パソコン工房のLesance(レサンセ)デスクトップの実機評価、最終回。
その1はハードウェアの分解や付属品の確認、その2ではWindows上からの性能チェックと再インストール試行。今回は私の個人的な感想による評価として厳しめに総評をまとめて参ります。
このページから入ったなら、レサンセのデスクトップ評価その1からどうぞ。
レサンセのノート評価のまとめと同じ形式で行きましょう。
今回借りたデスクトップのレサンセの仕様詳細を一覧。
- OS:Windows 7 Home Premium(32/64bitセレクタブル)
- CPU:Celeron G530(2.40GHz、2MB、2コア/HT無、TDP65W)
- チップセット:Intel H61 Express ※ECS H61H2-M5
- グラフィック:Intel HD Graphics(CPUに内蔵)
- メモリ:4GBx1枚(PC3-10600)最大16GB、空きスロットx1 ※Team製
※PC3-8500で動作 - HDD:500GB(7200rpm、16MB) ※WDC WD5000AAKX
- DVD:スーパーマルチドライブ ※LG電子 HL-DT-ST GH24NS70
- ケース:スリムタワー ※InWin IW-BL640
- 電源:300W ※InWin IP-S300FF1-0
- 付属:キーボード、マウス など
- 有線:USB3.0x2、USB2.0x10、ギガLAN、DVI、D-Sub など
- 拡張:PCI Express x16x1(空き1)、PCI Express x1x3(空き3)
本体と付属品の一式。
見えにくいけれど、CD類の下がPC本体。右にこっそりPC本体(スリムケース)の足が付属しております。足は取付けると取外し時に傷が付きそうなので未使用。
今回もノートと同じく5項目にて。
スリムケースらしいエアフローの弱点は掃除で補う
このレサンセ デスクトップに限らず、スリムケースの弱点はエアフロー。
ケーブルは何とかまとめられており、さすがPCメーカーと言える取回しで、SATAケーブルも折らずに上手く曲げて固定されており感心。
スリムケースの弱点は、ケーブル類の多さで空気の流れに対し障害物が増える割にケースファンの搭載数が限られる上に径が小さく風力が弱め。
ファンを満載し回転数を上げると騒音の原因に。
私が前回のレビューでやたら静かだと評しておりますが、それもそのはず、ファンはCPUと電源のみ。写真左下にファンを搭載する空間が有るけれど、写真左は底面なので吸排気効果が低い割にうるさくなると思われ、コスト増の点も有り取り付けていないと予想。
PC本体を立てると、側面からCPUファンが吸気し、底面の電源ファンが吸い込み、背面下部から排気。
熱にやられる部分はCPU付近と電源内なので問題は無さそうに見えるけれど、ホコリが詰まると寿命が縮まる可能性が高まるので掃除でフォローしましょう。スリムは特にCPUクーラーのヒートシンク埃詰まりに注意。
CPUはクーラーが無ければ電源を入れて数秒で100度を超える物で、それを監視しているマザーボードが危険と判定するとシャットダウンする仕組。
CPUクーラーのヒートシンクがきれいな状態なら空冷出来るものの、ここにホコリを詰まらせてマザーボードをぶっ壊す人が結構居りました。ひどい場合はユーザ過失として保証内期間でも有料修理になる事も有り。
このレサンセはマザーボードに液体コンデンサが載っていた為、CPU周辺は特に気を使った方がよろしいかと。
もう一つ、私が気になった点はPC本体を倒せない設計。
考え方や使い方として私の感覚が古いのかも知れないけれど、フロントのベゼル、USBのフタがこのように開く仕様。
ドア部分が外側に出る為、立てた時のPC本体右側面を下にすると接地面と干渉するので、現行の同じケースのレサンセを検討するなら考えましょう。
最近は立てて使用するようなのでそれなら問題無し。
総額が安い故の普通のスリムケースと内蔵パーツ
