インテルの新CPU、Core i7 3820が発売。
昨年発売の i7-3960X、i7-3930Kに続く3種類目のLGA2011規格となっており、対応チップセットはX79。特徴はメモリが4ch(クアッドチャネル)で動作するなど、コードネームでいうSandy Bridge-Eなる物。
BTOパソコン向けと言える高性能CPU、適当に見て参りましょう。
Core i7 3820の性能と他の高性能CPUとの比較
同じLGA2011のCPUをリスト形式で比較すると
- i7-3960X・・3.3-3.9GHz、6コア/HT、15MB、TDP130W・・79千円
- i7-3930K・・3.2-3.8GHz、6コア/HT、12MB、TDP130W・・50千円
- i7-3820・・3.6-3.9GHz、4コア/HT、10MB、TDP130W・・25千円
コア数が4つになりキャッシュが低めに設定されているものの、クロック周波数は高く価格が安め。
価値観により個人差は有るけれど、私から見るとCPU単体の予算25千円前後が限度と感じており、一般向けギリギリの価格と思っております。
他のCPUとの比較はPassMarkを参考に。
黒を掛けている行は一般向けでは無いと言えるCPU。
上位2つはLGA2011の2種類。次にLGA1366の高性能CPUが続き、それとCore i7 2700Kの間にi7-3820が位置しております。
他のベンチ(SnadraやCinebench)では i7-3820の性能はもう少し良い御様子。発売日なのでPassMark内のサンプルが少なく精度が低めなのかも知れませんな。
ドスパラとマウスよりCore i7 3820搭載PCが新発売
2月13日のCPUリリースと同時に発売した量産系BTOメーカーはマウスとドスパラ、いつもの2社。最近パソコン工房系(特にfaith)は同時発売して来ないけれど安売りが忙しいのでしょうか。
先にドスパラより。画像を載せても意味が薄いけれど一応。
【PC Watch】 ドスパラ、Core i7-3820搭載デスクトップ3機種
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120213_511705.html
source:PassMark Intel vs AMD CPU Benchmarks - High End
3機種共通で標準構成は、CPUにCore i7 3820、チップセットはX79、DVDスーパーマルチを搭載。シリーズ名はPrime Galleria。
仕様の違う箇所を一覧。価格はおおよそ。
- SX-e(10万円)・・メモリ8GB、HDD 1TB、GTX 550Ti-1GB、Win7 Home~
- TX-e(11.5万円)・・メモリ16GB、HDD 2TB、GTX 560Ti-1GB、Win7 Home
- LC-e(15万円)・・メモリ32GB、HDD 2TB、Quadro 600-1GB、Win7 Pro
SX-eを基準にすると、15千円プラスで構成するとメモリが8GBとHDDが1TBへ容量が上がり、グラボ(ビデオカード)性能が1ランク上に。
3つ目はグラボがQuadroになっており、デザインや設計用途なので普通の人やゲーマーはスルーして良い特殊なパソコンと考えましょう。
ドスパラでCore i7 3820を搭載した最安モデルは約10万円。
マウスも3機種で新発売。やはり意味が無いに等しい画像も一応。
【PC Watch】 マウス、Core i7-3820搭載のデスクトップPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120213_511701.html
共通仕様は、Core i7 3820、X79、DVDスーパーマルチ、HDD 1TB、Win7はHome~となっております。
違う箇所をドスパラ同様に一覧。価格は約。
- Lm-i910E(9万円)・・メモリ8GB、GTX 550Ti-1GB、ミニタワー
- Lm-i910B(10万円)・・メモリ16GB、GTX 560-1GB、ミニタワー
- MDV-AGG9300E(10万円)・・メモリ16GB、GTX 560-1GB、ミドルタワー
ドスパラはグラボなどの性能を変えて価格を階段状にしておりましたが、マウスは高性能でも見た目10万円を切れているという見せ方。但しマウスは送料3150円と高めなので、実際の購入時は総額注意。
