梅雨から夏へ、放熱しても室温が高く湿気が多くなると必須になるのはケース内の掃除です。最近は特にデザイン重視で、エアフロー考えてるのか?と思うPCケースが多く見られます。
ケースの開け方が分からないならば、マニュアルを見たりメーカーへ相談しましょう。Pentium以上のCPUならば、まず間違い無く空冷なので、ファンが回りホコリを吸い取っているはずです。CPUだけでは無くグラボ(ビデオカード)搭載ならば、そのファンも気になります。
購入数ヶ月や半年程度ならば、エアダスターなどで軽く吹けば結構ですが、部屋で喫煙をするならば、場合によっては分解するはめにもなります。
今回は、CPUをマザーボードから取り外した場合。
CPUファンを外して、裏側からエアーをかけてグリスを塗り直すというマニアックなメンテナンスを試みる時に必要となる、グリスの性能を見て行きます。
ご注意頂きたいことは2点。
パソコンを分解(CPU取り外し)したことの無い人は、高確率でCPUファンを元に戻す際に壊れます。軽い気持ちでCPUを外そうなどとは思わないこと。
CPUファンを外す、そして取り付ける。
ここが(デスクトップ)パソコンの分解で最も難しい箇所です。
普通のデスクトップの分解程度、慣れてしまえばどこも難しいことはありませんが、全体を見た時にCPUとファン、マザーの部分が最も物理的に壊し易く、故障の原因にもなります。
シリコーングリースの質はどう違うのか?
だいたい3種類に分かれるでしょうか。
私が実物を見たことがあるものはこれらです。
いきなりマイナーですが、銅です。
熱伝導が良さそうなイメージがありますが、実際に温度を測ったことが無いので分かりません。銅でなければ気が済まないマニア向けかも知れません。1度だけ見ましたが、銀との違いがよく判りませんでした。色が違うね、程度かと。
一般的に高性能と言えば、銀でしょうか。
価格も結構高く、普通の自作ユーザはこのタイプが多いと思います。酸化するなどマニアックな意見もあるかと思いますが、一応私のお勧めはこれです。初心者にも向いていますが、自作や改造には挑戦する気の無い本格的な初心者は、グリスの塗り直しなど考えない方が良いでしょう。
最後は白いグリス。
シリコングリスの元の色は無く透明なのですが、白はアルミナ粉という熱伝導を効率良くするものの色だと思います。銀や銅も同じく、粉として混ざっているのですが、私が修理に使用していたシリコングリスは、この白いものでした。
ちなみに、このチューブはそのまま絞ってCPUにぶっかけてはいけません。
時間の経過で油が分離し、入り口に溜まるため、一度容器などに出して攪拌(混ぜる)するか、チューブの中に針などを突っ込んでかき混ぜなければ危ないです。
後で動画にも出ますが、私はこの白いグリスを使っています。銀でも良いのですが、修理現場で何百回(千?)もやっていたので塗りやすいのです。
ここまでのまとめとしては、とりあえず銀がお勧めです。
分離しにくく、柔らかいので扱いが楽。
シリコングリスの性能はどこを見るのか?
グリスの役目は、CPUとヒートシンク(CPUファンの付いているフィンのある土台の金属)を密着させ、いかに熱を伝えるかということなので、熱伝導率を見ます。
ズバリ言うと、銀グリスのお勧めは今ならばこちらのAS-05です。
有名なのでドスパラやパソコン工房でも販売しており、約1500円程度。
Ainex | AS-05
http://www.ainex.jp/products/as-05.htm
上の画像には写っていませんが、スクロールすると詳細があります。
ここにある熱伝導率(W/m・K)を他のグリスと比較しましょう。
仕様 * 熱伝導率: 9.0W/m・K 標準グリスの約15倍!! ※弊社GS-01との比較です。 * 粒子の大きさ: 平均490nm * 瞬間最大許容温度: 180℃ * 通常許容温度: -50~130℃ * 内容量: 3.5g ※0.08mmの厚さで、約10cm角分ほど塗ることができます。 * 簡易説明書付属 ※取扱説明書はウェブよりダウンロードしてください。 * RoHS指令準拠 [詳細]
「9.0W/m・K」とあるので充分です。 何とPDFでマニュアルまでありました。AS-05はこちら。
シリコングリスの塗り方と薄さについて
薄ければ良いというものではなく、上のマニュアルにあった通り米粒くらい出せば良いというものでもありません。目安なので、目的はCPUとヒートシンクを薄く全体を密着させることです。
銀グリスで自作ユーザが多くやっている方法は、米粒程度を落として上からヒートシンクを載せる。そしてグリグリ回して伸ばす方法です。この方法で良いと思います。
但し、初めての塗り直しでこれを一発でやってはいけません。グリスをテストとして捨てる感覚で、一旦本当に全体が塗れているのか取り外して確認します。この時、ヒートシンクは一度マザーボードへ普通に固定します。その後に外すので手間と言えば手間ですが、その時間や作業を惜しんではいけません。折角の高価なグリスの性能が発揮できていないかも知れないためです。
一度外して満遍なく密着した跡があれば、拭き取ってもう一度同じように作業をします。これでとりあえずは塗り直しの完了です。
付けくわえると、最初に固定した後、取り外した時にはみ出ている部分を上手く拭き取り、再度(塗り直さずに)取り付けるという方法もありますが、拭き取りに少し技が要るためお勧めはしません。
これは銀でのお話。
私が以前上げた動画では、ヘラのような透明なプラスチックを使ってヒートシンク側に薄く塗っています。CPU全体ではなく、中央の銅部分にだけです。
これは銀ではなく、白い粘着力のあるグリスで、修理時はこれを使っていたので慣れてしまい、銀よりも温度を下げることができるのです。ちなみに熱伝導率は銀程高くは無く6~7W/(m・K)です。
これも完全に慣れなのですが、いかに薄く100%を密着させるかにかかっているので、私の場合はヘタに銀を使うよりも、どこの何か分からない中国語の書いてある白いものが合うのです。
使っているヘラは、BOXのCPUとファンが収まっているプラスチックをはさみで切って使っています。この弾力が無ければ塗れないので、普通のヘラを使っては無理なのです。
習うより慣れろ。やってみれば分かる、ということでした。
いずれも容量が1.5~3グラム程度と心細いと思われるかも知れませんが、1本で約20~30回は使えます。数えたことが無く、私がだいたい30回以上は使っていたと思います。
CPUの換装が出来れば、自作ユーザとしての第一歩という感じですが、本当にここさえできるようになれば、後は財布との相談や相性保証の有無を見る目です。更に上級者になると、秋葉でノーブランドの と続き、最終的には水冷に行ってしまうのかも知れません。
よく「自作をしたい」という人がおられますが、その目的が「安く済ませたい」ということならば、初心者はまずBTOを買いましょう。初めから自作はきついです。特に金銭と精神的に。
本当にパソコンが好きで、三度のメシより改造、誰よりも速いPCを組み立てる、という目的ならば、安めのCore2などをオーバークロック目的で始められると良いかも知れません。
壊れたマザーとCPUで練習をするなど考えられますが、そんなものを購入して修行する暇があるならば、正常動作するパーツで練習しましょう。緊張感が違います。
コメントする ※要ユーザ登録&ログイン