ベアボーンはメーカーの仕入れ以外に市販も有る未完成PC。
過去の記事で私が時々ベアボーン、またはベアと書く物は主にメーカーが仕入れる際にCPUやメモリなどが載っていない状態のノートの事で、最近の市販ベアボーンではノートでは無くキューブなどの小型デスクトップに多く見られます。
E-350が出てベアボーンが活気付いたかと思い改めて解説。
ベアボーンとは?
完成していないPCの事ですが、どこまでを指してベアボーンと言うか、Wikipediaのベアボーンキットによると。
本来のbare boneとは、むき出しの骨、すなわち骨子というような意味である。
基本的には自作パソコンのパーツのうち、ケースに電源とマザーボードのセットで、これにパソコンとして動作させるために必要な残りのパーツを別途用意し、組み立てる。
その他の説明はややおかしいのでWikipediaと言えど正確とは言い切れませんが、上記は合っているかと。
ノートのベアボーンを大きく分けて2種類
昔のノートは計り知れないほど高額で、10万円は当たり前、20万円が普通の時代。その頃に7万円で販売されていたベアボーンの構成。
- 未構成:CPU、メモリ、HDD、光学ドライブ、(無線LANカード)
当時は無線LANは標準では無いどころか普通に付いておらずカッコにしております。付いていない物が主に上記の4種類。逆にすると分かり難い。
- ベア:見えている部分、メイン基板、インバータ基板、電源基板など
見えている部分とは、トップケース、ボトムケース、キーボード、液晶モニタのベゼル、光学ドライブのベゼル、バッテリ、LCDパネルなど。
完成品からCPUなどを抜いた状態がベアボーンと思ってよろしいかと。
最近のネットブックではCPUがオンボード(メイン基板に直接溶接)も多く、メモリもオンボード、ストレージ(HDDなど)が外せない、光学ドライブ無し、という完成品も見られます。
前者の普通のベアボーンは完成品ノートの価格が下がり市販品は消滅に近く、後者の完成品はBTOパソコンで見られるカスタマイズの項目でパーツの選択が無いに等しい物が該当。MSオフィスの有無、延長保証の有無程度のような選び方。
分かり難いので普通のベアがどういう物かMSIから拝借。
source:MSI Computer Japan 株式会社
一見すると普通のノートですが、CPUのCore2Duoマークは対応しているという意味でCPUは搭載はされておらず。
その他、OS、メモリ、HDDは別売りと下に書かれており、その他の部分を販売するという意味になります。
2007年頃までは結構な種類が流通していたようですが最近は滅多に見ず。完成品より高くなってしまう為でしょう。
デスクトップ型のベアボーンは小型な物全般
私のイメージでデスクトップのベアを定義すると。
- ケース、電源、マザーボード
Wikipedia同様、この3種類のセットでベアボーンとしており、基準はキューブPCのベアボーンキット。
多くはこれら3種類がセットですが、CPUがIntelのAtomやAMDのAPUになるとCPUがオンボードになりそれもセットに。
画像はやや古めですが分り易そうな物をASCIIより。
source:ASCII.jp:BIOSTARから組み立てやメンテが容易なキューブベア「iDEQ 330G」
トランスフォームは別として、本体左手前のメモリスロットは空、CPUも入っておらずチップセット915Gに合う物を別売りで選ぶ仕様。 光学ドライブも空になっております。
好きなCPUやメモリを取り付けて遊んで下さいという物です。
自作PCとベアボーンとBTOパソコンで価格比較
マイクロATXはベアが無いと思うので、フォームファクタはMini-ITXに限定。CPU(APU)は旬なE-350搭載とします。OS有りにするとBTOが有利になると思うので無しで。
それぞれ価格.comでE-350搭載の最も安い物を選択。BTOパソコンはサイコム、と言いたい所ですが種類が多いクレバリーで参りましょう。
自作PCの場合。
マザーボードだけに見えますがオンボードCPU(APU)。しかし安いですな。無意味に欲しくなります。
ケースはmini-ITX用のリストより安い順の上位5つ。
最安でおおよそ5千円。E-350の場合はこの2つでベアボーンと同様になり、総額は16千円くらいのようです。
ベアボーンの場合。
深い意味は有りませんがキューブでは無い物を選択。現在のE-350搭載ベアはだいたい2万円を切るくらいが最安のようです。
BTOパソコンの場合。
OS無しは34800円。但しメモリなどが載っているので分解。価格.comを参考に適当に値を付けます。
- メモリ:2GB(1GBx2枚)・・2千円
- HDD:500GB SATA3・・4千円
- DVD:スーパーマルチ・・2千円
- その他:カードリーダー、キーボード、マウス・・3千円
付属を約11千円とし完成状態から引くと約24千円になりました。
