MM総研が2012年の国内パソコン出荷概要を発表。
リリース記事によると、昨年の出荷台数は2010年に次ぐ規模。但し金額は前年比で14%近い下落となっておりパソコンの単価が更に下がった証拠。本文を参考にしつつ、昨年を振り返ったり未来予想して参ります。
今回も文字まみれ注意。
2012年のPC出荷台数は前年比で増加、額は減少
先にメーカー別シェアのグラフを拝借。
2012年国内パソコン出荷概要 - 株式会社 MM総研
http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120130214500
出典:(株) MM総研 [ 東京・港 ]
NECは一昨年までレノボと合流していなかったので富士通と僅差になっていたけれど、昨年からは引き離しております。
今回のNECレノボのシェアは26.2%との事で、MM総研が集計対象としているPCメーカー内では4台に1台がNECかレノボ製品という事に。
2010年はどうなっていたか、同じくMM総研より拝借。
2012年はレノボが右のNECと合体した以外、日本HPとデルが入れ替わっており、アップルが1ランク上がっております。またはエイサーが落ちた。
日本HPは過去数年で良い話をあまり聞かないけれど、それでも世界シェアはナンバー1。デルは業績が落ち続けているようで、来年までに株式を非公開化して再起を狙う予定となっております。
関係無いけれど、タブレットPCも含めると世界シェアではアップルがトップシェア。なぜそういう集計をするのか意味が分からないけれど、比較する事で話題作りやネタ切れ補完したいのでしょうな。
出荷台数と金額を引用。
- 出荷台数・・1521.2万台(前年比:2.7%増)
- 出荷金額・・1兆71億円(前年比:13.7%減)
1台あたりの単価を出す為に割り算をしてみると、平均66,204円。
やたら低く感じておりますが、私の記憶が確かならパソコンの平均単価は毎年5千~1万円ほど下がっており、13.7%という数値は例年通りとも言える減少率。逆算すると前年の1台あたりの平均単価は75千円くらいなので9千円ほど安くなった、と。
それにしても6万円台は安すぎると思うのなら、法人用のデスクトップが含まれている事も原因でしょう。
個人向けのデスクトップやノートなら5~10万円以上の物も多いと思うけれど、法人の大量導入にデスクトップが多いとするなら、モニタは別の勘定になる上、性能より価格重視になるので1台あたり10万円はまず無く5万円前後と推測。売る側も大量なら値引額が大きく、単価は下がって当然。
「個人系ルート」は、前年比3.9%減の742.5万台を出荷。
企業・官公庁向けのメーカー直販と販売店販売を合計した「法人系ルート」は前年比9.9%増の778.7万台
これをどう見るか。MM総研では以下のように言い切っております。
個人向けでは、急速に拡大が続くスマートフォンや、年後半に話題となった7インチタブレットとの競合が進んだことから台数が減少した。
本当にモバイル端末との競合が原因なら、3.9%減では済まないと思う。
法人向けでは年前半は厳しい経済環境が続いていたものの、WindowsXPからWindows7へのリプレースニーズが顕在化しており、買い替え需要が活性化してプラス成長となった。
JEITAの統計では出荷台数は11月から落ちており、ここまで触れられておりませんが、企業が1割近くも新PCを導入したのなら、Windows8が原因で個人向け需要が減少し、8へ移行したくない企業が7への移行をしたとも考えられましょう。
もちろんWindows8だけが原因とは思えず私の妄想かも知れないけれど、MM総研以外の調査結果でも8に触れなさすぎるのが気に入らない。
タッチパネル無しで中途半端なタブレットPC+パソコンを販売しているのだから、台数減少の影響が無いとは言えないでしょう。
それに関係するかはまだ分からないけれど、これ。
前年比伸び率ではアップルが106.8%とランキングメーカー中最も高い結果
Macが前年より売れているなら、スマートフォンや7インチタブレットの競合が矛盾。Macも形式はパソコンなのだから。
そしてようやくWindows8が登場。
年前半は新OSであるWindows8の買い控え影響もあったと見ているが、新OSであるWindows8が登場した2012年10-12月期の出荷台数前年比も87.5%と振るわなかった。
個人向けの話で、8の内容をテストバージョンなどで知らないPCユーザが買い控えたのなら納得。
