PC修理の事業を始めるには。
というお題を勝手に設定。個人で修理業者はやった事が無いけれど、メーカーの修理業務はしていたので違いは想像するだけでも何となく判るはずと思うので、私が考える修理業の厳しさを提示。
先に2ch降臨の自称業者のスレより。
「パソコン修理屋だけどなんか質問ある?」より
元ネタ。
パソコン修理屋だけどなんか質問ある? : PCパーツまとめ
http://blog.livedoor.jp/bluejay01-review/archives/51312217.html
修理屋を営む1(以下、1)による質疑応答。
元々そういうボッタクリ会社に勤めてて、嫌気がさして独立したから安さはある程度自信あるよ かといって安すぎても食ってけないしいまだに料金の設定は今も悩みの種です
修理費用はピンキリでしょうな。
PCメーカーでは無くとも規模のデカい企業になるほどパーツ代以外の作業料が高額化してしまうはず。
個人の良いところはオーナーの言い値であり、業者ではないけれど私は友人のパソコンをタダとか酒1本、焼肉おごりなどでいじる事がございます。これで食っているわけでは無いので損得では無し。
こういう会社の食い物にされてる人達を救いたいわ
それはご立派、但し商売の素質としては疑問。
私が修理業者をやらない詳しい理由は後で書くとして、多分無理だろうと思う事は自分で修理費用を設定出来ない。NECなど大手よりは安くは出来るけれど、BTOメーカーほど修理代を安くすると相当な件数を稼がねばならないはず。
1のような無償ボランティアの延長感覚では自営業は厳しい。
4:ディスクしようりょうが100%なって重くなるんだけどどうすればいい
>>4 メモリ増やせ
ちょっと意味が解らない。あえて突っ込まないレベルで。
コンデンサ膨張とかチップコンデンサ割れとか 目視でわかる故障なら半田修理できるよ
私はハンダ修理以前に元のコンデンサを新品にする際、どれに交換するのか判らない。
ぶっちゃけ新規参入はもう厳しい業界だとは思ってる どうにか他店と差別化を図って生き残りたい
そういう問題では無いという理由は当記事最後辺りで。
部品の仕入れを差し引いた純利益? 0円のもあるし多くても30,000くらいかな
あんま高いとお客さん逃げちゃうから、少しでも安くして固定のお客さんを増やしていきたいって思ってる
0円はおかしい。プロの業者が診断のみでもしようものなら、1円でも貰わなければビジネスになっていない。
例として、電源入らないからと行ってみるとコンセントからプラグが抜けており挿して帰ったなら、技術的には0円レベルだけれども、行って挿して帰るまで30分要したとすると時給を最低2千円として1千円は貰わねば合わない。
本格的にこれで食ってくぞー!って始めるにはちょっと遅いと思う。俺が今実感してるから。
そういう問題でも無いと思う。
個人のパソコン修理業者に必要な覚悟や条件
成功例がこちら。
パソコン救急バスターズ
http://www.pc99.co.jp/
昔々の深夜番組、マネーの虎という今でいうクラウドファンディングなKickstarterやMakuakeのテレビ版、但し出資者は企業の社長3人くらいで事業が成功すると説得出来たなら出資して貰えるシステム。
2002年の開業なのでもはや老舗。現在は支店やフランチャイズが数軒出来ているご様子。そこまで手広くはやらないとしても、良くぞ成功した、しかも15年も継続とは凄いと言えましょう。
しかし他の人には厳しいと思う理由を5種類。
1.修理交換可能なパーツが限定される
「パソコンを修理した(できる)」と聞けば、出来ない人からは何でも修理出来てしまうと思われるのか、ノートPCの液晶が割れたとかタブレットの電源が入らない、ニンテンドーDS直してなど私へ話が来た経験がございます。
ノートPCならばメーカーでは無い人間が入手可能なパーツはベアボーン(ノート本隊)部分以外のストレージ、無線LANカード、ハンダ付けでは無いならCPUとメモリくらい。
液晶パネルとかマザーボードを単品で仕入れるは困難であり、メーカーへ売ってくれと言えどもまず無理。デスクトップも似たようなもので、いくらマザーボードが市販品と同じだとしても新品は2~3年で入手困難に。
どうするかは中古の同型ノートをヤフオクなどで落札して2個1に挑戦するか、テスターなどを駆使して1のように部品交換するか。
それで修理完了と言えるのか?マザーボードのコンデンサを交換し、作業料1~2万円貰った数カ月後に別の箇所が故障して原因不明ならどうするのか。6ヶ月保証して8ヶ月で故障して文句言われないと思うのか。
要するに自分が手を付けた修理完了PCが金貰った後、比較的短期間で別の箇所が故障した場合にどうするのかが難しすぎましょう。コンデンサ交換後にVRMが焼けたとか、やはり中古マザーを探して2個1にするのか、丸ごと中古品へ交換するのか。
ちなみにデスクトップPC用の古いマザーボードは新品より高く出品されボッタクられる事もあり、そんなマザーで新品並の費用を貰って良いのか疑問。
2.自作ユーザ程度の知識と技術で商売?
