友人の職場のNASがぶっ壊れたと連絡。
自営業しているX氏の事務所のNASが見えなくなったらしく、NASのデータ復旧は無理だと伝えたものの、復旧を手作業すると4人体制でも1ヶ月は余裕で時間かかるとのこと。職種は士業とだけ。
PC関連に強い人も知識としてどうぞ。
NASとは何か?から状況をやや簡潔に報告
NASとはNetwork Attached Storageの略で、超簡単に言うと一般的にはLANのどこかに接続しておくネットワークドライブ。
一般家庭用とか中小企業向けかも知れない現物はこういう感じ。
source:LinkStation (LS-WXL/R1)のレビュー・評判と口コミ
この機種はHDD2本がぶち込まれた箱で、RAID1というモードにしておくと1本故障してももう1本のHDDが生きていれば同型HDDの新品おかわりするだけで再びミラーリングでリビルドする(中身全く同じ状態に戻してくれる)機器。
最近の何かに置き換えると、家の中にクラウドとかオンラインストレージがある感じで、スマホとかパソコンなどからアクセスできる共有したりバックアップしたり用のネットワークドライブがNASというもの的な解釈でOK。
RAID1はどう安全か?
RAIDは0とか1以外に5とか0+1など変態仕様な構成もあり、詳しくはおググりなされWikipediaのクソわかりにくい解説に譲るとして、今回の故障したNASはRAID1なので割と安全な組み方。
RAID1はHDDが1本故障しても大丈夫と書いた通り、極端にいえば電源入れた状態のNASからHDD1本ぶっこ抜いてももう1台は無事なため、エラー表示やピーピー言い始めたりLEDが赤くなるなど騒ぐものの抜いた方は予備なのでセーフ。
そう思っていた時期が私にもありましたとして。
X氏の認識が甘かった
通常、例として私もNASを利用しておりバックアップ用として使うものの、X氏の事務所ではバックアップ用ではなく共有用、サーバ状態で使われていた。
私の場合はローカルPCにデータを保存し、そのバックアップをNAS(RAID1)へ自動でコピーしていたので自宅丸ごと燃えでもしない限りはセーフ。ローカルまたはNASにある計3台の記録装置のどれか1つが無事なら良いため。
ところがX氏の使い方は、NASに直接士業専用ソフトを入れており、複数の関係者がそこから起動しそこへデータを保存していたという。
X氏の認識は「HDD2台の内1つ故障してももう1台が無事ならセーフ」と安心していたそうな。
私に言わせると「HDDが2台とも無事でもNASのコントローラが故障したならHDDにアクセスできなくなるかも」であり、まさにそれが起こってしまっておりました。
具体的な状況
まずNASが見えない。要するにHDDどうこうではなくNAS本体そのものの故障と思われ、パソコンでいうならばマザーボードの故障が疑われる感じ。
WindowsやMacならばHDD取り外して別のWindowsなどOS合わせて接続すれば中身見えるだろうけれども、NASもOSを使用しており多くはLinux、そのLinuxをオリジナルOSになるほどカスタマイズしたものであり、Windows PCに接続しても中身さえ見えない。
ヤフオクで同型NASの中古を入手
Windows PCに接続しても手も足も出ない。ならばとガワ(NASのケースとか基板部分)を入手するべく中古の同型機器を落札。
違いは手元のNASはHDL2-AA4、ヤフオクの方は末尾の4が2な合計2TBの1TBx2本のやつ。末尾4は2TBx2。
HDL2-AAシリーズ | 個人向けNAS | IODATA アイ・オー・データ機器
ガワは同じ可能性が高く、HDD入れ替えるだけで動くかも知れないというか正常動作する可能性は高いとアドバイスしたものの、結果は故障がガワではなかった。
ソフトウェアRAIDのシステム部分が逝ってしまったようで、ガワもHDDも何も故障していないけれど、認識させるシステムが狂ってしまったらしき不具合。
初めて見たので「ガワだけ交換してみれば?」と安易に考えた自分にムカついてムキになってしまった。
発想の転換で壊れたNASを何とか正常化
NASの中身がこれ。パーティション6分割のディスク0のやつ。
上の画像のディスク0はヤフオクの容量少ない版。A・Bとしましょう。
- 認識せず(A):HDL2-AA4(2TBx2=RAID1=2TB)
- ヤフオク(B):HDL2-AA2(1TBx2=RAID1=1TB)<こちら
違いは右端のパーティションが1TBか2TBかで、その左の5区画の容量は全く同じ。これでBが役に立った。左5区の容量が同じということは、その5パーティションがNASのシステムにあたるLinuxのはずだと推測。
ということはどうすれば良いかは、一旦AのNASをイメージ化して無理やりBのHDDの6区画めへAの6をぶち込めば容量少なくなるけれどAのデータが読めるはず。
ここで使い慣れたEaseUS Todo Backupでバックアップしたいところ、最近挙動不審すぎてアンインストールしてしまったので新たにフリーソフトな海外製品を使用することに。これ評判良い。
Macrium Software | Macrium Reflect Free
https://www.macrium.com/reflectfree
水色のボタン、Home Useは個人ならタダで使わせてくれるバージョン。
ダウンロードするとインストーラが起動。
100MBくらいあるので光回線推奨。
Homeを選ぶと上のシリアル欄はグレーアウトし入力不要。
メールアドレスとそこへ届いたレジストレーションコードをコピペ。
デスクトップにショートカットを作るだけとした。
オープンセサミ。
1-5区はシステムと思われる、AもBも全く同じパーティション。
違いは6番で、ここだけはなぜか全容量使用中と認識されている未フォーマットと認識されている容量違いで、上の画像は1.81TBにて2TBなAのNASのHDD。
とりあえず全部選択。
Folderはイメージの保存先。後で消すのでFドライブにNASIOフォルダを作りそこへイメージを作ることにした。
