レノボが一番乗りでARM版Windows発売。
ARM版といえばマイクロソフトの黒歴史の1つ、Windows RTを思い起こすけれど、今回はARMプロセッサでも従来のWindows用ソフトが動くというウルトラCをやらかしております。
適当に見て参りましょう。
Lenovoが北米でARM版Windowsノート発売
元ネタはこちら。
Lenovo、Snapdragon 835搭載Win10「Miix 630」発売 - エルミタ
http://www.gdm.or.jp/pressrelease/2018/0711/269067
外れるタイプの2in1、Surfaceの丸パクリと表現した方が的確そう。どう見てもキックスタンドですありがとう~的な。
ハードウェア詳しくない人向けとして何が違うのか簡単に説明すると、CPUがインテルやAMDではなく、スマホ用のARMプロセッサであるSnapdragon 835というやつで処理するWindows。
通常のWindowsはx86というインテルかAMDでなければならないところ、マイクロソフトがモバイル市場取ろうと必死こいてARM版Windows 10を作った、のだと思う。
Windows詳しい人向けとして、「RTと何が違うの?」については、Windowsが10でありエミュレーションによりARMなのに従来のWindows用ソフトが動く点がRTと違う。
昔のやつと今を分けてみましょうか。
- 通常のWindows・・・昔も今も同じ
- Windows 10 S・・・Windows RTのようにアプリのみ
- ARM版Windows 10・・・通常のWindowsとほぼ同じなはず
「ARM版の意味は?」と思ったなら最後のまとめ付近にて。
少し元記事から引用しておきましょう。
Microsoftが提唱する「Always Connected PC」に準拠した製品で、連続20時間のロングライフバッテリ駆動と4G LTEによる高速データ通信に対応。
おそらくマイクロソフトではなくインテルが提唱の誤りだと思う。
ケーブルも心配も要らない世界へ
source:Intel® Always Connected PC:4G LTE 対応のノートブック PC と 2 in 1 タイプの PC
それはどうでも良いとして。
12.3インチFHD+(1,920×1,280ドット)の大画面を搭載しつつ、770g(本体のみ)の軽量化を実現
大画面ではないと思う、それを言うなら高解像度でしょう。軽量化とも書いているけれどキーボードなしで770gは全然軽くない。
仕様詳細は次で。
Lenovo Miix 630の仕様と価格と特徴など
米国のレノボ公式ページ。
Lenovo Miix 630 | Powerful 2-in-1 Detachable Laptop | Lenovo US
https://www.lenovo.com/us/en/tablets/windows-tablets/miix-series/Lenovo-Miix-630-12Q35/p/88IPMX60984
エルミタでは899.99ドルと書かれていたけれど現場では809.99ドルというレノボあるあるなフェイクプライスとなっており、リンク先で少し待つと更に値引きするような窓が出たレノボあるある。
結局本当はいくらなのかわからない一応900ドルくらい、主な仕様。
- OS:Windows 10 S ※180日以内ならProへ変更可能
- プロセッサ:Qualcomm Snapdragon 835(2.45GHz、8コア)
- グラフィック:Integrated Qualcomm Adreno 540
- メモリ:4GB(LPDDR4 1866MHz)
- ストレージ:128GB USF 2.1
- 無線:IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.1 LE、LTE対応(Nano SIM)
- バッテリ駆動:最大20時間
- モニタ:12.3型(解像度:1920x1280)タッチスクリーン搭載
- サイズ:210x293x7.3mm ※キーボードなし状態
- 重量:770g+キーボード620g=計1.39kg
Windowsは10Sなのでストア経由でProエディションへの切り替えが可能。但し一方通行であり一度ProにするとSへは戻せない仕様。
プロセッサはスマホやタブレットのフラグシップモデルで採用される高性能な8コアであり、SoCというプロセッサ単体ではないセット状態なので他の仕様もここでだいたい決まるというもの。
メモリ4GBはARMならば普通か多め、ストレージのUSFは知らなかったので調べたところこれ。
スマートフォンなどで使われている内蔵フラッシュストレージであるeMMCと同様の使われ方をするものだと思えばいいでしょう。
