マイクロソフト(以下、MS)と米HPより新製品。
MSのSurface Book 2は昨年秋に出た13型に続き15型が4月に発売予定で現在は予約受付中の状態。米HPは法人または教育機関向けと思われるARM版Windowsノートを米国にて3月発売予定。
何かとおかしいと思うので突っ込みを。
15型Surface Book 2は約30万円からでdGPU搭載
dGPUとはディスクリートグラフィック、外付のようなもので、通常はCPU内蔵(dGPUに対してiGPUというらしい)のところ別途グラフィック機能を有する事を指しております。
15型「Surface Book 2」予約開始 発売日は4月6日 - ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1802/22/news139.html
画面が正面と裏向きの2種類のモデルがあるのではなく、モニタが外れて裏返しても装着可能な2in1。下に見えているダイヤルとペンは別売りで、税込にすると本体のみで30万円以上からという強気な価格設定。
初代Surfaceのようにキーボードは別売りではなくセット。タブレット状態でも使えるためにモニタ側へパーツがほぼ全部詰め込まれているけれど、dGPUはキーボード側に内蔵という新しい設計。モニタ外すとCPU内蔵グラフィック、合体するとdGPUでパワーアップ。
そのdGPUが何かが良く解らない。
Surface Book 2シリーズは、2017年11月に13.5型モデルが登場しているが、今回追加された15型モデルはグラフィックス機能にGeForce GTX 1060(GDDR5 6GB)を採用したのが特徴。
GTX 1060を搭載、とある割に実機の提灯レビューはGTX 1050内蔵。
source:モバイルの枠を超えるパワー!Surface Book 2(2/3) - ITmedia
MS公式を見ると更に混乱可能。
source:Surface Book、Surface Pro 4 - Microsoft Store 日本
13型はGTX 1050、15型は1060。しかしITmediaが借りている方は15型にも関わらずGTX1050。キーボードのサイズが違うので13型のキーボードと15型モニタが接続できるとは思えずレビューの実機はプロトタイプ(試作機)なのだろうか。
カートへ入れて進めて行けば途中でカスタマイズできたり仕様一覧が出るかと思えば決済ギリまで行けども表示されず、このようなあやふやな状態で最低30万円するパソコンをカートへぶち込み決済を発射する人が居るのだろうか。
細かいところまで突っ込んでおくと、MS公式では13型の方はdGPUとはっきり書かれておりインテルHD~620と「または」が付いているので切り替わる表現があるものの、15型の方はインテルHD~表記無しなのでITmediaのレビューを真に受けて良いのかも不明。
キーボード側が温かくなっているのはdGPUの発熱と思われ、この部分はゲームのベンチマークでは熱くなるが動画編集ソフトのH.264では青いまんまだった箇所。
MS公式の表現は15型はdGPUとは言っていないのでモニタ側にGTX何かが内蔵されているやも知れず、インテルグラフィックを使わない可能性がございます。何が変わるかは消費電力=バッテリ駆動時間。
ところでITmediaの提灯タイトル、「モバイルの枠を超えるパワー!」は良いけれど、これモバイルとは言えないのでは。
重量は約1905g(キーボード含む)。
ACアダプタも含むと余裕で2kgを超えるやり過ぎタイトル。だいたい15型の時点でモバイルとはいえないサイズでは無かろうか。15型で2kgもあるノートをモバイるとか、私かコメント常連の偏屈者さんくらいでしょう。
結果のみ見るなら選択せず投票ボタン。※2017.03.19 締めて画像へ差し替え
最後もおかしい。
Core i5搭載モデルで約20万円、Core i7搭載モデルは26万2224円(税込)からと安くはないが、プレミアムノートPCとしてその価格も十分納得できる製品に仕上がっている。
なぜ15型Surface Book 2のレビューなのに13型の価格を持ち出すのか。
シリーズ名が同じだからと言われそうだけれども、それなら「13.2型は」を付けるべき。安めに思わせようとしていると邪推できてしまえるが、レビュー当時はまだ15型の価格が決まっていなかったという事にしておきましょうか。。
以上。なぜdGPU搭載したのかよく解らない構成であり、ゲームしないなら無駄に高いだけなので別のノートをおすすめ。
12型HP ENVY x2 - 12-e001nrは約1千ドル?
