逆方向で難度が上がり続けるCPU性能と端末の選び方

2019年5月30日

高まり続けるCPU性能。

少し前まではパソコンならばクロック周波数3GHzを超えていれば高性能、スマホなどのモバイルはプロセッサの性能で端末を選ぶ人は滅多に居ないと思われるもののこちらも性能が上がり続け中。

逆の意味でCPU選びが難しくなっております。

パソコン用なのに8コア全て5GHzで動作可能なCPU

元ネタ。

Intel、全コア同時5GHzの8コアCPU「Core i9-9900KS」 - PC Watch
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1186732.html

Core i9-9900KS

SPECIAL EDITIONと書かれているため、Core i9-9900KSの最後のSがスペシャルを表しているのかと。

何が凄いかは通常のSが付かないi9-9900Kも最大5.00GHzだけれども、それは1コア動作している時に限られる性能であり、Sが付いたこいつは8コア全部同時で最大5GHzで動作するという。

見出しで「パソコンなのに」と付けた意味は、ここまで来るとパーソナルコンピュータ用とは解釈できない、ワークステーションとかサーバ用ではないのか的な意味。

KSが出る少し前にGIGABYTEが全コア5.1GHz動作のi9-9900Kとマザーボードをセットにしたモノを発売。

全コア5.1GHz動作可能な選別品

source:Core i9-9900Kの選別品付きZ390マザー - AKIBA PC Hotline!

リンクタイトルにある選別品付きとは、インテルとしては最大5GHz動作は1コアに限るのだけれども、同じi9-9900Kでもモノにより全コア5GHzで動けるCPUもあり、それをGIGABYTEが選別したという意味。

逆の意味での選別としては、元々Core i9もCeleronも同じCPUとして製造されており、最大8コア/16スレッドでエラーなく動作するならCore i9-9900K、2コアしか正常に動かなければCeleronという選別を製造時にしております。

なので悪い言い方をするとCeleronはかなり不良品のような感じで、まともに動かないコアは切っておき、動作クロックの倍率を下げて販売するので価格も安くなる。

ということで、i9-9900KSはインテルが「こいつ全コア5GHzで動くじゃん」と公式で選別したような存在と推測可能であり、なぜそこまで必死なのかは最近AMDがスーパー頑張っているための対抗と予想。

デモではそれぞれの新製品が、競合のCore i9-9700K、Core i9-9900K、Core i9-9920Xより高速であることがアピールされた。

source:新Zen 2アーキテクチャで12コアのRyzen 9 3900X - PC Watch

コア数とコスパのAMD、クロックのインテル。

8コア全5GHz動作とか一体何に使うのか?

上で書いた通り、サーバとかWSなどで使うのならアリかも知れないけれど、パソコンとしてはゲーム用にしても高性能すぎると思われ、ディープラーニングはGPU(グラボ)が主に使われるので単なるAMDへの対抗措置としか感じず。

ライトユーザに近い用途な私のパソコンを例にすると、現在のCPUは最大3.7GHzで動作可能、全コア3.5GHzで固定したこともある。

しかしCPUクーラーにファンを付けていないので夏場は定格の3.3GHzでさえやや厳しく全コア最大2.0GHzまでアンダークロック。ところが性能、処理速度の違いが体感ではわからない。

要するに私のパソコン用CPUは2GHz出るCeleronでも行けると思われ、ゲームしなければ2万円程度のCPUさえ要らなかったことになる。はず。

 

スマホ用?なのにノートPC並に高性能なプロセッサ

もう一つはARMプロセッサの高性能化。

Arm、スマホでノートPC並のCPU「Cortex-A77」 - PC Watch
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1186724.html