SSDともeMMCとも書いていないため、SSDほど高性能なNANDフラッシュメモリではなさそう。
その他、モニタが小さい割に解像度が妙に高い程度。
パソコン用WindowsではないWindowsタブレットに純正キーボードが付く2in1であり、だからどうしたとしか思えない。
最大の特徴はバッテリ駆動時間。それ以外はフーンなレベルだと思う。
黒歴史がまた1つ増える予感しかしない展開
プロセッサにARMを採用すると何が良いかは以下。
- 低発熱なので軽量化が容易
- 省電力なので長時間バッテリ
- インテル入っていないので低価格
- 今後ARM版Windows専用アプリが出る可能性
- 同じARMなWindows 10 Mobileとの親和性が高いはず
レノボのMiix 630がクリアすべきは1~3。
ところが軽量化できるはずなのにタッチスクリーン装備なためか、画面側の本体のみで770g、キーボード込になると1.39kgという、私が所有している富士通の2in1と変わらない重さ。
2番のバッテリに関しては文句なく優秀で、本当に連続20時間動作が可能ならば終電過ぎても帰宅ムリなブラック企業に最適。
3は低価格とは言えない900ドルという強気な設定となっており、それなら普通のWindowsノートで良いだろうと考えてしまえる。
4に関しては出たとしても市場規模が小さいため普及するとは思えず、ストアアプリとして通常のWindowsアプリと混ざるとややこしくなるだけ。
そして5番のモバイルは結構前に終息してしまったため意味が無い。
そう、このARM版Windowsはモバイル用Windowsとの互換性が高いとして考えられたとするならば、10 Mobileが終わった時点でこいつも終わっている、始まる前からジ・エンドではなかろうかと見ております。
まあ、黒歴史のおかわりになるでしょうな。
1つだけ逆転ホームランとなる可能性としては、ARMでWindowsが動く、エミュレーションでWindowsのソフトが動く、ならば今回のWindowsをスマホへぶち込むだけでWindowsスマホがまさかの復活になりそう。
とりあえずパソコン用としてなぜこれを出したのかが謎であり、ASUSあたりが超低価格なノートでもやってくれなければ無意味に近い印象しかございません。
しかしマイクロソフトはどこまで敵を作るのか。
Windows 10でユーザにケンカを売り、SurfaceでPC市場を混ぜ、Windows Defenderでセキュリティソフトメーカーを窮地に立たせ、今回はインテルとAMDを敵に回した。
WindowsがPC市場をほぼ独占している弊害でしょうな。皆、仕方なくWindows PCを売り、仕方なくWindows PCを使う。この流れが変わればマイクロソフトヤバいと思うけれど、そういう方向にはならないでしょう。知らないけれど。
>黒歴史のおかわり
銀英伝風に言うと「MSの黒歴史がまた1ページ」でしょうか。
>1.低発熱なので軽量化が容易
>2.省電力なので長時間バッテリ
つまりCPUがクソな訳ですね。
ならatomでも・・・
>「Miix 630」発売
外見からして8~10万円かな、と思ったら700~800ドルくらいとのこと。日本で売ると15万円から3万円引きクーポンくらいでしょうか。
>エルミタでは899.99ドルと書かれていたけれど
MSだと初値899.00ドルの表記。よく分からん次第。
Microsoft Store|Buy Lenovo Miix 630 2 in 1 PC
https://www.microsoft.com/en-us/p/lenovo-miix-630-2-in-1-pc/8ttdtw3s27dr?activetab=pivot%3aoverviewtab
>Qualcomm Snapdragon 835(2.45GHz、8コア)
これ8コア全部が2.45GHzで動く訳ではなく、4コアが2.45GHz動作、残り4コアはおそらく1.90GHz動作だと思われます。もちろんそれぞれ最大動作時。プロセスルールは10nmですし、性能はそこそこ良さ気。Core m3と同等。コア数が生きる場面では上回る場面もあり。シングルスレッド性能はボロ負け。このPCを活用する方にはコア数よりシングルスレッド性能の方が重要じゃないか、と思いはしますけれど。
ITmedia Mobile |「Snapdragon 845」で何が変わる? “順当進化”の中身を解説する (1/3)
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1712/18/news111.html
>最大の特徴はバッテリ駆動時間
テスト環境ははっきり明記されていませんが、とりあえず「ローカルに保存したビデオを再生した結果」とありますから、放置して20時間とか詐欺ではない模様。