私やマニアックな人、開発者の人達は8のダメさ加減を知っていたけれど、新Windowsが出ると聞けば買い控える人がいても当然。
そしてフタを開けると惨状開始。10-12月が87.5%までの減少で済んだのは、昨年末の店頭販売や通販の完成品PCにまだWindows7が残っていた影響も有りましょう。
特に年末商戦期にあわせ、AndroidやiOSを搭載した7インチの低価格タブレットが登場したことで、タッチ機能を前面に押し出したWindows8搭載パソコンがこれらのタブレットと競合し、結果的に低価格タブレットに顧客が流出したと見ている。
これが通るなら、過去に新しいiPadやGALAXY Tabなどが出た時も同じように落ちていたはずなので、競合の影響が大きいとは言えないでしょう。
2012年末商戦時期のWindows8のタッチ操作対応機種は少なく、8割以上がタッチパネル非搭載のはずなので、操作の点でも競合したとは思えない。
タブレットPCなどはMacやWindowsのようにカバーできる用途は広くは無く、価値として考えるとiPadの4~6万円が低価格という表現もどうかと思う。
法人と個人向けパソコンのの出荷台数は半々くらい
同じMM総研の2012年出荷概要記事でも、PC Watchには他のグラフも有ったのでこれもどうぞ。
2012年国内PC出荷台数は過去2番目の規模 MM総研調べ-PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130214_587747.html
最下段は予想なのでスルー。
過去12年間の実績推移を個人と法人で分けており、全体で見ると2010年からの増加がやたらと大きい。
特徴は2008年辺りから個人が増加し続け4年間上昇を維持。法人が分かり難いけれど、2007年からは減少し、2010年から急増。
減少と重なる2007年と言えばVistaが1月に発売、急増した年、2010年の2ヶ月強前になる2009年の10月下旬は7が発売されております。無関係とは言えないでしょう。
私は大規模な法人のPC導入状況など知らないけれど、仮に私がIT管理者でパソコンを導入する担当ならVistaは避け、7まで待ったはず。
確実にOSの影響やそれ次第とは言い切れないけれど、Windows PCはバージョンにより企業の導入可否が決まるとすると、8は無いはず。
非効率なタッチ操作、それに合わせると数万円高額になるモニタ、個人向けに作られたとしか思えないモダンUI。企業向けの業務用PCとして合っておりません。
個人の方は、2008年から上昇し続けているのでOSは特に関係なく、単にパソコンの普及率が上がっていたと思われ、それまでパソコンを持っていなかった世帯や、家族が持っていても1人1台化などで増加して行ったと予想。
法人の場合は私並かそれ以上にパソコンに詳しいIT管理者が導入を判断し、個人は家電店で店員の言うがままに買ってしまうかの違い。
今年は前年比で台数減少、金額微減と予想(まとめ)
MM総研の予想。
2013年の展望 ~市場規模は前年比2.2%減の1,487万台を予測
Vista発売の2007年の前年比が-2.1%なので消極的な予想。
Vistaはハードウェア性能と価格の問題、8はハードソフト価格いずれにも問題が有り、2.2%減少で済むとは思えない。
その理由は、
- 前年比の対象となる2012年が過去2番めの出荷台数
- 2012年:Windows7 VS 2013年:タッチパネル不足の8
- タッチパネル供給や採用率が高まるとPC単価が上昇
- 法人の新PC導入やOS入れ替えに8は有り得ない設計
Macを除くパソコンはマイクロソフトが妥協した中途半端なWindows8、更に価格まで上がってしまうと、集計に含まれない自作PCやBTOパソコンでWindows7を求めるユーザも出るでしょう。
私は調査会社ではないし統計の専門家でも勉強さえした事が無いけれど、計算されただけの数値より、消費者としての体感や市場の反応を見ている方が適切な推測になるかも知れない。
まだ分からないけれど、2013年はPCメーカーやPCユーザが困る以外にマイクロソフトが反省するか強引に続けるか正念場になる年。
噂の段階なものの、次期Windows(9、Blue?)が本当に今年や来年早々に出て、従来のデスクトップ画面がメインになりモダンUIがおまけになるなら、2014年は過去最高の出荷台数になってしまうかも知れない。
開発者向け新Windowsがいまだ出ない為、年内は無いでしょうな。
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