見た目で選ぶか、性能で選ぶか、ケースの選択。
BTOパソコンでは一般的に性能が高くなるに比例しケースは大きくなるもの。最近ではCore i7搭載のスリムやキューブも有るけれど一部のメーカー。性能を求めなければスリムでも良いのかという疑問が有りそうなので考えて参りましょう。
範囲は一般向けPCとしてミドルタワーも入れた3種類。
先に書き方を左端に統一。
- スリム・・スリムタワー(ケース)
- ミニタワー・・マイクロ、ミニタワー(ケース)
- ミドルタワー・・ATX、ミドルタワー(ケース)
文字数が多いほど大きいとして。
大きさの比較はクレバリーのトップページ画像が分り易い。
右3種類が今回考えるケースのサイズ。
富士通とマウスが答えるスリムとミニタワーの違い
久々にGoogleリーダーで掛かったエキサイト小ネタ。
スリムとミニ、どちらのPCが使いやすい? - エキサイトニュース
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1324012217083.html
私が書くような単なるブログ状態では無い所がPCメーカーへの問い合わせ。なぜ富士通とマウスコンピューターかは知らないけれど、面白かったので一部引かせてもらいます。
最初の質問はスリムとミニタワーの違い。
マウスコンピューター
- 内部構造のスペースを生かし、ハイエンドなパーツを搭載したパフォーマンスの高いPCの製品化が可能なのがミニタワーPC
- 筐体自体を省スペース化し、パフォーマンスを制限することで、コンパクトなPCの製品化が可能なのがスリムPC
富士通
- 大きさが異なる ミニタワー:大きい スリムタワー:小さい
富士通のやる気の無さは何でしょうか。
エキサイトで掲載されると知らなかったのか、市販デスクトップをほぼやっていない為にどうでも良いのか。
マウスの回答が一般的な内容。ミニタワーなら大抵のパーツは搭載可能、スリムは省スペース重視で性能を制限。
メリットの回答は上とかぶっているので飛ばしてデメリット。
マウスコンピューター
- ミニタワー:ある程度の大きさがあるため、置き場所を選ぶ
- スリム:(略)パフォーマンスの高いパーツが搭載できない
富士通
- ミニタワー:大きいのでスペースをとる
- スリム:拡張性が低い
ミニタワーについては同じ回答。
しかしスリムではマウス側は高性能パーツが載らない、富士通は拡張性という言い方をしております。
そして富士通が付け加える余計な一言。
ただし、富士通さんはこう付け加える。 「お客様ニーズによって選ばれるモノなので、デメリットとは言えないと思います」
富士通の中の人が必死に見えるのは私だけでしょうか。需要が有ればデメリットと言えないという解釈は強引過ぎ。
ナショナルブランド(有名メーカー)のセパレートタイプ(画面と分離)なデスクトップはではほぼスリム一色。
車で例えると、ダイハツの人へ軽自動車と普通車のデメリットを聞いているようなもので、これは筆者殿のメーカー選択ミスという事にしておきましょう。
最後のインタビューはユーザのニーズ(需要)について。長過ぎるので勝手に省略し要点のみで引かせてもらいます。
マウスコンピューター
- ミニタワー:一般向け、PCリテラシ(知識)の高いユーザが多く性能重視
- スリム:法人向け、ある程度の性能が有れば良く省スペース重視
富士通
- スリムでも最近は何とかなるのでスリムの方が人気
ダイハツに軽と普通車どちらが人気ですかと聞いているようなものですな。
結局はマウスが最初に答えていた内容で事足りており、富士通にミニタワーの事を聞いている回答は混乱のもと。
BTOパソコン基準の標準構成価格でいうと、スリムは5万円以下、ミニタワーは5万円以上という辺りでしょう。価格差は単純に性能の違い。
しかしスリムは設計が複雑な事が多く、極端にいうとノートのようなもの。CPU周辺以外はギッシリという言葉があてはまるような中身となっております。
スリム叩きは最後にやるとして、話に出ていないミドルタワーをミニタワーと比較してみましょう。
ミニタワーとミドルタワーの違いは高さと中のサイズ
高さは違うけれど設置する面積は同じ
ミニタワーとミドルタワーの違いはクレバリーのケース比較画像に有った通り、まずは高さの違い。
マニアックな高級ケースになるほど微妙に高くなるものの、普通の安物ケースやBTOメーカーの量産品はやはり画像を参照、5インチドライブ1個分高い程度。
私が良く解らない事は、マイクロタワーの方が省スペースという意見。やはりマニアックなケースほど奥行きや幅が微妙に大きくなるものの、マイクロとミドルの接地面積は基本的に同じ。
スペースは空間という意味なので、高さで比較するとその容積分は確かに上がるけれど、省スペースと言える差か疑問。
