2013年5月現在、既に100円を突破している1米ドル。
国内大手PCメーカーに限らず、量産系BTOメーカーもパーツは海外、特に大半を中国や韓国、台湾から仕入れており取引は主に米ドル。円安と比例するようにパーツやPC本体そのものが値上がりして行っております。
適当に見て参りましょう。
富士通と東芝がPC本体の値上げを宣言
元ネタはこちら。
富士通4年ぶり円安で国内パソコン値上 部品調達コスト上昇-Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMKA3I6KLVRG01.html
転載禁止と書かれており、引用なら良いと思うけれど、曖昧なので引かずに何が伝えられているか要約。
富士通から。
- 円安で部品や調達コストも上がるから販売価格も上げる
- 夏モデルからとし、発売する機種も絞り、部品の共通化も図る
- 旧製品の値下げ幅を縮小し、新製品の値上げ幅は少なくしたい
ここから東芝。
- 値上げに向けて既に動いている
- 調達先を変更する気は無い
2013年5月13日現在のレートはこちら。先に1年間のグラフ。
source:外国為替情報 - Yahoo!ファイナンス
昨年11月まで1ドル80円前後が、現在は100円まで上昇。
単純に計算しても、8ドルの部品が物は同じでも10ドルになった以外、1コンテナ800ドルの輸送費が1000ドルになるなど間接的な影響も有り、製造原価800ドルのPCは100ドル以上になるわけですな。
もう一つ、範囲を10年間へ拡大。左端は2003年5月頃。
現在の1ドル約100円は4年前と同じくらいの相場。
4年くらい前といえば、私がとあるBTO PCメーカーの修理現場を離れ、当ブログを書き始めて半年くらいの頃。
これ以上円安が進み、5年以上前の相場になるなら更に値上がりは避けられず。ちなみに私が修理していたノートは当時10万円クラスでも性能は低め。
直結はしないけれど、円安が進みまくると値上りしまくりは避けられない。
パーツ単品も例外なく値上がりしている
全ての価格推移へリンクはきつい為、PCコーナーへ。
価格.com - パソコン
http://kakaku.com/pc/
ケースや電源など価格の推移が見づらい為、マザーボードなど1型番の息が長いパーツのみとし5種類見て参りましょう。
基本的に各パーツの人気売筋1位の価格推移を撮っております。
マザーボード(ASUS:P8H77-V)
マザーはASUSの人気商品でレビューの評価は5.00になっておりました。
それは良いとして、右下の値下がり率は約2割引き。元が1万円少々なので妥当と思えるけれど、発売は2012年4月なので1年も前。
昨年11月頃から徐々に値上がりしており円安の影響と見られ、今年の2月頃に急上昇し下降したのは旧正月でしょうか。知らないけれど。
最安時は8千円切っていたけれど現在9千円切れるくらいなので10%強値上がりした、とも言えましょう。円安が無ければ7千円前後まで値下がっていたかも知れない。
ビデオカード(MSI:N660GTX Twin Frozr III OC)
MSIのグラボは半年少々前の発売。関係無いけれどゲーム用に約2万円のGTX660は人気のようで、私はゲームしないけれどGTX660は性能と価格のバランスが良いと思う。
やはりこれも円安の影響を受けており昨年12月前後から徐々に上昇。3月からは何故か落ち着いております。
この価格で値下がり率1割程度は以前と比較しかなり少なめ。最安は昨年11~12月頃に1.9万円なので、最安当時より3割くらい価格が上昇しております。
円安が無ければ、今頃1.8万円を切っていたり、MSIが調子に乗り後継の新製品とか出していたかも知れない。
メモリ(CFD:W3U1600HQ-4G)
CFD販売の黄色い4GBx2が人気トップ。
メモリは円安や旧正月に最も影響を受け易いようで、 2012年1~2月頃に一度上がっておりますが、昨年10月からは下降。しかしやはり円安のタイミング付近から急上昇。
最安の昨年11月頃は3千円を切っていたけれど、現在は5千円前後まで値上がり。最安当時と比較すると6~7割も値上がりしております。
HDD(Western Digital:WD20EZRX)
1位の3TBは期間が短めなので2位の2TBより。
HDDの価格推移は特殊で、
- 2011年10月・・タイ洪水でWDなどのHDD製造工場が壊滅的な浸水
- 2011年11月・・当時6~7千円の2TB HDDが一時期2倍以上価格上昇
- 2012年11月・・約1年掛けて値下がり、以前の最安に近付いて来た
そこへ円安が来て価格上昇。
HDDはSSDに押されていたり、次々と大容量化が進むなどの影響も有り価格はメモリ並に下がり易くなっていたけれど、昨年11月頃は6600円くらいの価格が現在は7300円へ。
円安の影響も有るけれど、大して上がらない理由はHDD価格の値下がりの方が勝っているのでしょう。既に時代は2.5TBを超え3TBも当たり前。4TBも普通に売られております。
SSD(インテル:335 Series SSDSC2CT240A4K5)
ラストのSSDは、1位と2位のCFD製品は出て1ヶ月経過しておらず新製品過ぎる為、3位のインテル335の240GBを参考に。
やはり円安の影響と見られ、最安の11~12月頃は1.4万円切れており私も購入したけれど、現在は約1.8万円。2~3割値上がりしております。
また、右下の「値下がり率」はマイナスとなっており、発売当時より高額になっているという意味。
さすがに2万円近くなると手を出しづらくなりますな。1.4万から更に値下がりするならデータドライブ用にもう1本と思っていたけれど1.8万円では買う気がしない。
