CPUの性能を手動で変更する方法。
通常はオーバークロック(以下、OC)で性能を上げる遊びが主流のところ、逆に性能を下げてみたいと思いやってみた。しかし、該当のCPUはXeonというやや特殊な物で一筋縄では行かないはず。
PC変態以外にも意味が解るよう解説。
※当記事と明日上げる後編は夏頃(2015年8月)に書いたものなので情報が古いなら脳内変換を。
CPUの性能を変更する方法とXeonについて
CPUの性能を上げるOCが一般的。
動作クロックの周波数を定格の最高を上回る周波数にすること。(中略)消費電力や発熱の増加、信頼性・安定性の低下のリスクがあるが、それでもより高い処理能力を得るために行われる。
source:オーバークロック - Wikipedia
例としてi7-4790K、以下の太字部分。
- Core i7-4790K(4.0-4.4GHz、4コア/HT、8MB)
OCすると、こんな感じに。
- Core i7-4790K(4.7GHz、4コア/HT、8MB)
周波数を上げるとどうなるかはWikipediaに書かれている通り。実際の画像がASCIIに載っているので拝借。
source:ASCII.jp:Devil's Canyonこと「Core i7-4790K」の性能 (2/4)
左下のClocksの枠を御覧有れ。
- 4698.90MHz・・・約4.7GHz
- x47.0(8-47)・・・47倍(8~47倍の可変)
- 99.98MHz・・・約100MHz
47倍の箇所は倍率、100MHzがベースクロック(BCLK)で、この場合は倍率の上限を45から47へと引き上げておられ、BCLKの方は変更無し。
今回の実験で使用するCPUはこちら。私は今これを書いているメインPCのCPUで、Xeon(ジーオン)というやや変わった物。ちなみにCore i5相当。
- Xeon E3-1226 v3(3.3-3.7GHz、4コア、8MB)
倍率は最大37のBCLK100MHzなので37倍の方をいじれば良さそうに見えるけれど、i7-4790KのようにKが付いていない為、倍率ロックされており変更は出来ない仕様。
ではどうするかと言えば、BCLKの方を100MHzから変更。単純計算で120MHzにすると4.44GHz、80MHzならば2.96GHzになるはず。
※BCLK変更でOCするならメモリのクロックや電圧も調整が必要な事も有り、良く解らず改造するのは危険なので、安易にやらぬよう御注意有れ
Xeonで倍率変更やTB無効にしてみる
先に言い訳しておくと、私は普通にパソコンを利用したり修理は出来るけれど、OC遊びをした事はございません。要するに良い子はマネしないでね状態かも知れないので、参考にするなら自己責任にて。
ちなみに、ここではOCでは無くUC(アンダークロック)しており、良く有るオーバークロック遊びではございません。
アイドル時&定格でのCPU温度
基本となる定格時のCPUの温度。
右の4つ出ているTemperature(℃)が各コアの温度で45~47度くらい。室温は25度、湿度は関係無いと思うけれど60%くらい。
「アイドル時にしては温度が高くないか?」と思ったなら、CPUクーラーのファンを付けていない為。何故付いていないかは私が取り外した為。どうして付けないかは付けたくなかった為。
詳しく知る必要は全く無いものの、知りたいならこちらの記事をどうぞ。
TB(ターボブースト)をオフにしてみる
さて、XeonというCPU。クロック以前にTB無効に出来るのか。
倍率が変更出来ない以前にこの時点で制限が有るのでは無かろうか、TB無効に出来るならば3.7GHzまで上がらず3.5GHzで止まるのでパソコンに優しいのでは無かろうか。そう思いオフにしてみた。
結果、可能。
しかし、Windowsを起動し温度を見ると結構高い。
温度計ソフトの起動から約33秒で61~63度。なぜこうなったかは、まとめで説明するとして、TBがオフに出来る事は判明。しないので関係無いけれど、一応。
BCLKを100から90MHzへ・・・落とせない
本題。試しにBCLKを100から90MHzへ変更。
したつもりが全然下がらない。下がったと思いセーブしてWindowsを起動後、CPU-Zで見るも全く変わらず100MHzのまんま。
まさかHaswell版Xeonはベースクロックさえ変更出来ないのか?