変わってこちらは米HPがマジで売り始めるらしいARM版Windowsノート。
Snapdragon搭載Windows 10 2in1、HPが999.99ドルで発売 - PC Watch
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1108059.html
約1千ドルは今私がこれを書いている1ドル106円で換算すると10万少々。もし日本に来るとしたなら13万円前後というところか。
仕様が凄まじい。
- OS:Windows 10 S
- SoC:Snapdragon 835(2.2-2.6GHz、8コア、Adreno 540 GPU)
- メモリ:4GB(LPDDR4-3733)
- ストレージ:128GB UFS
- モニタ:12.3型(解像度:1920x1080)IPSパネル
- 端子:USB 3.0 Type-C、microSDカードスロット、Nano SIMスロット
- サイズ:292.9x210.3x6.7mm(幅×奥行き×高さ)
- 重量:約699g
- バッテリ駆動:最長22時間
何が凄いかはタブレット並の軽さとApple Watch並の充電のもち時間。いや、Apple Watchは使い続けると22時間もたないだろうけれどそれは今関係ない。
赤文字にした3733はおそらく誤表記で多分1866MHz、という根拠はスナドラ835が1866までしか対応していないから。
上から行くと、Windows 10 Sとは制限されまくった状態のWindowsで主に教育機関とか企業用としての管理者と管理される側が存在する時のエディション。MSへ金を払えばProへアップグレードも可能。
SoCはSystem on a chipの略で、CPUのように単体ではなく基板の上の部品の一部としてなのでSoCとかプロセッサーと称されております。性能はインテル並まで迫っておりグラフィック機能も内蔵。
メモリは今時少なめな4GBで多分な1866MHzは普通。ストレージのUFSとは、SoC同様に高級スマホで使われるeMMCのようなもの、但し性能はSSD並に速いらしいという話を詳しく知りたいならこちらへどうぞ。
UFSの特徴を簡単に言うと、スマートフォンなどに使われている「eMMC」程度の大きさや消費電力でありながら、パソコンなどに使われている「SSD」並の高速な読み書き性能を持つこと
容量128GBもギリでアリか。
モニタは12型と小さめな割にフルHD解像度はレッツノート並の無茶さ加減であり、Windows 10による拡大対応ソフトを使う前提でしょうな。
高額になりがちなSIMスロット装備は4G/LTE対応。重量以外に厚み6.7mmもタブレット並。要するに12型タブレットへWindowsを入れたと思えばよろしいかと。699gは本体のみでキーボードセットなら1.2kgくらいと今海外のサイトで見かけた。
1千ドルという価格設定はやりすぎ。法人などの組織向けとして最初から値引きする前提の設定なのだと思う。
このHP製ノートに限らず、ARM版Windows PCが出てしまう問題点などを含めて次でまとめて終わりましょう。
複雑化してどんどん意味が解らなくなるWindows
Windows 10というOSそのものが意味が解らなくなっている分かり易い状態がこちらのアホなページ。
Windows PC 四十八手 TOP - Microsoft atLife
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/campaign/windows-pc-48/
日本MSは四十八手が相撲ではなく性的な意味にも使われると知らないのだろうか。それは良いとして、ページ内の48種類ある手の内で本当に必要な何かがいくつあるだろうか。
最後あたりになるとWindowsアップデートや自動更新などまでまぎれ込んでいるのでそれはそれでOSの仕組としてはアリだとしても、多くはオペレーティングシステムとしてではなくソフトウェアでやれといえる機能ばかり。
それに加え今度はハードウェアで混乱させようとしているのか、Windowsをタブレットやスマホにしてみたり2in1などやるに追加。
- Surface Book 2・・・ディスクリートGPUは誰に必要なのか?
- ARM版Windows・・・周辺機器のドライバは大丈夫なのか?
