Lenovo(レノボ)よりThinkPad X1が2011年5月27日に発売。
海外では5月17日発売という事で、日本でもPC関連ニュースでは早くからプレスリリースが掲載。レノボと言えば旧IBM、現在は聯想集団(れんそうしゅうだん)。ThinkPadシリーズで有名な老舗と言えますが、価格が相変わらずデタラメなのでそこにも突っ込みます。
ThinkPad X1の性能と特徴
Engadgetの写真が格好良かったのでこれで。
source:ThinkPad X1 国内発表、13.3型でThinkPad史上最薄
特徴をレノボ公式のプレスリリースより抜粋。
- ThinkPadシリーズで最薄
- ThinkPadシリーズで最高レベルの堅牢性
- 液晶モニタを割れ難く傷に強いゴリラガラスで挟んだ
- CPUにクーラーに冷却と静音に優れるフクロウファンを採用
- 30分で80%の急速充電が可能、充電は約1000回の長寿命
ThinkPadは元から堅牢性を謳っており、その中でも最高レベルと自称する程の頑丈さ。キーボードは防滴加工、ThinkPad初のアイソレーションタイプになっております。
80%まで30分の急速充電はリチウムイオン系バッテリの特徴で、80%くらいまでは一気に充電し、その後が遅いという仕様。それにしても早いですな。
プレスリリースでは仕様に「搭載可能」が多く何の事やら判らない為、実際の販売ページより最安のCore i3搭載X1を引かせてもらいます。
- CPU:Core i3 2310M(2.10GHz/3MB)
- OS:Windows 7 Home Premium 64 正規版
- モニタ:13.3型HD液晶 (1366x768、LEDバックライト)
- グラフィック:インテルHDグラフィックス 3000
- メモリ:2GB PC3-10600 DDR3 (1スロット使用)
- HDD:320GB 7200rpm
- 無線LAN:インテルWiFi Link 1000(IEEE802.11b/g/n)
標準でWindows7が64bitとなっている割にメモリ2GBx1枚が気になりますが、他は普通の構成で文句無し。13.3型という小型サイズで強引にフルHD(1920x1080)にしていない事も好感が持てます。
ThinkPad X1の分解写真各種
ITmediaとASCIIが試作機をばらしており引かせてもらいます。
- 写真で確認する“ThinkPad X1の中身” - ITmedia
- みやの編集ちょのレノボX1発表会 ダラダラレポート
- ThinkPad X1は“パワフルなイケメン”なのか (1/3) - ITmedia
3番に3D Markなどのベンチマーク結果が載っておりますが、マニアック過ぎるのでスルー。興味が有るなら3ページ目までお読み有れ。
分解したボトムケース(底面)側の写真。
写真下の空間はバッテリが収まり、内蔵されるので取外しは出来ないそうな。写真右上の空間はストレージ(HDD、SSD)で、外から出し入れ可能。
ヒートシンク部分の拡大。
CPUのヒートシンクとフクロウファンなる物。普通のファンとどう違うのか良く判りませんが、羽が斜めになっている所がフクロウなのでしょうか。右下の四角部分の下にCPUが載っております。
液晶モニタも取外し。
ベゼル(液晶の枠)とLCDパネルに境目が無いと言われるゴリラガラスで覆われています。左のコネクタが本体への接続、中央で斜めになっている基板はインバータと思われます。
マザーボード(メイン基板)を取り出した状態。
小さいですな。私が修理をしていた頃のノートは、14~15インチでこれの2倍以上の面積が有りました。黄色の丸状の物がBIOS保持用のバッテリで、ボタン型電池が入っております。ノートでこれが切れると分解になり、修理代が高く付く元。マザー丸ごと交換やベアボーン交換になる事も有ります。
キーボードを外した状態。
ここからメモリの交換が出来る仕様。メモリスロットは1つに見えます。この状態ならボタン電池も何とか交換は出来そうですな。但し、おそらくですがハンダ付けされており、分解するとメーカー修理が利かなくなると思われ要注意。CPUファンの掃除がし易そうな辺りは個人的に評価高し。
以上、構造は4~5年前とそう変わっておらず小さくなりましたね程度。分解を前提に作られているわけが無い為、こんなものでしょう。
レノボPCの通販価格や仕様がデタラメ
過去にレノボの価格はおかしいとして何度か書きました。
未だに二重価格のような表記で、今回も結構凄いので比較。
ITmediaで公開されているスペック一覧より実売価格。
source:史上最薄のボディで新しい方向性を - ITmedia
初っ端で引かせてもらったEngadgetも判っているようです。
あまり参考にならないダイレクト価格は税込19万7400円から。
見づらいのでテキストに書き換え。
- ThinkPad X1 129128J・・218,400円
- ThinkPad X1 12912AJ・・218,400円
- ThinkPad X1 12912BJ・・197,400円
ここまでにおかしい事は、私が先に書いた仕様はレノボの直販サイトから標準構成を持って来ており、上記のいずれとも違う事。Windows7がProfessionalになっている為。