何故か変更出来てしまう倍率の方
ダメ元で倍率をいじってみた結果。
なぜか20倍へ変更出来てしまった件。上の画像はセーブして再起動した後なので、上部の表記が既に2000MHzへと変わっております。意味が解らない。
Windows起動後も本当にUC状態で動いているかはこちら。
CPU-Zの左下、何事も無かったかのように倍率はx20.0(8-20)となっており、クロックスピードは1988.82MHzの表示。
Haswell版Xeonの仕様なのか、ASRock先生のマザーボードが変態なのか、私の勘違いなのか。BCLK変更するより楽なので深く考えない事に。
最大2.0GHz制限で負荷を掛けた結果
アンダークロックの何が目的かは、CPU温度上昇の抑止。
Prime95という、意図的にCPU負荷を上げるソフトを5分くらい実行したところ、60度を突破せず目的は達成。ドラクエXやWARGAMEを起動しても60度超えない。
定格の時はPrime95を起動した直後に50度を突破し、数秒で60度を超えてしまったものが、上限を2GHzにする事でここまで温度を抑えられるとは思わなかった。
通常はアンダークロックの意味は無い?(まとめ)
私のPCのCPUの場合、クロックは定格3.3のTB最大3.7GHzなので、最大2.0GHzで抑える行為は有効と思われた人が多いかも知れない。
しかしこちらの画像、赤枠内を御覧有れ。いずれもアイドル時。
左は3.3-3.7GHzの範囲内となる約3.5GHzで動作しているものの、右は0.8GHzまで低下しておりましょう。そう、8-37倍の意味は最低8倍まで落ちる事を意味しているわけですな。
TB無効にするとクロックが固定されてしまうので、3.7GHまで上がらないけれど0.8GHzまでも下がらなくなってしまうので、TB無効時の温度が上昇したという。
インテル公式の仕様は定格3.3GHzとなっている割に何故800Mhzまで落ちるかは、マザーボード(BIOS)の設定による省電力機能が有効になっている為。
C.ステートと呼ばれる特に新しい機能では無く、このPCの場合はASRockのZ97 Extreme 6のBIOS設定に入っている、C1E、C7、EISTが有効になっているので、普通に使っているならば0.8~3.7GHzの可変となる仕様。要するに自動アンダークロック機能が効いております。
というわけで、発熱を抑える為にクロックの最大値を下げる行為は多少の意味は有るとしても、最近のパソコンならば省電力目当てでクロックを下げても意味は無い。
以上。
アンダークロックによりどのくらい性能が落ちたのか。高負荷を5分以上続けると温度変化はどうなるのかを後編にて報告予定。公開後はこの下にリンクが出ているはず。
>なぜか20倍へ変更出来てしまった
K付きの倍率ロック解除は、上限の解除だったはず。下限はK付きK無しに関係なくLFM(低周波数モード)では。というか私のCore i3-2100Tでさえ、アンダークロックならできますし。
2100Tで下限の1.60GHz(100MHz×16)にアンダークロック(BIOS画面)
http://ux.getuploader.com/shominA/download/28/BIOS_SET1.png
http://ux.getuploader.com/shominA/download/29/BIOS_SET2.png
1.60GHzの状態でAIDA64(環境表示ソフト)を起動しつつハイパーπ実行
http://ux.getuploader.com/shominA/download/31/Clock_Check.png
画像はやや重いため注意。ちなみにリモートで操作してスクリーンショットなんぞ面倒だったため、BIOS画面はスマホのカメラで撮影という暴挙に出たので画質はお察し。
ちなみにいつもは最大2.50GHzなCore i3-2100Tですが、1.60GHzで動かすと動作の緩慢さが目立ちます。特にPaint Shop(画像編集ソフト)の起動、修正の適用、ファイルの開閉などが鈍い鈍い。CPUがヘボくてもSSDさえあれば問題ない、という訳でも無いことを実感しました。
>最近のパソコンならば省電力目当てでクロックを下げても意味は無い。
よほどシフトチェンジが上手い方でないと、マニュアル車でオートマ車より燃費の良い走りを実現するのは難しいようなイメージ。
アンダークロックでどんな実利を得られるのか、今のところ思いつかず。
知らなかった。倍率ロック解除、~ロックフリー、~固定解除と表現される上、ドスパラかツクモだったかの作文で、「このCPUにKは付いていないけれど、ベースクロックは変更出来るのでOC可能」のような説明を見た為、Xeonもクロックなら変更出来るのだろうと思っておりました。
アンダークロックする利点は次回。高性能を維持する為に高性能なクーラーを積む逆の発想で、高性能では無いクーラーに合わせてCPU性能を落とすという、それは利点なのか?と問われても困るけれど。