双方のメーカーを最安の機種で比較するとマウスが1万円安価。
どちらが良いかと言われると好きな方で良いと思うけれど、個人的には1万円安いマウス。ドスパラはデルタの電源が選べるとか信者の方々は申されるけれど、BTOパソコンで故障が怖いなら保証を延長しましょう。
モニタも同時に買うならドスパラの方が初めからセットなので初心者に優しいけれど、マウスはiiyamaモニタを比較的安く選べる利点有り。
どちらも嫌だと非難する人間は自作PCマニアか自称中級者な公称初心者なので、普通のPC初心者に優しいBTOパソコンの領域はスルー戴けると幸い。
X79構成がBTOパソコン用になったと思う3つの理由
冒頭でBTOパソコン向けになったと書いておりますが、主に2つ、おまけで1つ足して3つの理由がございます。
インテルのハイエンド自慢な出し惜しみが終了
LGA2011の前になるLGA1366では、当時最も安く性能も比較的低めなCore i7 920が発売され、後から上位製品や中間が発売されておりましたが、今回は性能上からの発売。
i7-3820がリリースされるまでの約3ヶ月間、X79チップセットで構成しようとするとCPUが5万円以上していた事も有り、バランスを取るBTOパソコンでは10万円オーバーでも普通。
CPU単品最安が約2.5万円になる事で、BTOパソコンの標準構成が10万円を切れており、買う側のハードルが低くなると同時に売る側もやり易くなったかと。
オーバークロック?なにそれうまいの?で結構
同じLGA2011でもi7-3960Xや3960Kとは違い、3820は倍率が変更出来ず通常のオーバークロック(以下、OC)は出来ない仕様。上位CPUの価値を落とさぬよう、インテル様がロックしているわけですな。
自作ユーザならまだしもBTOパソコンでOCは不要。私が昨年オフラインで会った昔ながらのPCユーザはパソコンを買い換えるくらいならOCが良いと申されており、面倒なので適当に相槌を打っておいたものの現代ではOCは遊びや趣味レベル。
元から標準3.60GHz、ターボブーストで3.90GHz、4コアでHT対応までしているなら4GB超えに挑戦するまでも無い高性能。余計な事をしなくて良く、メーカー側も望んでおらず保証対象外になるので不要と言えましょう。
将来的にハイエンドが目指せる(但し改造前提)
主には先の2点が特長。しかし私のようにサイコムで買っていたような自作PC崩れなユーザは改造前提にすると、CPUやグラボの載せ替えで比較的安く超の付く高性能へ変身可能。
注意する事は、例としてマウスの場合はWindows7がOEMと思われOSを流用できない可能性大。ドスパラのようなDSP版でも、何と組み合わせのDSPか不明なので、流用は出来てもライセンス違反になる可能性有り。
更に別途DSP版を購入しても、マウスの場合はチップセットなどのドライバが付属しておらず、公開もされないないと推測出来、ドスパラもどこまでドライバメディア(CDなど)を付けているかは分からないので御注意有れ。
Sandy~Eにこだわらないならマウスの新Quadro構成
いくらクロックが高いとは言え、3820は4コア8スレ。X79の特長が良く分からなかったり要らないなら、マウスが数日前にクリエイター用と称してi7-2700Kを載せて発売している機種も御覧有れ。
【PC Watch】 マウス、Intel SSD 520搭載のクリエイター向けPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120209_510825.html
画像は上で貼った物と同じなので省略。
中位とされる「MDV-ASQ8250B-WS」の主な仕様を一覧。
- OS:Windows 7 Home Premium 64bit
- CPU:Core i7-2700K(3.50GHz)
- Intel Z68 Expressチップセット
- メモリ:8GB
- ストレージ:120GB SSD + 1TB HDD ※ISRT構成
- グラボ:Quadro 2000D(1GB)
- DVD:スーパーマルチドライブ
- 電源:700W 80PLUS GOLD
標準構成は約15.5万円。
ドスパラのガレリア(LC-e~)より若干高額になるもののグラボ性能が上がっており、入門用どころか実用としても選択するならこちらでしょう。