私はメインPCがミドルタワー、事務用はミニタワーで使っておりますが、スペースというよりケースの価格と必要な性能からミニタワーで良いという結論。
ちなみに、やはりクレバリー画像の通りスリムとミニタワーの高さは同じ。これは中に入るメイン基板(マザーボード)によるもの。
決定的な差はケース内のサイズ
マウスの画像が詳しいので拝借。左がミドルタワー、右はミニタワー。
大きさや角度が違うので中身で比較しましょう。
左のミドルタワーは別名ATXケースと呼ばれ、右はマイクロATXケースという通り、搭載出来る基板(マザーボード)の大きさが違っております。
CPUファンとグラフィックボード(左は赤い横長、右は下部の黒い横長)の位置を見ると分り易く、右のマイクロATXはマザーボードがほぼ正方形。左のATXは付け足したような長方形になっており、ケースの容量以外にこの部分でも拡張性に違い有り。
具体的な差として良く有るものを挙げると。
- 5インチ3.5インチベイの数
- USBやSATAなどの端子数
- PCI、PCI-Expressのスロット数
- グラフィックボードに対応する長さ
- グラフィックボードの放熱スペース
1と2はHDDやSSDを後から内蔵で増設したい時に差が有り、私のミドルタワーの例では3.5インチシャドウが4つ有るのでHDDを1つ空けて内蔵出来たり。
3のUSBは良いとしても、ストレージの本数が増えるとSATAの端子数が関わり、マイクロATXは安い物が多い為、この辺りが省略されている事が多め。
4、グラフィックボードは高性能な物になるとロングボードという長い物も有り、更に補助電源が必要で電源コネクタがボードの端(ケース前面側)に付いている事もございます。ミドルタワーならシャドウベイを取り外して対応出来るなど。
私が気にする事が5番で、メインPCをミドルタワーにしている理由は拡張性以外にケース内の空間。CPUとグラボ周辺のエアフローが気になり、PCIにサウンドブラスターという音源ボードを増設する為、グラボファンの周辺を広く取りたいわけです。
グラボ+地デジ、とかでも同じ事。ミニタワーでやると、上のマウス画像の例ではグラボのファンをふさぐことにもなり、グラボ地デジ双方の基板が温まるという。
私の事務用ミニタワーは、ストレージはSSD1+HDD1のみ、グラボは不要、CPUも高性能は要らない、という理由で安さ重視の打ち止め。増設や故障以外のパーツ交換はしない前提となっております。
BTOパソコンでは性能のバランスでケースが決まってしまう事が多い為、価格と性能以外に増設や交換する予定が有るならケースをどうするか考えた方が良いかも知れませんな。
私がスリムを勧めない理由(まとめ)
富士通おすすめ、需要が有るのでデメリットにならないスリムは私に言わせると省スペースと見た目以外はデメリットまみれなパソコンの形。
同じく画像はマウスコンピューターより。幅が細いだけで高さと奥行きはミニタワーと同じくらい。
主なデメリットを3つにまとめると。
- 熱がこもりやすく逃げ難い
- ホコリが溜まりやすく掃除しづらい
- エアフローを考えると構造に無理が有る
良く見なくとも排気は電源ユニットのファンのみが頼り。吸気は前面の小型ファンとCPUクーラーのファン。電源も冷やす物では有りますが、これでは冷却というより下手すると温風を流しているようなもの。
このケースではPCIに何か挿さっており、CPUと電源の間に壁が有るので左上に熱がこもるでしょう。空間に余裕が無い為、光学ドライブやHDD付近に溜まったホコリも掃除しにくい。
スリムは名前の通り細い為、多くは画像のようにCPUファンが側板に近接しており、外気をそのまんま吸い込む仕様。側板の吸気口にフィルタが有るなら頻繁に掃除しなければ放熱不足、無いならホコリを直接吸い、更に高性能CPUで高負荷にすると爆音になりましょう。ケース前面ファンも小型な為に高回転=騒音問題の可能性有り。
もう一つ細かい所にケチを付けると、スリムケースは側板がコの字状にスライドする物が多く、閉じる際に爪を曲げたり折ったり、ケースそのものが歪んでしまったりも良くある事。
スリムは色々な意味で比較的壊れ易いパソコンなわけです。
しかしBTOメーカーに限らずスリムは人気が有り、富士通やNECなどはデスクトップと言える物はスリムばかり。普通の人には安いと同時に省スペースや見た目が重視されるのでしょうな。
自分のパソコンにスリムは有り得ず、他人様は好きに選べば良いと思うけれど、修理を頼まれる方としてはかなり嫌な構造。メーカーでは無い他人に修理やパーツ交換、増設を頼る予定が有るならミニタワーもご検討有れ。
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