次にスケジュール設定。
定期的なバックアップをしたいわけではないため、全部チェックを外してNextボタンを押して次へ。
準備完了。
一応細かく見たものの、特に確認する箇所はなかった。
発射寸前。
ログとか要らないので下のSave~のチェックを外しOKをポチる。
残り3時間とか出ており見ていても意味ないのでブログの編集作業へ。
ブログを書きつつ放置しつつ時々拝見。
そしてこれである。
4時間40分でございます。2TB全量なら速い方か。
2TBのA(元のディスク)のデータ保管庫と思われる6区のみを選択し、正常なB(ヤフオク)HDDへコピー。
しようと思いきやNG。2TBから1TBは無理とか当たり前。
ならば逆にしてみようと思い付き、データ保管の6番エリアではなく、システムと思われる1-5区画をA(元HDD)へコピーしてみることに。
B(ヤフオク)6番は選択せず1-5だけを指定しA(元)へコピー。6が消される可能性はこの時点ではあるとも思いつつな博打。
ここまで試行錯誤で意地になっていたので鳥肌立った。
このスクショをLINEで送信しミッションコンプリートを報告。
これでもダメなら最終的にLinux(Ubuntuとか)入れたパソコンを即席配備して意地でも中身取り出してやろうと思っておりました。
割と端折ったので意味不明な箇所多かったなら失礼。激疲れた。士業のデータどうにかしてとかメンタルすり減る。
RAIDのミラーリングは不死身ではない
盲点だと気付かされたこと。
- 私・・・NASはバックアップ用
- X・・・NAS直アクセスで業務(RAID1なら大丈夫)
X氏は努力家タイプな頭良い人、私に言わせると勉強できるバカが更に勉強してパソコンやネットワークにも詳しくなったつもりの人。と書いても怒る人ではないので書く。
自力でNAS導入できる時点で普通ではない、割とPCネットワーク変態とも言えるものの、専門外のかじった知識でヤケドしてしまった感じあるよねと私もなぜか反省した。
「RAID1なら大丈夫」と過去記事で何度か書いた気がする、それはバックアップ用としてならばの話で、まさか本業の専門的なソフトをそこで動かしてミラーリングだから安心と思われるとは思わなかった。
上で書いた通り、HDDが無事でもインターフェイス、コントローラ部分が壊れると同じ物を調達しなければ、いくら詳しくとも何ともならない。
今回はソフトウェアRAIDのコントローラなのだろうか、そこに不具合があったと思われ、そうなるとこうするしかないという、私も勉強になった。
NASは簡易サーバのようなものながら、そこでソフトウェアを動かして安心するのは誤り。やるならそのNASからのバックアップをしておくべき。
というわけで、X氏のNAS(A)は何とか復旧し、NAS(B、ヤフオク)はAのバックアップ用NASとして今後の活躍に期待はしたくないものの、同機種なNAS2台あれば、どちらもRAID1ならば、かなり万全といえるかも知れませんな。
あくまでRAIDはHDDが壊れたときの保険であって他の障害には逆に弱いですから、ミッションクリティカルな用途でNASを使うならRAID1(5,10)プラス外付けHDDで世代管理までが必須だと思っています。
今ならかんたんにVPNも組めますから事業所が複数にあるなら遠隔地バックアップをしても良いですね。
>遠隔地バックアップ
最近、災害とか放火とか、色々ありましたからね。
落雷で、まとめて昇天と言う事もありますから重要なデータはそういう方向なんでしょうね。
>NAS
個人の一般的なPCユーザはあまり利用していないでしょうが、重要データを扱う立場にある方はよく目にするでしょうね。企業でも共有ネットワークサーバのバックアップにNASを利用することはありますし。
NASのストレージを作業エリアとして使おうと思ったことは無いです。容量もあまり多く無い場合が多いですし、読み書きスピードが早い訳でもありませんから、単純なバックアップ先としてしか認識していませんでした。
>RAID1
コントローラが壊れたら終わりですから、私的にはソフトウェアを利用した同期、クローンの方が安心できます。
>4時間40分でございます。2TB全量なら速い方か。
時速420GB。分速7GB。秒速120MB。確かに速い方ですね。
> Windows PCに接続しても中身さえ見えない。
データの入っているパーティションのファイルシステムの仕様が公開されているなら、Windowsでも読み書き用のドライバを作れるはずなのですが、
Ext2Fsd - Wikipediaの英語版
http://en.wikipedia.org/wiki/Ext2Fsd
なのに、このプロジェクトもお亡くなりになっているそうで。
逆にLinux PCからWindowsのディスクを扱おうとすると、WindowsのNTFSは仕様公開に制限があるので、読み書き用のドライバは長いこと「experimental(試作段階)」のはず。
> NASもOSを使用しており多くはLinux、そのLinuxをオリジナルOSになるほどカスタマイズしたものであり、
データの入っているパーティションのファイルシステムまでオリジナルだったら、ノーマルLinuxでは厳しいことになりますが、
設定画面の表示項目説明
http://buffalo.jp/download/manual/html/lswxl/gamenkaisetu05.html
によると、Linuxで割と一般的なXFSでしか内蔵ディスクをフォーマットできないなんて、工場出荷時からXFSに決め打ちしていそうです。
> これでもダメなら最終的にLinux(Ubuntuとか)入れたパソコンを即席配備して意地でも中身取り出してやろうと思っておりました。
周知でしょうが念のため、仮想マシンを使うことで実機の用意をケチれます。
Windows起動したままでXFSを読むぞ。おーっ。 - みんな忘れてしまうんだ
http://choni.blog25.fc2.com/blog-entry-62.html