- 自作PC・・約1.6万円
- ベアボーン・・約2.0万円(自作+4千円くらい)
- BTOパソコン・・約2.4万円(ベア+4千円くらい)
中々良いバランスになったと思いますがいかがでしょう。
自作の利点は、マザーやケースが選べる事で、安さにこだわらなければ自由に選択可能。難点としては全てセルフサービスなのでサイズや付属品、作業に要注意。
ベアの利点は、自作する手間やマザーとケースの組合せを考える必要が無く簡単で安め。難点はマザーとケースがセットなので種類が少なく製造メーカーが限定。
BTOパソコンの利点は、クレバリーが安くお勧めを選んでいると思われ全部クレバリー任せ。難点は価格が高い事とケースやマザーを選べない事。
こだわりか価格の差か、価値観によりどれが最も良いとは言えず、良い面が有れば逆もまた然り。
余談ですがクマの面目も有るので一応付け加えると、マザーはASUSのE35M1-I DELUXEが載っており、キューブ型ケースは岡谷エレクトロニクスの6千円くらいの物。見ながら驚いたことはHDDが500GBながらSATA3対応になっております。
クマは無駄にベンチマークなど頑張っているのでもう少し付け加えると、クレバリーはBTOメーカーの中で最もキューブ慣れしていると思われ、個人的に信頼しております。但し長期保証は劣化するので注意。
ベアボーンは今も昔もマニアの遊び(まとめ)
当ブログは私の感想文が付かなければ終わらない仕様なので、小型PC全般の難点としてまとめると。
低い拡張性は容積のみでは無く電源容量も
キューブに限らずスリムより更に小型の縦置きPCでは、容積が少なくグラボやメモリ枚数、搭載出来るストレージ数が少なく、増設や大容量は求めない前提。
狭さ故にパーツが載らない以外に、電源が90WのACアダプタや200~300W程度のSFX電源になる為、高性能なCPUやグラフィックボードは無理が有りましょう。
高性能、大容量は求めてはいけない前提になります。
故障した際はベアボーン交換になる可能性
自作ならマザーやケース交換、BTOもクレバリーの例では市販のケースとマザーなのでそれぞれを交換可能。
しかしセットで販売されるベアボーンでは、ヒートシンクの冷却にケースファンを利用していたり、電源ファンと連動している事も有り、そうなるとCPUの位置が固定され、マザーボードが限定される事が有ります。
ベアボーンは自作より簡単と言われますが、自作出来ない前提なら修理も出来ないとして、万一の際はベアボーン交換を考えておきましょう。
修理代が高く付くという意味です。
価格が高めな割に性能は大した事が無い
今回は安く性能高めなAMDのE-350を例としましたが、大きめデスクトップ用のH67チップセットや果てはX58のベアボーンまで有るには有ります。
性能が高くなる程にキューブや小型ケースでは無理が出るので高額になり、マイクロタワー(Micro-ATX)やミドルタワー(ATX)と比較すると小型PCは高く付きます。
その割に性能や容量を伸ばせない事は小型の宿命。見た目や置き場所、空間の為に選ぶとして性能や容量は求めず、価格はデザインや省スペースの為に有ると考えると良いでしょうか。
メンテナンスの難易度が高くエアフローが問題
メモリやHDDが入っていない状態で、キューブのベアボーンを横から。
source:ASCII.jp:キューブ型ベアボーンPC「XC Cube EU482」
左下に空間が見えますが、中央の青いスロット2本にメモリが立ち、写真左中程の吊りスロットには3.5インチのHDDが入ります。どう考えても空気の流れが詰んでおります。
普通の大きめパソコンケースなら側板を開けたならどうにか分解出来ますが、上の写真を見て分解しクリーニングする自信は有るでしょうか。
以前、故障したキューブPCを実際に見た例では、メモリのスロットにカビが生えておりマザーとメモリ(1枚)が不良品として、キューブ本体丸ごとが捨てられました。
湿気まで溜めるとは思わず良い勉強に。
ベアボーン(や小型PC)は今も昔もマニアの遊び
ベアに限らずキューブのような無茶な設計はマニアが珍しいPCとして所有し自己満足する物で、見た目で選ぶと後悔する可能性が他のケースより高くなります。
話がベアボーンから小型PCへと思い切り脱線しておりますが、ノートベアはもう無いものとして今後はキューブや小型PCが残りましょう。
小型PCはパソコンのハードウェアいじりを趣味とする上級者の遊び道具。一般向けとしてはお勧めし兼ねる為、自作PCよりベアボーンが簡単そうだからと安易に手を出さぬよう御注意有れ。
>基本的には自作パソコンのパーツのうち、ケースに電源とマザーボードのセット
一番自分で選びたいところが選ベないという時点で私的には無いなぁ。
>チップセット915Gに合う物を別売りで選ぶ仕様
何! Prescott530余ってんぞ!! ブログ読んでる場合じゃねぇ!!!