出来ない事も無いけれど、金を出さなくとも実費で修理交換してしまう私のような人間は探せば1人くらいは居るだろうし、自作PC好きなお節介者も結構居るはず。
そういう市場で利益を得ようとする時点で商売としてズレていると思う。
しかしバスターズは成功、継続している点が矛盾する。その理由は別の要因が関係していると思われ、記事最後辺りで。
3.経年に比例した無料サポート増加問題
私が最も嫌う問題がこれで、業者では無いので金は取らない、これも1つの理由として、大問題が金貰うと後々サポートセンターにされてしまい鬱陶しくなると思われる為。
考えられる事例を仮想すると、HDDが故障しデータ退避し交換してリカバリ後にデータを戻して修理完了。私が業者ならHDD代以外に最低でも2万円は欲しい。
その数日後、リカバリしているのだから設定は工場出荷になっているので使い勝手が変わり、何となく以前より使いにくくなったと言われたなら。ここで別途診断料として3千円、出張なら5千円、1時間あたり4千円、と言える人間なら向いていると思う。
しかし、「リカバリが原因だから、2万円~ももらったのだから、そのくらいは無料で」などと考えてしまうなら、タダか有料かの線引きが出来ておらず、商売として続けるに比例して面倒事が増えて自滅するでしょう。
知識の無い客側に言わせると、2万円~も払ったのにまだ最低でも7~9千円も取るのか?というクレームを言われても不自然では無いかと。
メーカーならば派遣や社員が冷たく突き放せる、そういう決まりなので、で終わるところ、個人の趣味の派生レベルでは全国区で戦えない地域密着型になるだろうから、商売以外に人間関係としても突き放すのは難しいはず。
規模が小さければ小さいほど、田舎でやればやるほどクチコミの効果は濃くなり、長期間良い評判を得続けたとしても、1回のトラブルで一気に悪評が広まり詰むやも知れず。
また、田舎だからとローカル、オフラインのみでクチコミが広まるとは限らない。地域限定のオンライン掲示板で匿名が、「あの業者ひどいボッタクリ」と書かれたらやはり詰む。同業者から嫌がらせがてらやられても詰む。
4.競合との差別化が可能な地域なのか?
修理業者として食っているのは個人のみでは無し。
昨年の夏に悪い意味で知名度が上がったと思われるPCデポ以外、パソコン工房の実店舗でも他社製品の修理は取り扱っております。しかも実際に問い合わせた際はDELLのノートのマザーボードでも取り寄せ可能と思われる所が凄い。
エア見積もりの問い合わせまでジャンプする仕様でリンク。
「あなたの街のパソコン修理屋さん」を勝手に評価 - BTOパソコン.jp
修理業者は修理のプロであると同時に接客のプロでもあるべきで、パソコン工房の返信は手本のような返し方。こんな業者と商売競合して勝てる自信があるだろうか。私は無い、むしろパソコン工房で雇ってもらう方が手っ取り早い。
ではどうすれば良いかといえば、2chの1が書いていた差別化だけれども、やるとするなら地域密着、すると3番の問題が発生してしまいましょう。
5.経営するには経理と営業力が問われる
4番までは地元のPC修理業者ならでは。この5番は最も重要と感じる、修理屋以外に何の商売でも共通する経営センスの有無やどれほど勉強しているか、そして努力を継続出来るか。
営業力は初期のバスターズが良い見本で、バスターズロゴ入りで塗装されたミニバンへスピーカーを搭載し、さいたま市内の住宅街でガンガン宣伝したとテレビで見た。
また、車はもちろん出資金で建物も看板などを最初から取り付けており、昼夜問わず訪問サービス。おそらくチラシの投函や地元紙への広告も出していると予想可能。そこまで出来るか?
