本格的な初心者用の電源の選び方です。
BTOカスタマイズの際、CPUやハードディスク、メモリは性能や容量などを数値で見易く、初心者でも何となくわかるものですが、電源の場合はそうも行きません。400W、700W、1000Wなど書いてあっても、大小しか違いが見えないかと思います。
高性能かつ省電力で無ければ容量を大きく選ぶことは当然ですが、それ以外のところにも見所はあります。ここは見て選んだ方が良い、というポイントを勝手にまとめました。
メーカー(ベンダー)名が表記されている
残念ながら、ここで多くのBTOメーカーが除外されてしまいますが、自作や改造PCを作るマニア達は電源に最もこだわりを持ちます。それほど品質にばらつきが有り、予算も難しくなるところ。
最もこだわるとは言い過ぎかも知れませんが、CPUはインテルやAMDなどから買えば誰もが同じ物を使えますが、電源はそうは行きません。台湾や中国などで大量に生産されており、構造が簡単なため、質も悪いものが多く有ります。
必ず表記の有るBTOメーカーとは言いませんが、あった方が評価の基準にできるということです。メーカーを見ても比較する知識が無ければ意味が有りませんし、必ずしもKEIANが駄目だとは言えません。私がそう思っているだけで、劇的に違うとは言えない上、運で壊れます。
80PLUS認証のロゴが有る
今年の春頃から広まって来ましたが、電源装置の変換効率という数値が80%を超えているという基準です。装置の仕組みや製造に使われる部品の質が悪ければ、効率は65~75%程度まで落ちても不思議ではありません。
80PLUSという基準や認証する組織が有るだけで、自社の検証では80PLUSと同等と表記している電源製造メーカーも有り、もちろんそれでも同じ意味になります。
カスタマイズ、選択では上にある画像(Faithです)のように「80PLUS」と書き加えられているものが有り、価格は若干高めにはなりますが、80plus.orgが認めた電源というお墨付きです。
金を払い検証され第三者が認めているわけですから、いくら大ざっぱな中国や台湾製だとしても、基準という信用は大きいと言えます。無くても良い電源は沢山有りますが、これが付いていれば品質として良いかも知れない程度に記憶しましょう。
80PLUSについては以前書いたのでご参考まで。
80PLUS電源とは? | BTOパソコン.com
https://bto-pc.jp/select/bto-pc-152.html
大容量に比例して静音電源が重要
CPUやケースファンを異様に気にする人が居られますが、電源のファンは結構な騒音です。アイドリング時ならば、ファンの音の大きさを底上げしているものと考えます。
どの程度の冷却が必要か、使われている部品の種類などによりファンの回転数は変わる上、製造メーカーの調整になるため、静音だから良いとは言えません。無理をしているのかも知れない。
扇風機で例えると解りやすいと思いますが、ファンは、羽が小さい、枚数が多い、そして回転数が高い、この3つの条件で音は大きくなります。逆に、羽が大きく枚数が少ないものは、回転数が低くとも冷却性能(風量)が大きくなるため騒音は小さくなります。
スリムやキューブを選ぶならば、静音に期待してはいないでしょう。
問題は普通のパソコンケースの場合で、大きさはATXという規格で三辺の数値が有る程度決められています。大きさに限度があるということは、中身次第で騒音の大小は決まります。
電源容量が大きくなれば、風量も比例して大きくなるため、1000Wの静音と400Wでは、前者の方が騒音はでかいことが有ります。大容量になるならば、静音をお勧めしますが、それ以上にCPUが超高性能かつファンがリテール(インテルの標準、付属ファン)ならば、大して意味が無いかも知れません。
電源の出力は余裕を持ちつつ小さめに
ここからは中級者向きでしょうか。電源容量の計算が必要になります。
しかし、BTOメーカーのカスタマイズは、容量を気にせず選べるよう作られており、万一電圧が足りない組合せを選んでしまった場合は、作る前に連絡があるはずです。確か、フロンティアのカスタマイズは、CPUやグラボの性能を上げると電源容量が足りないという警告が出て注文できなくなる仕組があったと思います。
単純に電源計算とは言っても、CPUやマザーなどを普通に足し算して行けば大した数値にはなりません。せいぜい行っても400W程度。これはアイドル時や平均の合計になるため、CPUやGPU(グラフィック用のCPUのようなもの)の負荷や、動作している環境とパーツの組合せで容量は可変となります。
分からないならば、大は小を兼ねるという考えで正解ですが、可能な限り小さく抑えたいという心情はあるでしょう。さすがに1200Wなど書いてあれば、電子レンジ2台分かと思われそうですが、実際に使っていたり供給している電圧はそこまで高くありません。
80PLUSの話では効率80%程度まで落ちると考え、600Wなどの表示は通常はピーク(最大)を表しているため、そのままの数値で見ることはできません。
「電源計算」などで検索すると、Web上で計算できるサイトが発見できます。パーツに対する知識が必要ですが、勉強をするつもりで興味があれば計算してみましょう。但し、結果を鵜呑みにしてはいけません。
買い替えや改造(換装)も考える
電源に限らずでは有りますが、特に電源は経年劣化(動作時間の経過で性能が落ちる)するものです。新品の効率が80だったとしても、毎年数%落ちるものと考えてください。基準は3~7%程度でしょうか。測ったことが無いため知りません。
ここでスリムPCを購入していれば、電源はTFX(スリム用の小さい電源)という規格になるため、ワット数と比較して高額になります。TFXは250~350W程度と低い割に、単品販売が少ないためか簡単に5~7千円を超えます。
キューブの電源交換は絶望的です。ケースと一体のオリジナルな構造が多いため、電源を交換するという考えは捨てましょう。そんなものを選んだ時点で、丸ごと買い替えが前提のはずです。
ミドルタワーやミニ(マイクロ)タワーならば、電源の交換も結構楽にできます。中にはマザーボードを一旦外す、または大きくずらす必要が有り、初心者には難しいものも有ります。また、電源は挿すだけとは言っても、私に言わせればCPUとマザーボード交換の次に難易度は高いです。
電源交換は改造になり、自作への一歩となりますが、今は初心者でも、いずれは水冷のフルタワーでOC(オーバークロック)している自分が居るかも知れません。100%それは無い、ならば換装は考えなくて良いでしょう。
深入りし過ぎて初心者の方には難しかったかも知れません。
物足りない、もっと詳しく突っ込めよ、という方、コンデンサの質やコイルの配置、PFC回路の有無にこだわるなら、それは初心者では有りませんので、好きに選んで下さい。
カスタマイズや仕様詳細ではワット数の表記しか無いメーカーも有るため、自作でなければ使い捨てや修理前提として考えておいても良いとも思います。
ここでBTOメーカーの長期保証が生きてきます。
だから私は延長保証を重視して紹介しているのです。
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