SSDで最近良く使われると思う転送速度のIOPSという単位。
HDDの接続方式やベンチマークソフトなどでMB/s表示に慣れている人が多いと思われ、私も正直IOPSと言われてもピンと来ず。何となく1秒間の入出力回数と覚えていたけれど、SSDの性能を知る為に必要な気がするので調べて参りました。
可能な限りPC初心者向けに解説。
crucialのSSD新製品は性能よりコストパフォーマンス重視
例として使うSSDを2012年8月に発売のcrucialのV4シリーズで。
[新製品]Crucial CT256V4SSD2 (2012年8月4日)
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20120804/ni_cv4256.html
2012年8月現在、SSDの最安は120~128GBが約7~9千円。メーカーにこだわりが無ければ安く、インテルでも廉価な330シリーズなら9千円を切れているくらい。
上の記事より、crucialの新製品SSDを容量別でおおよその最安を書き出すと
- 32GB・・3,300円(CT032V4SSD2)
- 64GB・・5,300円(CT064V4SSD2)
- 128GB・・7,500円(CT128V4SSD2)
- 256GB・・14,000円(CT256V4SSD2)
発売直後からこの価格という事は、数ヶ月後には更に値下がり。
全体的に現行のSSDの最安と同じかそれ以下。特に256GBは15千円を切っており、同容量では最安クラス。
私がこれの発売と価格に気付いたのはツクモの特価品フィード。
上4つがV4シリーズで、AKIBA PC Watchの現地調査価格とほぼ同じ。
これだけならSSD安くなったねで終わるものの、その下にプレクスターの新製品が載っており価格が高め。先月末から旧製品の256GBが約16千円で販売されニュースになっていたメーカー。
SSD全体では無くV4シリーズが安いだけと気付き、ツクモの販売ページより32GBの性能を見ると
- 容量:32GB
- インターフェース:SATA 3Gb/s
- 最大読み込み速度:200MB/s
- 最大書き込み速度:60MB/s
接続はSATA2なので速度は1ランク下。なぜ今更SATA2かと疑問に思うと、その下の転送速度がかなり遅め。書込60MB/sはHDDに近いスピード。
低容量SSDは速度が遅くなるものとしても、128GBでも読み書き230MB/s、175MB/sと今時の他のSSDと比較し遅め。
但し、これらはシーケンシャル(連続)読み書きのメーカー公称最大値。HDDと比較した際のSSDの利点はランダムアクセス。
このランダムの単位にIOPSが使われるので何の事か次へ。
crucialのV4シリーズでIOPSをMB/sに変換する計算を一覧
検索でメーカーのページを探すとV4シリーズの仕様が掲載。
source:CT128V4SSD2 - 128GB, 2.5-inch Solid State Drive , from Crucial.com
リンク先は128GBなものの、Product~に全種載っておりました。
見づらいので一部省略しエクセルで書き直した一覧が以下。
項目を上から日本語にすると
- Model Number・・型番
- Capacity・・容量
- Sequential Read(128k~)・・連続読込の転送速度(128KB単位)
- Sequential Write(128k~)・・連続書込の転送速度(128KB単位)
- Random Read(4k~)・・不規則な読込の転送速度(4KB単位)
- Random Write(4k~)・・不規則な書込の転送速度(4KB単位)
- Interface・・接続方式と最大転送速度(理論値)
- From Factor・・物理的なサイズ ※9.5mmは厚さ
日本でのストレージのベンチマークで良く使われるCDM(CrystalDiskMark)とはやや違っており、最大の違いは全てMB/s(1秒あたりのMB単位の転送速度)では無く、ランダムがIOPSになっている所。
このIOPSが何かWikipediaに聞いてみようにも日本語ページが無し。しかし英語でも計算式の意味は判りましょう。
IOPS*TransferSizeInBytes=BytesPerSec
一部を日本語にすると
- IOPS x 転送サイズ(バイト)=バイト/秒
IOPSは、Input/Output Operations Per Second(1秒あたりの入出力回数)なので、それ×サイズが転送速度。
今回のSSDの仕様には、IOPS単位はランダムアクセスの「4KB」なので、1万IOPSを例に計算すると
- 1万IOPS x 4KB = 4万KB/s(≠40MB/秒)
MBに直す際に面倒なので千で割っておりますが、おおよそで変換するならIPOSの値に4掛けて千で割ればMB/sへ。
一覧の数値を全てMB/秒に直した表が以下。
私が1年半前に購入したインテルの80GB SSD(X25-mのOEM品)のCDMベンチマーク結果が以下。
このSSDも性能は低めな方なので、crucialのV4シリーズがいかに性能が低めか判りましょう。
ちなみにcrucialの方はメーカー公称の最大値、要するに自称なのでそこまで速度が出るわけは無し。私のインテルSSDは実測なので、同じようにCDMで計測するとV4シリーズの数値が落ちる事は間違い無し。
なお、IOPSは1秒間のI/O回数なので、これが4KBでは無く6KBなどサイズにより 掛け算は変わるのでご注意有れ。サイズが書かれていない場合は計算不能。
cricialのV4シリーズはSSD相場値下げの切り込みか(まとめ)
まだ発売直後なので価格が最高値と思われ、正直この性能で現行のSSDより微妙に安い程度なら購入の選択肢には入らないでしょう。
必要と思われる属性は、RAIDで2~4本繋いでしてしまうような速度マニアやベンチマーク変態用。大容量なのに安いが特長なので、RAID0で256GBx2本をやると速度が上がり3万円以内で512GBが可能とか。512GB単体はまだ3万円を余裕で切れておらず。
一般ユーザや私のようにRAID嫌いなら、V4シリーズはスルーが正解でしょう。これに釣られて他の性能高めな普通のSSDが安くなって欲しい所。
そういう意味ではV4シリーズの登場価格はGJ。今後、更に他の大容量SSDの値下がりに期待しましょうか。
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