエルは右下が液晶、左下が有機ELだそうで。比較すると有機ELの方が、カエルの左側にある葉っぱの色が鮮やかに見えますね。画像に無駄な光が当たっていて発色がよく分からないため、比較する画像としては不適当ですから、これを持って「有機ELの方が~」「いや液晶でも~」とは言えません。
>充電式バッテリ搭載ペン、タッチスクリーン
画面解像度が高い上に有機ELを採用ですから、メインターゲットは絵描きなのでは。そういう層はペンタブを使いそうですが。
>CPU
末尾が「U」のモデルは超低消費電力でしたね。Yよりはマシですが、同時に低性能なのはハイエンドモデルとして矛盾。
公安9課:IntelのCPUの末尾についているK, S, Tなどのアルファベットについて
http://pssection9.com/archives/intel-cpu-alphabet-suffix-meaning.html
>カバー付のSDカードスロット
ホコリよけですかね。スマホの充電スロットカバーも邪魔ですし、無くても使用上の問題が無いなら無い方が楽ですね。
ただしこれは海外モデルの筐体で、右側のスロットは日本向けモデルでは搭載されないSIMスロットです。日本向けにデザインされた筐体になれば、SDカードスロットのカバーは無くなる可能性もあります。
>トラックポイント
これ使っていると1時間くらいで指が痛くなりタッチパッドに切り替えるのですが、ヘビーユーザの方々は巻藁突きでもして指先を鍛えているのですかね。それとも私のPC作業が、マウスポインタを動かす頻度が高いだけでしょうか。
私が高価格ノートPCを購入するなら、今だとマウスコンピュータの「m-Book W」ですかね。その中では「MB-W830S-S5」が良さ気。CPUにi7-6700HQ、メモリ16GB、SSDが480GB、GPUにGeForce960M、画面は17.3型でフルHD。Windows10だと16.5万円、Windows7だと16.8万円な模様。
マウスコンピューター:製品特長|m-Book W シリーズ [17.3型]
http://www.mouse-jp.co.jp/m-book/mbw83/series.html
「MB-W830S-S5」 仕様詳細
http://www.mouse-jp.co.jp/m-book/mbw83/mb-w830s-s5_spec.html
>360度回転液晶搭載
はっきり言って無駄ですよね。これ。
2in1は確かにかっこいいかもしれないが、1.3kgのタブレットなんて持ちたくないです。
それするんだったら、軽量化+インターフェースの増強+冷却性能の向上(通常電圧版が入るくらい)をしてほしいと思います。
>充電式バッテリ搭載ペン、タッチスクリーン
これもはっきり言って無駄です。そもそもwindowsが何であんな無駄な事をするんでしょうか?pcでのタッチ操作なんてそんなに使う機会ないのに...
>有機EL
僕は軽量PC大好き派なのでこれは歓迎したいなって思います(価格さえ下がればの話ですが)