ハードウェアについては、29,980円という意味不明な安さの為に構成パーツの性能は実用可能な最低限になるもの。
どのくらい意味が判らないか、いつも通りに自作PCの場合と比較。
価格は2012年4月末現在、価格コムやコネコネット、または私の脳内相場で低めに。送料は全部無視、百円単位は四捨五入。
OSはDSP版換算、キーボードとマウスは適当、メモリの実動作クロックと思うPC3-8500は割高なので10600で計算しております。
- OS:Windows 7 Home Premium・・12千円
- CPU:Celeron G530・・3千円
- M/B:ECS H61H2-M5・・8千円
- メモリ:4GBx1枚(PC3-10600)・・1千円
- HDD:WDC WD5000AAKX・・6千円
- DVD:LG HL-DT-ST GH24NS70・・3千円
- Cha:InWin IW-BL640・・9千円
- PSU:InWin IP-S300FF1-0・・※ケースに含む
- Opt:キーボード、マウス など・・計1千円
総額は約43千円。自作PCなら13千円くらい高額。
おまけに、Windows7は32/64bitのセレクタブルは無し、キングソフトオフィスの製品版を入れるとおかしくなるのでスルー。
もちろんパソコン工房が市販品の最安価格で仕入れているわけは無いけれど、自作パーツにすると4万円強程度の性能や機能。
低価格PCの場合は10万円を超えるような高性能PCと比較し、何か一つでもパーツの価格が上がると値上がり率が高くなり、下手に高い部材は使えず。
具体的には、キーボードとマウスをロジクールの各4千円くらいの物に替えたとし、7千円値上がるとするなら37千円となり2割以上も価格が上昇。
CPUやマザーボード、ケースや電源など全てのパーツに言える事で、安くまともなパーツ、かつ動作に支障の無いレベルが今回の3万円レサンセなのでしょう。
大量販売前提の大量生産や仕入だからこその価格。利益はほとんど出ていないと推測しており、いつもの自作パーツ比較なら、量産系BTOメーカー側は4万円、売値は39,980円が良いところ。
修理現場視点で見ると気になる物はケース、キーボード、マウスの3つ。
ケースは柔らかめなので分解が苦手な人や、PC本体を落としたり窓から放り投げる癖の有る人は慎重に作業を。
キーボードとマウスは前回のレビューでも書いたけれど、完全におまけの超安物なので期待せず、別売り前提で購入を推奨。
PC初心者ならこんなものかと思うかも知れないけれど、キーボードやマウスを専門で売っているメーカーとは天地の差。
割り箸に期待するなという事で。
他のパーツはPCマニアやオタク、自称上級者ならマザーのECSやメモリのTeam、ケース付属電源が気に入らないかも知れないけれど、それを言い始めると3万円で済むわけが無く論点が違いましょう。
私がもしこれを第三者に勧めて購入されたとしたなら、ケースの開け方を実演し掃除する箇所を説明。キーボードとマウスは良いと思うならそのまま使用、但し耐久性や作業効率には難が有ると思うので別売りを勧めるでしょうな。
ちなみに私が今これを書いているキーボードとマウス(トラックボール)は計2万円くらいの高めな物。
もし私がこの3万円レサンセを購入し使うとしても、入力インターフェイスには2万円かけても惜しく無いと思う為、長時間PCを使うならレサンセでなくとも検討有れ。
PCの処理速度が速くとも、人間が遅ければもったいない。
パソコン工房の販売か販促の部署は梱包に注意
私が今回のレビューで最も気になった事はPC本体の性能や機能などでは無く、レビュー用に貸し出してくれたこのレサンセの送り方、パソコン工房の梱包の雑さ。
パソコン工房へは事前に購入ユーザと同じ付属品で送るよう希望しており、私としては新品中古問わず本当に購入した状態で届くものと思いきや、付属品という文字を入れた事がまずかったでしょうか。
ノートは問題無かったけれど、デスクトップの箱を開けた直後の写真。