経理については、私は青色申告に詳しくないのでやや適当になるけれど、商売をするという事は納税もするという事。おそらく青色申告ならば国税(所得税)、都道府県、市区町村、これら3大税金で利益の2~3割持って行かれるはず。白は論外なので省略。
試算、自分の取り分が月最低26万円欲しいとしましょうか。
営業利益を高めに見て70%と設定し、年商700万円、青色の控除が合計で100万くらいならば420万円程度の黒字決算。
そこから3大税金合計で25%持って行かれるとすると手元に残る現金は315万円くらいとなり、ひと月あたり約26万円という皮算用。値打ちこいて株式法人にしたなら税金で5割くらい溶ける。
売上700万円は月あたり58万円。休み無しで働いて1日あたり2万円売上なければならないので30分かけて、「コンセントからプラグ抜けていただけなのでタダでいいです」とか言っている場合では無い事が判りましょう。
配偶者や家族が年金暮らしやニートや専業主婦などで手伝ってくれる、青色申告専従者として黒字削れる、などの特典でも無ければ経営は困難かと。
また、2chの1のように「店」を借りているなら家賃も必要。テナントならば敷金12~24ヶ月はザラ。最低限の水道光熱費、設備投資、消耗品や雑費など試算できてやるつもりだろうか。
もう一度、これはPC修理屋に限る話ではございません。
ラーメン屋なら仕入原価や光熱費、人件費で利益率はもっと低いだろうし、この程度はブログでも書きながらメモがてら作ってしまい、あっさりあきらめるくらいの算段が出来なければ経営者になるのは難しいと思う。
成功例は埼玉のパソコン救急バスターズだが・・・
パソコン修理屋として起業に成功し、15年も継続出来ていると思えば例外レベルに素晴らしい経営力、と思ったものの、ウェブページを見ると様子がおかしい。
トップページはデータ復旧を前面へ押し出すかのごときな上、更新が2008年、9年くらい前で止まっております。
「ローカルビジネスメインだろうからウェブの重要度は低いのでは?」と思うならそうでも無いはず。
私がさいたま市近隣在住でパソコン詳しく無く、PC不調時バスターズへ依頼してみようかと思ったなら、出張や修理費用の目安を知りたいのでまず検索するかと。子どもも高齢者もスマホを持っている時代、まずは検索。
そのウェブが放置、更新されていないのでは?と思う箇所は修理費用も。
リカバリやアカウント設定までは良いとしましょう。「~」が付いている辺りは気になるけれど、最低限このくらいは取ると思う。
しかし現役で使えそうな数年内のノートPCがインバーターとか搭載しているとは思えず、何より液晶画面の修理費用が高額すぎる。これでは新たにノート購入した方が確実に賢いといえる設定。
2008年頃から更新していないと思えば納得出来る状態であり、修理業では無くデータ復旧業者として食って行っているのでは無かろうか。
2chの1のレスを再び。
ぶっちゃけ新規参入はもう厳しい業界だとは思ってる どうにか他店と差別化を図って生き残りたい
新規参入が厳しいのでは無く、パソコン修理という事業が既に成り立っていないと考えるべきで、他店との差別化以前の問題かと。
新品のパソコン自体が売れなくなって来ている上に単価も下がり、バスターズが出来た頃は安くても12万円はしていたCeleron搭載14型メモリ256MBなノートが今はCore i3搭載メモリ4GBで半値程度。
パソコンを修理するのは自作PCユーザが趣味や節約や変態だからやっているか、メーカーが保守業務としてやるものであり、個人が事業としてやるものでは無くなったと感じており、競合に対する新規参入が遅いというより、業界として既に終わっている印象。
PC修理の事業を始めるには
冒頭で書いたこれに答えておらず、無理無理ばかりで何の提案無しではアホな新入社員と変わらないので、どうしてもやりたいならこういうのはいかがだろう。
- PC故障->新PC購入相談セットでHDD抜いて外付化
- Wi-Fi置きたい->ISPの代理店になりLANの設定までやる
- バックアップしたいー>クラウドストレージ設定で手数料をもらう
ポイントは、パソコン直さない、パソコン以外も快適に使えるように、そしてデータ復旧業者が破産する勢いでバックアップを手伝いまくる。