それは置いておき、価格.comでショップ在庫の最安をチェック。
source:価格.com - ThinkPad X1の検索結果
順番が合っていませんが、価格はリリース記事の実売と同程度。
レノボの直販より、カスタマイズ可能な機種一覧。
ダイレクト価格を赤、右はキャンペーン価格と称する実売。
- 231,735->139,860円・・i3エントリー
- 286,335->154,980円・・i5バリュー
- 358,785->199,920円・・i5ハイパフォーマンス
- 234,465->175,140円・・i3ビジネス
ショップ在庫の完成品ではWindows7が全てProfessionalでしたが、HomePremiumで良いなら2520円の差額でこうなります。
- CPU:Core i3 2310M -> Core i5 2520M
- メモリ:2GB -> 8GB
- ストレージ:320GB HDD -> 128GB SSD
完成品の仕様と価格を見ると、最下位機種(12912BJ)が性能の割にやたらと高くなっており、上位機種を安く見せる為の価格設定。
i3の完成品を売る気は無く、i3搭載X1は直販に来た人だけの特典のような価格となっております。
ThinkPad X1と他社BTOノートで価格を比較
ThinkPadの特徴というか特長は先に挙げた通り、堅牢性や静音、冷却性能に自信が有るようで、それらを除いたスペックとして他社の価格と比較。
先にThinkPad X1のBTOモデルより、エントリーパッケージと称された最も安い価格の主要パーツを一覧。
- CPU:Core i3-2310M
- OS:Windows 7 Home Premium 64
- 液晶:13.3型 (1366x768)
- メモリ:2GB PC3-10600 DDR3
- ストレージ:320GB HDD 7200rpm
パソコン工房のi3-2310Mノート。
価格は標準構成で74,980円。レノボより64,880円安い計算。
レノボに無理矢理合わせようとした為、モニタは15.6インチとでかくなりますが、光学ドライブにブルーレイ(読み専用)、メモリは4GB、HDDは500GBに上がります。
マウスコンピューターのi3-2310Mノート。
サイズが無く液晶は17.3インチと更にでかくなりますが、価格は69,930円。レノボの約半額まで落ちました。性能差はメモリが大きい程度で大差無し。
レノボ側が良い所無しに見えますが、チップセットはThinkPad X1の性能が高く、USB3.0x1本付くというノートでは価値の有るインターフェイス付。
堅牢性、フクロウファン、ThinkPadブランドに7万円載せられるなら結構かと思いますが、特にこだわりが無いならレノボは「現在」割高と言う事です。
ThinkPad X1発売から今後の価格予測(まとめ)
レノボのノートは安く性能が低くは無い事で一部マニアには有名で人気が有るようですが、レノボ製品の通販は罠が多く、PC初心者にはお勧めし兼ねる状況。
どうしてもThinkPad X1が欲しいなら、レノボの公式サイトでメルマガを登録し数ヶ月待ちましょう。いつもの流れなら4~5万円値引きクーポンが発射されるはずです。
レノボは富士通やNECなどのナショナルブランドとは違い、発売時期がBTOメーカーのように新パーツの発売や自社開発製品により出る為、夏モデルや春モデルという概念が無く、いつ値下がるかはレノボの都合で外からは分かりません。
なぜレノボが2~3重価格のような売り方をするかは、おそらく中国の流れ。中国ではノートはレノボ一色と言える程に市場を占有しているらしく、更にレノボ=高級ブランドとして、ブランド重視の中国人にばかうけしているそうな。
価値として10万円のノートを30万円と表記し、発売直後から20万円で販売。時期を見て5万円値引きし、そこから時が経過すると更に5万円引きクーポン番号を拡散。中国人感覚では30万円のノートを所有しているというステータスになるのでしょう。
私はレノボ製品が嫌いなわけでは無く、レノボの運営のやり方を嫌うのみ。パソコン初心者を騙すかのような売り方を日本でするなと。
逆にDELLは製品が良いと思った事は無いけれど、運営(経営)方針は見習う程のハイレベル。
レノボ(日本)は直販サイトさえ無ければ良いメーカー。売り方があからさま過ぎて汚いだけ。中身はどこにでも有る中国製ノートなので御安心下さい。
>hinkPadは元から堅牢性を謳っており
確かにそうかもしれない。
サスペンドすらすることなく常時稼働で13年目のThinkPad235がまだ動くんですけどどうすればいいのw
>キーボードを外した状態。ここからメモリの交換が出来る仕様
キーボード外さないとメモリ交換できないとかなにその罰ゲームw
>ダイレクト価格を赤、右はキャンペーン価格と称する実売
きっとアレです。中華商法ってやつです。
>特にこだわりが無いならレノボは「現在」割高
でもそれは今出た新型を今買おうとするからであって、3ヶ月落ちでダイレクト以外の最安販売店で買うぶんには相当な有力候補なんじゃなかない?