ビニール袋の口が空いており、中身が豪快に飛び出しておりました。
更にPC本体を取り出すと、キーボードがそのまんま入っており固定されておらず、余裕で横方向に動く状態。
とどめはフロントベゼルのドア部分で、いずれも半開き。
付属品は比較的まだ良いとして、キーボードの箱内には緩衝材が無い為、キーボードが壊れたりPC本体に傷が付く可能性が有りましょう。
PC前面のドアはビニール包装から出す前に開いている状態が見えて戦慄。修理PCの返却でドアが破損する見本のような状態。破損はしておらず安心。
万一、PC本体が故障したり傷が入っていた場合、借りた私の責任になる可能性も考えられ、どうかと思った3点。
普通のブロガーやレビュー用の貸し出しならレビュワー側はここまで書かないと思うけれど、私は提灯記事にするつもりは無し。メーカーの修理現場視点では有り得ない梱包。修理返却の破損で言えば、私が昔現場で出した率で3割くらいは配送が原因。
生産部署や梱包担当では無く、販促や販売の担当が詰めた為と思うけれど、怖いので緩衝材は適当な新聞紙でも良いし、フロントパネルは剥せるテープなら何でも良いので改善願いたい所。
梱包に関してはどうかと思うけれど、私のような個人ブログが突然レサンセ貸してくれという希望を即承諾され、長期間(約3週間)貸し出した上、同時に2台という豪快さには感謝しております。
一応フォローしておくけれど、生産工場から出荷される新品のPCなら上記のような事は無いと思うので、私の愚痴という程度で解釈を。
ユニットコム3万円Lesanceデスクトップ総評(まとめ)
私はノートとスリムケースを嫌い、性能は高めが良いという偏った価値観なので、いずれもやや厳しめになっておりますが、それは価格を棚に上げている為。
ノートとデスクトップいずれにしても3万円は破格。どう考えても無理と思う設定で数ヶ月間販売し続けたユニットコム(PC工房、faith、TWOTOP)は、さすが国内大手のBTOメーカーと言えましょう。
現に4月末現在、レサンセシリーズで全く同じ構成のデスクトップPCが型番を少し変えて販売されており価格は約35千円。
これでも自作パーツとの比較では7千円くらい安い為、記念セールが5千円値引きだったと思い込めば良いでしょうか。
個人的には29,980円の時に「期間限定5千円引き」としなかった事に好感が持て、小細工無しの売価表記は評価出来ると感じております。
私が主にブログを書く為だけに高性能デスクトップを使用している事も有り、レサンセのデスクトップはどうしてもそれと比較してしまう偏り有り。軽めの用途に使うなら今時のCeleronでも充分、メモリやHDDも不足無いと思うので、この価格なら有りでしょう。
3年保証(プラス2年)を足しても約4万円。率にすると割高なものの、パソコン工房の長期保証は補償額と価格で他社より有利。安物PCでも長期保証を推奨。
今回借りたノートとデスクトップのレサンセを比較するとノートの方が良いと感じており、その理由はモニタが標準搭載なのでライトユーザ向けには割安。そして安い割に安物感があまり無く、日本HPのような重厚感。クレボの癖に生意気。
レサンセシリーズは個人的にSSDとHDDの2ストレージ構成なウルトラブックが有り、これが本命と思っております。
梱包でケチを付けたので貸してくれないかも知れないけれど、パソコン工房のご担当者様はそんなに心が狭くは無いと思うので、気が向いたら改めて貸出リクエストをメール突撃する予定。
いつまでレサンセの新機種がリリースされ続けるかは知らないけれど、現行のパソコン工房のレサンセシリーズはこちら。フェイスやツートップが良いなら、そちらでも同じ物が販売されていると思うので好きにどうぞ。
以上、200万台記念のレサンセ ノートとデスクトップのレビュー終わり。次回はウルトラブックで3~4記事行けるよう期待しております。
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