Cortex-A77アーキテクチャ

Cortex-A77、ARMのネーミングセンス好き。はどうでも良いとして。

L1キャッシュ64KB、L2が256と512KBのL2キャッシュまでは良いとしても最大4MBのL3と来たならもはやパソコンと同等。

肝心のクロックはどうなのかと言えば別の図で3GHzとか書かれており、それはノートPC並というよりヘタすると超えている気がしないでもなく、もう少し調べるとanandtechが別の図を掲載しておりました。

Cortex-A77性能

source:Arm's New Cortex-A77 CPU Micro-architecture

2016年時点のCortex-A73の2.5倍の性能、2017年時点のノート用インテルCore i5-7300Uを余裕で上回るという。

マイクロソフトがWindows 10をARMプロセッサでも使えるようエミュレートした、それはインテルがARMのアーキテクチャに負けてズッコケてもWindowsが生き残るための戦術と思えて来た。

CPU性能に差がありすぎて大丈夫?

ARMプロセッサの性能が劇的に進化しているのは良いとしても、スマホなどのモバイル端末はパソコンとは逆から入っているのでプロセッサ性能があまりにも進化するのはどうなのか。

どう逆かはこう。

  • パソコン・・・ソフトに合わせハードを選んで使う
  • モバイル・・・アプリありきでハードに入れて使う

具体的には私のメインPCでバトルフィールドという超絶精巧グラフィック性能を要する戦争ゲームはまともに動かない。動かしたいならばグラボ積むところからであり、グラボ積みたいならば搭載PCを買うか自分で増設するか。

対してARMプロセッサはスマホやタブレットは端末がまずあり、それら端末で動く前提でアプリが提供されているわけで、Cortex-A77仕様なら動くがiPhone 5sでは動かないようなアプリは需要からして供給されない。

パソコンは性能不足なら買い換える(高性能パーツを買い足し換装)、対してモバイルは動かないアプリは入れないしあきらめるわけで、ARMプロセッサの進化は凄いとしても、それ求めている人は希少種、パソコンとは逆。

 

逆方向で難度が上がり続けるCPU性能と端末の選び方

WindowsパソコンでいうとCore 2シリーズまで、Core iシリーズが出るまではCPUは高性能が正義だった。さすがにCore 2 Quadは発熱による騒音問題があり盛りすぎだとしてもCore 2 Duoくらいまでは高性能だからこそ正しい選択でしかなかった。

しかしCore iシリーズが出た頃から発熱問題がなぜか消え失せつつあり、クロックが徐々に上がり続けコア数は増大し続け更に消費電力(発熱)が下がり続ける現状。

その昔のCore 2時代までは予算ぶち込めるならCPU性能、次いでメモリを盛るのがパソコンというものだった、に対して今はどうかと言えば、どこで必要な性能として止めるべきか、容量も盛らないかになっておりましょう。

当サイトを爆誕させた10半前はCore 2の終焉期。当時はまだまだ性能も容量も盛れば盛るほど正しかった。しかしそれから2~3年後のCore iシリーズ出た頃から「え?」とか「あれ?」と自作PCユーザは妙な感覚になったはず。

私もそれから数年気付かなかった。

BTOパソコンおすすめ=まともに使える最高に近い性能と満足行く容量のPCはBTOメーカーの独壇場だったため。今もその意味では変わっていないけれど、Core i9-9900KSが必要な人は滅多にいない、逆にCPU性能どこまで抑えて買い替えのコスパを抑えるかの時代。

わからないのがモバイル用プロセッサの進化で、スマホが行き渡り買い替え需要が減少、インドなどで数千円のクソ性能なスマホが普及しまくる今、Cortex-A77のようなパソコン並のプロセッサ需要あるのか疑問すぎる。

時速300km/h出る3千万円の自動車を通勤に使うのは結構。しかし日本国内では100km/hしか必要ないので100万の自動車でも通勤用として使い物になる。

時速60km出るバッテリーカーを60万円でリースしても結構。しかしその遊戯施設は元々10km/hしか出せないコースなので10万のリースで事足りる、そのような感じ。