だってほら
http://kakaku.com/pc/note-pc/ranking_0020/
上位みんなLenovoだしw しかし驚くほど安いなw
>パソコン初心者を騙すかのような売り方を日本でするなと
はたしてこれに騙される日本人がそれなりに多いのかどうかは知りませんが、適正価格を知らないとカモにされるという意味においてはナショナルブランドのセレブ価格も同じなわけで、商売人が情弱を相手に儲けるっていう商法はおよそこの世に商売ってものができた時からの基本だと思うのですよ。
きっとこの中華商法でヤラれる系の方は、NECだのSONYだののセレブ価格にもまんまとヤラれるだろうよと。
この手の属性はLenovoに対して気をつけろと警鐘をならしたところで、他のセレブなナショナルブランドへ流れるだけのような。
そういう情弱富裕層なカテゴリーを対象とする売り方は旨みが多いでしょうから、多かれ少なかれどこでもやりたいはずで、ここ最近のマウスなんかはだいぶそっちへ舵をきってきてるような感じがします。
もっとも、どうせカモられるなら中華でなくて国内メーカーにカモられて頂いたほうが、日本の景気には貢献しますなw
>サスペンドすらすることなく常時稼働で13年目のThinkPad235がまだ動く...
そういえばウチのThinkPad230Csは、どこかにしまい込んだきりだ。
型落ちになってから2台目を購入してキーボードを入れ替えたり、メモリ増設したり、ハードディスクの換装は何回やったことやら。
何度バラしても、たいしたトラブルもなく普通に動いてくれたという意味では、確かに堅牢ではありました。
>キーボード外さないとメモリ交換できないとかなにその罰ゲームw
最近のノートPCはネジ数本で気軽にキーボードが外せるものが多いようで。
言葉のイメージほど大変ではない作業かもしれませんよ。
>言葉のイメージほど大変ではない作業かもしれませんよ
フレキケーブルのアンロック、ロックは、初めて見る人には難物に思います。
アンロックで機構を壊したり、ロックされてるとは知らずに力まかせにケーブルちぎったり、ケーブル斜めでロックして端子ショートしたり。
全部見たお話しで「なんとかならんか?」とお鉢が回ってきました。
>フレキケーブルのアンロック、ロックは、初めて見る人には難物に思います。
よく分からないものはいじらないという基本が分からない人が多いんでしょうかね。
一部の機器を除けば、たいがいはちゃんと取り外しを考慮した仕組みになっているので、作業自体は簡単で、ミスもしにくいとは思いますが。
仕事の都合でたまにノートパソコンのバラシが必要なことがありますが、あまり導入実績のない機種でも、さほど悩まずにメモリ交換、HD交換ぐらいはできるようになりました。
メーカー製の場合、むしろデスクトップの方がナゾな構造があったりして、バラすのが難しいような気がします。
フクロウファンについてはこちらに詳しく(?)書かれていました
ASCII.jp
「ThinkPadの冷却ファンは「ふくろうの羽」から生まれた!」
http://ascii.jp/elem/000/000/094/94027/index-2.html
(URLは2ページ目)
特徴としては「ファンの先端にギザギザの突起が付いていること」。この突起で乱流の発生を抑えることにより、ファンから真っ直ぐかつ強力に送風できる上、騒音を減らせるようです(解釈は私独自。詳しくはリンク先でお願いします)。そういえばThermaltakeの「桜扇ファン」も、ファン先端に似たような加工を施していましたね
もしかして私の目が悪くなったのでしょうか
「i3エントリーパッケージ」と「i3ビジネスパッケージ」の違いはOSだけなのに、キャンペーン価格で3万円以上の差があるように見えるのですけれど
>突起で乱流の発生を抑える
というよりは「突起で、あえて好ましい乱流を作る」仕組みです。平易に記せば好ましい乱流で好ましくない乱流を壊す仕組み。