CPUの実売価格に大差は無いけれど、Sandy~E用のX79チップセットが高額なのでマウスは載せまくり構成の割に価格に差が無くなっており、マウス側は処理速度の足を引っ張るストレージがSRTの拡張モード(読込がSSDに近い高速性、書込はHDD程度)なもののSSDキャッシュは効率を重視するなら有利。
CinebenchのOpenGLベンチを発見したので参考まで。上位数件のみ。
source:Test: Intel Core i7-3820 (Anhang 4/32)Cinebench
右に「Turbo」が付いている行はターボブースト、無しは標準クロック。i7-2700KはSandyBridgeの中では現在最上位になる為、i7-3820より劣るとは言えないかと。
ドスパラよりマウスの方が売り方として上手いかも知れないと思ったものの、クリエイター向けという特殊なモデルをやるなら、更に高額な構成にしても良いと思う次第。
赤字決算の企業なら安さ優先で性能後回しになると思うものの、利益が出ている会社や荒稼ぎしている個人事業者は経費(設備投資)にしたいはず。デザインや設計は物の仕入などが他の業種より少なく節税が難しい為。
数十万円のQuadroが在庫で腐る事を考えるとメーカー側も二の足を踏む所では有りますが、オーダーメイドで受注後に仕入れるとかどうでしょう。どうでしょうと言われても、量産系BTOメーカーは規模がでかいので無理が有るでしょうな。
Core i7 3820標準搭載BTOパソコン発売まとめ
標準構成が現在の最小バランスで10万円とするなら、グラボ性能を落としたり、CPUの仕入原価が下がるなどで数ヶ月で9万円前後に落ち着くでしょう。
この価格帯はパソコン工房が有利になる所。その理由は、私が3年保証を前提で考える為で、ドスパラとマウスを入れて比較するとこうなる。
例:標準構成10万円のパソコンで3年保証する場合
- ドスパラ・・9,980円(送料無料)
- マウス・・7350円(+送料3150円)=10,500円
- パソコン工房・・5,250円(+送料630円)=5,900円
マウスでクリエイター向けが良いと時々書く理由も延長保証の割安感。
例:標準構成15万円のパソコンで3年保証する場合
- ドスパラ・・10%=15,000円
- マウス・・7,350円=4.9%
- パソコン工房・・5%=7,500円
15万円ではマウスは送料が3150円なので1万円を超え、工房の5%より割安になるラインは21万円になるけれど、パソコン工房はクリエイター向けが弱い。ちなみに21万円ならドスパラは21千円になり話にならない。
以上。
私がBTOパソコンを比較する際、価格や性能ばかり見ておりメーカーを気にしない理由は中身は大差無い為。
時々「どこのメーカーは品質が良い」という書込を見るけれど、本当に品質の良いパソコンを一式揃えようと思うなら、予算を2倍以上にして自作。
2倍以上とはどのような構成になるか具体的に、ケース、電源、CPUクーラーのみを書き出すとこのような感じに。
- ケース・・約4万円以上(フルタワーのエアフロー重視)
- 電源・・約2万円以上(1000W前後の80PLUSでGOLD~PLATINUM)
- CPUクーラー・・約1万円前後(空冷の最高クラスをどうぞ)
それをやっても故障する時はするものなので、自分で修理(主に故障箇所の切り分け)が出来ないならメーカーに任せましょう。
当日14時半頃追記:他のBTOメーカーも3820搭載で発売。
- 【PC Watch】 KOUZIRO、「FRONTIER GZ-E」4コアSandy-E搭載
- TSUKUMO、「Aero Stream」にCore i7-3820搭載 - ITmedia
- 【パソコン工房】インテル最新CPU Core i7 3820を搭載 - livedoor
- 【PC Watch】 デル、Core i7-3820搭載「ALIENWARE Aurora」
決算の為か珍しくフロンティアが安めでマウス並、但し性能が微妙に低め。ツクモは高く長期保証が劣化するけれど、パーツの詳細が一部判る利点(?)有り。
パソコン工房は盛り過ぎ。DELLは相変わらず意味不明。
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