昔は盛れば正義、これが今はどこまで性能削っても良いのかとかどのくらい古いスマホでも問題ないのかになっている、逆方向で難度が上がり続けるCPU性能と端末の選び方。

コメント(3)

>8コア全5GHz動作とか一体何に使うのか?
会社で仕事用なら、その業務に見合ったPCを選ぶのは当然です。
3DCADならCPUパワーとMemはいくら有っても足りないですし。
個人用途ならPCの立ち位置は、道具半分、おもちゃ半分でしょう。
ならそこまで必要かどうかなんて関係ありません。
そこに注ぎ込める金が有るなら私なら買います。(ただしAMDならという前提付きで)
先輩が例に挙げた車で言ってみれば、同じ3千万出すにしても
会社:荷物のたっぷり積めるトレーラー
個人:所有するだけで自己満足出来るフェラーリ
といったところでは無いですかね。
atomで足りる用途で有っても、個人で使うPCにそんな選択肢は有りません。

>i9-9900KS
中身は9900Kと同じですから、OC耐性の高い個体、いわゆる当たり石ですね。ますます自作とOCに熱が入らなくなります。この時をもって「KSが付いていないIntel製CPUは、OC耐性が低い個体」だと公式に認定されましたから。

>8コア全5GHz動作とか一体何に使うのか?
動画変換なら高クロック多コアなほどだいたいは早く変換できますし、数秒の高速化に10万20万を注ぎ込んでも間違いでは無いです。死ぬ間際になって「あと10秒あれば」と後悔するのは悔しいですから。

一般家庭、一般ユーザならそこまで高性能は圧倒的に不要でしょうね。

>ノートPC並に高性能なプロセッサ
毎年毎年、飽きもせず前モデルの5倍だ10倍だ30倍だと界王拳かロマネ・コンティかと思う性能向上っぷりですが、その割にバッテリ持続時間は目に見えて伸びませんね。

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BTOパソコンメーカー比較

パソコン工房

高性能: ★★★★★ 保証: ★★

コスパ: ★★★★★ 安定: ★★★

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性能とパーツの相場がある程度わかる人なら標準構成が多いのでコスパ重視で選びやすい。同じに見える同じ価格でも仕様の違いがどうなのか判る人には最適。

DELL

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10年以上前まではDELL=初心者向けの安いパソコン、それはもう通用しておりません。クーポン適用後が適正価格だと見抜けるパソコン詳しい人向け、または大人買いで割安になる法人向け。

日本HP

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コスパと性能以外にも見た目も重視したいならHPのノートも選択肢としてアリ。自社製造状態なのでBTO=ダサい印象は払拭されるかと。デスクトップは法人用、ゲーミングは海外向き。

ツクモ

高性能: ★★★★★ 保証: ☆☆

コスパ: ★★★★ 安定: ☆☆

初心者: ☆☆☆☆

昔のマニアックな感は無くなり家電通販のような普通のパソコン屋に。機種が少なく特徴的な少数精鋭状態なので選べる人を選ぶ。ヤマダ電機の一部、または自作PCのパーツ屋さん。

フロンティア

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サイコム

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PC自作したくない中~上級者向け、昔ながらの2chおっさん御用達な鉄板メーカー。動かない構成でも購入できるので初心者にはおすすめ不能。量産系BTOのようにコスパ悪くならないのでサイコムだけは自由なカスタマイズを激しくおすすめ。


※ドスパラはパーツの偽装疑いを誤魔化したり取引先を勝手に切る信頼性暴落した事件があり掲載中止(2020.11.26)

※マウスコンピューターは高いぞと書きまくったからか遠回しにリンク削除しろと言って来たので削除(2021.03.28)

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結果として宣伝になっていますが依頼されたわけでは無く、依頼されてもやりません。

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BTOパソコンの元修理担当。ハードウェアに超詳しいワケではありませんが、どうしたら故障するのか何となく解るので壊れにくいパソコンを紹介します。