自作より安いと言われるBTOパソコン。
ここが「BTOパソコン.jp」なのでBTOパソコンを時々勧めたり頻繁に叩いたりしておりますが、どのようなパソコンでもBTOメーカーの物が安いというわけでは無し。この手の記事が分散しているので、2011年末という事も有り一旦まとめ。
私の個人的な考えとして、鵜呑みせずどうぞ。
匿名掲示板などでは「10年以上前から自作PCは趣味、BTOパソコンの方が安い」と言われており私も時々使うフレーズでは有りますが、それには条件が有り。
全てを満たさねば自作PCの方が安くなる可能性有りとして。
BTOパソコンが自作PCより安くなる5つの条件
具体的になるようメーカー名を挙げて行くものの、全てリンクするとえらい事になるので、知らないメーカーはググるなどセルフサービスでどうぞ。
中にはメーカー名を挙げてはいるけれど、仮想見積もりになっていたりするのでご注意有れ。
1.量産系BTOでも一部のメーカー
BTOパソコンのBTOとはBuildToOrder、受注後に生産という意味なので、極端な例としては私が個人で組立代行をヤフオクに出品してもBTOパソコン。ショップブランドのオーダーメイドもBTO。
BTOパソコンなら何でも自作より安くなるわけでは無く、私の言う自作PCより安いメーカーは主にこれら。順不同。
- ドスパラ
- マウスコンピューター
- パソコン工房 系(faith、TWOTOP)
- DELL
- 日本HP
- ツクモ
安い事も時々有るけれど、高確率で高くなるメーカーはこちら。
- フロンティア
- クレバリー
- サイコム
- その他ショップブランドや中小企業
フロンティアのみ量産する割に何故か高くなるので除外し、他のメーカーで言うと量産系か組立代行に近いかの違い。別の言い方をすると大規模か小規模か。自作PCに近くなる程に安くならず、ショップブランドはパーツ代+組立代行費という潔い価格提示も有り。
安くなるメーカーは同じ物を大量に仕入れ大量に売り薄利多売している事と、規模の大きさから仕入れ値以外にOEMというそのBTOメーカー専用パーツやソフトウェアを製造側が安く提供する辺りが有利。DELLやHPは自社(下請け)が全て作る程。
どこのショップでも自作PCより安いわけではございません。
2.デスクトップ(モニタセット含む)
過去に何度かネタにしている通り、私がブログの記事でBTOメーカーのノートを勧めたり良いと評価する事は滅多に無く、有るとしたなら一部メーカーや一部機種のみ。
一部とは何か、過去の記事を3つ挙げると。
いずれもBTOメーカーにしては安いとしており、3つ目のフロンティアのネットブックは在庫処分なのでフロンティアが安かったという意味では無し。
パソコン工房は期間や台数限定のような売り方。BTOメーカーとしてこれはと思えるノートは日本HPくらいのもの。
なぜBTOパソコンでノートを勧めないかは、他メーカーの完成品や有名メーカーの方が安く高性能や高機能になる事が多い為。
- 高性能・・有名メーカーの3ヶ月前後経過した型落ち
- 低価格・・Lenovo、Acer、ASUSのショップ在庫
NECなどの有名メーカーのノートは発売から3ヶ月を過ぎると新製品が出る時期になり、その頃に1つ前のシーズンのノートが在庫処分へ。買い時の目安は発売時から45~55%値下がりした頃。Lenovoなどは直販では無くショップ在庫が安く、価格コムを参考にすると分り易い。
BTOパソコンで本当に安いと言える物はデスクトップ。モニタは自社ブランド(ドスパラなど)や子会社の製品(マウスのiiyama)を扱っているならモニタも安め。
ノートでBTOパソコンが性能と安さで勝てる事は滅多にございません。
3.基本的に標準構成(または即納)
BTOパソコンと言えばカスタマイズ。しかし量産系BTOメーカーのほとんどはパーツを変更すると高く付き、やり過ぎると自作PCより余裕で高額に。
仮想の例として、BTOで本体11万円、自作なら12万円構成の場合、HDD相場1TBが8千円、2TBが13千円とし、BTO側のHDDを1TBから2TBにカスタマイズするとプラス15千円の時。多くの人が「2TBは13千円くらいだから工賃が3千円か」と考えるかと。
先に書いているので違うと分り易いけれど、8千円のパーツを消して13千円の物を入れているので差額は5千円。上の計算でいうと「工賃は1万円か」となり、簡単に言うとBTOメーカー側の取り分が1万円も値上がっております。
自作PCの場合は、1TBの予定を2TBにすると5千円の予算上昇。BTO PC側は高性能や大容量、変更する数が増えるほど自作PC価格に近付き、いずれは高くなるでしょう。