「好ましい乱流ってなんだ?」というROMの方は、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%B1%E6%B5%81%E7%BF%BC
をどぞ。
英語おkな方は、こっちのほうがわかりやすく書かれてます。
http://en.wikipedia.org/wiki/Vortex_generator
なんだか私が「乱流」と書いたせいで無理して乱流という言葉を使わせてしまったようで恐縮です。羽の構造については、私が貼ったフクロウファンの説明ページに
「ふくろうのように羽の先にギザギザがあると、そのギザギザの周りに小さな渦がたくさん生じ、大きな渦の発生を防ぐことができる」
「この原理を応用して、ファンの先端付近に小さな渦が起きるように開発されたのが「OWL BLADE」」
と、やすとしさんが仰る事と同様の記述がありますから、オウルブレード(フクロウファンの羽)が本当に機能しているかはともかくとして、仕組みは単純で分かりやすいですね。賛同は得られないことは承知の上ですが、私は「10x1を1x10にする」ようなものだと理解しています
いんや、整った流れじゃないんで「乱流」でいいんですよ、恐縮には及ばず。
突起、つまり凸ばかりではなく凹でも乱流は作れます、これも「好ましい乱流」を発生させる例。効果(静音化・静穏化)のほどは知りませんが。
http://www.zaward.co.jp/golf12-fan.html
それにしても、なんでPCの世界では「静音」なんだろ。造語かなぁ。ちゃんとした日本語では「静穏」のはず(昭和なおっさんのボヤキすまそ)。
度々の説明、ありがとうございます
やすとしさんが貼られたZAWARD製Golf Fanの「ディンプルブレード」、私が使用しているAINEX製OMEGA TYPHOONの「OMEGAブレード」と構造は同じですね
http://www.ainex.jp/products/cfz-120.htm
しかし話を詳しく伺えば伺うほど、フクロウファンのセールスポイントが弱まっていくような
ちなみにOMEGA TYPHOONの実力は未知数です。うるさいわけではありませんし、風力が弱いわけでもありませんが、同等スペックのファンと比べてPCケース内部の風の流れは強まりませんでしたし(線香の煙で実験)、温度も下がりませんでしたし(ソフトで計測)、音も静かになったようには感じませんでした(体感)
>PCの世界では「静音」
恐らく「騒音」の対義語的な使い方をしているのかと。私的にも「静かな音」という言葉は少し妙だとは思いますが、日本の漫画には「シーン」という「静かさを表す音」があるため、別に静音でも良いやと考えています
レノボ、まさかの発売4日後にキャンペーン価格から12%割引。
発売日に購入した本物のレノボファンは居なかったのでしょうか。
http://bto-pc.jp/btopc-com/2011/05/31/lenovo-web-coupon0531.jpg
または発売と同時に飛び付く程のレノボ好きは無視という事か。
231,735->139,860円->123,077円・・i3エントリー
286,335->154,980円->136,382円・・i5バリュー
358,785->199,920円->175,930円・・i5ハイパフォーマンス
234,465->175,140円->154,132円・・i3ビジネス
売値を乗算すると88%になるのでいかにもな中国勘定。
初めから終わるまで定価(ダイレクト価格)を戻さない仕様はやはり二重価格では無かろうか。今回の4日で値下げはそれ以前の問題とも思えます。
レノボの本物価格の安いノートは勧めいたい所ですが、こういう汚い手口をやらかす為、企業そのものが信用ならず好きになれないというか嫌い。
TakaQのアニキ曰く。
「きっとアレです。中華商法ってやつです。」
でしょうな。
i3の最安機種が6~7万円ならお勧め。