GTX 1050か1060か知らないけれどタブレットにもなるノートPCに内蔵すべき機能とは思えず、単にMSが自社製品の凄さアピールのためだけに搭載し価格を釣り上げた自己満足としか見えない。
そしてARM版はエミュレーションでWindowsソフトが動くとしても、普通の人がもしARM版を購入したなら64/32bitの違いを理解する人はそう多くはないかと。
これまでマイクロソフトが詳しく説明しなかった既存のWindows 10とARM版Windows 10の違いを箇条書き。x64(64ビットアプリ)は動作しないなどの制約が記載されています。
まず64bit版は動かない。そしてドライバは別モノ。
ARM64ドライバのみがサポート。ARM版Windows 10はx86アプリケーションをエミュレートできるが、x64やx86など他のアーキテクチャ用に実装されたドライバ(ハードウェアを制御するためのソフト)はエミュレートされていないため。
例としてHPが無線LANカードを搭載しているならそれはHPが最初からドライバをあてているはずなので問題無いけれど、今でもドライバが必要になる周辺機器はあるのだから使えなくなる問題。
おそらくARM版は対Google(Chromebook)への布石というか投石だろうから法人や教育機関向けとして基本Windows 10 S仕様で出すのだろうけれども、中古品としてイオシスとかドスパラ中古、ソフマップなどへ流れて来ないとは限らず。
Windowsなのに動かないソフトや周辺機器が出たり、高確率で使わないグラフィック機能を搭載とかデタラメすぎると思えば、「そのパソコンがWindowsである必要性は?」という疑問が出てしまえる。
Appleがまだやっていないゲーム向けノートやARMエミュレーションは技術的には凄いけれどそれは手段であり目的はユーザが決めるわけで、変な性能の盛り方や制限を掛けるのは不親切だと思う。
Windows RTが盛大にズッコケた黒歴史を忘れてしまったのか。
>dGPUとはディスクリートグラフィック
>CPU内蔵(dGPUに対してiGPU)
GPUとだけ言われた場合は、ディスクリートグラフィックの事に通常なりますね。なるのですが、内蔵GPUの事を言っている可能性も有るので、判断出来ない時はよく聞いて確認してみる必要があると思いまする。
iGPUは、AMDのAPU搭載PCを使っているので、情報を調べた時によく見掛けます。
>ストレージのUFS
初めてみた用語ですね。私がよく見る機種が低価格帯の製品なので、機会が無かったのかもw PCの場合、SSDやHDDのようにストレージの種類が記載されていますし、それに倣ったんでしょうね。
>今でもドライバが必要になる周辺機器はあるのだから使えなくなる問題
対策として、Windows 10 32bit版の別PCが必要になりそうですw
>教育機関向けとして基本Windows 10 S仕様
Office等に若い頃に触れておくのは、就職した時に役立ちそうです。基本をしっかり覚えておけば、期間が空いても思い出すのは結構簡単だと思います。
>Windows RTが盛大にズッコケた黒歴史
制限がひど過ぎてひどい目に合ってるので、緩めの制限になったのやもw
>税込にすると本体のみで30万円以上からという強気な価格設定
MS謹製ならその価格設定が妥当では。10万前後の普及価格帯で勝負しないことを評価すべき。高級路線ならPC初心者が手を出して被害者となる事態も防げますし。むしろ「MSの30万がアレで富士通のコレが25万なら富士通がお得かも」と考え、販促に繋がるやも。
ちなみにMS公式から予約購入する場合は、クレジットカード必須。学生優待プログラムの対象なのに、学生には優しくない仕様。
>GTX 1060を搭載、とある割に実機の提灯レビューはGTX 1050内蔵。
IT Mediaの記事だと「ボディーのサイズは約312(幅)×232(奥行き)×13~23(高さ)mm」と1タイプしか書かれていませんから、今回の検証で使用したのは「13.5型の最上位機種」なのでは。
記事が書かれたのは1月29日、日本向けに15型の予約が開始されたのは2月22日ですから、IT Mediaが記事を書いた時点では日本国内で15型モデルが販売される予定はまだ不確定だったはず。ならば13.5型モデルのみに言及するのは正しいレビューだと思われます。
記事の読者はある程度PCに詳しい人ですから、例え発売される可能性が不明でも、15型モデルについて言及した方が良かった、という見方もありますが。ひとこと
「Surface Book2には13.5型と15型の2種があるものの、現状では日本市場向けに15型が投入されるか不確定のため、今回は13.5型モデルについてのみレビューしていく」
とでも但し書きがあれば良かったやも。
>15型で2kgもあるノートをモバイる
これまでもこれからもソレですが、ソレの何が悪いと。
>12型HP ENVY x2 - 12-e001nr
型番が複雑すぎてもはや性能を推し量れるレベルに無し。さすがモバイル向けCPUを搭載したPC、ということろでしょうか。