特殊なパーツも似たような物で、例としてQuadroや1枚7万円を超えるグラフィックボードなど。変更すると大きく値上がりし、カスタマイズというパーツ変更の割に単品で買えて釣りが来る程になる事も。
理由はこれらが考えられましょう。
- メーカーがカスタマイズで利益を出す
- 大量仕入れが出来ない物は元が高い
- 特殊パーツは生産ラインから外れる
- 保守(修理)パーツが要るので引当金込
標準構成は価格競争する為に他社に合わせ、仕入が数個~数十個になると仕切りが高くなり、生産工程にも影響するので工賃として。
売って終わりでは無く、有料で修理する期間も含め数年間保管する事になり在庫金額も上昇。1個あたりの価格が高いなら保守用に取り過ぎると不良在庫として金額が膨らみ経営(主にキャッシュフロー)を圧迫。
BTOパソコンはカスタマイズが醍醐味と感じるやも知れないけれど、安く購入するなら標準構成が基本。完成品在庫も同じ事なので、即納(即日出荷など)も安め。
4.本体価格が17万円前後を下回る
過去にブログ記事を書きつつ何度か見積もりして気付いた事。おそらく1つ上のパーツの仕入れ個数や保守の引当金にも関わっていると思われる、自作PCより高くなる価格の境界が存在。
それがおおよそで17万円。幅を取ると17~18万円くらいになると標準構成でも自作PCより高くなっている事が有り、超が付く高性能パソコンが必要で自作PCにするか迷っているなら試算を推奨。
17万円前後というより、自作にするかで迷っているならBTOパソコンと市販パーツを比較するは基本でしょうか。私が貧乏臭いだけで普通はそこまでしないかも知れませんな。
5.自作PC側のパーツへのこだわり
最後は自作PC側のこだわり問題。
やはり仮想の例として、しかし分り易くメーカー名を入れると。
- マウス・・10万円
- 自作PC・・11万円
- サイコム・・12万円
右は同等の性能や機能で揃えたデスクトップPC本体の価格。価格差が開きすぎな理由は分り易くしている為。
マウスコンピューターが10万円で売っている構成を自作すると1万円高くなる。Windows込にするとサイコムよりは自作の方が安いという場合。
私が過去記事でやっている自作PCとBTOパソコンの価格比較は、自作(市販単品パーツ)を価格コムの最安から取っており、実売価格のみで合計。
自作PCの電源をメーカーにこだわり4千円高い物へ変更。CPUクーラーも静音が良いので6千円で簡易水冷。ケースは次回の構成時に組み直して使うので良い回したくプラス1万円。とかやると。
- マウス・・10万円
- 自作PC・・13万円
- サイコム・・12万円
サイコムより高くなる事はざら。私が今これを書いているデスクトップは、特にこだわりは無いもののケースのみどうしてもクラマス製にしたく安いミドルタワーなら5千円で行ける所を約15千円のHAF912 Advへ。金が有るなら3万円のケースも良かったけれど価値観としてそれは無し。
自作PCはパーツを自由に選ぶ事が出来る利点としても、こだわってしまいたくなるという難点でも有るわけです。
BTOパソコンが自作PCより安くなる理由(まとめ)
上で書いた5項目を言い換えると。
- 量産しているからOEM含めパーツなどの仕入れが安い
- 組立を100%近く自社工場で出来るデスクトップが安い
- 標準構成や完成品在庫=量産パーツの塊なので安い
- 超高性能では無い価格帯なら大量仕入れになり安い
- 自作PCの「こだわり」次第でBTOパソコン全般が安い
自作PCとの違いは、主に大量仕入と生産(販売)の薄利多売。
BTOメーカーが1万円で仕入れた物を自作ユーザが1.2万円で購入しているなら、メーカーが1.1万円としてBTOパソコンに組み込めど利益は有るという当たり前の仕組。
更にOEM、自社や下請けや子会社など製造も含まれ、量産系BTOメーカーは安く販売出来るわけです。
ショップブランドの組立代行が高い理由は一部を除きぼったくっているわけでは無く、仕入が少数な為に比較的高く、多売出来ないので利益額多め。工賃を貰わなければ商売にならないでしょう。
BTOパソコンは安さ故にその理由を根拠無く「品質が悪い」と直結する妄想家が居りますが、そのような書込を読む際は「品質」を「ユーザの運」に置き換えてみましょう。
私は、とあるBTOメーカーの修理現場に居りましたが、本当に品質が悪い物が採用されてしまうと保証期間内の修理率が高まり推測出来ない損害が出る(利益を食ってしまう)ので自業自得。中学生でも解る事。
以上、条件が揃えば自作PCより安くて当然という話でございました。
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