とか思ったら2005年の記事だった件。 そうらそうだわ今な訳ないw
>見ながら驚いたことはHDDが500GBながらSATA3対応になっております
暮の意図は良くわかりませんが、HDDでSATA3はむしろ意味がないと思うんだw
逆に物理的な制約として狭い空間、酷いエアフロー、少ない電源容量であることを考えれば、省電力低発熱なSSDこそ正義になると思うの。
>大きめデスクトップ用のH67チップセットや果てはX58のベアボーンまで有る
X58のヤツなんてあるんだw どの層に需要あるんでしょうね?
>ベアに限らずキューブのような無茶な設計はマニアが珍しいPCとして所有
言い方を変えれば、相当の上級者以外に取廻しは利かんという、むしろ上級者向けのモノと考えたほうがいいかもです。
自作でなぜかハンダ作業がデフォルトな層向け的なw
>Wikipedia
意外と間違いが多いですね。
これを元にして技術的なクレームを言ってきた、馬鹿な奴もいましたが。
>mini-ITX
規格的にはOKでも物理的に入らないことも多いので難易度が高いですね。
フルタワー派としては、チマチマとした配線も苦手です。
ノートパソコンが今よりもっと高価だったときはベアボーンキットを買おうかな~?なんて考えた時代もありました。買いませんでしたが・・
しばらく仕事用のメインパソコンをベアボーンのデスクトップパソコンにしていた時代もありますが、やはり性能的にはソコソコでしたね。仕事に使うだけなら十分なんですけどね。
キューブ型ケースと言えば...
ベアボーンではありませんが、MicroATX仕様のキューブケースを購入したらCPUファンが干渉して組み込めなかったという前科があります。
キューブケースはmini-ITXマザボと、MicroATXマザボは別なケースと組み合わせて再利用しましたが。
ミニPC好きとしては、超ミニサイズのベアボーンには惹かれるところ大ではありますが、実際に買って組み立てたとして、さて、何に使えるの?ということを考えると結局用途が思いつかず、いつも思いつきは計画倒れになってしまいます。
クレバリーが登場したのはベアだからでしょうか
キューブタイプは内部が狭く作業しづらい上、省スペースに見えるが四角く巨大で実際は邪魔、といった点からあまり好きではありませんが、リビングPC向け辺りには人気らしいですね
ナショナルブランド派、ショップブランド派、自作派、そしてベアボーン派、と分けるにはベアボーンユーザーは少ない様な気もしますが、クレバリーもわざわざ売れない商品をカテゴリで分けて販売しないでしょうから、ある程度は売れているのでしょうか。しかし現状、どこのPC雑誌を読んでも「ベアボーンといえばShuttle」な風潮ですから、群雄割拠というには程遠いですね。Shuttleは何かポリシーでもあってベアボーンをラインナップしているのだろうか、と考えるほどです
PC全体の省電力化や高性能化、ChromeOSに代表されるOSの軽量化などが進んでも、ベアボーン業界には何ら恩恵をもたらさない気がしますけれど、何か起爆剤があれば人気が出るジャンルなのでしょうかね?