パソコン工房の新製品から見る値上がり
パソコン工房、レサンセシリーズの新製品。
パソコン工房、6万円台からのOffice 2013搭載ノートPC - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130514_599219.html
以前、パソコン工房が5~10千円値上げしているとお便りを頂戴し、当時はまだ5千円も上がっていないと返した記憶が有るけれど、今回の新製品で明らかな値上がりを確認。
「Lesance BTO Di CL6S0-Office」の主な仕様。
- OS:Windows 7 Home Premium 64ビット
- オフィス:Microsoft Office Personal 2013 (プリインストール)
- モニタ:15.6インチ(解像度:1366x768)※非光沢
- CPU:インテル Celeron 1007U(1.5GHz、2コア、2MB、TDP17W)
- マザー:インテル NM70 Express チップセット搭載
- メモリ:4GBx1(DDR3-1600)
- HDD:500GB
- DVD:スーパーマルチドライブ
- グラフィック:インテルHDグラフィックス ※CPUに内蔵
- 無線:IEEE802.11 b/g/n対応
プレスリリースには価格の掲載が無く、パソコン工房の販売ページへ行く前に「59,800円か?」と推測。
理由は私が昨年12月頃に購入した29,800円のレサンセノートと仕様がほぼ同じで、Celeronが新しくなりクロックが400MHz向上、HDD容量が320から500GBになった程度。その他は液晶パネルの光沢か非光沢の違い。
本体が3万円強、オフィスはPersonalなので+2万円。5万円強では見栄えが悪い為、59,800円とし「今なら5千円引き」とかで誤魔化すかと思いきや、何と69,800円との事。
実はCPUが高いのかと思いインテルで仕様を確認すると、私の3万円レサンセのCeleron 847はトレイ(メーカー用の大人買い)参考価格134ドル、今回のCeleron 1007Uは86ドルとなっておりました。レサンセェ・・・
ベアボーン(ノート本体部分)が何か高機能なのかと思い製品の画像を見ると、私が所有している3万円レサンセと同じキー配列やデザインとなっており、液晶パネルを変えただけのご様子。
というわけで、純粋に1万円くらい値上げと解釈して良さそう。パソコン工房が値上げしたという事はマウスなどの他社も同様でしょうな。
邪推すると、大手メーカーのノートはWindows8感染で店頭はバイオハザード状態になっており、まともな(Windows7仕様の)ノートとして値打ちをこいている、のかも知れない。
もしそうなら上手いと感じており、ドスパラなどの競合より高くしても、「富士通とは違うのだよ富士通とは」という宣伝に切替え、大手メーカーのPCユーザを取ろうとしているのなら。
Windows8->LCD高額化->円安は追い打ち(まとめ)
1ドル100円は4年前と同じと書いたけれど、更に円安が進むなら4年より更に前へさかのぼり、パソコンやパーツの価格は更に上昇。
ノートが安い物でも10万円以上などにはさすがにならないと思うけれど、円安値上げの追い打ちでパソコン販売は更に厳しくなりましょう。
- Windowsが8なので7の頃よりパソコンが売れない
- タッチ対応液晶にすると3万円以上販売価格に乗る
- 1ドル80円の頃に4万円の物が現在は既に5万円以上
販売数が多いほど製造や輸送コストなど下がるものの、7ほどの勢いの無い失敗版Windowsの8ではメーカー側も作って売るまで何かと金が掛かりましょう。
タッチスクリーン仕様の液晶パネルは、市販品を見る限りではタッチ無しより最低でも3万円は高額。今後タッチ対応PCが増えるなら自動的に値上がり。
そして円安。万一、1ドル160円とかになると昨年の2倍になり、5万円の物が10万円以上という単純計算に。
とは言え、やはりPC関連パーツは経年で性能や容量が上がり値は下がる物。5年後に160円になれど2倍は無いでしょう。
外的要因としてPCメーカーに不利な事は
- タブレットPCの低価格化が進み普及率も高まる(と思う)
- ガラケーからスマホへの移行でタブレットもどきも増加
- Windows8のせいでパソコンが高価格化
スマホや板PCも円安の影響を受けるものの市場は現在成長期。PCは成熟期または衰退とするならWindows8という足かせが有り厳しい。
XPからの乗り換え需要がWindows PC利用者の2~3割は有ると思うけれど、Windows8を嫌う消費者は多め。BTOより大手PCメーカーの方が厳しいでしょう。
- PCメーカー・・Win8 + ノート主力、タッチ対応も製造せざるを得ない
- BTOメーカー・・Win7 or 8 + デスクトップ主力、タッチ操作回避可能
大手が出来る事はパナソニックのレッツノートのように7へのダウングレード提案。しかしWindows 8がProになりダウングレード用メディアの準備やマイクロソフト様への上納も有ると思われ、やはり販売時には高くなるでしょうな。
富士通などの値上げは今月から発表が始まっている夏モデルから、とするならコスパ重視なら秋冬や春モデルの在庫狙いが正解。但しWindows8。
BTOパソコンや自作PCの組立も現在進行形で値上がりしているけれど、こちらは長期の在庫販売では無い為、いつ購入するかは為替相場が関わる運次第。
パソコンは必要な時が買い時。いつ購入するかは購入者本人が決断すると後悔しない可能性が高い為、円安騒ぎや当記事を鵜呑みせず。
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