1と2は実費抜きで2万円前後。今は知らないけれど、光回線は1契約3~5万円のマージンがあると聞いた美味い商売。HDD外付けはUSB3.0以降ならばキットが3千円くらいなのでHDD外して突っ込み作業料1.5万円くらいが妥当では。
3はあえてローカルにはせず、DropboxやOneDriveの設定をして差し上げるだけでまず7千円、容量足りなくなる都度7千円の雪だるま方式でじわじわ吸い取る。
いずれもパソコンの修理とは言えず街のPCサポートであり、今後は修理するよりサポートで金を吸い取るしか無いと思う。
但し、事業としては難しい。毎日2万円を365日確実にかせぐ自信があるなら、手取り26万円にはなるかも知れないレベルであり、会社員が休日や夜間を潰した予約制の副業、小遣い稼ぎでやるレベルかと。
PC修理に関する公的な資格がありませんから、PC修理の「プロ」と「アマ」の線引きは難しいですね。とりあえず赤字経営を半年以上も続けているなら、趣味の延長線上と言われても仕方なし。
>自分で修理費用を設定出来ない
ものすごく大雑把に決めるなら
3,000円 + 仕入れ値×1.5 + 修理時間(30分単位)×2,000円
くらいですかね。最初の3,000円は診断料。送料や出張料は別途。仕入れ値が6,000円、修理時間が70分なら
3,000円 + 6,000円×1.5 + 1.5×2,000円=15,000円
くらいだと安い。いや安すぎか。仕入れ値ゼロだったら、1日の売上が3万円を切るかもしれませんし。最低でも月額100万円くらいの売上は欲しい。
>こういう会社の食い物にされてる人達を救いたいわ
だったらPCパーツを作るメーカに就職して、故障率を下げれば良いのでは。もしくは「こういう使い方はPCの寿命を縮める」という注意喚起のサイトを作り、1日のアクセス数100万超えを目指すとか。もしくはPCのパーツ調達から修理までの指南書を作り、1冊1,000円くらいで「修理業者に頼らないPC修理の極意」として委託販売するとか。情報商材として売るのも可。
自分はひとりしか居ないのですから、救える数には限りがあります。金を稼ぐことを第一目標としないなら、なるべく金を使わない、効率の良い方法を選択するべきかと。
>部品の仕入れを差し引いた純利益?
それは純利益ではなく粗利と呼びます。
>パソコン救急バスターズ
初耳な会社。ロゴの「バスターズ」で「ー」をドライバーで表現するセンスは面白いと思います。CMも流したそうで、検索したら確かに。
YouTube - パソコン修理・データ復元はパソコン救急バスターズへ
https://www.youtube.com/watch?v=KPZXZwXfrag
どうでも良いといえばどうでも良いのですけれど、前の通りだかを映した動画を900本以上も上げるとは。なぜかライブ映像も上げていますし。意図が不明。
YouTube - パソコン救急バスターズ データ復元センター(投稿動画一覧)
https://www.youtube.com/channel/UCTXGZ2oH5GrI6QJ5QcDFyJA/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0
YouTube - パソコン救急バスターズ データ復元センター Live Stream
https://www.youtube.com/watch?v=vFI47OrwTvU
>PC修理の事業を始めるには
では私は
1.死亡時に契約者のPC内データを遠隔で完全消去するサービスを提供
2.中身を見られると都合が悪い相手にPCを見られそうな時、遠隔で内容を瞬時に暗号化してくれるサービスを提供(ランサムウェアに似たり)。PCを盗まれた時にも是非。
※警察からの要望があれば即座に復号化
辺りでも提案しましょうか。修理関係ないだろ、とは思いますが。
>3,000円 + 仕入れ値×1.5 + 修理時間(30分単位)×2,000円
最初の3千円は良いとして、原価バレてしまう現状で仕入れ値x1.5は難しいかと。となると結局は時給換算だけれども、慣れた人がストレージ1個5分で交換していくら、と、ネジなめて50分要する素人の方が高給取るのはおかしいわけで。私は昔からこれが引っかかる。
仕事早いなら損するのか。作業時間が長いからと延長料金のごとくな、そこまで信頼されるつもりか?という。
>修理関係ないだろ
あると思います。
修理に直接関係無いけれど、サポートして成り立てるなら大アリかと。